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仕事が落ち着いてきた。
繁忙期の反動か、やけにお酒が飲みたくなる日が増えた。
しかし飲んだら飲んだで翌日が辛く、
別の疲れがのしかかる。
人間は疲れを求めるようにできているのだろうか。

年齢のせいなのか、
お酒を飲んでいる当日は、
まだ飲めるけどここらでやめておくかとコントロールできるのに、
翌日に予想を超えたダメージがあり、それにも増して、
ダメージ解消までに要する時間が長くなった。

ビールとワインはすぐに飽きるようになった。
というか、ワインは年に1回飲むかどうかだし、
家ではほとんどビールを飲まない。
外で飲むときも、最初はビールにしないと変に目立つので
そうしているだけだ。
日本酒、バーボン、麦焼酎は、年々美味しく感じてきている。
この先、どうなっていくのだろう。

今回はブックレヴュー。

■伊坂幸太郎「AX」(2017年)
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主人公は文具メーカーに勤務しながら、
殺人という仕事を請け負っている。
そうなった経緯は描かれていない。

殺人をあっせんしているのは医師で、
主人公は医師に逆らえない関係にある。
なぜそういう関係なのかは描かれていない。

主人公には妻と高校生の息子がいる。
妻に対しては異常なまでに気を遣う。
特に会話中の妻の発言に対しては、
どういう返しをするのがいいのか慎重になり、
入念に自問自答する。

こう言ったら、こう思われるのではないか、
こう言ったら、自然な感じになるだろう、など、
常に妻のご機嫌をうかがい、平和的に過ごそうとする。
なぜそういう関係になったのかは描かれていない。

殺しがどうのより、
妻にびくびくしながら日々を過ごす夫の心情を描いた作品
というのが率直な感想。
実際、裏をかいたような妻の反応が最もよく描けているような。

伊坂さんの作品なので、最後まで面白く読めたのだが、
いきさつや背景がわからない点が多かったのが残念。

■朱野帰子「わたし、定時で帰ります。」(2018年)
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ウェブデザイン会社で働く20代女性。
業務改善に熱心で、効率的に仕事をこなしつつ、
常に定時帰りをしている。
それを見習う同僚もいるが、否定的な社員が多い。

そこに新たな仕事が舞い込み、
そのプロジェクトのチーフに抜擢される。
メンバーの統率がとれず、業務ははかどらない。
定時帰りは続けられるのか、みたいな内容。

登場する社員の人物描写が上手だし、
ノー残業をめぐる攻防も面白く読める。
しかし、主人公と以前に交際していた男が、
この会社に中途採用になり、
元カレのポジションを活かして変にちょっかいを出したり、
主人公は主人公で婚約中の男性がいながら
いまひとつ本気でなかったり、
定時に帰るとか、プロジェクトの進展状況とかよりも、
終わった恋愛のひきずりぶりと現在の恋愛の空疎感ばかりが
表面を覆い、イライラしっぱなしで、
逆に結末を知りたくて読めてしまった。

■長岡弘樹「道具箱はささやく」(2018年)
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18編もの短篇で構成されている。
仕事上のライバルの争い、認知症、恋愛もの、子供もの、
事故や事件ものなど、
非常に幅広い設定で、様々な人物が登場する。

1話は20ページにも満たない。
でありながら、どの物語も起承転結があり、
きちんと成立、完結している。
ミスリードをされ、最後に鮮やかにひっくり返された作品や、
伏線のひきかたが見事な作品もあった。

極めて短編なので展開が早く、
なぜそうなったのか、経過をもう少し堀り下げて
書いてもらいたかった作品もあり、
物足りなさを感じたりもしたが、
無駄に書きすぎて間延び作品よりは断然良い。

■神田茜「母のあしおと」(2018年)
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筆者は帯広市出身で私と同世代ということで、
彼女の作品を読んでみたいと思っていた。

この物語は、おそらく昭和18年生まれと思われる
「道子」という女性の一生を描いているのだが、
時系列としては逆に話は進んでいく。

始まりは、道子が亡くなってから3年後であり、
以降、道子の葬儀、長男が婚約者を家に連れてきた時、
道子の息子が小さいとき、道子が結婚する前夜、
道子が小学生の時、というふうにさかのぼっていく。

そして道子のことを語っているのは、夫であったり、
息子であったり、親戚であったり、道の母親だったりで、
語り手としての道子は登場しない。

道子の人生は特別なものではなく、どこにでもありそうなもの。
しかも、それぞれの語り手は、
道子を「いい人」のように描写しているわけではない。

道子はちょっとしたクセがある女性で、
語り手たちの心にしっかりと刻まれていることがわかるし、
あの時、こういうことを言ったのは、
昔こういうことがあったからなのかと、時代をさかのぼることで
さりげなく伏線が回収されるような構成にもなっていた。

この時代の女性の、いわば普通の人生であり、
ちょっとした人生のイベントや節目、エピソードなどを
ピックアップして描いているだけなのだが、
構成の妙か、書き手の技術か、
ぐっと心にせまるような、癒されるような良質な作品だった。
舞台も釧路を中心とした道東だったのも
気持ちが入り込めた要因のひとつ。

                       ◆


外でお酒を飲むのは気を遣う。
都市部では、外でしか飲まない、という人は多いようだが、
外だと、純粋に飲みたい酒を頼めない、
自分のペースで飲めない、
常に何か話していなければならない、
その人は好き好んで私の隣や向かい側に座っているわけではない、
など、様々な心の起伏と折り合いをつけなければならない。

飲みミュニケーションというものは否定しないが、
私は仕事に関するあれこれは全部職場で、
しかも正規の勤務時間中に言うように徹底している。
そのためにはコミュニケーションが不可欠であり、
職場の人とは職場で完結できる(させたい)と思っている。
職場の外まで引きずりたくも、引きずられたくもない。

なので、飲まなきゃコミュニケーションをとれない、
飲んでこそコミュニケーション、という考えはない。
その気があれば、いつだってコミュニケーションはとれると。
飲みミュニケーションというものは否定しないが。

飲んで、若手のプライベートなことを聞き出し、
情報を持っているのが良いというような風潮もあるが、
飲まなくても、普段そういう話ができるし、
そもそも若手は中高年の近くには座りたくないのです。
私としてもゲームの話にがんばって付き合う気はない。

というか、職場の飲み会は100%付き合いだろう。
付き合いは重要なことだ。
それも仕事のうちだ。
その仕事には残業代が発生しないし、代休もないが。




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