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7月8日にTHE HEART OF STONEの11枚目となる
オリジナルアルバム「crossover」をリリースした。

そして今週末は帯広でライブだ。
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ずっと実現させたいと思っていた帯広でのライブ。
昨年は一度も実現しなかった。
やっと行ける。
ほんとうに嬉しい。

出演順は3番目
出演予定時刻は19時30分からです。
よろしくお願いします。
              
今回はブックレヴュー。

■辻村深月「青空と逃げる」(2018年)

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小学生が川で海老をとっているシーンから始まる。
やがてその母親が登場する。
親子と自然という組み合わせは物語に入っていきにくい。
長閑でモヤモヤするような描写にハズレだったかと思いつつも、
せめて30ページくらいまではと読み進めていくと、
辻村さんの文章力のなせる技なのか、
次第に物語の中へと誘導され、
やがてはページをめくる手を止められなくなった。

劇団員の夫が交通事故で入院。
その車には有名女優が同乗していた。
女優はしばらくして自殺。
入院していた夫は病院から逃亡。
マスコミや女優の事務所関係者が家に押し寄せ、
妻と子供は逃げるように高知県や大分県などに移動しながら
地域の人たちに支えられる物語。

逃亡先では子供を小学校に通わせず、
母親は仕事を見つけるも、住まいは質素でお金もない。
やっとその地域になじんだ頃に追手が近づいてきて移動。
常に薄曇りの息苦しさを漂わせながらも、
どうなるの、どうしてなの、の疑問を絶妙な加減をキープし、
読み甲斐のある作品に仕上がっている。

羽田圭介「成功者K」(2017年)
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売れない作家だったKが芥川賞を受賞。
それによって状況は一変する。
テレビ出演が増え、それを上手くこなし、
やがてバラエティ番組を中心にオファーが殺到する。

小説を書くより簡単にお金を稼げる。
知名度があがり小説の売れ行きもアップ。
さらには複数のファンの女性と交際し、
小説も書かずに成功者生活を満喫する。

一方で成功者慣れしていない面も面白く描いている。
テレビの楽屋で出される弁当はいつも二人前を食べたり、
新幹線のグリーン車に乗ったら、
レッグレストを使わなければもったいないと思ったり。

しかしそういう生活は破綻するものだ。
マンネリ感、恋愛のもつれ、喪失感、無力感、
そうした様々なダメージがKを蝕んでいく。
あげく、芥川賞を受賞し成功者となり、
奔放に振る舞う自分をモデルに小説を書き始める。
ブレーキなしに突っ走っていく展開。
女性問題に辟易しつつも、面白く読めた。

五十嵐貴久「リカ」(2002年)
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妻子のあるサラリーマン。
家庭に特に不満やトラブルがあったわけではないが、
同僚から「楽しいから」と勧められ出会い系サイトへ。
知らない女性と言葉のやりとりを楽しむ程度の関わり方だったが、
おかしな女性に付きまとわれるはめに。

会ってほしいとしつこくメールを送られ、
やがて待ち伏せされ、職場や家族にも忍び寄ってくる。
サラリーマンの生活は崩れていき、
最終的には命の危険にさらされる。

出版されたのが2002年。
ということは執筆したのはそれより前であり、
その頃、出会い系サイトはそれほどメジャーでは
なかったようにも思うわけで、
当時は先進的だったかもしれない。

つきまとう女性の気色の悪さの描写が圧倒的。
ただ、この女性はなぜこんな人物になってしまったのか、
どうやって生計を立てているのかなど背景が見えないため、
もやもやするところはあるが、
結末を知りたい気持ちは高温キープでエンディングまで運ぶ。

小玉ユキ「坂道のアポロン」(2007年-2012年)
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単行本では9巻で完結の漫画作品。
1966年、東京から九州の高校に転校した男子生徒。
学業成績は極めて優秀、かつ品のある身なり、
ところが家族関係に問題を抱え、
殻に閉じこもりがちな性格と人づきあいが苦手なせいで、
学校では孤立していた。

そんな中、やさしく接してくれる律子と、破天荒な千太郎という
二人のクラスメイトの存在、そしてジャズとの出会いによって、
次第に心を開いていく。
瑞々しい友情と恋愛とジャズの物語だ。

特に律子がいじらしくて、かわいい。
彼女のお気に入りのジャズ・ナンバーが
SOMEDAY MY PRINCE WILL COME/いつか王子様が」である
という設定がぴったりで、
この作品を読み、改めてこの曲を聴いてみたら、
素晴らしく良い曲に思えた。

終盤の8巻、9巻は展開が早くなり、
やや強引にエンディングを迎えたのは残念だったが、
序盤から7巻あたりまでは、
過程や心理描写を丁寧かつ濃密に描き、
特に5巻、6巻あたりの、高校2年生の文化祭のシーンは感涙。
キュンとなって、じーんとする場面の多い素敵な作品だ。

                     ◆


瑞々しく、清々しい気持ちを呼び起こす作品はいいなと思う。
それは私自身が瑞々しさや清々しさを失ったから思うのだろう。
だからといって若い頃に戻りたいとは思わない。
今が一番だと、毎年思う。

若いうちはやりたいことが何でもできると
中学生の時に西城さんからメッセージをいただいたが、
行動範囲が狭く、お金もなく、知識に乏しく、
若いうちはやりたいことがあまりできなかった。

しかし不自由さゆえに頑張れたことや出会ったことも少なくない。
なので今もあえて不自由状態を作ってみることもある。
どういう環境を作れば、あるいは、どういうアプローチをしたら
満足した気持ちになるのか、ずっと実験しているような感じだ。
そんな日々は幸せといえる。
選択肢があるのだから。

この先も初めて経験する年齢ばかりであり、
心も身体も変化していくし、社会も変化していくので、
変わらない毎日などあり得ない。
どうやって年をとって変わっていくのか楽しみでもある。

年をとりたくないと思ったら、その人は確実に年をとってるし、
つまらない大人になりたくないという大人は
大体つまらない大人になっている。
そしてそのことに気づいていない。
 
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