FC2ブログ
ADMIN TITLE LIST
まずはライブのお知らせから。
20180519ライブチラシ
よろしくお願いします。

                       ◆
今回はブックレヴューです。

砂田麻美「一瞬の雲の切れ間に」(2016年)
一瞬の    

小学生の男子児童が亡くなった交通事故。
児童の母親、事故を起こした主婦、その主婦の夫、
夫の不倫相手など、交通事故に関係した様々な人々が、
交通事故を境にして生活がどう変わったか、
心はどう動いたのかを、抑制の効いた文章で丁寧に描いている。

ざっくり言えば、登場人物は皆、変化についていけていない。
なので、全体的にもやもやしていたり、重苦しかったりで、
雲の中にいるような心情で過ごしている。
しかしながら、ちょっとした光も差してくるような展開もある。
それで「一瞬の雲の切れ間に」とのタイトルにしたのだろうか。

ドラマチックさはなく、静かに展開していくのだが、
ふと強烈に切なくさせるセリフがあったり、
上手な表現をするなあと感心させられたり、
小説だからこその醍醐味を味わえる。

ただ、交通事故を起こした主婦の夫の不倫相手の話から始まるのは
構成上どうなのかと。
しばらく感情移入ができず、作品に入っていく過程における
不必要なハードルに思えた。

遠田潤子「オブリヴィオン」(2017年)

オブリヴィ

遠田さんの作品は、辛い境遇に縛られ、自己嫌悪が激しく、
ネガディヴ思考がしみついている主人公であるバターンが多い。
本作もまさにそれだ。

妻殺害で服役していた男が出所。
仕事に就くが、刑務所帰りであることで嫌がらせを受け、
兄からは裏稼業を手伝えとしつこくつきまとわれ、
亡くなった妻との間の娘からは軽蔑されるなど、
出口の見えない陰鬱な日々を過ごす。

そんな中、妻殺害のきっかけにもなった娘の出生の謎が
明らかになっていく。
希望を持つことを怖がり、
あきらめ癖がまとわりついている主人公が
再生に向けて根性を見せる。
予知能力が軸になって展開したり、
人間関係があり得ないほど無茶苦茶なところはあるが、
とにかくページをめくらせる作品だ。

西野亮廣「革命のファンファーレ」(2017年)

革命の

筆者はお笑いコンビ「キングコング」のメンバーであり、
絵本作家など様々な仕事や活動を精力的に行っている。
今年の初め、晴れ着業者の逃亡事件により、晴れ着を
着られなかった人を対象に成人式を開催したりもしていた。

本作は、クラウドファンディングにより1億円を集めて
制作した絵本が大ヒットをしたことを軸に、
ざっくり言えば、ビジネス本のような内容である。
語り口調に近く、文字数も多くないので、さらっと読めてしまう。

成功した人だからこその理論だよね、と思える箇所が
多かったものの、下手に隠すより、思いきりネタバレさせた方が
それを見た人は行動に移すとか、
広告、宣伝は商品を買った人にさせる仕組みや、
分業の効果的な活用など、なるほど、と感じる点も多々あった。

不倫をしても、ゲスの極み乙女の男性は音楽活動ができたが、
ベッキー氏は活動できなくなった。
なぜならベッキー氏は人気ではなく認知度が高かったからであり、
好感度と信用は別物であると語っているのも面白かった。

それにしても、筆者はいつのまに
たくさんのフォロワーを増やしたのか。
SNSによるところが大きいらしいが、
SNSをほとんど活用していない私は
世の中の進化に乗り遅れているのだろう。
しかしそのことで悩んではいない。

乃南アサ「しゃぼん玉」(2004年)

しゃぼん

窃盗などの犯罪を繰り返し、逃亡生活を送る若者。
彼はヒッチハイクをしたトラックの運転手と揉め、
宮崎県の人里離れた山中で夜中に降ろされてしまう。

どこにいるのかもわからないまま歩いていると、
バイク事故で動けなくなっている老婆を発見。
荷台に老婆を乗せ、老婆の自宅まで送る。
行き場のない彼は、老婆の「ゆっくりしていけ」の言葉のまま、
老婆の家に居候するはめに。

老婆の家は、宮崎県に現存する椎葉村(しいばむら)
にあるという設定。
市街地から遠く、住んでいるのはお年寄りばかりという環境。
しかし、誰ともかかわらず、自暴自棄な生活を送っていた
彼にとって、手作りの田舎料理は新鮮で、
何かと声をかけ、世話をしてくれる地域住民も
最初はうざったく思ったが、次第に心を開いていく。

ただ、犯罪を繰り返して逃げ回っている身であり、
その村を出て行こうと考えるが、
地域に溶け込んでいくにつれて、出て行きにくくなる。

老婆のやさしさ、地域住民の温かさ、
それに触れて変わっていく若者。
文章から山の匂いがしてくるような描写も相まって、
非常に清々しいストーリーだ。
2017年には映画化もされたようで、
DVDでもぜひ見てみたい。

しゃぼん玉のように消えてなくなり、
そこにしゃぼん玉があったことも忘れられるような、
そんな人生の終わり方はある意味理想でもある。
変なものや厄介なものを残して死んでしまうのだけは
避けたいと。
それならむしろ、まるごと消えてしまえたらいいだろうなと。
しかし、それが一番難しい。

スポンサーサイト



















管理者にだけ表示を許可する



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2018 トゥナイト今夜もRock Me Baby, All rights reserved.