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今回は毎年恒例の
私が選ぶ「2017・ブック・オブ・ザ・イヤー」。
私が2017年中に読んだ小説等の中から、
特に心に残った5作品をピックアップしたものである。

では、早速どうぞ。

■東山彰良「僕が殺した人と僕を殺した人」(2017年)

    2017_僕が殺した人

1984年の台湾。
混沌の中で日々を駆け抜ける13歳の少年4人。
ともに遊び、ケンカし、助け合い、やがて歯車が狂っていく様を、
温度感が伝わるほど活き活きと描いている。

彼らは2015年に再会する。
風貌も、考え方も、立場もまるで変わっていた。
会わなかった30年間に何があったのか、
それはミステリアスでもあり、切なくもあり、
読み手の想像を広げる世界観がある。

筆者の文章にはロック的な疾走感がある。
ぶっ飛び、壊れていつつも、まとまりがあり、
まるで音楽を楽しむように読める感覚がある。
映像は浮かぶが、映像にしたってつまらないと思う。
文章だからこそ、このグルーヴが生まれるのだろう。
2017年で一冊だけ選べと言われたらこの作品だ。

■中山七里「追憶の夜想曲」(2013年)

    2017_追憶の夜想曲

検事と弁護士との法廷対決もの。
この弁護士は、高額の報酬を請求しつつも無類の強さを誇り、
まるで社交性がなく無愛想な嫌われ者的な存在。

そんな彼がこの作品において担当するのは、
地味な主婦が起こした夫殺害事件。
依頼を受けたのではなく、自ら弁護をさせてほしいと申し出た。
金銭的なメリットも宣伝効果もない事案にもかかわらず、
なぜ申し出たのか。

重厚感のある文章に引っ張られていく。
言葉のチョイスが的確で、たたみかけるように重ねていく。
読書してる感をじっくりと味わえる。
ストーリー的にも最後まで楽しませてくれる。

■桐野夏生「夜の谷を行く」(2017年)

    2017_夜の谷

1971年から1972年にかけて起こった
連合赤軍の仲間同士によるリンチ殺人。
それに補助的な立場で関わった女性の現在を描いたフィクション。

彼女は、あさま山荘事件の前に脱走し、逮捕され、5年間服役。
それから約40年間、独り身で静かに暮らしてきたが、
連合赤軍最高幹部だった永田洋子死刑囚の獄中死を
きっかけとして、かつての同士などから連絡が来るようになり
心は穏やかではなくなっていく。

主人公のあっけらかんとしたキャラや、
昔の同士との再会におけるぎくしゃく感の描写がとにかく巧い。
連合赤軍内部の軋轢や壮絶さとともに、
その中枢から少しはずれたポジションにいたメンバーの有り様を
克明に描いている。引き込まれた。

■新堂冬樹「血」(2017年)

    2017_血

15歳の女子高生が、両親をはじめ、悪事をはたらく親戚を
次から次へと殺害していくストーリー。
ただ世間的には、事件や事故で死んだことになっている。
なのでインターネットの世界では、彼女に対する同情や心配の
コメントが多く寄せられる。
しかしやがて「怪しい」とのコメントも増えてくる。

ノンストップ感覚でページをめくらされた。
2017年に出会った作品の中で最も早く読み終えた。
文章表現において特に何かを感じたわけではない。
展開上、都合が良すぎるところもある。
しかしそんなことはどうでもよく、
何がゴールで、どこか着地するのかを知りたくて、
ただただ読まされた。

■遠田潤子「雪の鉄樹」(2014年)

    2017_雪の鉄樹

とにかく主人公(30過ぎの独身男・庭師)の壊れ方がすごい。
真面目な性格で、仕事も丁寧だが、
関係している人にトラブルが起こると、
自分のせいだと思い込むなど加害者意識が異常だったり、
食べ終わった食器をそのまま灰皿として使用することが
なぜ悪いことなのかと苦悩したりと、かなりぶっ飛んでいる。

主人公は、償いだと言って、10年以上
ある家族の面倒をみている。
その家族からは、いいように利用されていると知りつつ
ひたすら尽くす。

次第に
償い続ける理由が明らかになっていくのだが、
やりきれないくらい気の毒で、と同時に、
どんだけお人好しなの?、と思う。
しかし、話の運びが巧みで、迫力があり、すっかり引き込まれた。

筆者の遠田さんの作品は2017年まで読んだことがなかった。
3冊読んだが、どれも読み応えがあり、
いずれも主人公が愚かなほどに悲惨だ。
近いうちにメジャーな賞が巡ってくるのではないかと思う。

                    ◆

ちなみに、上記の5作品には入らなかったが、
最後まで悩んだのは、
垣谷美雨「嫁をやめる日」と早見和真「イノセントデイズ」だ。

以前からある傾向だが、映像化を想定して、
あるいは映像化してほしくて書かれている小説が少なくない。
私としては、映像化したってつまらない、文章だからこそ面白い、
というような作品を欲しているのだが。

映像作品を先に見てからだと、
映像や役者のイメージがつきすぎて、
純粋に読書を楽しむことができない。
本の表紙や帯に、映像化された際の役者の写真があるのも同様だ。
その方が売れるんだろう。
けれど、げんなりする。
映像ありきだと想像力が奪われる。
想像力を奪うのはほんとに大きな罪だ。
世の中の楽しみのほとんどは想像力で造られているのだから。
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