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岩見沢、2017年11月30日。
一日中、雪が降っていた。
20171130_01.jpg

帯広なら1シーズンに3回くらいしかない大雪。
岩見沢は月に5、6回くらいあるらしい。

それがどうした。
どうもしない。
ひたすら雪が降る夜は、
自宅で静かにだらだらと飲酒をするか、
中途半端に酔ってだらだらと読書するのがいい。

というわけで、今回はブックレヴュー。
 
                         ◆

■垣谷美雨「ニュータウンは黄昏れて」(2015年)
  ニュータウン
バブル期に交通の便が悪い郊外にマンションを購入。
当時はマンション価格が異常に高騰し、ここしか購入できなかった
今では建物は老朽化し、マンション住民も高齢化。
未だに残る多額のローン、夫は窓際に追いやられ、妻はパートに忙しい。

妻は当番制によりマンションの理事会のメンバーになる。
理事会はマンションの建て替え問題で毎回もめる。
さらに、高齢者揃い、かつクセの強いメンバーにストレス倍増。
一方、娘は資産家の息子と知り合い、結婚へと向かうが、
こちらも問題発生。

劇的な展開があるわけではなく、
常に「行き詰まり感」と「もやっと感」が漂うが、
すっきりとした筆致で、話の転がし方が上手く読み飽きない。
ちょっとミステリなところも面白くさせている。
そしてマンションを買う気が失せます。

■本城雅人「ミッドナイトジャーナル」(2016年)
  
ミッドナイトジャーナ
児童連続誘拐事件を取材する新聞記者の話。
新聞記者モノの小説を読むたびに思うのが、
新聞の何面のどの場所に掲載するのかで、
内部的な戦いが恐ろしく激しいこと。
私は全く気にしないのだが。

1面に載った「ふ~ん」とか、「そうなんだ」という記事より、
4面に載った「まじか!」、「そうなの?」という記事に注目する。
また、何面か、よりも、見出しの大きさに反応するし、
小さくもピリッとしたのを探したりもする。

新聞記者に限ったことではないが、
職場内部の面子と外部の受け止めは相当の差がある。
それをわかって上で、内部の者同士で競うのか。
それが社会なのか。

小説してはなかなか面白い。
登場人物の棲み分けが上手で、展開に停滞がない。
主人公をあまり正義の存在として描いていないところも良い。
緊張感を保ったまま、エンディングまでぐいぐい引っ張っていく。

■伊岡瞬「明日の雨は。」(2010年)
  明日の雨は。
小学校で臨時の音楽教諭として働く23歳の男。
音大での専門はピアノだったがロックが好きで、
物語の中でも随所にロックミュージックを聴く場面がある。

彼は学校内で起こる様々な問題に巻き込まれつつ、
一部の教諭から疎ましがられ、しかし応援する教諭もいて、
児童には人気があり、まさにテレビドラマのような設定だ。

なので新鮮味は薄く、文章的な妙味もあまり感じなかったが、
同僚の若手女性教諭をいい具合に愛らしく描いているし、
エンディングの卒業生からの手紙は微笑ましく、いじらしく、
甘酸っぱく、いい気持ちになれた。

■角田光代「坂の途中の家」(2016年)
  
坂の途中
乳幼児虐待事件の裁判員裁判の補充裁判官となった主婦の話。
被告の女性を自分に照らし合わせ、感情移入していくストーリー。

しかし私が読み進む上で軸になったのは、
夫の「補充裁判官なのにそんなに真剣にならなくても」という
小馬鹿にしたような言動や、姑の見下したような態度。
なんで言われっぱなしなの?とイライラしながら読んだが、
裁判の進捗よりも、夫や姑とのやりとりの方が読み応えがあった。

裁判の方は、同じような状況を繰り返しているような場面が多く、
間延び感があったが、
角田さんの文章は地に足がついていて、非常に安定感がある。
変な隙間や窮屈感がなく、文章が上手な人の文章だと感心する。
なので読書的満足感はある。
ただ、ストーリー的にはもやもやな結末で、
読み終えたとき、ごちそうさまでした、という気持ちにならなかった。

歌野晶午「ディレクターズ・カット」(2017年)
  
ディレクターズ
テレビ局の下請けの番組制作会社のディレクター。
彼は担当するワイドショー番組の視聴率アップのため、
知り合いの若者にお金を払い、やらせで事件を起こさせ、
いち早く報道。そのシリーズが人気になっていく。

そんな仕込み事件を繰り返しているうち、
やらせを請け負っていた若者がほんとの傷害事件に巻き込まれた。
ディレクターはそれをも演出しようと、どんどん暴走していく。

まともな人間が一人も登場しない。
話し言葉、行動、考え方、そうしたすべてに嫌悪感をおぼえる。
ところが、
どういうオチが準備されているのかと気になって、
どんどん読まされてしまう。
終盤のどんでん返しはやや強引ではあるが、
悪の路線で押し切ったことで、輪郭のあるエンディングとなっている。

                         ◆
今年もあと1か月。
早く年末が来ないかと、そして休みたいと思っている方は
少なくないだろう。
わかる。よくわかる。

ただ、年が明けたら全てがリセットされるわけではない、
年末までの嫌なことは年明けも継続する。

それならやめてしまえばいいのだが、
それだと生活ができなくなる。
やりたくないことをやっているのに、
やりたくないことをやめていいと言われるのを恐れている。
貴乃花親方のマフラーを見ながら、そんなことを思う。
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