ADMIN TITLE LIST
4月に岩見沢に移り住んでから、
一度もブックレヴューをしていなかった。
かといって、読書をしていなかったわけではない。
月に3、4冊のペースで何がしかの作品は読んでいた。

岩見沢市の図書館にも何度か足を運んだ。
私レベルの読者にとっては不満のない程度に蔵書があり、
大変重宝している。

面白い作品に出会うと、自宅での生活が落ち着く。
就寝前、静かに集中して読書を楽しめる時間があると、
健全な夜と安定した朝を迎えられる。
或る意味、読書は私にとって、いい薬なのかもしれない。

それでは岩見沢に住んでから、楽しめた5作品を。

■米澤穂信「真実の10メートル手前」(2015年)
   
真実の10メートル
若手女性フリージャーナリストの取材物語。
彼女の毅然とした取材ぶりを、
淡々と、それでいて深みのある筆致で描いており、
締まりがあって、ぐいぐいと引き寄せられていく

彼女の推理が的確すぎて、そんなにうまくいくか、
と思うところはあるが、
事件の裏に隠された人間模様を丁寧に描いており、
落ち着いて、ゆっくりと咀嚼するように読めた。

映像化されそうなキレの良さとキャッチ―さのある作品だが、
映像化されると、なんとなく安っぽくなるし、
俳優のイメージがついてしまい、想像を破壊する。
映像化されず、小説でシリーズ化していただとことを願う。

■住野よる「よるのばけもの」(2016年)
   
よるのばけもの
夜になると全身を黒い粒で覆われた巨大な化け物に
変身してしまう男子中学生の話。
その姿がイメージしにくく、また、化け物になる理由も触れられず、
序盤は雲をつかむような気持ちで読み進めることになる。

ある夜、化け物の姿で通っている中学校へ行くと、
普段いじめを受けている同級生の女子に会う。
そこから始まる二人の交流と、中学生ならではの嫌な派閥関係は、
苦しく切ない内容だが読ませてくれる。

■木皿泉「昨夜のカレー、明日のパン」(2013年)
   
昨夜のカレー
7年前に夫は25歳で亡くなった。
残された妻は、その後もずっと夫の父親と暮らしている。
妻には現在恋人がいる。義父にも紹介している。
なのに義父との距離感に居心地の良さを感じ、
それを失いたくないと思い、再婚には前向きではない。

妻と義父と亡くなった夫。
その三人のエピソードのほか、三人にまつわる人々も多く登場する。
「それでいいんだよ」的な、肩の力が抜けたほんわかした内容。
現実はこうはいかないよなぁ、と思いつつも、
丁寧な心理描写と流れるような筆致で、
温かみのある作品に仕上げている。

■薬丸岳「ガーディアン」(2017年)
   
ガーディアン
その中学校にはスマートフォンでつながった生徒達による
「ガーディアン」という組織がある。教師も親も知らない。
「ガーディアン」は、学校の平和をおびやかす生徒を
あらゆる方法で制裁、排除し、学校の規律を保っていく。

しかし、あまりに平和なことに逆に違和感をおぼえた新任教師が
がーディアンの存在を知り、実態を解明していく。
前半は登場人物が多すぎてわけがわからないが、
中学生の闇の部分にどんどん引き込まれていく。
先が知りたくて、夜の読書タイムが待ち遠しくなった。

■柳美里「人生にはやらなくていいことがある」(2016年)
   
人生にはやらなくても
タイトルどおりの内容というよりは、
著者の自叙伝的なテイストで、性格や人生観が色濃く出ている。

在日韓国人であること、貧乏生活、高校を1年で中退し、
東京キッドブラザーズに入団、その後劇作家に転身、
東日本大震災後に鎌倉から南相馬市に転居等々、
激動の人生が綴られているわけだが、とにかくぶっ飛んでいる。
非凡な方だなと。勇気の塊だなと。

平凡な私などは、こんな考えはできないし、
こんな覚悟はできないなと感じるところが多かったが、
人は他者を取り込んで成長する、という話は大変共感した。
他者との関わりの中で、影響を受けたり、真似をしたり、
あるいは受け入れなかったりして自分は作られていく。

出会えるのか、出会えないのか。
出会ったとして、それを活かせるのか、活かせないのか。
自分だけの小さな世界に閉じこもっていては、
鈍化するし、退化していくのかもしれない。
自分は他者でできている。
そういうことなんだな。
スポンサーサイト



















管理者にだけ表示を許可する



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 トゥナイト今夜もRock Me Baby, All rights reserved.