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国道5号線を小樽から余市に向かう。
オタモイ、塩谷、そして桃内まで行くと、
そこからは海辺のワインディングロードとトンネルが交互に現れる。

それが終わると、蘭島(らんしま)、余市となるのだが、
ひとつ忘れてるぜ。
蘭島の手前に、国道からはずれた小さな集落があるじゃないか。
そう、忍路(おしょろ)だ。
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国道から海側に岬のように突きだしたところにある、
ひなびた寂しげな漁村テイストのエリアだ。
こういう集落、嫌いじゃない。

そこに大人気のパン屋がある。
店名は「エグ・ヴィヴ」
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丘の上というよりは、安全な崖の上にある感じ。
塩気を多く含んだ強い海風をまともに受けるものと思われ、
自動車の消耗が早まるだろうと推測される場所だ。

なにゆえ商店さえない狭間の小さな集落にパン屋があるのか。
しかも大衆的なパンではなく、
ヨーロピアン系のハードなパンばかりの品揃え。

確かにこうしたスペシャル系なパンは、
市街地や住宅地から離れた、
いわば不便な場所に店を出している例が少なくない。
羊蹄山エリアにはそういうパン屋が複数あり、
特に真狩村の「ブランジェリージン」やニセコ町の「奧土農場」などの
秘境感には驚く。
十勝でも例えば芽室町の「カントリーブラン」や新得町の「ビオラ」など、
なぜこんな奥地に?お客さん来るの?という場所にあったりする。
普段使いというより特別感あふれるパンだからこそ成立するのかもしれない。
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それにしても、店はまともに昭和50年代的な民家。
たまたまここを通っても、パン屋だとは思わないだろう。
というか、地元の人でなければ、たまたまここを通ることなどない。
忍路のメインストリートからさらに枝分かれした道なのだから。
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衰退していく北の漁村。
そのはずれにひっそりとある昭和民家のパン屋。
なのに店内はアンティークでモダン。
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オープン展示だが、オーダーは口頭制。
お客さんにパンは触れさせないスタイルだ。

写真には収められていないが店はお客さんであふれていた。
訪問したのは11月の土曜日の午前10時頃だったが、
店の外店の入口パンのディスプレイ箇所レジまで
行列になっていた。

女性客が圧倒的に多いが、年齢層は幅広く、
おそらく職業や出身地や体質も様々だろう。
マルサの女、極道の妻たち、時をかける少女、科捜研の女。
色々な女性たちが、土曜日の午前中に忍路まで足を運んでいるのだ。

前置きが長くなった。
パンを見てみよう。

〇ボストック(250円+税)
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 ボストックはフランスの菓子パンらしい。
 大きめのパンにアーモンドや砂糖がふんだんにのっている。
 甘みのチューニング感が良い。
 高級感と親しみのバランスが最もとれるポイントの甘さだ。
 ふちは固いが生地はしっとり。
 本物だなあと思わせる食感。
 飽きのこない美味しさ。
 この価格でも十分に納得。

 これはいい。

〇クロワッサン(210円+税)
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 しっかりとした作りで、まわりのサクサク感と
 中のしっとり感のバランスが素晴らしい。
 コース料理においてこのパンが使われていたら
 メインディッシュよりも存在感があるかもしれない。
 ただ価格の割にボリューム不足。
 やむを得ないことだが、これをどう捉えるかだ。

〇パン・オ・ショコラ(250円+税)
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 基本的にはクロワッサンに近い。
 チョコレートが少量入っている。
 もちろん美味しい。
 ただ、もうひと押し何かが欲しい気が。

                      ◆

お客さんは総じて購入量が多い。
滅多に来られないからなのだろう。
普通に2千円台、3千円台レベルで買っていく人ばかりだ。
タクシーで乗りつけた人もいたし、
店を出て国道にあるバス停まで歩いている人も複数いた。

まちがいなく質の高いパンだ。
遠くから訪れたり、大量に買っていく気持ちもよくわかる。
ただ、庶民派ジャパニーズパンに慣れ親しんだ人にとっては
何かが違うと感じるかも。
それは良いとか悪いとかではなく、趣味や価値観の問題としてだ。

私はパンやお菓子類を買ったときは、
レシートをもらうようにしている。
何を買い、いくらしたのかを後で確認したいからだ。
こちらの店ではレシートを発行していないと言われた。
「そうですか、レシートはないんですか…」と残念がったら、
「商品と金額なら書きますけど」と言われ、渡されたのがコレ。
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どう反応していいかわからなかった。
とりあえず「ありがとうございます」とは言ったが、
そう言いながら、「読めないんですけど」と心が発信していた。
どうなんすかねえ。
私は面倒くさい客だったんでしょうね。
文字は読み取れないが、姿勢やポリシーは読み取れるような気がした。

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忍路はいわば古びた漁村だが、このお店があることで、
ほんの一瞬だが、地中海にある閑静な港町に思える。
浜辺に行ったら、ジュディ・オングが魅せられているのではないかと。
しかし忍路の現実は、「あれからニシンはどこへいったやら」と
北原ミレイが番屋から海を見ている雰囲気だ。
エレジーだよなぁ。
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