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今回は、私が選ぶ「2013・ブック・オブ・ザ・イヤー」。
2013年中に読んだ小説等の中から、
特に印象深かった作品を紹介するものである。

「新作部門」は、2012年~2013年に刊行された作品、
「旧作部門」は、2011年以前に刊行された作品が対象。
今回は、漫画部門まで設けてみた。

それでは、どうぞ。

【新作部門】
■第1位 高田郁「ふるさと銀河線」(2013年)
2013_ふるさと銀河線
地方の電車と、それにまつわる普通の人達の小さな日常を描いた
9つの短編が収められている。
そのうち、「ふるさと銀河線」を描いたのは2編。
無駄がなく、淡々と流れるような文章に引き寄せられるとともに、
周辺を描くことによって中心にあるものを浮かび上がらせる
巧みな筆致にため息がこぼれた。

どの作品も切なく哀しい。
その中に小さな希望が見える作品もある。
15年前に不慮の事故で亡くなった息子が、
旅先から、「良いところだ」と葉書を送ってきた町、陸別。
そこを訪れる父と母の心情を描いた「返信」。
それと、アルツハイマーになった母とその息子の物語、
「晩夏光(ばんかこう)」は特に胸が締めつけられた。
終盤の、たった一行で泣かされた。
10代後半の人からお年寄りまで、世代に関係なく親しめる作品だ。

■第2位 桜木紫乃「起終点駅」(2012年)
2013_起終点駅
北海道を舞台にした6つの短編集。

これほど北海道の地方都市を、風景描写だけではなく、
音や匂いまでも感じられるように描けていることがすごい。
天塩町に一人暮らしをしている老婆の短編は、
2013年に読んだ単独作品の中で最も心が揺さぶられた。

■第3位 葉真中顕「ロスト・ケア」(2013年)
      2013_ロスト・ケア
重度の介護が必要とされる老人を40人以上も殺害した男と、

介護に追い詰められていた被害家族を取り巻く物語。
介護の問題はきれいごとでは片付けられないことに、
ぐっと踏み込んだ内容であり、複雑な思いで読んだ。
ミステリ要素も含まれており、その点も功を奏した。

◆次点 山田詠美
  「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」(
2013年)
      2013_明日死ぬかも
長男の不慮の事故死をきっかけに崩壊した家庭が、

再構築されていく過程を描いた物語。
重苦しく、すさんだ場面が多いのだが、繊細な心の内側を
丁寧に整然と描いているので、美しささえ感じてしまう。
実に成熟した肌触りの優しい大人の文章に感動。

【旧作部門】
旧作部門は順位をつけずに3作品を。

■伊坂幸太郎「砂漠」(2005年)
      2013_砂漠
仙台の大学生男女5人の青春物語。

彼らそれぞれの持つマニアックな個性を、コミカルかつ生き生きと
描いており、読んでいて愛おしくなった。
筆者の持つ独特のユーモア、反骨心、スタイリッシュさが
いい具合に融合し、ああ面白かったなあ、と素直に思えた。

■船戸与一「虹の谷の五月」(2000年)
2013_虹の谷の五月
時は1990年代後半、フィリピンの田舎の村の少年の物語。

格差と貧困の中で不正が横行する地域で、少年は懸命に生き抜いていく。
濃密で、常に熱を持っている感じのする圧倒的な筆力。
小さな村の小さな出来事なのにスケールが大きく、
小説だからこその魅力を存分に味わえる傑作だった。

■柳広司「ジョーカーゲーム」(2008年)
      2013_ジョーカーゲーム
昭和10年代、陸軍に設置されたスパイ養成機関を描いた短編集。

徹底的にたたき込まれるスパイとしての行動規範の凄まじさや、
裏の裏をかくような展開の面白さに、ぐっと引き込まれる。
難しさや面倒臭さはなく、贅肉をそぎ落としたようにストイック。
クセになりそうな独特の雰囲気を楽しめた。

【漫画部門】
■渋谷直角
  「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」
      2013_カフェでよくかかっているJ-POP
漫画本を買ったのは中学生か高校生以来。

総合文芸誌「ダ・ヴィンチ」にて、この作品を紹介していたのだが、
タイトルだけでやられた。
読みたい欲求を抑えられなくなった。

最初の3、4ページではまってしまった。
痛い言動に笑えるとともに、ちょっと切なくなる。
誰しも持ち合わせている一面を誇大かつファニーに表現した感じで、
何気なく読み始めたら、時間も忘れて一気に読み終えてしまった。

以上です。
ありがとう、いい薬です。
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