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2月8日金曜日、新さっぽろのサンピアザ劇場に
芝居を見に行ってきた。
新さっぽろまでは地下鉄で行こうと考えていたが、
職場で近くに座っているJR通勤者から、
札幌駅から新さっぽろに行くならばJRで行った方が早いし安い、
とのアドバイスをもらったので、
たまにJRに乗るのもいいかと思いJR札幌駅へ。

ところが、電車が来ない。
発車予定時刻の直前になって、
「吹雪で電車が遅れている」とアナウンスが流れる。
結局15分ほど遅れて電車は走り出した。
冬にJRに乗るのは、ちょっとした賭けだ。

午後6時30分くらいだったこともあり、車内は激しく混んでいた。
寒い中しばらく待たされ、しかも満員。
札幌という地方都市ではあるが、
JR
で通勤するのは私にとってはかなり難儀なことだと思った。

しかし、毎日通勤する人達は慣れてしまうのだろう。
「慣れる」ことは、「忘れる」ことと同様、
生きていく上で極めて重要な能力だ。
おそらくや、ストレスから解放されるために最も必要とされる能力は
「慣れる」ことと「忘れる」ことではないのか。

               ◆

電車の遅れはあったものの、無事会場に到着。
サンピアザ劇場はキャパ約250の小さなスペース。
芝居を見るにはこのくらいがベストだ。

見に行ったのは、札幌の劇団「千年王國」(せんねんおうこく)の
「狼王ロボ」(おおかみおうロボ)。
1月19日から2月22日まで、
「札幌演劇シーズン2013-冬」と題し、
過去に札幌で公演されて好評だった5作品を、
再度公演するイベントである。

狼王ロボ 

5作品のうちどれを見に行こうか決めあぐねながら、
札幌演劇シーズンのホームページを見ていたら、
「狼王ロボ」は土日祝日の公演が全て完売、
チケットが残っているのは2月8日(金)だけだと知った。
このことで逆に興味が高まった。
それほど人気がある作品ならば是非見てみたい。
動物、肉体、派手な衣装という私が苦手な分野の芝居であり、
平日なので万が一行けなくなるかもしれないというリスクはあったが、
人気の高さに引きずられてチケットを購入した。
いつもは長い行列ができているラーメン屋が、
その日だけは行列がなかったので、
それほどラーメンは欲していなかったが入店したようなものだ。

そんな失礼かつ不純な動機で見に行くことにしたのだが、
ほんとうに素晴らしい芝居だった。
私は、毎年数回コンスタントに芝居を見に行くような本物ではなく、
気まぐれに年に2、3回見に行くような微妙な芝居好きであり、
履歴書の趣味欄に、「音楽鑑賞」とは書けても、
「芝居鑑賞」とは書けるほどのキャリアもハートもない。
そんな私が言うのもおこがましいが、
これまでに見た芝居の中で最も感動したといえる。

この芝居の原作は「シートン動物記」。
舞台は1800年代後半のアメリカの広大な平原地帯。
家畜を食い荒らすオオカミと、オオカミ退治を依頼された
シートン博士との壮絶な戦いを描いている。

まず心を持っていかれたのは、
狼役4人と動物(牛・犬など)役2人の身のこなし。
強さとしなやかさ、そして躍動感があふれる身のこなしだった。
ばらばらに動いているのにまとまりがあり、
単に激しいのではなく、細部の動きも行き届いており、
よく計算され、かつ鍛錬されたものだった。

なんというか、狼や動物の動きを良質のアニメにし、
それを実写化したような雰囲気があり、
ここは劇場の舞台ではなく、平原であり、荒野であり、谷であるかのような
心地よい錯覚をおぼえさせてくれた。
特に動物役の坂本祐以(さかもと・ゆい)さんの動きは素晴らしかった。
キレがありつつ、滑らかで柔らかく、
背中から膝の裏側にかけての身体能力の高さを感じた。
もっともっと活躍の場を広げていける才能を持った方だと思う。

芝居中のバック・ミュージックが生演奏であることも実に良かった。
南米の民族音楽のような郷愁を誘う演奏は、
人間をより動物らしく見せるとともに、
実体験はないのに、動物と人間が共生していた時代を
懐かしく思わせるような力があった。

もちろん、人間役の皆さんのセリフ回しも間合いも素晴らしく、
一人で複数の役を演じているにもかかわらず、
違和感や混乱を全く感じさせなかったのはすごい。
展開も淀みがなく、心を引っ張られたままラストまで駆け抜けた。
大自然の厳しさ、狼の怖さと頭の良さ、そして仲間を愛しく思う心。
子どもから大人まで楽しめる作品だと思う。

狼が疾走し、動物たちが野を駆け回るエンディングでは目が潤んだ。
それは、こんなに素晴らしい作品を作りあげ、
演じきったことに対する賞賛と、
瑞々しい感性のようなものを呼び起こされたような感動によるものだ。
いつかまたこの作品を公演してほしいと思う。

公演後、酒でも飲みながら、誰かとこの作品について
語り合いたくなった。
しかし私はひとりだった。
ひとりだからといって一匹狼というキャラでもない。
私は為す術もなく、まっすぐ帰宅した。
おお!神よ。
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テーマ:演劇・劇団 - ジャンル:学問・文化・芸術



















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