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午後5時ともなると、太陽はかなり傾き、
影が長くなるようになった。
夏が終わろうとしている。

今年の夏は、夕張を二度訪問した。
一度目は7月下旬にクロスバイクで行った。
夕張までは、北広島、長沼、由仁を経由する片道60数キロの道のり。
だらだらとマイペースで走っても4時間もあれば着くだろうと
気楽にスタート。

向かい風ながらも快晴で、
非常に気持ちのいいサイクリングだった、由仁までは。
由仁から夕張までは、何度か車で走ったことはあるものの、
あれを過ぎたらこれがあって、あそこで坂があって、というような
細かいことは記憶になく、
由仁からしばらく平坦な道を行き、そのうち長めの坂があって、
上り切ったところの短いトンネルを抜けたら夕張に着くという
イメージしかなかった。

ところが、その長い坂が始まるまでが予想外に長かった。
しかも、微妙にずっと上りになっており、歩道は狭くガタガタ。
また、時刻は午後1時近くになっていたが、
夕張に着いたら、「のんきや」でラーメンを、
より美味しく食べるために、あえて空腹の状態を作っていた。
これが失敗だった。
長い坂道が始まる前に、結構バテてしまった。
完全なエナジー切れだった。
エナジー確保をしようにも、もうそこに商店などはなく、
ただ前へ進むしかなかった。

その坂道は、思った以上に長かった。
とはいえ、傾斜は緩く、また、歩道は広く滑らかであり、
通常ならば決してクロスバイクで上られないことはない。
しかし、かなりバテバテで、車で通りすぎる人に、
「緩い坂なのに押して歩いてる」と思われてもかまわないほど、
プライドは皆無で、だらだらとクロスバイクを押して歩いて登った。

坂を上りきるとトンネルがあり、
トンネルを出てすぐのところにあるコンビニ「スパー」で、
メロンソーダ500mlを買い、店を出た途端、一気飲みをした。
夢中で飲んだ。
全身にエナジーが注入されていくような気がした。

ただ残念なことに、メロンソーダ一気飲みにより、
一時的ではあろうが空腹が満たされてしまい、
「のんきや」でラーメンを食べる意欲が下降してしまった。
それでも結局はラーメンを食べ、
やっぱりうまかったぜ、と思うのだろうと思いつつ、「のんきや」へ。
2011のんきや
ところが休みだった。
日曜日が定休だったとは。
失意のダウンタウンを抜け、吉野家さんで「カレーそば」を食べた。
吉野家/カレーそば1 吉野家/カレーそば2
夕張駅の辺りで、生のバンド演奏が聴こえたので、
その音を追っていくと、出所はマウントレースイ・スキー場だった。
野外でアマチュアバンドのライブが行われていた。
それを30分ほど見学。
夕張を後にする。

帰りは、長沼でアイスクリーム休憩をしたり、
北広島で寄り道をしながらも、3時間20分で帰宅。
ちなみに行きは4時間を要した。

             ◆

 
二度目の夕張訪問は、夕張岳登山。
一週間ほど前だ。
登山口がわからず、何度も道のわきに車を止めて地図を見て確認していたら、
自宅から登山口まで90kmなのにもかかわらず、2時間40分を要した。

登山口に着くと、車は10台くらいあった。
登山者名簿を見ると、15人くらいの名前が書かれていた。
ただ、登山者名簿には、過去2か月くらいのデータが記されていたのだが、
「熊のフンを見た」というメモがいくつかあり、
なかには熊自体を目撃したというのもあった。
しかし、既に15人程度が入山していたので、
なんとなく安心した気持ちで登り始めた。
2011夕張岳2  
非常に楽しめる登山コースである。
前半は、道は広めで明るく、そこを湧水が流れ、清々しい。
中盤からは視界が開けて、周辺の山々を一望できるとともに、
大きな岩がいくつもそびえ立ち、また、湿原が広がり、
ほんとに素晴らしい景色である。

その時である。
熊のフンに出会ってしまった。
緑っぽい色をして、まだ柔らかそうだった。
つまり、フレッシュで、生まれたてのようだった。
フレッシュな生まれたての朝なら爽やかだが、
フレッシュな生まれたてのフンは恐怖しかない。

それでも、先に入山している人がいるのだからと前へ進む。
しかし、下山してくる人とすれ違っていない。
名簿にあった入山時刻からすると、もうすれ違う人がいてもいいはずだ。
なのに、いない。
これは、もしかして、熊との間で何かあったのではと、また恐怖が膨らむ。

疑心暗鬼になりながらも前へ進む。
その直後、一人目の下山者とすれ違った。
それ以降、続々と下山者とすれ違う。
皆と挨拶を交わすのだが、そのうちの一人が、
「頂上の近くに熊のフンがありましたよ」と情報をくれた。
また緊張が高まる。
2011夕張岳1
頂上が見える地点まで来た。
おそらく、あと15分くらいで到達するだろう地点である。
そこまで、「頂上の近くに熊のフン」が頭から離れず、
いつ目撃するのか、そればかり気になっていた。
もうひとつ不安があった。
私よりも先に入山した人と全員すれ違ってしまったのではないか、
ということだ。
つまり、ここから先は自分一人なのではないかという不安だった。

そんな不安を抱えつつ、びびりながら登っていると、
一人の下山者に会った。
「頂上の近くに大量の熊のフンがあったんで、
頂上まで行ってすぐに降りてきた」とのこと。
頂上には他に誰もいないのかと聞くと、誰もいないとのこと。

いよいよ一人になってしまった。
この夕張岳を独り占めではない。
夕張岳に独りぼっちになってしまった。
いや、正確には、私と熊だけになってしまった。

とりあえず、頂上までもうすぐなので向かう。
確かに大量のフンがあった。
このフンもまたフレッシュだった。
トゥディのものではないかと思えるほどソフトで瑞々しかった。
ほんとに恐かった。

にもかかわらず、足は頂上へ向かってしまった。
頂上に着くなり、そそくさと写真を何枚か撮って、すぐに下山を開始。
頂上で昼食をとる予定だったが、そんなプランは破棄だ。
怖くてそれどころではない。
達成感や感激など皆無だった。
2011夕張岳3
熊に出会ってしまった時の様々なシミュレーションもした。
しかし、どんなシミュレーションをしても、
立ちすくんで何もできないという結末ばかりが想像された。
マイナス思考しかない。
最悪の事態だけを想定しながら、ひたすら歩く。
恐怖で空腹も忘れた。

素晴らしい景色があり、コースも変化に富んで楽しめるはずなのに、
フンを発見以来、全く楽しめなかった。
しかし、無事下山できたのだから、すべてはオーライだ。
2011夕張岳4
その日、私より後に登り始めた人はいなかった。
下山すると、10台ほどあった車は一台もなかった。
途中からは、近くに熊がいる環境で、独りぼっちだったのだ。
何事もなくて良かった。

私にはまだまだやりたいことがある。
それを熊はわからないし、
どんな方策を用い、努力をしても、熊はわかってくれないだろう。
だから、わかってくれとは言わないし、
そんなに俺が悪いのかとも言わない。

なお、熊のフンの写真は撮らなかった。
なぜなら、その直後、私が熊に命を奪われた場合、
私が最後に残した写真が熊のフンになるのは避けたかったからだ。
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