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まずは、ライブが目前のため、今回もお知らせを。

日時:2011716日(土)
場所:ホール・スピリチュアル・ラウンジ
     (札幌市中央区南2条西4丁目 ラージカントリービルB1F)
出演:18:30 THE HEART OF STONE
        19:05 JIMONO
        19:40
/
        20:15
アイロニー主義
        20:50 BLACK HAIR
        21:25
バトルエンジン
料金 1000


我々、THE HEART OF STONEの出番は1番目です。
よろしくお願いします。

今回はブックレヴュー。

■西村賢太「暗渠の宿」(2006年)
西村賢太/暗渠の宿
肉体労働で生活費を稼ぎ、金の目途が立てば風俗通い。
やりきれなくなれば酒におぼれ、暴力に走る。
また、大正期の作家、藤澤清造に異常なまでにのめり込む。
そんな、どうしようもない中年男の話。

この作品は二編が収められ、いずれも主人公はこの男。
一作は、風俗嬢に入れ込み、お金を騙して取られる話。
もう一作は、同棲を始めた女の過去に嫉妬し、
何かにつけ女を責める話。

自分勝手で、思い込みが激しくて、心が弱くて、甘くて、
とにかく、だらしない男である。
もちろん魅力のある人物ではないし同情もない。
しかし、屈折ぶりや劣等感、酒や暴力に逃げ込む行動回路は、
現象としてわからなくはなかった。

物語は、そうなってほしくないという方向に転がり落ちていく。
その落ちていく際の心の動きや行動の順序など、
詳細ながらテンポよく描いている。
同棲相手に暴力をふるい、その後優しい気持ちになるところや、
同棲相手のラーメンの作り方に対してまで異常に怒り狂うところなど、
不快な気持ちになるのだが、よくこんな場面をイメージし、
書ききれたものだと圧倒された。

藤澤清造の墓標を部屋に持ちこみ、
それを保管するためのガラスケース購入に何十万もかけるところなど、
苦笑するしかない異常さや固執ぶりが随所にある。
文体が古風なところも、男の駄目さを際立たせ、
と同時にコミカルなものにしている。

■貴志祐介「ダークソーン」(2011年)
      貴志祐介/ダークゾーン
主人公は20代半ばの男性。
ふと気づくと、どういうわけか長崎県の端島(はしま)にいた。
そこには赤チームと青チームがあり、なぜか戦闘をすることに。
人間達は鳥獣などに姿を変え、ひたすら戦う。

なぜ、そういう状況が設定されていたのか全くわからない。
近年のバトルゲームのように派手に戦い、
あまりにバーチャルで、ほとんど入っていけなかった。
アニメを文章化したような作品だ。

テレビゲームを全くしない私にとっては、
終始もやの中で、何もつかめないような感覚で読んだ。
逆にゲーム好きには、たまらない描写の連続かも。

バトルシーンの合間に、現実世界のストーリーが挿入されている。
そちらの方が面白かった。
ただ、バトルとのつながりが希薄だった。
いずれにしても、なんだったのだろうと思う。
読み終えるのに二週間も要したのが悔やまれる。

■佐々木譲「北帰行」(2010年)
       佐々木譲/北帰行  
ロシア圏専門の旅行代理店を営む男が、
あるロシア人女性をアテンドすることになる。
この女性は、自分の妹を殺したヤクザに報復するため来日した。
その目的は達成するものの、すぐに舎弟のヤクザに追われるはめに。
そんないざこざに、旅行代理店の男も巻き込まれ、
挙句、男の家族にまで、悪の手が忍び寄る。

旅行代理店の男とロシア人女性は、
東京から新潟、さらには、稚内へと逃亡。
稚内は旅行代理店の男の故郷という設定である。
もっと稚内の場面や色みたいなものを出しても良かったかと。

ストーリーは、どこかにありそうで新鮮味はなく現実的でもないが、
明快であり、緊張感があり、文章に雑味がなく、
きっちりとリズムが作られているため、集中して読める。、
全体として面白い作品だと思った。

ただ、あっけなく殺害されるシーンがあったり、
意外にすんなりとパスワードがわかったりと、
もう少し「ため」というか、「じらし」が欲しい箇所がいくつかあった。

また、旅行代理店の男が、最後までアテンドする理由が弱い。
というか、わからない。
自分の家族がひどい目にあったのに、これでいいの?と、
何か救われない気持ちが残った。


■樋口明雄「ミッドナイト・ラン!」(2010年)
樋口明雄/ミッドナイト・ラン
インターネットで自殺をテーマにした掲示板。
そこで出会った自殺志願者5人が、練炭自殺をするため山の中へ。
いざ睡眠薬を飲もうとしたその時、
見知らぬ一人の女性が助けを求めて、車窓をたたく。
彼女は、どういうわけかヤクザに追われていた。

自殺志願者達は、わけがわからずも、彼女を車に乗せて逃げる。
街に戻り、彼女を車からおろし、5人でファミレスへ。
死のうとする寸前だった彼らはしらけてしまい、
どうしていいかわからない。

その時、ファミレスに警察がやって来る。
助けた彼女に対する誘拐と殺人未遂の罪で捕まえに来たのだった。
身に覚えのない罪を着せられてなるものかと、とりあえず逃げる。
さっきまで死のうとしていたのに、
逃げながら、様々な人に助けられ、応援され、
気がつけば必死で生きようとしていた。
そんな彼らの4日間の物語。

早い展開、場面設定の明確さ、整理された文章などにより、
非常に読みやすいし、面白い。
キャラクターの棲み分けも上手だし、
背後にある事件の様相もミステリアスである。
映像化しても、うまくいく作品ではないだろうか。
文章に余計なものがないというか、煩わしさがないのがいい。

ただ、脇を固めるキャラクターのせいなのか、
シリアスな内容なのに、全体的にコミカルで軽い感じがある。
意図的にそうしたのかもしれないが、賛否は分かれるかも。

作品の中盤からは、コミュニティFMの女性パーソナリティが、
警察とヤクザに追われている自殺志願者達をたまたま目撃したことで、
展開の要となっていく。
この女性のラジオ放送が、なんともいえず面白い。
都会的なクールさとノリノリの雰囲気があるのだが、
DJスタイルが古いのだ。
「どう、みんな。ディランの曲で元気になったかな」、
「今、お届けした曲は、○○××って曲。最高にクールな一発だよね」、
「ガンガン、みんなの希望に応えて、素敵な音楽を流すから、
 スタジオまでコンタクト、待ってるね」など、
どこかかゆくなるような感じがして、それが逆に面白い。
ただ、いまどきこの手の、ため口トークDJはいないだろう。
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