ADMIN TITLE LIST
週末が終わった。嗚呼。

今回はブック・レヴュー。
よろしくどうぞ。

■小杉健治「保身」(2011年)
小杉健治/保身
県警を退職する刑事の送別会が開かれた。
そこに出席したエリート管理官。
送別会が終わり、愛人の住むマンションに向かおうと外に出ると雨。
タクシー乗り場で待つも、長い行列。
業を煮やした彼は、居酒屋近くの警察署に止めておいた自家用車で、
愛人のもとへ向かう。その途中、人を轢いてしまう。
そして、そのまま逃げた。飲酒運転とひき逃げである。
県警幹部は、それを隠ぺいしようと策を講じる。

その飲酒運転とひき逃げの一部始終を目撃した男がいた。
その男は、殺人を犯し、逃げている途中だった。
男は、車種とナンバーを記憶し、誰なのかを調べる。
そして、犯人は県警のエリート管理官であることを知る。
やがて男は逮捕される。
ところが、轢き逃げの犯人を知っていると供述。
県警は男と取り引きをし、男は釈放される。

ぐいぐい引き込まれ、読み甲斐のある作品だった。
ひとつの悪を隠すために、別の悪を生んでいく過程が、
ちょうどいいスピードで描かれており、興味をそらさない。
内容はどろどろだが、文章は滑らかで、実に読みやすい。

残念だったのは、終盤、物語を終わらせるためなのか、
展開が一気に早くなり、やけにあっさりした感じがしたこと。
ひき逃げで亡くなった人の背景にあるもの、
退職した刑事の執念、県警の犯罪を追及する新聞記者など、
もっと掘り下げて、厚みのあるものにしていただきたかった。
やりきれなくなったり、泣けたり、熱くなったりする要素が多い
ストーリーだけに、なおさらそう思う。
ただ、それを含めても十分に面白い作品。


■木内一裕「キッド」(2010年)
木内一裕/キッド
木内一裕作品は、これまで三作読んだが、ハズレがなかった。
この作品もアタリだった。というか、一番面白かった。

主人公は20歳の男。
祖父から受け継いだビリヤード場を経営している。
ある日、近所のタバコ屋のお婆さんと孫の家で死体を発見する。
その死体は、お婆さんの息子で、
たまに帰って来ては暴れてお金を奪っていくひどい人間だった。

主人公は、お婆さんを救うため、死体遺棄を手助けしてしまう。
ところが、その死体を探している反社会的な組織が現れ、
男は追われる羽目になる。
組織との駆け引きの中で、事態は二転三転。
一度は山中に埋めた死体を掘り返したりするなど、
奇想天外な展開を見せる。
常にドキドキ感があり、中だるみをすることなく、
どんどん読めてしまう。

文学的な妙味には乏しいし、
20歳のぐーたら青年が、こんなに活躍できるのか?とか、
運の良さや、理由のない自信や、妙なポジティヴさなど、
リアリティにかける場面もあるが、
全編、映像が目に浮かぶ描写で、とにかく先が知りたくなる。

細かいことは色々あれど、ストーリーと展開の良さで楽しめる作品。
ただ、駆け抜けるような内容のせいか、あまり余韻が残らないというか。
それでも十分に楽しめた。だからそれでいい。
次作も大いに期待できる。

■津村記久子「ポトスライムの舟」(2009年)
津村記久子/ポトスライムの舟
主人公は、化粧品製造工場で働く20代後半の女性。
夜は友人のカフェでバイト、
工場が休みの日はパソコンのインストラクターをしている。
まさに働きづめなのだが、疲れや苦しみ、悲しみなど、
負の描写はあまり無く、妙に淡々としている。

そんな彼女だが、工場に貼ってあった世界一周のポスターを見て、
世界一周のために163万円を貯めようと心に決める。
しかし、大学時代の友人などとの付き合いで思わぬ出費がかさみ、
意に反してお金を使わざるを得ないシーンは、まあまあ面白いのだが、
それ以外は、お金を貯めることへの切実さや執念を感じない。

第140回芥川賞受賞作である。
文章にすらすら感があり、ひっかかりがなく読みやすいのだが、
淡々と日常が綴られている感じで、ドラマ性がなく、
読んでいてワクワクすることも、落ち着くこともない。
何も起こらないがために、逆に落ち着かなくなってくるのだ。

それが純文学であり、芥川賞受賞作の特徴なのかもしれないが、
機微のようなものも、言われているほど描かれているとも思わないし、
率直に言って、読み終ってから、何だったのだろう?と思った。
特に疑問だったのが、後半、主人公が体調を崩したことが、
何の伏線にもなっていないように思えたことと、
163万円に関して、うやむやになった感があること。

何を書きたかったのだろう。
心に響くものがなかった。
女性が読むと、また感じ方が違うとは思うが…。

■貴志祐介「青の炎」(1999年)
      貴志祐介/青の炎
主人公である男子高校生は、母と妹の三人家族。
それなりに幸せに暮らしている。
そこに突然やって来たのは、母が離婚した前夫。
この男がひどい。酒を飲み、暴力をふるい、金をせびる。
それは次第に激しさを増し、母と妹に身の危険が及ぶ。

ついに主人公の高校生は、男の殺害に踏み切る。
入念に計画し、計画どおりに実行し、すべては成功した、かに思えた。
ところが、アリバイづくりのための行動を目撃した同級生がいた。
そして、その同級生から金を強請られるはめに。
追い詰められた主人公は、次の犯罪を計画する。

テンポ良く場面が動いていき、少年の心理の変化も上手に描いており、
引き込まれて、どんどん読める作品である。
少年の置かれた環境に同情し、悲しくも崩れ落ちていく様に
切ない気持ちになる方も多いだろう。

ただ、私としては、読み進められるのだが、気持ちはのらなかった。
少年のキャラクターに親しみが持てなかった。
親しみが持てないキャラクターであっても、
面白い作品や、ぐいぐい引きつけられる作品は多々ある。
少年の辛さや苦しさは十分に理解できる。
ところが、少年のクールで論理的で、
カッコつけで、すかした雰囲気が馴染めなかった。
もしも同じクラスだったら、敬遠していただろう。
なお、頭がいいし、かっこいいと感じる読者も多いとは思う。

また、殺害に使ったのは電流なのだが、
理科一分野が苦手な私には、その説明が面倒で退屈で、
ほとんど理解できなかった。
中学の時、理科一分野については、
勉強すれば覚えられるというものではなく、
センスによるところが大きいと判断。
たとえ答えを示されても疑問は尽きなかった。
そのせいで、向き・不向きの要素が濃い教科だと思い込み、
不向きな私はほとんど勉強せず、完全に投げ出していた。
それは間違いだった、とは今も思っていない。
もう一度、中学生をやっても、同じように感じるような気がする。
中学生も大変だ。そして厄介だ。

               ◆

「イオンに行く」、「ジャスコに行く」のどちらがが正しいのか、
よくわからない。
ちなみに私は、イオンと呼ぶ派だ。

建物はイオンで、その中にあるスーパーがジャスコなのか?
ならば、アリオという建物にあるイトーヨーカドーと同じなのか。

スーパーの駐車場で、少しでも店内入口に近いところに
止めようとする人は多い。
周りは車だらけで、駐車しにくい場所なのに近くを選ぶ。
私は、多少離れていても、駐車しやすいところに止める。
たかが30m程度長く歩けばいいだけである。
その点は大きな気持ちでいられる。

ところが、並んだレジの前の方の人が、
細かい小銭を出すのにとんでもなく時間がかかったり、
たかが1,500円程度の買い物にクレジットカードを使ったりして、
レジの流れが悪くなると、すごく失敗したような気持ちになる。
さらに、私より後に、隣のレジに並んだ人が先に会計を済まして、
「こっちに並んで正解だったよね」的な雰囲気で、
マイバックに商品を入れている姿が追い打ちをかける。

店を出る頃には、そんな屈辱的な気持ちはなくなっており、
あの場面で大きな気持ちでいられなかったことを悔やむ。
気持ちのコントロールは常に必要だ。
しかし、コントロール疲れで、空しくなったり苦しくなったり。
穏やかに生きていくことは難しい。
スポンサーサイト

テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌





最近、私の同僚に教えていただき面白く拝読させていただいておりますです♪
【2011/06/14 23:32】 URL | Nieze #mQop/nM.[ 編集]

Niezeさん、コメントありがとうございます。
素晴らしい同僚がいらっしゃいますね。
またよろしくお願いします。
【2011/06/15 00:23】 URL | ksw #-[ 編集]

お疲れ様です。読量多いですね!そんなK氏に、最近はまったお店を紹介したいと思います。K氏はうどんを食すために伏見まで行きますか?友達が連れて行ってくれた讃岐うどんの丸亀製麺。うまし。安し。お腹減ってたので釜揚げうどん並とぶっかけうどん並を食べました。並は少なめなので2杯食べられました。セルフ式が苦手ですがこの麺ならOK!ぜひどうぞ。足は治りましたか?
【2011/06/18 12:40】 URL | タピオカ鈴木 #mQop/nM.[ 編集]

タピさん、コメントありがとうございます。
丸亀製麺は東区にもあり、何度か行きました。
すごく美味しいと思います。
トッピングも美味しいです。
使えます。使える店です。
ただ、タピさんの言うとおり量は少ないですね。
そういうわけで大盛りにし、トッピングしたり、
おにぎりを追加すると、それなりの値段になります。
それでも千円には達しないわけで、ありがたい店です。

足は90%回復しました。
腫れはまだ残り、思い切り曲げることはまだできませんが、
それなりに走られるまでになりました。
プロ野球選手なら、一軍の練習に合流できる程度にはなったかと思います。
【2011/06/21 22:46】 URL | ksw #-[ 編集]

一軍復帰おめでとうございます。スタメンはオールスター前後でしょうか。

東区にも丸亀製麺あるのですか!調べて行きたいと思います。275で札幌によく侵入するので。
【2011/06/22 16:11】 URL | タピオカ鈴木 #mQop/nM.[ 編集]















管理者にだけ表示を許可する



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 トゥナイト今夜もRock Me Baby, All rights reserved.