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韓国の女性ユニット「KARA」のメンバーの月給が
1万円だったという報道を見た。
考えられない安さである。
恐ろしいほどの安さである。
さすがにこれには同情する。
普通にバイトした方が確実にいい。
というか、その額でいいのなら、
ちょっと無理すれば私でも雇用できる。
一瞬とはいえ、KARAを雇用できるかも、なんて想像ができて、
ちょっと楽しめた。
夢は予期せぬところからやってくる。

さて今回は「2010・ブック・オブ・ザ・イア」。
私が2010年に読んだ小説のトップ10を発表するものである。
まずは、新作部門。
対象は、2009年以降に発刊された作品。
よろしくどうぞ。

【新作部門】
■第1位 貴志祐介「悪の経典」(2010年)
     2010-1-悪の教典・上 2010-1-悪の教典・下
担任するクラスの生徒全員を殺害する高校教師の話。

これを読んで何を感じるかとか、そういうことはどうでもよく、
ただただ止まらぬジェットコースターのごとく読まされた。
倫理感や不快感の面からして、本来1位になるべき内容とは言い難いが、
とにかく夢中になって読まされてしまったのでどうしようもない。

第2位 貫井徳郎「乱反射」(2009年)
2010-2-乱反射
日常生活において目にする、様々な人の自分勝手な行動。

それらが連鎖して、悲惨な事故が起こる。
さらに、病院の受入拒否と渋滞により、命をおとしてしまう。
心情をしっかりと掘り下げつつも、テンポよく展開し、
読むのをやめられなくさせる圧倒的な筆力を堪能できる。

第3位 吉田修一「横道世之介」(2009年)
     2010-3-横道世之介
長崎から東京の大学に進学した少年の青春群像。

彼女であるお嬢様女子大生のキャラクターが非常に良い。
夏休みに長崎の実家まで押しかけての一連のシーンは、
いじらしくて愛おしくて、なぜだかほろっときてしまう。
ラストでの、少年の母の手紙に綴れた思いに、とめどなく泣けた。

■第4位 村上春樹「1Q84-BOOK1」(2009年)
2010-4-1Q84-BOOK1
塾講師の男と、殺し屋でもあるスポーツインストラクターの女性が、

新興宗教を軸にして、次第につながっていく物語。
内容も面白いし、表現や世界観も別次元のレベルで確立されており、
村上春樹ってすごいんだなと素直に思えた。
実質的には1位かなとは思うが、
なぜか、そうしない方がいいような気がしたのでこの順位。

■第5位 中村文則「悪と仮面のルール」(2010年)
2010-5-悪と仮面のルール
中学生の時に父を殺害した苦しみと恐怖に苛まれ、

整形し、別人として生きる青年の物語。
影がありつつ、切れ味鋭い文章表現が非常に魅力的。
スマートさはなく、閉塞感の中でもがく主人公の姿を、
徹底してダークサイドで描いている。引き込まれた。

■第6位 伊坂幸太郎「マリアビートル」(2010年)
2010-6-マリアビートル

東京発盛岡行の東北新幹線の車内で繰り広げられる大金の奪い合いと
殺し合いの物語。それだけだとハードかつコアな感じがするが、
妙にコミカルで、ひねくれていながらも、スタイリッシュ。
筆者独特の哲学と美学にあふれた気高い作品である。
相変わらず、伏線の仕掛け方や人と物の使い方も見事。

■第7位 木内一裕「OUT-AND-OUT」(2009年)
2010-7-OUT-AND-OUT
仕事の依頼を受けた探偵が、依頼者のもとを訪れると、
依頼者は
射殺されており、その探偵が犯人扱いされる。
ノンストップで走り抜けたくなるような展開にぐいぐい引き込まれ、
キャラクターが立っており、エンタテイメント性も高い。
フィクションの面白さ満載。ほろっとくる箇所の演出も上手い。

■第8位 道尾秀介「球体の蛇」(2009年)
     2010-8-球体の蛇
亡くなった幼なじみに似た年上の女性に恋した17歳の男子高校生。
彼女のことを知るうちに、別の事件の真相に近づいていく。
登場人物は皆、影をもち、不吉な気配を漂わせながら、
流れるように物語は進む。
エンディングの逆転の真相はなんとも哀しく切ない。

■第9位 折原一「逃亡者」(2009年)
     2010-9-逃亡者
知人の夫を殺害した主婦の15年に及ぶ逃亡劇。
偽名を使い、整形してまで逃げ回り、追い詰められていく様に、
読んでいて、なんとなく一緒に逃げているような錯覚をおぼえた。
常に緊迫感があり、長編ながら全く飽きることなく読み進めたが、
終盤緩くなり、ちょっと本質とそれた感じがしたのが心残り。

■第10位 湊かなえ「贖罪」(2009年)
2010-10-贖罪  
小学4年生の時に起こった、同級生が殺害された事件。

それに囚われ続けて25歳になった女性4人の物語。
筆者らしい切れ味のある陰湿さが炸裂。
パズルを次第に埋めていくスピード感と構成が巧妙。
代表作「告白」にひけを取らないほど、先へと先へと読ませる。

なお、10位争いで、最後まで迷ったのが、
宮部みゆき「小暮写眞館」、奥田英朗「無理」、中村文則「掏摸」の3作。

      ◇       ◆       ◇

つづいては、2008年以前に発刊された作品をを対象にした
過去作品部門を5位+次点まで発表。
こちらも面白い作品が勢ぞろいだ。

【過去作品部門】
■第1位 西川美和「ゆれる」(2006年)
2010過去1-ゆれる

田舎に住む兄と、都会で気ままに暮らす弟。
そんな兄弟間の複雑な心理を、ある女性の転落死をとともに描いている。
整然とした文章と、どろどろとした感情のコントラストは圧巻。
一気読みしたくなる強い引きのある作品である。
この作品の映画も、小説の世界観を丁寧に表現しており面白い。


■第2位 池井戸潤「空ぶタイヤ」(2006年)
2010過去2-空飛ぶタイヤ・上 2010過去2-空飛ぶタイヤ・下

運送会社のトレーラーのタイヤが脱輪し、歩行者が亡くなった。
事故の原因は、車輌の整備不良とされたが、その真相は。
事故を起こした運送会社社長の実直さと誇りに胸をうたれつつ、
取引先、銀行、警察などの凄まじい理不尽さにやりきれなくなり、
気づいたら、社長を応援するような気持ちで読んでいた。

■第3位 木内一裕「藁の楯」(2004年)
2010過去3-藁の楯

ある殺人犯を殺すことを条件として10億円の懸賞金がかけられた。
あらゆる者に狙われ続けた犯人は、逃げるように福岡県で自首する。
それでも懸賞金はかけられたまま。捕まっても命を狙われている犯人。
そんな犯人のふくおかから東京までの移送劇を描いている。
場面変化がスピーディかつノン・ストップ。一気読み度が極めて高い。

■第4位 リリー・フランキー「東京タワー」(2005年)
2010過去4-東京タワー

映画化され、テレビドラマ化され、ストーリーはわかっていつつも、
原作を読んでみると、やはり胸をうつものがある。
筆者の醸し出す心地よい素っ気なさと情の深さ。
筆者の母のおおらかさと気丈さと、たまに垣間見せる寂しさ。
そのどれもが愛おしく感じさせる家族の物語である。

■第5位 奥田英朗「邪魔」(2001年)
2010過去5-邪魔・上 2010過去5-邪魔・下

夫にかけられた放火疑惑と、妻の職場での雇用に対する抗議行動を
軸として、ちょっとしたボタンのかけ違いが、
どんどん悪い方向へ進み、ねじれて壊れていく様を描いている。
きっちりと詰め切っている筆致のた。長編ながら全く飽きさせない。
放火事件を追う刑事の存在感も、物語に厚みと緊張感を持たせている。

■次点 乾くるみ「イニシエーション・ラブ」(2004年)
     2010過去6-イニシエーション・ラブ

初めて彼女ができた男子大学生の恋物語を日記風に綴っている。
主人公の日記想定のため、文章がやや稚拙な雰囲気ではあるが、
ストーリーは淀みなく進んでいく。
後半ところどころ微妙な違和感をおぼえつつ、最後の二行で、
圧倒的に驚かされる。思わず読み返してしまうこと必至。

      ◇       ◆       ◇

2010年の私の読書生活のポイントのひとつは、
木内一裕氏と中村文則氏との出会いである。

木内作品は、それがダメならこれでいく、というように、
状況が変化しつつも、すぐに切り替えて突っ走っていくような
展開の速さがありつつも、軸がしっかりしているため、
安心してスリルを楽しめるような魅力がある。

一方、中村作品は、総じて暗い。
状況は変わっても、心の闇に囚われ、不自由さの中で
もがき続けるような、どこにも出口がない絶望感が凄まじい。

そんな毛色の違う二人だが、
どちらも私が小説に求めている何かを持っているような気がする。
当面、追い続けてみたい作家である。

私には追い続けているものがいくつもある。
届きそうで、ほとんどは届かないが、
それはそれで幸せなことだ。
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