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前回の記事は、AKB48について語っている。
2010年の日本の芸能界における
最大のヒット商品であるAKB48からの流れで、
2009年の日本の出版界における最大のヒット商品である、
村上春樹「1Q84」の話に持っていこうとしたのだが、
AKB48の話だけで完結させてしまった。

というわけで、今回はブックレヴューを3冊。
この3冊を紹介して、2010年に読んだ本のレヴューは終了。
次回の本の記事は、2010・ブック・オブ・ザ・イアとなる。
それでは、どうぞ。

■村上春樹「1Q84 BOOK1」(2009年)
村上春樹/1Q84 BOOK1
主人公は二人いる。
一人は、スポーツ・インストラクターを本業としながら、
殺し屋としての一面も持っている29歳の女性。
もう一人は、予備校講師を本業としながら、
小説家を目指し、日々執筆している29歳の男性。

主人公の女性は、宗教団体の施設で育った。
両親が熱心な信者だったからだ。
10歳の時に、信仰を捨て、施設から逃げ出し、
それからは叔母のもとで暮らした。

主人公の男性は、出版社からの依頼により、
とある17歳の少女が書いた小説を添削する。
その少女は、両親と暮らしていた宗教施設から、
10歳の時に脱出した過去を持つ。

作品は、二人の主人公のそれぞれの物語を、交互に綴っている。
いずれ二つの物語はつながるのだろうが、
このBOOK1では、つながる気配を見せた程度である。

なお、物語の設定は1984年なのだが、
主人公の女性が、ある時期の記憶がすっぽりと欠けていることに気づき、
現実との微妙なズレを感じ始める。
そこで、1984年を、1Q84年と名付けたことがタイトルになっている。

面白かった。
いちいち説明がましく、面倒に感じるところはあるが、
きちんと詰め切っているため密度が濃い。
豊富な知識、巧妙な例え、そして圧倒的な筆力に十分楽しめた。
ストーリーもさることながら、
読み進めたい欲求を高める文章力がすごい。

首をかしげるのは、性描写が多すぎること。
折角のちょうどいい緊張感が、展開上必要性を感じない性描写によって、
緩んでしまう箇所が目立ったような。

あと、1ページあたりの字数が多い。
554ページなのだが、量的には2冊読んだような感じだ。
質的にも上下巻を読んだくらいの重厚感があった。
BOOK2を読むのが楽しみだ。

■奥田英郎「邪魔」(2001年)
奥田英朗/邪魔・上  奥田英朗/邪魔・下
主人公は34歳の妻。
家族は夫と子供二人。
家計を支えるため、スーパーのパートをしている。
東京郊外に家を買ったこともあり、なかなか贅沢はできない。
夫婦の関係も冷え気味。
それでも平凡ながら、それなりに幸せな生活を送る。

ある時から、夫の金回りが不自然に良くなる。
妻は微妙な違和感をおぼえる。
そんなとき、夫の会社で放火事件が起こる。
第一発見者は夫で、自らもケガを負う。

刑事は、事件を調べていくうち、夫が犯人ではないかと疑う。
妻も、次第に夫が怪しいと感じてくる。
一方、妻は、パート先での雇用条件に関して抗議行動を始める。
はじめは全く乗り気ではなかったが、
市民運動団体の女性にそそのかされ、
また、閉塞感のある生活に嫌気が差し、
気づいた時には、先頭に立って行動していた。
そして夫婦共々、破たんに向かっていく。

きっかけは小さなものなのに、事態はどんどん悪い方向へ進み、
やがて取り返しのつかないものになる過程が、丹念に描かれている。
場面、場面が目に浮かぶし、心理状況も手に取るようにわかる。
食い止められずに崩壊していく様は、どこかでボタンを掛け違えば、
誰しもこうなっていくのかもしれないと思わせ、
ぞっとするし、息苦しい気持ちにもなっていく。

ところが、人物描写への目配りが冴え、展開も淀みがないため、
一気読みさせられるし、途中から読んでも、すぐに世界へ引き込む。
非常に読ませる作品だ。そして、面白い。

気になったのは、終盤が希薄に感じたこと。
密度の濃さと勢いに引っ張られたのに、最後に来て雑然としたというか。
そのせいか、厚みのある内容なのに、最後に浮かび上がるものがない。
残像のようなものがない。
とはいえ、力作なのは間違いない。
なんらかんら言いつつ、非常に面白く読める作品である。

それにしても、刑事と、その義母との関係には驚いた。
実は、この点が一番衝撃的かも。

■桜木紫乃「風葬」(2008年)
   桜木柴乃/風葬
筆者は、釧路市出身、江別市在住の女性作家。
この作品の舞台は釧路、そして根室。
釧路、根室の中でも、決して観光地ではない
日々のナチュラルなプレイスをメインに展開するのが良い。
道東の寒い夏や荒涼とした半島が目に浮かび、
なんとなくふらっと出かけたい気持ちになる。

ところが、札幌からはまるでふらっと行ける距離ではない。
なので、ふらっと出かけたい気持ちはすぐに萎える。
なにせ札幌から車で向かった場合、
1泊2日ならば移動と睡眠だけでジ・エンドとなるほどのディスタンスだ。
しかし、海と風と原野しかない雰囲気が魅力的に感じながら読めた。

主人公は、釧路で書道教室を開いている30歳くらいの女性。
母はアルツハイマー、父は誰なのか知らされていない。
母が時々口にする「涙香岬」(ルイカミサキ)という言葉に導かれ、
釧路から根室に出かける。
そして、自らの出生の秘密がひも解かれていく。

それだけではない。
漁船の拿捕や密猟、北方領土のソ連住民との暗躍など、
根室という地域独特の闇社会部分を軸にしながら、
ミステリアスに展開させており、結構惹きつけられた。

ただ、読み終えてみると、さらっとした余韻である。
内容はダークなのに、コーティングの色が薄いというか。
あえて掘り下げずに、ライトにまとめたのかもしれないが、
もう少し密閉感が欲しい気がした。
しかし、文章の雰囲気は私の好かもしれない。
とりあえず、筆者の他の作品を読みたい気持ちになった。

「涙香岬」(ルイカミサキ)は、根室市内に実在する。
正式な地名ではないらしく、目立つような突き出た岬でもないらしい。
地図にも載らず、岬を案内する標識などもないらしい。
そういうところだと逆に行ってみたくなる。
しかし、ふらっとは行けないのさエスカロップ。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌





『1Q84』は是非読もうと思っている一冊です。

しかし...

留萌から本屋が消えてしまいました。
昨年末『誠文堂』『PMM』が2店同時に閉鎖されてしまったのです。


週刊誌やコミックはコンビニで買えますが、専門書や文芸作品を買う事が出来なくなってしまいました。


本年もよろしくお願いいたします。




追伸
母がK治療院に通っており、怒髪天の話しをしているらしいです(笑)
【2011/01/10 12:23】 URL | D・H・T #-[ 編集]

D・H・T さん、コメントありがとうございます。
よろしくお願いします、今年も。

留萌から本屋がなくなったのは衝撃ですね。
人口25,000人クラスの町は本屋が成りたたない時代なんですね。
伊達直人に本を寄贈してもらいたいものです。

怒髪天といえば、あの食べるラー油のCMは、
商品が売れすぎたため、12日間しか放送されなかったんですね。
食べるラー油の大ブームは頻繁に話題になれど、
怒髪天が関わっていたことは、
ほとんどクローズアップされなかったのは口惜しいです。

D・H・T さんは、ブームになる前から、食べるラー油を絶賛していました。
ブームを作ったのは怒髪天とD・H・Tさんだと
メディアは報じるべきだと思います。
【2011/01/11 23:57】 URL | クグエSW #-[ 編集]















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