ADMIN TITLE LIST
2010・ブック・オブ・ザ・イアに向けて大詰めとなってきた。
今回のほか、もう一度ブックレヴューをしたら、
ノミネート作品が出揃う。
今年読める作品は、現在読んでいるのも含めてあと2冊だろう。
ちなみに現在読んでいるのは、村上春樹「1Q84」。

それでは今回も3冊紹介。
よろしくどうぞ。

■湊かなえ「往復書簡」(2010年)
湊かなえ/往復書簡
三作の短編で構成されている。
いずれの作品も、手紙のやり取りを通じて、
過去に起こった事件の真相が明らかになっていく内容。

少しずつ真相の紐がほどけていくタイミングや加減は
相変わらず上手で、話に入っていきやすいし引きつける。
ただ、大ヒット作「告白」をはじめ、
筆者の作品を何冊か読んでいる者としては、
別々の人から交互に語られ、事の真相が明らかになっていく手法には、
ちょっと飽きてきたかなと。
基になっている事件ありきではなく、真相を解明する過程がまずあって、
後から事件が形づくられたような気がしてしまうのが惜しい。

「十年後の卒業文集」という短編は、高校卒業から10年が経った今、
ある女性が、当時のクラスメートに手紙を書き、
女子同士、仲良くしていたが、実は的な本心を描いている。
設定に無理があるし、結末が軽く、ちょっと肩透かしな印象。

他の二作は、ストーリーとしては面白い。
展開の妙があり、静なる劇的さもあり、どんどん読める。
「二十年後の宿題」は、定年退職した小学校の女性教師と
当時の生徒(現在は30歳くらい)の手紙のやり取りによる作品。
切なくも温かいオチが待っており、途中ほろっとくる場面も。
ところが、生徒側の手紙の記述が、いくらなんでもリアリティが無さすぎ。
手紙ではない手法で描いたら、もっと良い作品に思えたかも。

やや辛めの書評となったが、湊かなえビキナーならば、
すんなりと入り込め、面白いと思えるだろう。
希望としては、読ませる技術は高いだけに、
もう少し世界の広さを感じられる長編を読んでみたい。

■今邑彩「ルームメイト」(1997年)
   今邑彩/ルームメイト
2か月近く前だっただろうか。
札幌ステラプレイス内にある三省堂書店で、
コーナーを設けて、この作品を大々的にプッシュしていた。
今はやや縮小したものの、まだそれなりのスペースを確保している。

三省堂書店の店員が発掘した過去の隠れた名作みたいなことで、
日本経済新聞に大きく取り上げられたのがプッシュの要因のようで、
増刷された文庫のキャッチコピーが「騙される準備はできましたか?」。
こうした書店のやり方に、まんまとはまり、読まずにいられなくなった私。

ただ、三省堂さんには申し訳ないが、
文庫はブック・オフで買ったのさベイベー。
だって、この作品の文庫の新品は820円なのに対して、
ブック・オフだと350円だぜ。
でも、現在最も書籍を買う店は三省堂書店であり、
2011年の手帳もカレンダーも、三省堂書店で購入したんだぜ。

さて、あらすじだ。
大学進学で東京に出てきた女性。
住まいを探しに不動産屋へ。
そこである女性と知り合い、意気投合。
家賃を安く抑えられるからと、二人で住むことに。

住むことになったマンションでは、それぞれ自分の部屋を持ち、
お互いのプライベートには一切干渉しないことにした。
何日も顔を合わせないこともあった。
そうやって、同居者がいながら、気楽に自由に暮らしてきた。

ところが、ある時から、何週間もルームメイトが帰って来ない。
不安になり、失踪したルームメイトの実家などに連絡を取り、行方を探る。
そのうち、ルームメイトは、あるサラリーマンと同棲している女性、
夜の店で働く女など、いくつかの顔を持つ多重人格者であると知る。
そうした中、ルームメイトは遺体となって発見された。

やるべきことがあるのに、この作品を読むことを優先してしまうほど、
どんどん先を知りたくなる展開だった。
ルームメイトの様々な生活が次第につながり、
全く別の人物だと思っていたのが、
実は同一人物だと判明していく過程は、読み手を引き込むし、
脇を固める登場人物が皆、微妙に怪しい気配があるのも効果的。

ただ、この人とこの人が同じ人というのは無理があると、
ちょっとしたやり過ぎ感をおぼえるところがある。
また、非常に残念だったのが結末、つまりオチ。
何がどうなったのか、さっぱりわからない。
今でもわからない。

出版社もチェックしているので、
理解できる書き方になっているはずだが、
私には、どういうことなの?としか思えず、完全に消化不良。
最初からずっと強く引き込まれて夢中で読んだだけに、
結末の不明瞭さに驚いてしまった。

どんでん返しに驚かされるところなのに、
なんでこうなのか、全く理解できず。
だって、そんな伏線などなかったじゃないか。
いきなり取ってつけたようで不可解。
騙される準備をして読んだが、
騙されたのか騙されていないのかすらよくわからない。

■道尾秀介「月の恋人」(2010年)
道尾秀介/月の恋人
派遣社員としてぱっとしない日々を送る20代半ばの女性。
定職につかずに、ぶらぶらと過ごす腐れ縁の恋人に愛想をつかし、
職場では、身に覚えのないミスの責任をなすりつけられ、
全部嫌になってしまい退職。
やけくそになり、なけなしの貯金をはたいて中国を旅行。
そこで偶然、新進のインテリア会社の若き社長と出会う。

とはいえ、中国で親しくなったわけではなく、
帰国後、インテリア会社のCM製作を通して再会し、仲を深めていく。
そんな二人に、そのCMのモデルに抜擢された中国人女性や、
主人公の女性の新しい就職先などが絡み、思わぬ展開に。

いわゆる恋愛小説だろう。
事態はすんなりとはいかず、絡み合う様は、それなりに面白く、
筆者らしい滑らかな文章のせいもあり、すんなりと読める。
ところが、余韻がない。
なんというか軽いのだ。
恋愛面も、ストーリー面も、心象面など掘り下げが中途半端というか。

終始気になったのは
、主人公の女性のキャラクター。
恋も仕事もいまいちで、お金もなく、目標もない。
弟と安いマンションに暮らし、
たまに行きつけの居酒屋で生ビールを飲むのが贅沢。

そんな、さえない女性を描いていながら、とにかくモテる。
社長に気に入られ、その部下からもデートに誘われ、
新しい就職先でも、年下の社員が彼女にぞっこんになる。
居酒屋の店主もにとっても気になる存在である。

その理由が、文面からは読み取れず、何か違和感が拭えなかった。

道尾作品だけに、怪しさや不吉さ、心地よくチクチクとした感じを
期待してしまい、その点ではもの足りない。
読んでいる途中で、これ誰の作品だっけ?と考える瞬間もあった。
とはいえ、きちんとまとまった面白い作品ではあるのは確か。
道尾氏の作品とわからなければ、逆にもっと評価されるかも。

こういう捉え方は、決してよろしくはないだろう。
そもそも人は人を、ある一面からしか見ない。
本質ではなく、イメージでしか見ないことも多い。
そして、外側優先より内側優先で物事をした方が評価される。
たとえそれが社会の不利益になったとしてもだ。
そんな葛藤の中で生きている皆さんへ。
静かに淡々と耐えましょう、待ちましょう。
わかってくれる人は必ずいますよ。間違いなく。
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌





内容とは関係ないけどメリークリスマス♪
【2010/12/25 19:46】 URL | bull #-[ 編集]

木村カエラさんだと思うんですが、DOCOMOのCMでの歌がさっぱり聞き取れません。エリック能面ソリスト能面~。
【2010/12/26 14:24】 URL | タピオカ鈴木 #-[ 編集]

bull さん、どうも。メリークリスマスです。
24日は、ちょっと遅くまで仕事をすることになったのですが、
夜11時頃の札幌の街は、普段とまったく変わらずという感じでした。
クリスマスで、早く家に帰った人が多いかと思いきや、いつも通りで。

25日はスタジオに入りました。
ロックンロール・クリスマスでした。

タピオカ氏、コメントありがとう。
DOCOMOのCMがイメージできません。
思えば、何かのCMに、木村カエラ氏が出演しているのを
見かけることはあるものの、何のCMなのかが全く思い出せないですね。
西田尚美氏のファブリーズのCMしか思い出せません。
ロック好き中年に、西田尚美ファンが意外と多いような気がします。
ロックンロール。
【2010/12/26 23:38】 URL | クグエSW #-[ 編集]

今回コメントしやすい感じの前回のコメント返しありがとうございます(笑)。
道尾作品は読んでみたいと思いながらまだ読んだことがありません。
今はDSソフトに入っている、言い回しが難しい(昔の作品)ものを読んでいます。
なかなか進められなくて、少しずつ読んでいるところです。

私のブログも読んで下さっているようで…ありがとうございますm(__)m

ちなみにこんなの作ってみたので、覗いてみてください。
http://www.rakuten.co.jp/s-farm/
【2010/12/27 14:00】 URL | yoshimi #-[ 編集]

yoshimi さん、今年もよろしくお願いします。
しっかりと営業活動の幅を広げてますね。
楽天市場からも購入できるとは。

南るもい米は美味しいですからね。
そして希少価値ということで。
留萌に行くと、たこを買って、甘海老を買って、天塩のしじみを買って、
が定番となっていましたが、米をあまり買っていなかったことに気づきました。
(この4年で2回ルピナスで買っただけ)
今年は、南るもい米で、記事をひとつ書くくらいの意気込みで臨みます。
【2011/01/04 02:08】 URL | クグエSW #-[ 編集]

記事を書く際には、参考に「さとうファーム」のお米をどうぞ。
楽天市場ではなく、直接メールしていただければ金額も違いますので!
そしてぜひ記事を書いてみてください☆
その記事が読める日が来るのを楽しみにしています!
【2011/01/05 19:56】 URL | yoshimi #-[ 編集]

さとう”yoshimi”ファームさんへ。
今度、留萌に行く時は、事前に連絡し、
ライスをバイします。
そして、記事を書かせていただきましょう。
【2011/01/07 23:35】 URL | クグエSW #-[ 編集]















管理者にだけ表示を許可する



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 トゥナイト今夜もRock Me Baby, All rights reserved.