ADMIN TITLE LIST

先日、午後9時頃。
帰り道での話だ。
北8条東5丁目あたりで信号待ちをしていると、
横の方から「すいません」と声をかけられた。
振り返ると、60代とおぼしき男性と女性だった。

彼らは、「地下鉄
東区役所前駅には、どっちに行けばいいのか」と
尋ねてきた。
そこは、十字路の中に斜めの道路が走る複雑な交差点だった。
正方形の中に、左下と右上を結ぶ斜線があることを
イメージしていただきたい。
彼らと私は、正方形の左下の位置にいた。

その地点から右上の斜線方向へ進む(北東方向へ進む)。
右上の角まで約500m。
そこに達すると、片側2車線の広い道路にあたる。
そこで左折し、広い道路沿いに200mほど行くと(北方向へ行くと)、
地下鉄
東区役所前駅の入口がある。

人に道を聞かれ、熟知している場所ならば、
親切に教えてあげたくなるだろう。
知らない場所を尋ねられ、答えられない時は、
役に立てなかったことを残念に思うだろう。

尋ねられた場所は、完全に把握しているところだったため、
要点を押さえ、いかにシンプルに説明するか、
私は私自身に完璧を求めた。
あまりに細かく、詰め込むような説明では
聞いた側は一度に覚えられない。
というか、ちょっとした質問に対して、
一から十まで説明するタイプはうんざりだろ。
「そんなことは聞いてない」、「もうわかったから」という雰囲気を
醸し出しても、相手の反応も見ずに、一方的に話し続ける。
それに付き合わされるのは苦痛としか言いようがない

そうした苦痛を、質問者に与えてはいけない。
ポイントはひとつか二つでいい。
あとはイメージしてもらうことが重要なのだ。
ということで、

「この斜めの道を進む。
500mくらい行くと片側2車線の広い道路に出る。
そこを左に曲がって、少し歩けば
地下鉄
東区役所前の入口がある」と説明。

その斜めの道は「ななめ通り」と呼ばれ、
その地域の人達には著名なストリートである。
近道ロードでもあり、昼間は利用者も多い。
しかし、時刻は午後9時過ぎ。
一車線の一方通行であるため狭く、街灯の光度も弱めである。

そのため、「ななめ通り」の存在を知らない人にとっては、
バック・ストリート風情が漂い、多少デンジャラスでもあろう。
そのせいか、道を尋ねた60代男女に、
ほんとにこの道でいいのかと再確認された。


実は、私がこの先、帰る道も、ななめ通りだった。
つまり、彼らと同じ方向だった。
ここで私の人見知りぶりというか、
オープン・ハートできない部分を露呈してしまう。

ほんとは、ななめ通りを歩きたいのに、
同じ方向に歩くのは、お互いに気まずいような気がして、
先ほどの正方形の左下から真上へ、
つまり、北東方向へ行きたいのに、北方向へ。
そして、ある地点で右折。つまり東方向へ向かい、
目指すべきだった右上地点に向かった。

私は遠回りをしたのだ。
斜めに行けるところを、四角く歩いたのだ。
ただ、先ほどの60代男女の歩くスピードを想像すると、
右上地点には、同時くらいに着くのではないかと思えた。
別々の方向へ歩いた者同士が、
というか、道を尋ねた者と尋ねられた者が、
右上地点で、また出会ってしまうことは、
気まずいのではないかと緊張してきた。

私は、途中から意識的に歩くペースを落とした。
先に60代男女が右上地点に現れ、
左折するシーンを目にして安心したいと思った。
ところが、前方に彼らは現れない。
そのうち、私は右上地点に着いてしまった。
彼らを探すと、まだそこに到着せず、
200mくらい手前を歩いていた。

彼らを残し、ひとり帰ることはできなかった。
右上地点にたどり着き、無事、左折するところを見届けたかった。
それが私の責任のように思えた。

私は、右上地点の交差点の反対側に渡り、彼らを待った。
信号が青になっても渡らず、ただ立っているだけの怪しい男状態で待った。
5分くらいして、彼らは右上地点に到着。
立ち止まって、こっちか?あっちか?というような素振りをした。
私はそれがもどかしく、
信号を渡って、こっちに行くのだと伝えに行きたかった。


しかし、無事彼らは地下鉄
東区役所前方向へ進んだ。
ほっとした。
もし彼らが、別の方向へ進んだら、
「そっちじゃない、こっちだ」と、
交差点を渡って、アドバイスしに行けただろうか。
「さっき道を教えてくれた人が、なんでここにいるんだ?」と
不審に思われようとも、行動に移せただろうか。
それとも、行動に移さずに去った方が、
怪しまれずに済んで良かったのだろうか。
この状況での、人としての在り方は、何が正しかったのか。
聖書を読めば、何かわかるだろうか。
そんなことを考えたら、しばらく興奮が収まらなかった。

いったいオレは何をやっているんだろう。
はたから見れば、怪しい行動にほかならない。
みみっちい。
虚しい。
小さすぎる。

耐えきれず空を見た。
電線の向こうに月が見えた。
スポンサーサイト





気持ち、ものすごくよく分かります。
【2010/06/09 20:20】 URL | SH #gt3YS3lE[ 編集]

SHさん、コメントありがとうございます。
道を尋ねた方が60代で、夜はほとんど人通りのないところだったので、
やけに気になりまして。

なんとなく放っておけず、ひそかに見届けた。
完全な自己満足でありました。
【2010/06/09 23:01】 URL | クグエSW #-[ 編集]















管理者にだけ表示を許可する



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 トゥナイト今夜もRock Me Baby, All rights reserved.