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この1週間の札幌は、雨模様の日が続いている。
厄介なのは、まとめて雨が降らず、気まぐれなことだ。
日によって、昼間だけ降ったり、夕方だけ降ったりで、
結局毎日のように傘を持ち歩いたり、
雨が降らない予報を信じて自転車で通勤すると、
帰宅の時間帯のみ降るなど、完全に雨に振り回されている。

今日(6月6日)だってそうだ。
一日中雨の予報だが、朝から曇っているだけで雨はない。
とはいえ、いつ降り出してもおかしくない空模様である。
自転車で少し遠出をしようかとか、
近場の山でもを登ってこようかとか考えていたが、
空模様が気になって行動を起こせない。
空模様を見ながら、読書などをしているうちに午後になってしまい、
そして今ブログを書いている。

そういうわけで、今回は本ネタである。
今回はいずれも、じっくり読める3冊である。
それでは、どうぞ。

■飯嶋和一「出星前夜」
飯嶋和一/出星前夜 
1637年に起こった「島原の乱」を描いた、
飯嶋和一(イイジマ・カズイチ)氏の2008年作品。
タイトルは「しゅっせいぜんや」と読む。

今年読んだ作品の中で、最も読むのに時間を要した。
540ページに及ぶ長編であるのはいいが、
とにかく1ページ当たりの文字数が多い。
似たような名前の登場人物が多いのも難で、それに加え、
幕府、島原の代官、平民のどれに属している人物なのか混乱し、
前のページに戻って読み直すことが何度もあった。
物語の展開スピードも遅い。
また、戦乱ものによくある話だが、
本丸だ、二の丸だ、壕とか、全く映像がイメージできずに、
読み飛ばし気味になった箇所も多かった。

本来ならば、読むのを断念するパターンである。
しかし、この作品は読み切りたかった。
なぜなら、文章に落ち着きと重厚感があり、
それに触れることで、心地よいBGMを聴いているような
心持ちになれたからだ。

「島原の乱」といえば、天草四郎のイメージが強いが、
この作品は、彼ではなく、寿安(じゅあん)というひとりの若者を軸に
描いているのも、興味をかき立てた。
天草四郎を脇役にし、しかも、だらしなさやのぱっとしない部分を
多く描いている。
そもそも、天草四郎は、なにゆえカリスマ的存在だったのか、
未だにわらない。カリスマとか指導者というよりも、むしろ、
イメージ・キャラクター的存在だったのではないか。

島原の乱は、キリシタン弾圧による蜂起ではなく、
常軌を逸した年貢米を要求する藩の悪政に対する反乱である。
現場を知らない藩のトップ連中と、聞く耳を持たない幕府の連中。
400年前の話だが、今と大して変わっていない気もする。

それはそれとして、400年も前に、
日本の片隅の島原という土地で、これほどキリスト教が
受け入れられていたことに驚いた。
また、島原は騒然としているのに、
長崎は遠くの出来事かのように整然としているのも印象的だった。

読んでいて、長崎、島原の地を訪問してみたいと強く思った。
歴史の浅い北海道とは、まるで違う世界があるはずだ。
しかし、一人では行きたくない。
マネーや時間の確保より、それが一番のネックだ。

■恩田陸「ユージニア」
   恩田陸/ユージニア 
恩田陸の2005年作品。昨年文庫化されている。
20年ほど前に起きた17人が亡くなった毒殺事件。
容疑者の自殺という形で、ひとつの終わりを見たが、
ある女性が、真相を解明しようと、
当時の事件関係者にインタビューを求めてまわる。
そのインタビュー証言から、真相が明らかになっていく。

なんていうふうに、あらすじを書いたが、
実は、真相がはっきりとはわからないまま終わる。
非常に曖昧な結末である。
真相は読者の想像に任せます的な感じである。

若手女優に対する「ファーストキスはいつですか?」の問いに、
「幼稚園の時、同じ組の○○くんに、いきなり」とか、
「小学校に入ったばかりの頃、飼っていた犬と」などと答えられた時、
「そんな答え求めてねえんだよ!」と、むしゃくしゃしたあの頃を
思い出させる結末である。

白黒をはっきりつけてほしいというのではない。
読者が誰しも共通に認識できる事実結果だけは、はっきりしてほしかった。
その上で、自分なりの解釈をしたかった。
事実結果さえも読者任せなのはどうかと。

また、証言者が、事件にどういう関わりを持つ人なのかを認識するのに
時間がかかるような書き方をしているため、少しイライラする。
証言者の登場順が、時系列になっているわけでもなく、
何かを軸にしているわけでもないため、連続性がない。
隣り合っていないピースを、ひとつひとつ埋めていくようで、
前半は、なかなかストーリーに入っていけない。
湯船につかるのではなく、足湯のはしごをしているようである。

ただ、恩田陸の作品は、総じてそういう印象がある。
物語の場面が見えるまでの経過がスローである。
そのため、読み手の気持ちが定まるまで時間がかかる。
桐野夏生や宮部みゆきのように、
5ページで物語の中に引き込ませるような導きの強さがない。
ちょっと洒落ているというか、
大衆的ではない独特の様式美があると思う。

ところが面白い。
湯船につからなくとも、足湯の効果はあるもので、
ひとつ壁を超えると、読みたい気持ちが暖まって、
先を知りたくてたまらなくなる。
事件の断片の見せ方が巧みで、ついつい読まされてしまう。

そして、文章自体の安定感が素晴らしい。
「この人、言葉知ってるなあ」、「いい表現するなあ」、
「いい角度から書いてるなあ」と感心する箇所が非常に多い。
それだけでも読む価値があるかもしれない。

■藤原伊織「名残り火」
藤原伊織/名残り火 
2007年に亡くなった藤原伊織氏の遺作。
かつての同僚が、通り魔の暴力により殺害された。
しかし、殺害場所、殺害方法、死までの経過は、謎に満ちたものだった。
それを解明すべく、男は独自に調査を始める。

藤原伊織らしい丁寧かつ誇り高い文章である。
洋画を和訳したようなジョーク的なセリフをはさんだり、
主人公はちょっとアウトローながら気高い。
それでいて、軽さも嫌味もなく、地についた重厚感がある。
まさに、藤原伊織スタイルそのものである。
そこらのあふれる凡庸なミステリ小説とは格が違う。

この作品では、コンビニ業界の組織構成や仕組みなどが
丹念に描かれており、これだけでも結構面白い。
説明するような書きぶりではなく、
会話の中で表したり、出来事に絡めてさり気なく書いているのが良い。
力みを感じさせずに、力のあるところを見せられた。

とある東証二部上場企業の社長、三上が大きな役割を果たす。
強面スキンヘッズの寡黙な男の設定ながら、
非常に捜査に協力的で、随所に腰が低すぎないかと、
イメージが一致しないところもあった。
ちょっと都合の良いキャラ設定かなと。

また、50代の刑事が、終始いやらしい味を出して、
物語にまとわりついてきたのに、
クライマックス・シーンからは遠ざかったのが残念。
最後に何かの形で生かせなかったのかと思った。

とはいえ、藤原伊織作品は、どの作品を読んでも、
失敗のない一定のクオリティがある。
特に、人生の下り坂にある中年男の悲哀や意地、
そこに過去との清算みたいなもの絡ませるスタイルは、
彼の右に出る作家はいないだろう。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

以上、3冊の感想を書き終えたが、
空は相変わらず、「いつでも降らせることができるぜ」的に
スタンバイが完了している状態である。
不用意に外には出られない。
かといって用意をするのも面倒だ。
しかし外に出たがっている。
だって今日はサタデナイだぜ。
週休二日制が当たり前のように浸透した今でも、
私はフライデナイより、サタデナイの方が魅力的だ。

空と相談するのはやめて外に出よう。
でも、何かいいことがあるだろうか。
やっぱりおとなしく家にいようか。
まずは考えるのをやめることだな。
こうして、土曜の午後は過ぎていく。

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天気良くないですね~!
留萌まで遠出しませんか?

今日、明日はFMもえるで24時間ラシオやっています!!

是非聴きに来て下さい!!
【2009/06/06 15:31】 URL | D・H・T #-[ 編集]

24時間ラジオを聴きながら、会社で仕事中の私です。
ネギは嫌いだけれど、タマネギは好きな私です。
こちらもいつでも降らせる準備は出来ているような空が、湿度だけを上げていますよ。

読書、良い時間の使い方だと思いますが。
しばらく活字に触れていない私でした。
【2009/06/06 16:23】 URL | yoshimi #-[ 編集]

D.H.Tさん、コメントありがとうございます。
24時間レディオは無事終了したのでしょうか。
思えば、留萌を後にする時も、24時間レディオを放送していました。
あれからちょうど2年経ったのだなと、しみじみ思います。
今もこうしてつながりが持てるのは、非常にありがたいことです。
そして、黄色いタクシー、バンザイです。

Y.S.Mちゃん、コメントありがとうございます。
君はジャンル的に、夜のNHKニュースのお天気キャスターを
担当するである半井(なからい)さんに、フェイス&ヴォイスが近いタイプだな。
今日の飲み会で、ラーメン知人・迷犬チーズは、
「NHKでは菅井貴子さんですよ。彼女がずっと北海道に
いてくれることに感謝、そしてハピネスです」と、熱く語っていました。
確かに菅井さんも素敵な方です。
オーロラタウンで偶然彼女とすれ違ったとき、
「おっ!菅井さんだ」と、ハッとしてGOODした私ですが、
Y.S.Mちゃんのフェイス&ヴォイスは、その衝撃を超えるでしょう。
しかし君は人妻だ。
オレの分まで幸せになれ。
【2009/06/09 00:13】 URL | クグエSW #-[ 編集]

お昼に銀波露でみそら~めんを食べました。何年も前から食べたかったお店だったので感無量。おいしいね。

ちなみに今もいるかわかりませんがNHK室蘭に3月までは確実にいたアナウンサーにはドッキンチョでした。たまにやる夕方の地域のニュースの支局リレーでしか見れませんでした。
【2009/06/09 01:53】 URL | タピオカ鈴木 #-[ 編集]

タピさん、コメントありがとう。
室蘭アナの件ですが、今いるかどうかがわからず、
名前も知らないならば、全く確認のしようがないですね。
北広島の中華食堂に続く、どうにも対応できない情報ありがとう。
こうしたことの積み重ねが大事なのです。

NHKアナウンサーかつ留萌がらみの話をひとつすると、
NHK日曜夜の「サンデースポーツ」の司会をしている女性アナウンサーは、
FMもえるパーソナリティの中心人物である青島なつきさんに似ています。
正しく言うと、顔が似てるというより、全体のつくりが似ています。
よろしくお願いします。
【2009/06/09 23:36】 URL | クグエSW #-[ 編集]















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メールを長続きさせる基本とは?精魂込めて書いたファーストメールで返信がもらえたらとてもうれしいですよね。返信メールには質問の答えや反対に質問などがあるかもしれません。だんだんワクワクしてきますね。こんな気持ちにさせてくれた相手へのセカンドメールには必ず... ありあんす【2009/06/06 17:09】

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