ヘルニア再発により苦しんでいたが、
ドラッグ服用とリハビリ開始から2週間を経過し、
症状は快方に向かっている。
通院しているのは、地下鉄
ところにある整形外科専門の病院である。
非常に行きやすく、過ごしやすい雰囲気の病院である。
ただ、この後の文章で書くことは、
病院にとっては歓迎されないこともあるかもしれない。
よって、病院名は控えておく。
この病院は、リハビリにかなり力を入れているようで、
スタッフの人数もリハビリ機器も充実している。
スタッフは20代後半から30代半ばくらいの男性が中心で、
皆元気で、リハビリ室内に活気がある。
リハビリ室に入ると、スタッフは皆、
「こんにちは~!」と大きな声で出迎える。
私を呼ぶ時も、「クグエさ~ん、こちらへどうぞ!」と、
力のある声で案内する。
いわば、体育会系的なノリを感じる。
こうした雰囲気は、基本的にはよろしいと思う。
元気よく接するようにとの病院としての教育が
行き届いているのを感じる。
例えば、スタッフの一人が
「Aさん、今日はこれで終わりです。お疲れ様でした!」と言うと、
他のスタッフ達も、それぞれの持ち場から「お疲れ様でした!」と
張りのある声を上げる。
患者のほとんどが良い印象を持っているだろう。
ただ、そうしたノリが私にとっては小さなネックでもある。
例えば、私が電気治療のため、5番のベッドに案内される時、
「クグエさん、5番ベッドにはいります!」と、
あるスタッフが大きな声で言う。
すると、別のスタッフが「ウェーイ!」と張りのある声で応える。
室内のあちこちから、「ウェーイ!」が聞こえてくる。
誰がどのベッドで何の治療をしているのかを
しっかりと確認している意味では望ましいのだが、
「クグエさん、5番ベッドにはいります!」、「ウェーイ!」の
やりとりは、居酒屋かキャバレー的なノリを感じてしまうのだ。
電気治療をしている時、少し電気が弱めだったため、
強めに上げてもらおうと、スタッフに声をかけようかと思った。
しかし、スタッフにそれを要望したら、
「よろこんで!」と言われるのではないかと想像し、
声をかけるのを控えた時もあった。
スタッフ達の「ウェーイ」があちこちから聞こえてくると、
草野球のグラウンドにいるような錯覚もおぼえる。
こうした体育会系、居酒屋的なノリにおける「勢い」が、
時にがさつに感じ、きめ細やかさを疎かにすることもあるだろう。
また、これも病院としての教育だと思うが、リハビリの前に、
「腕と足の痛みはどうですか?良くなってますか?」と、
必ず声をかけてくれる。
基本的かつ重要なコミュニケーションであり、それを必ず実践してくる。
ところが、こちらの反応を受け流しがちなのだ。
「腕と足の痛みはどうですか?良くなってますか?」
「まあ、少しずつ良くなってる感じはします。
痛みのない時間が増えてきたので」
「じゃあ、スイッチ入れます。なんかあったら声かけてください」
そう言って、牽引する機械のスイッチを入れて立ち去っていく。
私の言葉は、どう収めたらいいんだ。
「そうですか、良かったですね」くらい言ってくれ。
言葉のキャッチボールをしようぜ、せめて2往復くらい。
まるで私が暴投したかのようではないか。
などと書いたものの、リハビリ室の雰囲気は明るく前向きでよろしいし、
看護師も親切で、病院全体として雰囲気は良い、
受付・会計の女性陣の無愛想さを除けば。
言葉のキャッチボールといえば、
中年にもなると、病気や健康の話をする機会が増えてくるもので、
職場においても、「リハビリ通ってるんだって?」などと
声をかけてくれる人もいる。
ただ、声をかけてくれた後、こちらの話は無視して、
自分の病気経験や治療経験の話ばかりを延々とする。
しかも、「その話、前にも聞いたわ」という内容である。
そして、何回も同じ話を繰り返す。
「もう、その話わかってるから」と思いつつ、
どこで話を切ろうかとばかり考える。
話からやっと逃れ、席に戻り、隣に座る中村NBRに愚痴る。
「○○さんなら、自分の話しかしないからな。
しかも、あの話、5回くらい聞いてるっての。
ほんと同じこと、何回も繰り返すんだよ」
すると、中村NBRは言った。
「その愚痴は10回くらい聞いてますね」