ADMIN TITLE LIST
寒い季節は、昼食の際、職場から出ないことが多い。
2008-2009冬は、そんな時、読書をすることが多い。
昼休み中の職場内は、節電対策により、
全ての照明が消されている。
文字が見えにくく、結構読みにくい。
天気の悪い日は、窓際の席に移動して読んでいる。

このように職場での読書環境は良くないが、
意外に読めるものである。
ただ、集中が高まり、物語の中に入り込めたところで
昼休みが終わることが多い。
たまに午後から仕事を休んで帰ろうかと考える時もある。
しかし、そうやって帰ったとしても、きっと読書はしないのだ。
ある程度のストレス状態と、ある程度の不自由環境にあるから、
読書欲求が高まるのだろう。
人間の精神は複雑なものだ。

さて本日は、1月中に読んだ本の中から3冊を紹介。
いずれも2008年に出版された作品である。
では、どうぞ。

■五十嵐貴久/相棒
   五十嵐貴久/相棒 
最初に念のため申し上げておくと、
右京さん&薫ちゃんの「相棒」とは全く無関係である。


時は幕末。ところは京都。

第十五代将軍 徳川慶喜は、大政奉還の協議をするため、
西郷隆盛のもとへ向かう。
その道の途中、徳川慶喜暗殺未遂事件が起こる。
この犯人捜しに抜擢されたのが、
新撰組副長 土方歳三と海援隊隊長 坂本龍馬。

幕府を守る立場の土方と、大政奉還を唱える龍馬という、
立場も性格も相反する二人が、幕府の命令によりタッグを組むことに。
しかし二人は、互いを信用できず、
探り合っては揉めるばかりで、犯人捜しは難航する。

ところが、同じ目的に向かって、同じ行動をとると、
何かが通じ合ってくるのだろうか。
二人は次第に、トム&ジェリーよろしく、仲良く喧嘩しているように
なってくる。
そして最終的には互いを認め、協力し、この作品のタイトルどおり
「相棒」と呼べるところまで仲を深めていく。

二人は犯人捜しのために、西郷隆盛、桂小五郎、岩倉具視など、
幕末スター達に話を聴きに行く。
しかし、ただ話を聴いているだけで、ぐさっと入り込んでいかない。
そのため、犯人捜しというミステリ部分に着目すると、
劇的な場面や、興奮シーンに乏しく、淡々としたものに感じる。

また、犯人は誰なんだ?と読者を引きずり込んではくれるものの、
最も盛り上がるべきところで、あっさりと犯人が
判明したような気がして、肩透かし感は否めなかった。

ただし、幕末の事情を記した物語として読むと興味深い。
幕府と各藩の上下関係のようなものが見えたり、
新撰組というのは、立場上、そんなに上じゃないことなど、
さりげなく面白く描いてる。
幕末のことをもっと知りたい気持ちになったし、
歴史モノのわりには、読みやすかった。
作者である五十嵐貴久の作品は初めて読んだが、
とりあえずもう一冊、現代ミステリを読んでみたい気になった。

■恩田陸/猫と針
恩田陸/猫と針 
出演者は30代後半の5人(男3人・女2人)。
彼らは高校時代の同級生。
彼らの同級生が亡くなり、5人で葬儀に参列。
10数年ぶりに再会した彼らは、参列後、酒を飲み始めた。

話題は、亡くなった同級生が他殺だったのでは?との疑問に。
その後、トイレに行ったり、携帯に電話が入るなどして、
5人のうちの誰かが、常にそこにはいない状況が繰り返される。
そして残った者で、そこにいない者の話をする。
ミステリ作品であるがゆえ、当然、陰口めいた話になってくる。


次第に、5人それぞれが抱えている厄介事が、
亡くなった同級生と微妙に関わっていることが明らかになっていく。
場は不穏な空気に包まれていき、
疑惑が渦巻いていく、というストーリー。


この作品は、5人の会話のみで構成されている。
いわば舞台劇ができるような台本形式になっている。
5人それぞれの過去と現在をうまく絡め、
誰もが怪しい状況を築いていく書きぶりはさすが。
短い時間のうちに、「そこにいない者の話をする」という
シチュエーションは、読み手の緊張感も高めてくれる。
そして、どんな結末が用意されているのかと、
気持ちは引き寄せられた。


ところが、である。
結末がぼやっとしていて、よくわからないのだ。
あれだけ引っ張ったわりに、終盤が淡々としていて、
これで終わりなのか?と腑に落ちなかった。
しかし、設定は面白いし、心理的サスペンスとして楽しめる。
また、作品が短いこともあり、一気読みできる。

■吉田修一/さよなら渓谷
吉田修一/さよなら渓谷
東京郊外の小さな町で起こった幼児殺人事件。
その犯人ではないかと容疑をかけられた母。
彼女と事件の関係が物語の軸になるのかと思いきや、
主人公は、彼女の隣りの家に住む30代の夫婦である。

幼児の母は、警察の事情聴取において、
隣の家の夫と男女の関係にあったと供述。
この夫の妻も、警察に対し「二人はデキていた」と説明。
一気に、夫は共犯、あるいは教唆をしているのではないかと
注目が集まっていく。

そんな中、ある週刊誌の記者が、夫の過去を洗い始める。
すると、大学時代に、ある事件の加害者だったことを知る。
さらに、妻の過去にも不穏なものがあることに気づき、
とんでもない現実にぶち当たる、というストーリー。

加害者、被害者とも、過去の事件によって背負うものの重さと、
周囲のしつこさと自らの引きずり意識に、息苦しくなる箇所もある。
全てから解放されようと、自由になろうと、
幸せになろうと望んでたどり着いた生活は、
あまりに辛く切ないものだった。

文章自体は非常に読みやすい。
テンポ良く、それでいて丁寧に描いているためわかりやすいし、
先を知りたい欲求を高める書きぶりにもなっている。
そのため、すぐに読み終わった感がある。
実際、面白かったし、引き込み力もあった。

ただ、内容の重さ、複雑さのわりに、さらっとした感触だった。
「この先が面白そうなのに」というところで終わった感じがした。
作者・吉田修一の前作、「悪人」における負の沈殿ぶりが
壮絶だったので、本作への期待が高かったという事情もあるが、
他のエピソードなどを交えて、もっとえぐってほしかったかなと。
良くも悪くも、はみ出し感がなく、まとまり過ぎたかなと。

「あんな事件を起こした俺を、世間は許してくれるんです。
 
許すというか、理解しているのが分かるんです。
 だから、俺も自分で自分を許そうとしました。
 許さなければ、許してくれる人達の中に入れなかったんです」
夫のこの言葉が非常に印象に残った。

そう、「許すとは?」ということが、この物語の根底にあるのだ。

そして、「許すこと」と「幸せになること」の狭間で、
非常に切ないエンディングを迎える。
こうして感想を書いていたら、
さらっとしていながらも、なかなか深みのある作品だと、
今になって思えてきた。

誰しも、どうしても許せないことがあるかもしれない。
「許さない」という気持ちは、時にはパワーにもなる。
しかし、多くの場合、許すことなしには、
本当の意味で前に進めないのかもしれない。
許すことは、ある意味、成長することなのかもしれない。
だから、許すことはとても勇気のいることなのだ。
スポンサーサイト

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌



















管理者にだけ表示を許可する



今日はとても面白そうな商材を見つけたので、紹介いたします。突然ですが、あなたには、こんな経験がありませんでしたか? ・初対面の女性と、盛り上がりたいのに盛り上がれない ・女性と話していると、ネタが尽きてしまい、沈黙してしまう ・自分は口ベタなので、話し... ありあんす【2009/02/08 15:45】

| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 トゥナイト今夜もRock Me Baby, All rights reserved.