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本日は、映画の感想文である。
これまで、映画やDVDの突っ込んだ話はしてこなかった。
なぜなら、私はあまり映画やDVDを見ないからである。
映画館に行くのは年に1、2回であり、
DVDも滅多にレンタルせずに、この数年を過ごしてきた。

特に洋画は、誰が誰だかわからなくなることが多く、

人の区別がつかなくなると、ストーリーもよくわからなくなるわけで、
結果、集中が途切れて最後まで見られないのだ。
ハリーポッターやロード・オブ・ザ・リングなど
子供でも見られる映画でさえ、
わけがわからなくなって、途中でリタイアした経験を持つ。


しかし、映画をあまりに見ないことは、
クグエ・カルチャーを底上げできないことにつながる。
「生活に幅を、人生に深みを、君には愛を」を標榜して
生きていくならば、決して望ましいことではない。
そこで、一昨年あたりから、思い立ったときに映画やDVDを見ようと、
自分の中で意識するようにしてきた。

振り返ってみると、この1、2年の間に見た映画作品にも、
「いいなぁ」と思うものがいくつもあった。
さらに、洋楽CDレヴューよりも、良かった本の紹介よりも、
映画・DVDの方が、読者の皆さんの受入範囲が広いのではないかと
思ったことから、
今回の記事に至ったわけである。

ただ私は、大ヒット作やメジャー作に食指を動かされない。

さらに、前記のとおり、洋画に対する苦手意識がある。
そのため、不完全キャラゆえの偏った傾向の作品を
チョイスすることになるだろう。
映画好きの方なら、今回紹介する3作だけで、
私がどういうタイプの作品が好きかが見えるだろう。
こういった点にご理解とご容赦をいただくことを願いつつ、
お送りさせていただく。


■かもめ食堂
2006年作品。ミニ・シアターのみの上映ながら、
口コミで話題が広がって大ヒットした作品。
「マイペースに生きる40歳女性のほのぼの映画なんだろ」的な
噛み応えのない作品かと勝手に思い込み敬遠していた。
ところが昨年終盤から、心身ともにダウン傾向で、
「刺激などいらん。安らぎをくれ!」状態だった私は、
ある日突然、この作品を見てみたくなった。

かもめ食堂 
主人公の女性(小林聡美)は、フィンランドで、
おにぎりをメインにした食堂を経営している。
ほとんど客が来ない店だが、焦ることなく、
あるがままに自然に振る舞う小林聡美の優しさに触れ、

次第に様々な人が来店するようになる。

来店する客は皆、個性的で、一風変わった人も多い。
かといって、驚くような特別な出来事があるわけではない。
単なる食堂日記である。
特別な言葉があるわけでもない。
徹底して食堂を経営する小林
聡美の日常を描いているだけである。
なのに、どういうわけか印象深い作品だった。

小林聡美の、ひとつ超えた感じの「きびきび」とした雰囲気が、
この作品の大きな軸になっている。
そのきびきびさが、暖かさと安心を与え、
特別な言葉も特別な出来事もないのに、ぐっと惹きつけるのだろう。

それと特筆すべきは、映画全体にわたり静かなこと。

ほとんどバックに音楽を流さず、日常の雑音も目立たないように
しているのが、逆に何気ない会話に厚みをつけたように思う。
そんな中、要所で井上陽水の「白いカーネーション」が流れる。
これが結構琴線に触れた。
この映画に相応しい最高の選曲だった。
特に、小林聡美が一人、プールで泳ぐシーンで使ったのは絶妙で、
切なくて優しくて、哀しくも愛おしくもあり、
非常に心に残るシーンだった。


どうしてこういう設定なのかなど、色々と疑問は感じてくる。
しかし、そのあたりは一切掘り下げず、淡々と物語は進む。
不必要にほじくらず、いい意味で無駄を省いた構成が、
この作品を端正なものにしたと思う。

ラストシーンも素晴らしい。
小林聡美のセリフで、すぱっと陽水の「クレイジー・ラブ」に
入れ替わる。

その潔さが、「まだ見ていたい」という気持ちにさせるとともに、
「いい映画だったな」という後味の良さを演出した。

■転々
テレビドラマをほとんど見ない私は、
全話を見るドラマは、年に2、3作である。
そんな私を夢中にさせたテレビドラマのひとつが、
2006年1月から放送された「時効警察」だった。
その頃私は、DVDレコーダーを持っていなかったため、
飲み行為等により見られない時は、当時の同僚、スミス西野氏に
録画をしてもらってまで見たほどである。

この映画は、「時効警察」と同じく、
監督が三木聡、そして主演がオダギリジョー。
さらに、岩松了、ふせえり等、時効警察キャストもちらほら。

転々 
大学8年生のオダギリジョーは、
三浦友和扮する貸金業者から84万円を借りていた。
なかなか返済できないオダキリに対して、ある時、三浦から、
「借金は帳消しにしてやるから、その代わり、俺がいいと言うまで、
散歩に付き合え」と言われる。
そして、何日にもわたって、東京のあらゆる箇所を散歩する、
というストーリーである。


設定が不可解だったり、「普通そんなことはしないだろう」的な場面は
数多くあれど、見ているうちに、理屈抜きで受け入れてしまい、
一緒に散歩しているような気持ちで見られた。
その大きな要因は、東京の下町や裏通り的な場所を、
田舎のマチっぽくフィルムに収めていることだろう。
「東京って、ほっとする場所だよね」と言いそうになる雰囲気があった。

また、時効警察にも共通するが、
本筋ではない、どうでもいいところに食いついて小さく笑わせたり、
例えば、映像のバックに映る通行人や店の看板などが、
どう考えても普通じゃなかったりと、
小ネタがさり気なく散りばめられているのも、ハートをくすぐった。
「わかる人だけわかればいい」と、開き直ったり、
投げやりになっているのではなく、
そこはかとなく、楽しんでやっていることが感じ取れるからいいのだ。

岸部一徳の起用の仕方がすごくいい。
ストーリーとは直接関係がないのに、かなりポイントになっている。
吉高由里子という若い女優も、なかなかいい働きをしていた。
そして、やはりオダギリジョーである。
ひょうひょうとして、とぼけた感じだが、
アーチスティックで、
かつ、どこか品と知性を感じさせるところを
以前から評価していたが、
そうした彼の個性が良い加減で表現されている。
声と語り口も素晴らしく作品にマッチしている。

全体的には和やかでコミカルな内容でありつつも、
後半は、家族や人生というものを考える場面があり、
胸がキュンとなったりで、さらりとほろっとさせる良い作品だった。

■腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
両親が亡くなり、東京から山に囲まれた田舎に
帰ってきた姉(佐藤江梨子)。

彼女は、女優を目指して上京したが、傲慢かつ自分勝手な素行から
全くうまくいかず、しばらく田舎で暮らすことに。
やがて姉の勘違いバカ女ぶりに、周囲の誰もが巻き込まれていく。
同時に、この家族の秘密が明らかになっていく、というストーリー。

   腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 
すごく面白かった。
最初はぼけっと見ていたが、途中から釘付けになった。

誰一人まともではなく、誰一人救われない奇妙な物語だが、
ブラック・ユーモアと、それゆえの滑稽さが絶妙。
そこに閉塞感、不安定感、緊張感が絡み合い、
無駄なく、テンポ良く、
興味を緩ませることなく
最後まで引っ張っていく。


映像上の田舎の景色の美しさにも惹かれる。
長閑なのにもかかわらず、鮮やかに、シャープに撮っているところがいい。
そして、長閑であるがゆえ、東京かぶれの佐藤江梨子の
上滑りジタバタ感が際立って表現されている。

ラストの路線バスのシーンは、どこにもたどり着けない、
どこにも逃れられない、そんなどうしようもない雰囲気があふれ、
そこに、チャットモンチーの「世界が終わる夜に」が静かに入ってくる。
この作品にしっくりと、そして、ぴったりとはまる選曲であり、
エンディングのじわっと押し寄せる感情を高めた。

勘違いバカ女を無理なく演じている佐藤江梨子の凄さをはじめ、
鬱屈した薄暗い妹役の佐津川愛美、
煮え切らずいつもイライラしている兄役の永瀬正敏、
痛いほど健気で、奇妙なほどにお人好しの(永瀬の)妻役の永作博美と、
それぞれが、立場をわきまえた、バランスのいい演技をしており、
裏を返せば、役者起用が大正解だったともいえる。

特に、永作博美は気味が悪いほど熱演をしている。
永作博美の、ここ3、4年の女優としての評価はうなぎ登りである。
ただ私からすれば、見ている者を不快にさせるような嫌~な女性を
演じることが多く、また色気がないキャラにもかかわらず、
ラブシーンが多いなど、芝居とは理解しつつも、
痛々しく思えて受け入れられないでいた。
「もう少し仕事選べば。もう選べるポジションにいるんだから」と
彼女にいつか言いたいと思っていた。

ただ、彼女は、笑顔の裏側に潜む不気味さやいやらしさを演じるのが
持ち味であり、それに自分で気づいたからこそ、
各方面で高い評価を得ているのだろうし、
女優としての、ひとつのポジションを確立できたのだろう。
自分の特性に気づき、それを使う術を見つけた人は強いですな。

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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画





私も映画はそれほど観ないのですが、
気に入ったものは複数回観てしまうクセがあります。
1月はストーンズの「シャイン・ア・ライト」を
映画館で3回も観てしまいました!
オッケイオーライ!
でも、ビートルズ派なんですけどね。
もっと言えばポール・ウェラー狂いなんですけどね。

「かもめ食堂」観てみたいです。
誰か友人でDVD持っている人を探したいと思います。
【2009/01/31 20:40】 URL | マキシ #-[ 編集]

マキシさん、どうもありがとう。
ストーンズの同じ映画を3回も見るとは、やはり相当なロック野郎ですね。
「さらば青春の光」、「イージーライダー」、「爆裂都市」のいずれも、
途中で何が何だかわからなくなって、数回トライしているのに、
未だに最後まで見ていない私は恥ずかしいです。
ビートルズ映画もひとつも見たことがないのです。
まさに私は、非正規ロック野郎です。

それと、「かもめ食堂」をレンタルせずに、持ってる人を探すところが、
マキシさんの生活スタイルがかいま見られて、大変よろしいと思います。
【2009/02/01 22:18】 URL | クグエSW #-[ 編集]















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