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風邪をひいた。
大晦日から、その兆候があり、
1月2日は完全にダウン状態だった。
風邪に伴う頭痛と筋肉痛のため、
ほぼ横になって一日過ごした。

特に、体中の神経に刺激が及ぶのだろうか。
頭や鼻、のどは当たり前としても、
脇腹や歯ぐきまで、腫れてるかのようにヒリヒリしていた。
体調が悪いときは、眠っても眠っても眠れるもので、
2日は、本を読んでは眠ることの繰り返しだった。
その甲斐あってか、本日(3日)は、かなり回復した。
なので、ブログも更新できるわけである。

さて本日は、本の紹介である。
伊坂幸太郎の2007年11月の作品、
「ゴールデンスランバー」を紹介する。
第21回山本周五郎賞(2008年)受賞、
第5回本屋大賞(2008年)第1位、
「このミステリがすごい!2009」第1位など、
賞を総ナメにした感のある、
2008年における文学界の代表作である。


札幌市の図書館に、この本を昨年5月に予約。
ところが、予約数が千件を超えていた。
案の定、いつまでも順番がまわって来ず、
11月末時点でも150人待ちであったため自ら購入した。

伊坂幸太郎作品は、これまで10作くらい読んでいる。
留萌に住んでいた頃(H16.4~H19.5)は、
留萌市立図書館にあった伊坂作品を全て読んだ。
札幌に転勤してからも、地味に図書館で借りて読んでいた。
そのため、彼の作品を買ったのは、本作が初めてである。

彼の作品は、はずれがない。
物語の土台が安定しており、非常にわかりやすい文章で、
サクサクと展開し、しっかりとオチも用意されている。
ところが、登場人物の雰囲気やセリフがキザに感じ、
完全に吸い込まれることはなく、
ちょっとした距離感をもって読んでいた。

また、社会の悪に対する信念は評価しつつも、
意外に、ばさっと斬り、ぐさっと突き刺すところがあり、
本来泣けるシーンや、じーんとくるシーンを、
素直に受け止められないこともあった。
それが、面白いのに借りるだけで、買えずにいた最大の要因である。

アヒルと鴨のコインロッカー 
ただ、彼の2003年の作品、「アヒルと鴨のコインロッカー」は
非常に印象に残る良い作品だった。
夢中になって読んだ記憶がある。
2000年代を代表する作品だと思うし、
伊坂ビギナーには、迷わずこれを薦めてきた。
文庫を買って再度読んだし、映画も見たほどだ。

ちなみに、非常によくあるパターンだが、
映画より本の方が数段面白い。
とはいえ、本を読まずに観たら、結構面白い出来かもしれない。
それと、主演の瑛太という俳優は、もう少し年齢を重ねたら、
渋さとコミカルさを兼ね備えたいい俳優になるだろうと感じたし、
身のこなしがカッコいいので、
アクションものをやってもらいたいと思った。

伊坂幸太郎/ゴールデンスランバー 
で、今回の「ゴールデンスランバー」であるが、
「アヒルと鴨のコインロッカー」を超えたかなと思える
素晴らしい作品だった。

舞台は仙台(彼の作品はほとんど仙台が舞台)。
主人公は30代前半の男と仙台在住の主婦。
この2人は大学時代、同じサークルの仲間だった。
現在は、10年近くも会っていない。

ある日、仙台市内で行われた首相のパレード中、
首相が爆発物によって殺された。

主人公の男は、この事件とは全く無関係である。
にもかかわらず、どういうわけか犯人に仕立てられてしまう。
そして、警察から追われるはめになる。

最初は、警察に出頭し、犯人ではないと話せばわかるのでは?
と考える。
しかし、国家的な陰謀であることに気づき、ひたすら逃げ回る。
張り巡らされた警察の網を、
果たして男は逃げ切ることができるのか、というストーリー。

まず、物語の進め方が上手い。
余計なところを排除しつつも、適度に深みを与え、
スリリングに息をつかせずに読ませる。

登場人物はそれなりに多い。
しかし、それぞれの特徴を簡潔にエピソードを交えて
描いているせいか、イメージしやすく、
誰だかわからなくなって混乱することもない。
しかも、単に演出として登場させたと思っていた何人かの人が、
後半かなりいいポイントで再登場するなど、生かし方が巧みである。

前半に撒かれた「伏線」と思われる種も、
中盤から後半にかけて、きれいに刈り取ってくれる。
いくつもの点が、しっかりと線になるような展開の積み重ね方は、
卒がなく、実に丁寧である。
この点だけで感動するし、感服する。

それでも問題点を2点述べたい。
1点は、ネタバレになってしまうが、
国家的な陰謀の正体が結局わからないこと。
真相が中途半端なまま終わってしまった感がある。
この点の興味に導かれて、読み進めたともいえるため、
「え!終わっちゃうの?」的な肩すかしな気持ちが残ってしまった。

アビーロード 
もう1点は、「ゴールデンスランバー」というタイトルである。
「ゴールデンスランバー」は、ザ・ビートルズの
晩年の名作「アビーロード」に収録されているバラード。
「once there was a way to get back homeward」、
訳すると、
「かつては故郷へと続く道があった」という歌詞で
始まる美メロソングである。

既に分裂状態にあったビートルズの4人を、
またひとつに戻れればという気持ちで作られた、
ポール・マッカートニー作品である。
短い曲ながら、ポールの迫力を感じる壮大なバラードである。

主人公の男が犯人に仕立てられ、逃亡する過程で、

今は全く疎遠になっていた大学時代のサークル仲間が協力してくれる。
そうした点から、このタイトルをつけたのだと思われるし、
話の途中で、何度となくこの曲の歌詞が引用される。
しかし、ストーリー全体を通してみると、この曲との関連性が薄く、
ちょっと、こじつけっぽいかなと。

ちなみに、「アヒルと鴨のコインロッカー」では、
ボブ・デイランの「風に吹かれて」が軸になっている。
伊坂氏は、音楽が本気で好きなのかもしれない。
ビートルズの数ある曲の中から、ゴールデンスランバーを
テーマにしたのは、ビートルズ・リスナーからすれば、
にやっとさせられるだろう。

2カ所、完全に涙腺を緩まされたところがある。
「くるぞ、くるぞ」という涙ではない。
突然、思いがけず「はっ」とさせられて、
一瞬にして涙がこみ上げてくる感じである。

1か所は、主人公の男が、車のサンバイザーに挟んだ
「オレは犯人じゃない」と書いた紙きれに関するシーン。
もう1か所は、ラストのエレベーターのシーン。
主人公の男は、エレベーターのボタンを、
親指で押すクセがあった。

胸がぎゅっと締めつけられ、声を出して泣きそうになる。
この2つのシーンでの切ない気持ちを味わうだけでも、
読む価値がある作品かもしれない。

また、この作品の重要なキーワードになっている
「人間の最大の武器は習慣と信頼だ」というセリフが、
要所で生かされている点も素晴らしい。
例えば、ラストのエレベーターでの泣けるシーンも、
主人公の男が、エレベーターのボタンを
親指で押すクセがあったことを見事に引用している。
伊坂幸太郎は、この作品で、ひとつ格が上がったと感じさせるほど、
実力を見せつけられた好作品だった。

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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌





クグエさま

あけまして おめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします。

風邪はすっかり治りましたか?
2008年の疲れがたまっていたのでしょう。
周りにとても気遣いするクグエさんだから
気づかないうちに疲労していることがあると思いますので
ご自愛くださいませ。
私はとても元気ですよ。
【2009/01/04 19:38】 URL | なつき #-[ 編集]

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【2009/01/04 23:27】 | #[ 編集]

なつきさん、昨年もお世話になりました。
ぜひ今年も、なんらかの場でお会いできればと思っています。
まずは、お元気でなによりです。

12月下旬に、札幌で「五の一」という店に行った際、
留萌のタコを網で焼いたのを食べましたが、
信じられないくらい美味しかったです。
考えてみれば、このブログで留萌のタコをリポートしていないと思い、
新たな目標ができました。
今年も、よろしくお願いいたします。
【2009/01/04 23:51】 URL | クグエSW #-[ 編集]















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