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10月3日、職場の歓楓会の席上、
アコースティック・ギター1本で歌った。
2曲歌った。

前回の記事で書いたように、
歓楓会前日、思いがけず長時間の睡眠をしてしまい、
全く練習をせずに歓楓会当日の朝を迎えた。
私は動揺した。
その動揺を、10月3日朝のブログに書いた。

ブログを書いた後、一旦落ち着いて、
この状況における対応策を考えてみた。
結局は、これから練習するか、歓楓会で歌わないことにするか、
その2つしかなかった。

職場に行く恰好に着替えながら、どちらにするかを考えた。
しかし、焦りと不安から、心ここにあらずで、
靴下を履いたと思ったら、違うのに履きかえたり、
夕方までは3時間に1本しか吸わないことにしている煙草を、
1時間に3本も吸ったりと、
何も考えられなくなっていた。

そのうち、どんなことをしても、
職場の始業時刻には間に合わない状況になった。
対応策は何ひとつ決められない。
しかし、とりあえず1時間休みをとることは決めた。

職場に電話をした。
M美(エムミ・高身長ガール)が電話に出た。
「クグエです。おはようございます」
「ああ、おはようございます」
「朝、1時間休みます。
 えっ?どうしてかって?
 イカレちまってるからさ」
「ああ…、イカレちゃったんですか?」
「そうそう。歓楓会の余興のことを考えたら、焦っちゃってね。
 気持ちを鎮められなくて、仕事をできる状況じゃないんだよ」
「1時間で鎮まりますか?」
「鎮まらないよねぇ、そうだよねぇ、よくわかってるね。
 2時間でお願いします」
「わかりました」
「ああ、そうだ。山下MSTいる?」
 
山下MSTと中村NBRは、歓楓会の席で漫才をする。
二人も仕事に追われ、初の打合せが10月1日だった。
そして、テンションが上がらないと嘆いたり、
「辞退しようかな」的発言もしていた。
そこで、彼らの準備状況を聞き、進んでいないようであれば、
一緒に辞退しないかと提案しようと思ったのだ。

山下MSTが電話に出た。
「あのさ、漫才、今日ほんとにやるの?」
「やりますよ」
「昨日、結構練習したの?」
「(夜の)12時近くまでやりましたよ」
「まじか~!もう、ばっちりなの?」
「いやぁ、当たって砕ける感じですね」
「オレ、昨日、全然練習しないで寝ちゃってさ、
 辞退しようかなと思ってんだよねえ。
 今、軽いメンタル状態だからね」
「いやいやいや、一緒に砕け散りましょうよ」

辞退方向に気持ちが動いていた私だったが、
山下MSTの「一緒に砕け散りましょうよ」という言葉に胸をうたれ、
私はやる気になった。
それに、ブログでここまで引っ張っていながら、
「歌わなかった」と報告することは許されないと思った。

私は電話をきり、1時間近く、演奏する曲を整理した。
とりあえず5曲ほど用意していき、
あとは現場の雰囲気で決めることにした。
しかし、どの曲も中途半端にしか練習していないため、
全く自分のものにできず、完成度はかなり低かった。

職場では、1日中、軽いメンタル状態だった。
「あれ?朝いなかったよね。どうしたの?」と聞いてくる者もいた。
「余興の歌の練習してなくて、ショックで2時間休みました。
 ほんと、軽いメンタル状態、略して、カルメンですよ。
 バラを口にくわえたい気分ですよ」
と切り返したものの、虚しくなるだけだった。

中村NBRからは、
「歌ってる途中にエフノリさんや新開さんが
 眠ったら立ち直れないですよね」
「歌ってる途中にM美が誰かと会話し始めたら、
 最期まで歌えますか?」など、
いやらしいプレッシャーをかけてきた。

中村NBRが冗談で言ってるのはわかるが、
私はかなり不安になってしまい、
仕事中にエフノリや新開氏のところへ行き、
「オレ歌ってるとき、寝ないでね」と念押しに行ったり、
M美には、「もうダメだ」、「誰も聴いてくれないよなぁ」などと弱音を吐き、
ほぼ無理矢理、彼女に「楽しみにしてますよ!」という言葉を言わせた。
最低の上司である。
そうやって部下にすがって、なんとかモチベーションを高めていった。

歓楓会を行う新篠津村の「たっぷの湯」までのバスの中では
ビール1缶にとどめ、宴会でも、かなり酒をセーブした。
当初は、「歌→漫才→ゲーム」の順だと聞いていた。
ところが当日になって、「ゲーム→漫才→歌」の順にすると言われた。
そのせいで、宴会の最後まで酒をセーブするはめになった。

また、宴会の冒頭、幹事長から、
「宴会は午後9時で必ず引き払うよう、ホテルから強く言われている」と
説明があった。
宴会は午後7時にスタート。
ところが、ゲームが長引いた。
3人が何かを飲み、一人だけひどいものが入ってるというゲームで、
チームの一人だけが代表でやるのかと思ったら、全員にやらせた。
余興をやる時間がくなるのは必至の状況だった。

次のゲームに入る前、突然、幹事から、
「歌、先にぱっとやってもらっていい?時間なくてさ」と言われた。
この状況に、かなりモチベーションは下降した。
私は、「順番どおりやってください。
時間がなくなったらやらないことでいいです」と答えた。
もう全てが面倒になった。

ゲームが終わり、中村・山下の漫才となった。
彼らの漫才を見るのは、
3月の送別会、7月のエヌッチの結婚祝賀会に続いて3回目である。
過去2回は、熱心な練習の成果もあり、努力の後が十分に見られたが、
漫才中に目を閉じて眠ったフリをする者(ガリガリ君)や、
普通に会話し始める者(F地主査)など、厳しい環境があった。
また、漫才自体も、話の掘り下げや引っ張り方が足りず、
ネタの表面部分だけをすいすいと進めたり、
どストレートなオヤジ・ダジャレに走る傾向があった。
とはいえ、そうした完成されていない雰囲気が逆に面白かったりもした。
というか、盛り上げるために漫才をかってでる、その気持ちに対し、
私のなかでは称賛と敬意が尽きることはなかった。

今回は、漫才の構想及び練習期間が2日である。
そのため、過去2回より厳しい状況が待っていると思っていた。
最初は、大野係長をネタにした。
「大野係長は色々と大変ですね。
 この前も頭を抱えて、なんか言ってましたから」
「えっ、何て言ってたの?」

ここで出席者のほとんどは、オチを予測できたはずだ。
予測どおりの、どストレートなオヤジ・ダジャレを
安易に使ってしまうのか。
そのダジャレは、いくらなんでもNGワードだ。
それとも、何かひねってくるのか?
名字にひっかけたあの言葉だけは言うなよ、と思った瞬間、
中村NBRが言った。
「OH!NO!」

やってしまった。
いきなり、オヤジ・ダジャレど真ん中がきてしまった。
苦笑する人々。
ところが、その中で、ひときわ爆笑している者がいた。
上司であるABヒロフミ氏である。

思い返せばABヒロフミ氏は、2週間ほど前、
職場で数人で、麻生総理大臣就任の話をしていた時、
中村NBRが、こんな話をした。
「風呂に入ってたら、嫁が、総理大臣、麻生さんになったよ、って、
わざわざ言いに来ましてね。だから嫁に返事したんですよ」
その時も、どストレートなオヤジ・ダジャレを言うのではないかと、
危険を感じた。
あのNGワードだけは言わないでくれよと願った。
ところが、中村NBRはやってしまった。
「だから嫁に返事したんですよ。あ、そう、ってね」

どうしてくれんだよ、この状況!と突っ込もうとした瞬間、
少し離れた管理職の席に座るABヒロフミ氏が大爆笑。
しかも、ABヒロフミ氏は声が大きいから目立つ。
そう、ベタすぎるダジャレが大好きで、
しかも声が大きいというABヒロフミ氏の特性を、
中村NBRは漫才の「つかみ」に利用したのだ。

ABヒロフミ氏の大爆笑で、中村・山下は空気を引き寄せた。
それ以降の漫才は素晴らしかった。
話の引っ張り具合や、流れの作り方が見事で、
2日だけの練習とは思えなかった。
客いじりの手法も使ってきた。
また、山下MSTの突っ込みのタイミングが絶妙で、
相当な成長を感じさせた。
さらに今回は、中村が変顔をしつこいくらいに連発し、
そのしつこさのバランスが圧倒的に面白かった。

漫才の最後にサプライズがあった。
「今日の出席者の中に、結婚を予定している人がいます」と、
いきなり話し、M美を前に引っ張り出した。
M美の婚約は、同じ係の者は知っていたが、
課の人達には知らされていなかった。
予期せぬ展開にM美は戸惑いながらも、
「結婚します」と、柔らかい笑顔で発表。
一気に祝賀ムードになった。

そして、ついに私の出番がきた。
この時点で、8時53分だった。
やるべきかどうか非常に迷った。
時間内での切り上げがとにかく気になる幹事、
そして、突然の婚約発表。
この状況で、私はどうしたらいいのかと困惑した。

なんとなく、さっさとやってくれムードを感じた。
「なんだよ、結局やっつけ扱いか」と心の中で思いつつも、
M美の予期せぬ婚約発表で、やる曲を決めた。
斉藤和義「ウエディング・ソング」を歌った。

時間がないというので、トークはほとんどなしで歌い始めた。
練習していないこともあって、指が思うように動かない。
いきなり本番で、喉が全然あたたまってなく、
低い声がきちんと出ない。
低い声をきちんと出せないのはほんとうに辛い。
「全然ダメだ、恥ずかしいなぁ」と思いながら歌った。
さらに途中で、F地主査の話し声が聞こえ、心はぐぢゃぐぢゃだった。

しかし、ふと近くに目をやると、
M美が、エフノリが、新開氏が、前の方に来て真剣に聴いている。
彼らに救われた。
最後まで真剣に歌わなきゃいけないと思い直し、
曲の中に自分を置くように、胸の中に曲を置くように、
なんとか最後まで歌った。

ひどい出来だった。
にもかかわらず、「もう1曲やって!」の声と拍手。
あまりに不出来で、しかも時間がない中での展開。
またしても困惑していると、
幹事ではない中村NBRが、
「時間延長の許可とってきましたから大丈夫です」と、
粋なアシストをした。

もう引っ込みたい気持ちと、
ダメぶりを返上したい気持ちが交差する中で、もう1曲歌った。
多くの人が知っている曲をやろうと思った。
選んだ曲は「夜空ノムコウ」。

「ここ、新篠津のたっぷの湯は、いわば温泉ホテルです。
 スマップの曲は、ほんとは、
 温泉ホテルよりは、老舗の旅館の方が似合うんですけどね。
 え?どうしてかって。
 老舗の旅館とかけまして、スマップとときましょう。
 その心は、どちらもナカイさんが仕切ります」
こんなようなことを言ってから歌った。
ちなみに、ABヒロフミ氏の笑い声は聞こえなかった。
ちょっとした変化球には、手を出せないようだ。

「夜空ノムコウ」も、
「ああ~、歌えてないなぁ」と思いながら歌った。
ただ、2コーラス目からは、いい具合になってきた。
しかし、時すでに遅しだった。
歌い終わり、宴会はお開きになった。

その後、浴場や2次会の席で、
「もう1曲聴きたかったねえ。調子出たところで終わった感じでしょ」
と何人かから言われた。
やはりみんな、聴いていてわかるのだ。

2次会の席で、スティーブン平(たいら)課長が言った。
「最初にトークの時間がとれなかったのが、残念でしたね。
 クグエさんは、どか~んといくよりは、
 雰囲気を作りながら、じわっと広げていくスタイルですからね」
その通りである。
今回の敗因は、雰囲気を作れなかったことである。
宴会仕切りの悪さのせいとは言えない。
準備不足もあるが、それ以前に完全な実力不足だった。
実力のある人は、こういう状況でも、
それなりのクオリティのことができるものだ。

実力不足を痛感し、2次会でも、あまり酒を飲む気にならなかった。
完全に「失意の夜」となった。
もう1回、同じ人達の前で歌う機会がほしいと思った。
年内に、もう1回歓楓会をしてくれないかとさえ思った。

翌日、家に帰ってから、
「ウエディング・ソング」と「夜空ノムコウ」を何回も弾いた。
とにかく、実力不足が悔しく、情けなかった。
しかし、いい経験だった。
自分の実力の無さを思い知ったいい機会でもあった。
悔しいから未来がある。
だから、やりたいことがくなくならない。

自分の歌は散々だった。
ただ、それなりに役目は果たせたかなとも思う。
それはそれでいいのかもしれない。
帰宅してギターを弾きながら、
帰りのバスの中での山下MSTのうつろな目や、
エフノリ、中村NBR、そしてM美までが
口を開けて眠っている顔を思い出したら、
なんとなく可笑しくなって、
なんとなく全てがオッケイオーライな気がした。

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テーマ:日記 - ジャンル:日記





 こんばんは。続きが楽しみで仕方がありません。私も行きたかったです。
 妻が、『柔らかな頬』のエピソード、バカ受けしてました。妻は1回、私は2回読んでます。
【2008/10/05 01:38】 URL | 迷犬チーズ #-[ 編集]

今回の歓楓会は、中村、山下、M美に全て持っていかれました。
まあ、彼らの活躍は、私にとっても嬉しいことです。
中村、山下の変顔は、やばいですね。
テレビじゃ放送できないです。

ところで、迷犬チーズ氏は、ラーメン刑事だけではなく、
読書家でもあったとは。
オススメ本、教えてください。

なお、迷犬チーズ氏のホームページは、
迷犬チーズ・コメント欄の「URL」をクリックすると見られます。
【2008/10/06 01:07】 URL | クグエSW #-[ 編集]

 こんばんは。全然、読書家じゃないですよ~。
 「オススメ」と胸を張って言えるか、自信はありませんが、秋本康『象の背中』。宗谷時代に出張帰りに西口の書店で買って、一気に読みました。
 稚内行きのサロベツで、泣けました。乗車率が10%くらいだったせいか、泣きました。どうして泣けるのだろうか、不思議なくらい泣けました。
 近くのゲオで映画のレンタルを見つけました。迷犬チーズ的好きな女性芸能人第2位の井川遥が出ているので、見たい気持ちが大きいのですが、映画と小説とのギャップがあったら嫌なので、躊躇してしまいます。
 どうもクグエSWさんとは、ポイントが違う気がしてならんのですが、紹介させていただきました。
 
【2008/10/08 00:35】 URL | 迷犬チーズ #-[ 編集]















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