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9月4日の夜、日付が変わろうかという時刻のこと。
カーテンを閉めた窓際で、
「バサバサ、バサバサ」と聞き慣れない物音がした。
蛾か?と思いつつ、すぐにどこかへ飛んで行くだろうと、
気にしないでいた。

ところが、音が聞こえなくなったかと思うと、
「バサバサ、バサバサ」と2秒ほど聞こえ、
また2秒の静寂、そしてまた2秒のバサバサ。
それを何度か繰り返し、なかなか収まらない。

よく聞いてみると、そのバサバサは明らかに羽の音だった。
しかも、蛾なんてものじゃない、羽の数がたくさんある雰囲気で、
この静かな東区の夜に相応しくない野性的な音だった。

あまり公言していないのだが、私は動物全般が苦手である。
見る分には全く問題ないが、怖くてタッチできないのだ。
なぜあまり公言していないかというと、
女性ウケが悪いと思っているからだ。
動物嫌いの男より、動物好きの男の方が、確実にウケはいいはずだ。

「女性ウケばかり気にしなくても…」と感じる方もいるだろう。
確かにそうだ。
先日も、9月25日のライブでサポートをしてもらう、
ドラムのダーオ小田氏から、こんな指摘を受けた。
「水崎ストーリー、復活したんだね」(9月4日の記事参照)
「まあ、そうなんだけど、復活して良かったのかなぁ?とも思うんだよね」
「どうして?」
「人妻ウケが悪いような気がしてね」
「そんな、人妻、人妻って…」
「俺のブログは、人妻枠がある意味、生命線だからね」
「そんなに人妻が大事か?」
「まあ、人妻にも受け入れられるものにしたい気持ちが
 心のどこかにあるんだな」
「ていうか、人妻より大切なものがあるだろうって。
 だって他人の奥さんだぞ。
 それより大切なものがあるって」
「いや、そうだけど、当たり前のことを、普通に言われるとね…」

つまり私は、完全に守りに入っているのだ。
これ以上、女達にマイナス部分を見せられない、
レディ層を失いたくない、という、
非常にしみったれた、情けない状態にあるのだ。
自信がなく、臆病になっているのだ。
そして、ウーマン達に対するより、
動物に対する方が臆病になってしまうから、さらにカッコ悪い。

窓際の深夜のバサバサは治まらない。
次第に怖くなってきた。
怖くて、カーテンをめくれなかった。
カーテンをめくったら、そこには鷲がいて、目が合おうものなら、
私は間違いなく、腰砕けの状態で尻もちをつき、
膝に力が入らずに立てなくなるだろう。

そんなことを想像していたら、
カーテンの近づくことさえ出来なくなった。
「ストップ・ザ・バサバサ」を祈るだけだった。
時間があるなら、公共広告機構とタイアップして、
「ストップ・ザ・バサバサ」と、
新聞に広告を出したい気分だった。その時。

カーテンと壁の隙間から、何かが入り込んできた。
そして、我が家の居間を、バサバサと羽をはためかせて飛んだ。
そして、冷蔵庫の上の角に留まった。
よく見てみると、雀だった。

どうしていいかわからず、呆然としていると、突然飛び回った。
静かだった部屋の中に、「バサバサ、バサバサ」という、
羽をはためかせる音が響く。
その雀はおそらく、体長が10cmくらいだっただろう。
しかし、高さ2m40cmの天井で仕切られている狭い空間に、
10cmの生物が飛び回るのは、とてつもない恐怖である。
空の下で見るのとはわけが違う。
しかも時々、私のそばを、おちょくるかのように飛んでいくのだ。

この日は蒸し暑い夜だったが、
私は一瞬にして寒気が押し寄せ、今年一番の鳥肌デーとなった。
鳥肌ポイント10倍デーで、鳥肌が全身を覆い、
一瞬、自分が鳥人間になったかと思ったほどだ。

また、飛んでいると羽が少し落ちたり、
小さな鳴き声を発したりするのが、恐怖を倍増させ、
10分くらいは、何もできず、ただただ怯えていた。

「雀の千声、鶴の一声」(すずめのせんこえ、つるのひとこえ)という
ことわざがある。
つまらない者があれこれ言うより、
優れた者の一言の方が価値があることのたとえだが、
予期せず入り込まれた自宅の居間という狭い空間の中での
雀の鳴き声は、一瞬にして日常を崩壊させるパワーがあった。
それに対して、何もできずにおののく私。よって、
「クグエの千声、雀の一声」に改められても、全く異論はない。

とはいうものの、このまま放っておいていいはずがない。
このままでは、怯えオールナイトになってしまう。
そこで私は、雀が窓から出て行ってもらうために、
家じゅうの窓を広めに空け、雀を窓際へ追い込む作戦に出た。

ところがなかなか上手くいかない。
留まっているところに近づいて、30cm定規で、窓方向へ誘導するが、
全くその方向へいかない。
パソコンの上、換気扇、ソファの上など、あらゆるところへ逃げ飛んだ。

次に私が考えたのは、狭い空間に追いつめて捕獲し、
窓から逃がすということだった。
そこで、洗濯機と洗面台があるスペースへ追い込んだ。
そして、居間との間のドアを閉めた。
すると、洗濯機の裏に隠れて、じっとされてしまった。
洗濯機を定規で叩いたりして、雀に刺激を与えたが、
まるで反応しない。
これは根比べだなと思い、私は洗濯機の前に座り込んだ。

そのまま1分くらい経っただろうか。
いっさい雀の動く音がしない。
弱って動けなくなったのかと、逆に心配になり、
洗濯機の上から、裏側をのぞき込んだ。
その瞬間、そこから、いきなり雀が飛び立ち、
私の顔の横をすり抜けた。
恐ろしかった。
私は、瞬間的に後ずさりし、そのはずみで、
アリエールやレノアなどの入っている棚に左腕をぶつけた。
そして、わなわな震えた。
我に返ると私は、肩で息をしていた。
下手をすれば、ショック死するのではないかと不安になった。

気づいてみると雀は、そのままバスルームに侵入していた。
私は「しめた!」と思った。
隠れようのない狭い空間に、ついに追いつめた。
段ボール箱を持って、私もバスルームに足を踏み入れ、ドアを閉めた。
しかし、雀は狭いバスルームの中を飛び回った。
狭いがゆえに、逆に恐怖が倍増した。
私は慌てて、逃げるようにバスルームを出た。
シャワーを浴びたわけでもないのに、上半身はびしょびしょだった。
それぐらい、ひどい汗だった。
これが一段落したら、「雀ダイエット」の本を出版しようかと考えたほどだ。

その後、居間を主戦場として、一進一退の攻防が続いた。
私はしつこく追いかけたり、全く無視したりと、
メリハリをつけながら、戦いに挑んだ。
ただ、無視している時の方が怖かった。
飛び回る恐怖もさることながら、
私がそっぽをむいて、「フン!」としている間に、
雀に「フン」をされては、たまったもんじゃない。

また、雀フェイスも怖かった。
普段、外で見かける時は、「雀」という全体像だけを見て、
可愛らしいと感じるが、
狭い空間で顔だけに着目すると、結構鋭い目をしていて、
野生の血が流れていることを思い知らされる。

ところが次第に、雀は疲れてきたのだろうか。
捕獲用段ボール箱を持って、近くに寄っても、
逃げるタイミングが遅くなっていった。
そしてやっと、段ボールの中に入れ込み、
壁に段ボールを押しつけた。
右手で段ボールをおさえ、
左手で、壁と段ボール間に、板状にした別の段ボールを差し込み、
箱の中に雀を押し込めた恰好になった。
押し込めてからも、雀は箱の中で動き回り、
恐怖で何度も手を放してしまいそうになった。
雀は鳥類だが、私の方が完全にチキンだった。

窓の外から放したら、また入ってきそうな気がしたので、
段ボールを持って外へ出た。
そして、徒歩50mのところにある公園で、ふたを空けた。
ところが、雀はすぐには飛び立たない。
10秒くらいして、箱を少しゆすると、弱々しく飛んでいった。

部屋に戻ると午前1時近かった。
雀が着陸した現場などを掃除し、事件は一応終結した。
しかし、恐怖なのか、興奮なのか、心がざわつき、
いつまでも落ち着かなかった。
特に、雀を追いかけ回しているうちに、
次第に飛び回らなくなったことや、
最後に箱を空けてもすぐに飛び立たなかったことが気になった。

私と格闘している間に、相当の体力を消耗したのか。
いや、実は、私の家に入り込む前から弱っていたのではないか。
もしかしたら、助けてほしくて、家に入り込んだのではないか。
もしかしたら、私を選んでくれたのではないか。
そんなことを考えていたら、
「もっと優しくできなかったのか、オレは」と、
後悔と反省の気持ちが大きくなり、
心の奥に鉄アレイを置かれたようで、なかなか寝つけなかった。
人妻だけではなく、雀にも受け入れられる人になりたいと思った。

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すんごく面白かったー
おじゃましたことのないお部屋が
秒単位で場面転換し
汗するくぐえさんのリアルな表情が
かわゆすでしたよ(笑)
残暑厳しい毎日ですが、体調崩さないように
ご自愛くださいませ。
【2008/09/10 23:30】 URL | なつき #-[ 編集]

クグエさんにメチャ萌え~(*´∀`*)
雀との格闘オツカレサマでした^^
【2008/09/11 19:55】 URL | 団地妻 #-[ 編集]

雀は稲穂の米を食べる悪い鳥だと小さい頃
教わっていたので情けは無用。
よくばあちゃんが田んぼで一斗缶をたたいて
雀を追い払っていたことを思い出しました。
【2008/09/12 14:19】 URL | カルパッチョ田中 #-[ 編集]

皆様、コメントありがとうございます。

雀一羽にさえ満足に相手をできない恥ずかしさに加え、
この乱入事件以来、
部屋の中で、洗濯をして干してある茶色の靴下が落ちた時など、
「雀か!」とびびり、
街角で雀を見ると、部屋まで着いてくるんじゃないかとびびるなど、
すっかり雀恐怖症になっています。
おそらく今なら、「麻雀(マージャン)」という言葉を聞いても
ドキッとすると思います。

カルパッチョさんのおっしゃるとおり、
雀は稲を食べるのは聞いたことがありました。
それどころか、雀は人が食べるものは、何でも食べられるとも聞いたことがあります。
だから、人間社会の中でも、たくましく生きているのでしょう。
ちなみに私は、雀社会の中で生きられないと思います。

またよろしくお願いします。
【2008/09/12 23:58】 URL | クグエSW #-[ 編集]















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