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私は、Tシャツとスニーカーを購入する抑制力が弱い。
気に入ったものを見つけると、かなりの確率で手に入れる。
なぜなら、Tシャツとスニーカーは、
「新しいのを買おうかな」と思った時に限って、
買いたくなるような商品に、なかなか出会わないからだ。
そう、出会って気に入ったその時が買うときなのです。

先日は新しいスニーカーを買った。
このスニーカーを買うに当たって、大きく影響した人物がいる。
職場の同僚の「エフノリ」(男・30代半ば・ブログ初登場)である。

私の職場では、夏の暑い時期のみ、
スーツやネクタイの着用を免除されている。
そんな中、エフノリは、
イギリスのマンチェスターかリバプールの出身の
ネオ・アコースティックバンドの一員のように、
イカしたポロシャツ姿で仕事にくる。

また、わざと切り揃えていない短めの髪、
顔の大部分を占めるほど大きなフレームの眼鏡、
手首からはみ出すほど大きな時計、
着るものによって変わるバッグ、
そして、ブリティッシュなフェイス。
そんな、フレッドかつペリーな雰囲気がある男である。

そんな彼のファッションで、最も私の目を惹いたのはスニーカーだった。
コンバース・オールスターをごつくした感じ、
いかにも、ローテク・スニーカーらしい薄くフラットなソール、
シンプルながら、色使いと位置が巧みなラインで、
非常に魅力あふれるスニーカーだった。

そこらの靴屋では見たことがない品物だったので、
私はエフノリに聞いた。
「これ、かっこいいスニーカーだよね。どこのスニーカーなの?」
「フライヤーズです」
「札幌だと、どこに売ってるの?」
「札幌じゃ売ってないですね、中田靴店がなくなってからは」
「おお!中田靴店!狸小路の2丁目くらいにあった店ね。
 あそこは掘り出しモノがあったよねえ。
 あれ?じゃあ、どこで買ったの?」
「通販です。略さないで言うと、通信販売です」

私は、その日の夜、インターネッツの「楽天市場」で、
フライヤーズのスニーカーを発見した。
しかし、通販はいいとしても、靴となると難しい。
靴はメーカーや種類によって、大きさや形が違うため、
試着なしには買えない品物である。

また、皆さんの中にもおられるだろうが、
私は右足と左足とで、大きさも形も微妙に異なるようで、
靴によって、左足が少しきついか、あるいは、
右足が少しゆるいという状態になる。
こういう人の場合、靴の試着は、より重要なものになる。

パソコンの画面で靴の写真を見ていても、
惚れぼれするデザインである。
通販に抵抗はあるものの、なんとかしたい気持ちが強くなった。
私は、エフノリに聞いた。
「フライヤーズの靴さあ、コンバースのオールスターと比べたら、
 サイズ的にはどうなの?大きいの?小さいの?」
「オールスターより、ずっと履きやすいですよ」
「ソールの厚さは、オールスターと同じくらいだよね」
「そうですね。でも、オールスターより、ずっと履きやすいですよ」
「オールスターより、幅広に見えるんだけどね」
「う~ん…、ていうか、履きやすいですよ」
「じゃあ、30分でビールのジョッキ5杯飲んだら…」
「吐きやすいですね」


エフノリは、何を聞いても同じ回答だった。
「通販」を、略さないで言い直したのと同様、わけがわからなかった。
ところが、その後、彼は魅力的な一言を発した。
「実は、フライヤーズの新しいの、注文したんですよ」
「色違いのとか?」
「今、履いてるのと同じのです」
「もう一回、同じのを買いたくなるくらいお気に入りなんだ」
「そうですね。最高ですよ。まさに、オッケイオーライです」
「“オッケイオーライ”の使い方、うまいね」
「サンキュー・ソー・マッチです。
 で、私の足のサイズは、基本28.5㎝なんですけど、
 今回は、サイズがなくて、28.0㎝を注文しましたよ」
つまり、ワンサイズ小さいのでも通用する靴だということだ。
エフノリのこの一言で、私は買う決心がついた。
私は彼に、バイ宣言をした。

フライヤーズ1 

そして約1週間後、フライヤーズのスニーカーが届いた。

写真で見た以上にカッコいい。
ただ、なんとなく小さく感じた。不安が押し寄せる。
家の中で、とりあえず、足が大きい左足から履いてみる。
「あれ?きつくない?」
不安が増幅する。
横幅が足りないのか、小指がやや締めつけられている感じがする。

ひもをきちんと通して履き直す。
立ってみる。やっぱり少しきつい。
ただ、決定的な「きつさ」ではない。
右足も履いてみる。右足は、それほど気にならない。
部屋の中を歩いてみる。
靴を履いたまま、歯を磨く。
靴を履いたまま、パソコンをうつ。
靴を履いたまま、ギターを弾く。
そのうち、靴を履いていることも、歯を磨いたことも忘れ、
ウイスキーを飲み出した。
そうなると、少しきつく感じるのが、どうでもよくなってくる。
返品して、ワンサイズ大きいのを
送ってもらう手間と時間とマネーを考えたら、
これでいいんじゃないかと思えた。

私は、返品の迷いを断ち切るため、
靴を履いた家の中から、そのまま玄関を出て外を歩いた。
これで、完全にこの靴は私の物になった。
翌日以降にすることは、この靴を履いて歩きまくることだ。
歩いて歩いて、新しい何かに出会い、忘れていた何かを思い出し、
この靴を履いて歌い、この靴を履いて海を見る。
そして、なんとなく靴が自分の足の形になり、
適度に汚れて、適度に傷んで、イカした味が出てくる。
そんなふうに、この靴と生きていく。

ところが、スニーカーというもの、
いい味が出た頃、靴底が減り、歩きにくくなっている。
人生は複雑にできている。

フライヤーズ2 

26日、27日の土・日は、法事のために実家に帰った。

法事用の喪服やワイシャツは、スーツケースに入れ、
Tシャツにジーンズ、そして新しいスニーカーを履いて、
実家へ向かった。
特に何も問題はない。
と思ったが、実家で喪服に着替えている時に気づいた。
黒い革靴を忘れてきた。
しかも、玄関の外に出しておきながら、車に積むのを忘れた。

自宅に帰った時、黒い革靴は無くなってるのではないかと
心配になったが、
それ以上に、喪服に白いハイカットのスニーカーはやばい。
40を過ぎた大人が、その恰好では、いくらなんでもいただけない。
しかし、どうしようもない。
参列者とともに墓に行くときも、食事に行くときも、
喪服に白いスニーカーで通した。
途中からは、上着を脱ぎ、ネクタイをはずしたので、
「白いワイシャツ+黒いズボン+白いスニーカー」だった。
まるで中学生の夏服だった。

日曜の夜、自宅に帰ると、玄関の外に黒い革靴はそのままあった。
こうして、何事もなかったかのように、
私たちの生活は続いていくのでしょう。

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