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留萌市から北へ、車で12、3分ほど行ったところに
「小平町(おびらちょう)」がある。
人口は4,000人程度だが、南北は30㎞近くあり、
そこを国道232号線が走っている。

この国道沿いの景色が素晴らしい。
1カ所のトンネル以外、どこを走っていても海が見える。
つまり、海岸沿いをはずれて、内陸を通っている道がない。
完璧なシーサイド・ロードである。
30㎞近くも海岸沿いのみを走る国道など、
北海道内でここぐらいだろう。

そんなシーサイド・タウン小平だが、
海岸から内陸に向かって、一本の道道が走っている。
水田と畑と点在した家が続く平坦な道。
そこを20㎞ほど進むと、30世帯ほどの小さな集落が突然現れる。
そこが、「達布(たっぷ)」という地区。
そこにある唯一の食堂、
それが今日紹介する「寿(ことぶき)食堂」である。
先日、6月の陽気に誘われるがままに行ってきた。

寿食堂/店

店は、見てのとおり、相当古い。
おそらく昭和40年代、もしかしたら30年代の建築かもしれない。
店に入ると、みしみしと音がする古い木造の床。
30年は使っているであろうと思われるテーブルとイス。
テレビは白黒、しかも映りが悪い。

寿食堂/店内 寿食堂/メニュー

これを、「昭和」とか「レトロ」という言葉で表すつもりはない。
そんな言葉では軽すぎる。軽薄だと言ってもいい。
なぜなら、そこにあるのは、
平成20年の当たり前の日常にほかならないからだ。
つまり、作られた古さでもなければ、
意図的に残している古さでもない。
普通の生活の営みがそこにある。
それが全てなのだ。
このことが、不思議な重みと暖かさを感じさせる。

寿食堂/ラーメン

さて、ラーメンである。
鶏ガラとカツオ・昆布のダシが程よく利いていて、
非常に食べやすい。
これだけ脂が浮いていないラーメンは珍しく、
私がこれまでに食べたラーメンの中で、最も和風である。
「昔風ラーメン」という言葉があるが、このラーメンは昔風ではない。
まさに昔のラーメンである。
私が昭和40年代から50年代前半にかけて食べたラーメンの味である。

味にカドがなく、ベタつきも全くない。
つまり、何かが出過ぎているわけではなく、
何かが足りないということもなく、奇跡のバランスを生んでいる。
麺もいい。やや太めで、縮れが強く、結構な歯ごたえがある。

さらに、チャーシューも美味しい。
肉の臭みがなく、と同時に余計な味つけが全くない。
とろとろしたチャーシューは濃すぎて苦手な私にとっては、
この上ないチャーシューである。

今回、寿食堂を訪問したのは5回目だが、
変わらぬ雰囲気と味に触れ、札幌から足を運んだ甲斐があった。
「達布」という土地がダシとなり、
この店の雰囲気がコクを引き出している、
そんな素晴らしい一杯である。

ラーメンも素晴らしいが、
「もつ鍋」も素晴らしいことを触れておきたい。
ただ、もつ鍋は、要予約かつ4人前からとなるため、
きちんと予定を立て、人数を揃えて行かなければならない。

寿食堂のある達布には、かつて炭鉱があった。
昭和42年に閉山した。
今も、炭鉱があったことを示す建物が、ところどころにある。

達布/炭鉱

炭鉱が閉山した地域は、
集落ごと、すっぽりと無くなったり、
老朽化した建物が放置され、街は廃れ、
暗い雰囲気が漂っている場合が多い。
しかし達布は、小さいながらも集落があり、暗さはなく、
静寂かつ長閑(のどか)でありながら、
なにか生き生きしたような普通の日常を感じる。

達布のその先は、幌加内町や士別市につながっているが、
数十キロ行かなければ集落はない。
まさに、陸の孤島である。
こういう、街から遠く離れた山里に集落があり、
古くから存在する食堂が営業を続けている現実。
それが非現実的に思える。

ありふれた日常を感じるほど、逆に非日常に身を置いているような、
別世界に来たような、不思議な感覚になる。
こういう集落こそが、本当の意味での遺産ではないか。
寿食堂を世界遺産に!、達布地区を世界遺産に!
と思わずにはいられない。

達布/バス停
↑留萌-達布の間を運行している「てんてつバス」の停留所。
  1路線しか運行していないバス会社は、全国でも非常に稀。


そもそも、車の通行量が少ない道、
しかも、店構えからして、事前情報がなければ入りにくい店。
インターネット界でも、寿食堂に関する情報は著しく少ないだろう。
寿食堂のラーメンの味を語ったブログは、世界で5人もいないと思う。
それでも寿食堂は、しっかりと生き続けている。
利用者は、土木建設業者、農業関係者がほとんどだろう。
まさに常連が支えている店であり、
なくてはならない存在だと感じている人は多いはずだ。
私も、そんな一人でありたい。

留萌の夕日080604
留萌の夕日を見るために、日の入りまで留萌に滞在。美しい夕日だった。
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テーマ:北海道のグルメ - ジャンル:グルメ





もつ鍋のメンバーに入れて下さい!是非!
【2008/06/06 23:33】 URL | マキシ #-[ 編集]

寿食堂のもつ鍋は、それ専用の鍋を使い、
味付けは塩とコショウのみ。
具は、もつ+白菜+もやし。
でも、どういうわけか、奇跡的な甘みがあり、
メチャクチャ美味しいのです。
年内に行きたいものです。
【2008/06/09 20:08】 URL | クグエSW #-[ 編集]















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