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寒い日が続いている。
これほど寒い4月は近年の記憶にない。
通勤時はまだ手袋とマフラーと手放せない。
職場も寒く、コロナ感染以前に風邪をひいてしまうのでは
ないかとの不安も大きい。
4月30日から急激に暖かくなるとの予報に期待する。

コロナ対策として札幌市の図書館が閉館されていることも
影響して、この2か月で小説やエッセイ、雑誌などを
十数冊購入した。
まだ読んでいない作品があるし、
物語に入っていけず読了を断念し、
既にBOOK-OFFしたものもある。

そんな中、面白く読めた3冊を紹介。

■川上美映子「おめかしの引力」(2016年)
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朝日新聞に6年間にわたって掲載された、
ファッションにまつわるエッセイをまとめたもの。
川上さんは文章が上手だなと改めて思う。
無駄がなく、リズム感がすごくいい。

外見で人は判断できない、それよりも内面の美しさが重要、が
主流と思われる世の中で、
「目に見えるものの美しさが、内面にどれほど作用されるのか
ということを思い知らされる」との言葉は、
驚きつつも、なるほどな、と思った。
いわば、ハッとしてGOODな名言だなと。

確かに、どんなに高価なものを着て、
入念にメイクをしても、
内面が透けて見えて、どこか安っぽかったり、
しまりがなかったり。
逆に高価ではないのに、清潔だったり、キマっている人はいる。
内面が外面に表れるのか。納得だ。

また、すごくいいものを試着してしまうと、
それ以外はもう見えなくなる魔法があるとし、
一生着ることを考え、日割り計算をして、
これなら逆に安いんじゃないの、となる話に笑った。

試乗によって魔法にかかり、
予定よりも半年も早く新車を購入した私も、
長く乗るんだからと年割計算に走り、
前のめり気味になったのも同じ心理によるものだ。

■嶋津 輝(しまづ・てる)「スナック墓場」(2019年)
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タイトルに魅かれ購入。
著者のことは存じあげなかったが、
「スナック」と「墓場」という、
まるで異なる性質のものを組み合わせているのに、
語感が妙にしっくりときて、興味をかき立てられ購入。

「スナック墓場」をはじめ、7つの短編が収められている。
連作ではない。
「スナック墓場」は7つの短編のひとつに過ぎなかった。
それは期待とは違う構成だったが、
他の短編も含め、期待を裏切る面白さがあった。

どこにでもありそうな日常を切り取ったような作品が並ぶ。
はっきり言えば、ぱっとしない人の日々の営みのような内容。
誰が悪者で、とか、誰が正しくて、というのがなく、
客観的な視点でフラットに描いている。

地味で、驚くような展開も、オチさえない作品があるし、
ページをめくったら空白で、「これで終わりなの?」と、
拍子抜けした作品もあったが、
そうした素っ気なさが逆に余韻を残す作用があったり、
なぜか和んだ気分になったり、小説とは不思議なものだ。

色々あったのに、結局何も変わらず、以前と同じに戻ったり、
伏線かと思いきや、そのまま淡々と流れたりと、
良くも悪くも裏切っていく。
それは物足りなくもあり、迫力に乏しいとも感じるが、
妙に引き込む柔らかな力のある作品だった。

■穂高 明(ほだか・あきら)「青と白と」(2016年)
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東京で暮らす駆け出しの女性作家。30代独身。
小説家としての収入は少なく、
週5日のバイトで食いつないでいる。
出身は宮城県名取市。仙台市の隣町で、仙台空港がある。

東日本大震災が発生する。
仙台の家族とは連絡がとれないまま翌日もバイトへ。
バイト先では、「なんかワクワクしてきた」、
「津波できれいになくなっちゃって逆に良かったんじゃないの」
など、耳を疑うような会話が聞こえてくる。
震災の映像は娯楽番組なのだ。

震災から1か月して遺体で発見された叔母の火葬、
仙台で買ってきた菓子を口にしたバイト先の人が、
「これって放射能、大丈夫だよね」と笑いながら言う場面、
「被災した人たちに元気になってもらいたい」とギターを
もって歌う知り合いの歌声に異物感をおぼえ、
無理にささくれを引き抜かれたような乱暴さを感じたことなど、
メディアがきちんと取り上げない現実と、
痛み、無慈悲、虚しさ、怒り、そうした様々な感情を
整然かつ丁寧に描いている。

作者本人は仙台市出身。
実体験を描いた場面も少なくないだろうし、
自分の思いを投影している描写も随所に感じられる。
この作品が単行本で発行されたのが2016年。
震災の5年後である。
向き合い、整理し、言葉にするまで、
これだけの時間が必要だったのかもしれない。
淡々とした筆致によって、作者の真剣さがより伝わってくる。

                     ◆

「おめかしの引力」のレビューで、
筆者が日割り計算をして購入を決めてしまうことに触れたが、
私はちょっと高価なものの購入を検討する際、
必ず「回数割り」は考える。
何回使う?何回着る?と自分に問う。

購入したら、どんどん使うし、がんがん着る。
なので特別な日のための「勝負なんとか」はない。
全く勝負してないか、毎日勝負しているのかわからないが、
使わないと元を取れないマインドであり、
がんがん着ないと着られなくなっちゃうよ、と、
自分で自分にプレッシャーがかかっている感覚だ。

そもそも何にしても一生モノなどないと思っている。
時間とともにトレンドが変わり、
定番と言われたものも形やサイズ感は変わるし、
自分自身の外見も内面も変わる。

コレクターやオーナーであることに価値を感じる人は多いだろうし、
それが趣味や生きがいになっていたりもするので
もちろん尊重するし、素敵なコレクションに感動することもある。
私は、年数よりも回数路線で、ヘビーユーザーとして使い倒したい。
 
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