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岩見沢市の日の出は午前5時過ぎとなり、
日の入りは午後6時前になった。
秋には秋の良さがある。
空知での初めての秋を楽しみたい。

さて今回はブックレヴュー。

■井上荒野「夜をぶっとばせ」(2012年)
    
20170905_夜をぶっとばせ
なぜこの夫と結婚してしまったのかという疑問とあきらめ。
息子は学校でイジメを受けており、娘は過度の偏食。
無気力で怠惰な生活をしている35歳の妻は、
次第に出会い系サイトにはまり、家庭崩壊へと向かう。

やがて二人は離婚。
夫は元妻の友人女性と再婚。
散歩中にたまたま寄った公園で、
元妻は和太鼓に合わせて踊っていた。

このように設定がぶっ飛んでいる。
何を伝えたかったのかよくわからないまま読み終える。
しかし、それは全く問題ではない。
ストーリー構成と心理描写がとにかく上手い。

淡々としているのに強くエネルギーを感じ、
最後は「この物語はなんだったんだろう?」と思う。
なのに面白い。
馬鹿馬鹿しいような、核心を突かれてドキッとするような、
ゆらゆらしているのに不思議と読み応えがある。
なお、タイトルとは裏腹にストーンズにまつわる場面はなかった。

■高野和明「ジェノサイド」(2011年)
20170905_ジェノサイド上 20170905_ジェノサイド下

アフリカ大陸のコンゴ民主共和国で発見された「アキリ」という
新種の生き物を巡り、
アメリカ政府、民間の雇われ兵、人類学者、
新薬開発に苦闘する大学院生などが複雑に交差する。

「アキリ」は人間をはるかに超える知能を持つ人間の形状した生き物。
アキリが成長し、子孫を増やしたとき、
人間はアキリに支配されるとの恐怖から、
アメリカ政府はアキリ抹殺を図る。
アキリを捕まえようとする者と救おうとする者の
追いつ追われつの展開がスピーディに繰り広げられる。

薬開発の専門的なことやコンピュータの仕組み、
アフリカのジャングルにおける移動状況など、
なんだかよくわからず、読み飛ばすしかない箇所も少なくはないが、
緊張感が途切れない、実にスペクタクルな世界に引きつけられる。

■柚月裕子「慈雨」(2016年)
    
20170905_慈雨
定年退職をした元警察官が、
妻とともに四国八十八箇所のお遍路の旅に出た。
旅の途中、定年前の勤務地で幼女殺害事件が発生する。
それは16年前に自らが関わった事件と酷似するものだった。
元警察官はお遍路まわりをしながら、元部下から捜査の状況を
連絡してもらい、16年前の後悔と向き合っていく。

落ち着きのある、しっかりとした筆致で、きちんと読ませる。
ただ、事件の真相が少しずつ明らかになっていく状況で、
唐突に現在四国のどのあたりにいるのかが挿入される。
それがちょっと不自然で、流れを止める感じがしたし、
私には四国の景色や雰囲気があまり見えてこなかった。
四国に詳しい人ならば楽しめるかもしれない。

また、元警察官は妻にも元部下に対してもちょっと横柄だ。
にもかかわらず献身的で明るい妻と誠実な部下。
贖罪と再生をベースにした重厚な作品だが、
元警察官の偉そうな態度がやけに鼻についた。
これといった盛り上がりもなかったかなと。
この作品は心にしみる人間ドラマとして一般的な評価も高い。
私にとってハズレ作品のない作家でもある。
だが、この作品はちょっと合わなかった。

■馳星周「不夜城」(1996年)、「鎮魂歌」(1997年)
20170905_不夜城 20170905_鎮魂歌
いずれも新宿歌舞伎町における中国人ヤクザの闘争を描いた作品。
90年代の日本を代表する小説だ。
なのに、これまでなんとなく読んでみる気にならなかった。
その最大の理由は、登場するのはほとんどが中国人で、
人名の読み方が頭に入らず、自分の中でストーリーの土台を
しっかりと築くことができないと危惧したからだ。

古い本の整理をしていた2017年7月。
だいぶ前に買ったものの、読まないまま保管していた「不夜城」を発見。
他に読みたい作品もなかったので、
中国人名の読み方アレルギーを抱えつつもトライしてみた。
読み始めてすぐにアレルギーが発症したが、
自分で独自の呼び名を設定しなんとか読み進めた。
しばらくは忍耐を要したが、30ページほどで気にしないことにした。

実に面白かった。
クールでシャープな文体、中国的な義理と人情、
日本における中国人ヤクザのあり方、同性愛等々、
淀みなくスピーディに緊張感をもって展開する。

すっかり引き込まれ、「不夜城」を読み終えたら、
その続編である「鎮魂歌」もすぐに読みたくなり、
読み終えたその日にブックオフ岩見沢店へ。
まずブックオフに行ってしまうところがしょぼい。

ブックオフ岩見沢店には売っていなかった。
ならば新品をと、ゲオとツタヤに行くも置いていなかった。
結局、後日、岩見沢市図書館で単行本を借りた。
古い本であり、相当貸し出されたのだろう、
かなり汚れていたし、表紙と本体が分離気味だった。
本屋には売っていないが、図書館に行くとある。
地方の書籍事情あるあるだ。

「鎮魂歌」も読み応えがあった。
「不夜城」の主人公が脇役になり、というか裏で糸を引く役柄で、
格段にワルになっていた。
グロテスクな場面も少なくない濃密な筆致だ。
面白かった。

                                            ◆

地方の町に出かけると、特にクロスバイクで訪れたり、
無人駅巡りをしている際に気づくのだが、
本屋をほとんど見かけない。
回転の早い雑誌類はコンビニで売っているし、
人口減少やネット購入の普及からすると当然といえば当然だ。

一方、小さな集落であっても理美容室はある。
シャッターが多い町並みの中で、
理美容室が結構あるように感じたことがないだろうか。
100人くらいしか住んでいないような集落でも
しっかり存在していたりする。

また、意外なのが、営業している商店がわずかな小規模市町村でも、
なぜか精肉店がきちんと存在しているのを目にする。
自転車屋も地味に残っている町は多い。
アナログ対応でなければならないものは根強い。
アナログ対応ができる音楽活動も重要だ。
最後に残るのはアナログかもしれない。

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