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まずは、ライブのお知らせから。

〈とかちマルシェ音楽フェスタ〉
■日時 2017年9月2日(土)10時~21時
■場所 JR帯広駅北口特設ステージ
■料金 無料
■出演 15組(「激しい雨」の出演は19時~19時30分

このイベントは、JR帯広駅前の、普段は通路と広場になっている
スペースを埋め尽くすほど地元の飲食店が出店する。
帯広は地元フェスが多い地域だったが、そのなかでも屈指の熱さがある。

ただ、雨が心配される状況になってきた。
屋外の屋根無しスペースでのイベントだけに、
雨が降れば中止になるだろうし、やむを得ない。
無事イベントが行われることを願いつつ、
新曲をやることもあり、いつもよりは練習している。
よろしくお願いします。

                                                ◆

さて、前回に続き、クロスバイクによる札沼線の無人駅訪問である。
終点新十津川駅まで行く予定だったが、強風とエナジー不足により、
残り3駅を残して浦臼町の於札内(おさつない)駅で引き返したところ
までが前回の記事。それが6月中旬。
それから2か月を経過して、やっと残り3駅に行けた。

新十津川町のエリアに入って最初出てくるのが「南下徳富駅」。
「みなみしもとっぷ」と読む。
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待合室はない。
ホームの後ろはひたすら水田。
後ろだけじゃない。
手前も左右も水田だ。
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緑色の紙の上に、グレーのペンキを一滴落としたのが駅であるかのよう。
民家は駅を遠巻きに見る形で点在している。
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国道からストレートに行ける道はあるが、
国道に駅案内の表示はなく、そこそこ離れているとともに、
線路の雰囲気を感じられないため見つけにくい。

それでいて、さえぎるものはない場所に平然とある。
ひっそりというよりは、はっきりと存在している。
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時刻表や料金は、こういう形で掲示されている。
ガラス窓の中には駅ノートも筆記用具もあった。

この景色なら電車が映えるだろう。
一日一便しか走っていない電車の走っている姿を見るために、
また来ることになるだろう。

続いては、「下徳富(しもとっぷ)駅」。
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前出の南下徳富駅と同様、周囲は水田なのだが、
近くに民家がある程度あり、集落を形成している。
しかしながら、南下徳富駅よりもひっそりしている感がある。
周りに人やモノがあるから、逆にひっそりするのが無人駅だ。
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駅舎から盛り土で作られたホームへ。
階段、ホーム、田園風景。
平野の真ん中にある田舎の無人駅を象徴するような景色だ。
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ところで、駅名にある「徳富(とっぷ)」は、
なかなかの開運地名ではないか。
漢字も読みも上昇機運がある。
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ちなみに、現在は廃止されているが、
かつては「上徳富(かみとっぷ)」、「北上徳富(きたかみとっぷ)」という
駅があったらしい。
「下徳富」、「南下徳富」ときれいに対照的な駅名だ。

そして最後に、終点「新十津川駅」。
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終点なので、駅名看板は前の駅しか表示されていないし、
時刻表も「石狩当別方面」しかない。
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もちろん、線路もここで寸断されている。
JR敷地ではなく、私有地で線路が終了しているような雰囲気だ。
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札沼線は、浦臼駅から新十津川駅までの区間は一日一便のみ。
浦臼に向かう便も、新十津川に向かう便もともに午前9時台。
一日で両便は乗れない。
片道だけだが必ず乗りに来ようと思う。
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新十津川駅で無人駅巡りを終えた時は午後1時をまわっていた。
この後、隣町である滝川市へ向かった。
JR滝川駅近くに、気になっていた古い食堂があり、
そこでカツカレーを食べたかったからだ。

JR滝川駅までは4kmちょっと。
20分ほどで「高田屋」に到着。
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昔から外観をほとんどいじっていないのがいい。
屋外に向けてメニューのディスプレイがあるのも魅力だ。
長年、風雪に耐え、流れ者達の胃袋とハートを支えてきたのだろう。

北島三郎氏の代表曲のひとつ、昭和55年にリリースされた
「風雪ながれ旅」では、津軽、八戸、大湊、小樽、函館、苫小牧、
留萌、稚内と、風雪が厳しい港町が登場する。
そんな中、なぜか海を全く感じない滝川も歌詞に出てくる。
これは高田屋のディスプレイが関係しているに違いない。

店内に入る。メニューが豊富だ。
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ラーメン、そば、うどんがメインではあるが、
定食と洋食系も充実しており、麺類では「ひやむぎ」まである。
ピンクフロイドとピンクレディのアルバムが並べて置かれた喫茶店
のようなレンジの広さだ。

店に入るまでは、カツカレーを食べるつもりだった。
しかし、卓上メニュー表や壁には、チャップ丼が名物だとして
相当にプッシュしており、
さらに、隣のテーブルのお客さん3人が、
3人ともチャップ丼を食べていたことで、
それに引きずられるように、私もチャップ丼をオーダーした。

店が混んでいたこともあり、
20分ほどかかってチャップ丼(750円)登場。
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タレを絡めて炒めた、というより煮た感じの薄い豚バラ肉が
ふんだんにオン・ザ・ライス。
チャップの定義は知らないが、ここのチャップはケチャップ味がしない。
ちょっと酸味と甘みがある正油ベースのタレだ。
チャップというよりは豚丼寄りだが、
豚丼にあるような旨みと甘みと香ばしさはない。
ありそうでないような独特のタレだ。

私より後から来たお客さんのオーダーは、
「カツカレー」、「かつ丼」、「カレー」だった。
初志貫徹でカツカレーにすればよかったと思った。
しかし、ノリと空気にまかせて気まぐれにオーダーするのも
小さな旅のひとつの形だ。ゆえに後悔はない。

昼食後、岩見沢へと帰路につく。
岩見沢に着いたら、クロスバイクの後輪を交換するため、
自転車屋に直行しようと思っていた。
タイヤは溝が減るとともに、柔らかくなったような、膨らんだような、
限界近しの質感になっていたからだ。

砂川、奈井江、美唄と順調に通り過ぎ、岩見沢市街地エリアに入った。
赤いリボン本店の前で、 突然、足許で「パーン!」という
発砲音のような乾いた音がした。
同時に、ふくらはぎの下の方に、ムチで叩かれたような痛みを感じた。
何が起こったんだ。

足許を見つつ、周囲を見つつ、20mほど進むと、
ペダルの反応に違和感をおぼえた。
後輪が破裂し、空気が抜けたのだった。
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タイヤの内側から、なんだかよくわからないものが吹き出していた。
タイヤ破裂は初めてだった。

岩見沢市街地まで戻ってきてからでよかった。
好みの自転車屋まで歩いて20分程度の距離だ。
また、クロスバイクのタイヤは細く、サイズも色々ある。
そういうタイヤの在庫がある店まで歩いて行ける場所だったのは
極めてラッキーだった。
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この「サイクルショップひらの」さんは、
これまでに利用した自転車屋の中で一番しっくりくる。

小学生の頃から、自転車店は無愛想というか、
上からの対応をする印象があり、
札幌でも帯広でも嫌な気持ちになったことがある。
「サイクルショップひらの」さんも愛想がいいとは言えないが、
必要な対応をスピーディに集中してやってくれるし、
雑談のキャッチボール感も良い。リズムが合うのかもしれない。
岩見沢で優れた自転車ドクターに出会えて良かった。

タイヤを替えたら、ペダルの感触というか、路面からの返りが向上して
明らかに走りやすくなった。
日常生活においても、更新すべきものがありそうだ。

一方、更新しなくていいものを買い、モノが増えていく。
しかし、何かが足りないと思う。
無人駅は、人はもちろん、駅舎も案内表示もないところは珍しくない。
しかし、足りないものはない。

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まずはライブのお知らせを。

■タイトル とかちマルシェ音楽フェスタ
■日時 2017年9月2日(土)10時~

■場所 JR帯広駅北口特設ステージ
■料金 無料

ライブは10時から21時頃までに行われ計15組が出演。
「激しい雨」の出演は19時から19時30分
アコースティックギターで臨みます。
初披露の曲も準備中。
よろしくお願いします。

                        ◆

さて、今回はクロスバイクによる無人駅探訪シリーズ。
行ってきたのは札沼線の石狩月形駅以北。

札沼線は札幌市の桑園駅から、当別町、月形町、浦臼町を経由して
新十津川駅までの76.5kmの路線。
通称である「学園都市線」と言った方がメジャーかもしれない。
実際、ホームにある駅名看板の表示は、
札沼線ではなく学園都市線となっている。

岩見沢に住んだこともあり、スタート駅は無人駅のブルーズにふさわしく、
アイ・ガッタ・ブルースよろしく、月ガッタ駅にした。
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ただ、月形駅は岩見沢から23kmもある。
クロスバイクだと約1時間30分だ。
そこそこ走った状態で、やっとスタートだ。
人生はスタート地点に立つまで時間がかかる。

努力してやっと夢がかなった人がいう。
「ここからがスタートです」。
そこから鳴かず飛ばずになることが多い。
現実はゴールだった、あるいは通過点だったのだ。

次に登場するのが、道内でも屈指の秘境度がある「豊ヶ岡駅」
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国道から1kmほど入った森の中にひっそりと存在する。

初めてここを訪れたのは7年前。
なかなか見つけられなかった。
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この風景の場所から、細い砂利道をくだったところに駅があるからだ。
駅フリークじゃなければノット・ファウンドだ。
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待合室は木造の小屋。
7年前に訪れたときは廃墟のような状態だった。
蜘蛛の巣や埃、汚れがひどく、
入口の戸を開けるどころか、戸を触る気さえ起こらなかった。
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今、2017年になり待合室はきれいになった。
7年前よりずっときれいになった。
存廃の検討がなされている札沼線への名残マインドにより
訪問者が増加したのだろう。
お迎え環境が整えられたことは、有り難くも寂しくもある。
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ここは紅葉の時期も雪に埋もれる時期に来ても味わい深そうだ。

続いては、「札比内(さっぴない)駅」。
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ほぼ国道275号線沿いにあるが、田舎の真ん中にいる感じがいい。
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線路沿いに咲く花も作為的じゃないのがいい。
私がガーデン巡りに興味がわかない最大の理由が作為感だ。
悪いことではないのだが、色々と整えられ、飾られて、
製品になっている感じが、逆に心を動かさないのだ。
音楽でも、手を加えたり、雑味を除くことによって、
素材の良さが消されるというか、伝わってこない場合があるのと同じだ。
プロならば製品や商品にする工夫は否定しないというか、
そうすべきだろう。
アマチュア最高。
オレは誰の手にもかからない。
しかし、誰かの助けや支えがなければ活動できない。
そこのバランス問題は永遠に続く。
それが人生だ。

続いては「晩生内(おそきない)駅」。
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ここからは浦臼町のエリアとなる。
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国道に近く、周囲に民家もあるが、
駅の周囲だけは時間の流れが遅いような長閑な雰囲気がある。

続いては「札的(さってき)駅」。
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国道から駅は見えず、駅案内の表示もなく、通り過ぎ率が高い駅。
それでいて秘境感はない。凡庸だ。
感想が出てこない。
言葉が出てこない。
感情の高ぶりから言葉にならないのではない。
感情がわかなくて言葉にならない。

この凡庸さを打開するには、
トリバゴのCMの女性がホームに立たせたポスターなどどうだろう。
それくらい想像を超えた、非現実的な対策が必要だ。
パチンコのマルハンのCMの女性社員じゃオーラ不足だ。
やはりトリバゴの女性だ。
独特の日本語はポスターじゃ活かせないが、
彼女と札的駅の親和性が無さすぎるのがポイントだ。

続いては「浦臼駅」。
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無人駅風情に乏しい環境だが、
駅のホームにいると、風の音しか聞こえてこない。
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線路と道路や住宅を仕切るものが何もない。
一般的には柵や草木などでエリアの区別をつける。
こんなにフリーでいいのか。
空き地に線路が走っているような状態だ。

浦臼町で今回ひとつの発見をした。
「発見」という表現は正しくはないかもしれないが、
浦臼町にはコンビニがないことを発見した。

昼食時だった。
欲したのは、甘いパンとコロッケと魚肉ソーセージのセット。
ザ・コンビニ・メニューだ。
しかしコンビニはない。
コンビニどころか商店すら見つけられず。
そこで、道の駅つるぬまで昼食をとることに。
迷わず、おやきをチョイス。
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「豆乳クリーム」に吸い寄せられた。

で、豆乳クリームと小倉あん(どちらも120円)を食べた。
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マイルドなあっさり味だった。
おやきに関してはワイルドな濃い味が好みの私には
あまり甘いものを食べた感じがせず、
立て続けに豆乳ソフトクリームを食べた。
これまたマイルドなあっさり味だった。

道の駅から1kmくらい北上すると「鶴沼駅」がある。
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国道から近いところにあるが見つけにくい。
駅の周囲は水田で、ホームの向かい側には水路もある。
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浦臼駅から新十津川駅までは、上り下りとも一日一便しかない。
しかもどちらも午前9時台の便。
電車で行ったはいいが、その日のうちに電車で帰れない。
この便はどのように使われているのだろう。
ヘイ!DJ、恋の片道切符byニール・セダカをお願いするぜ。

次は「於札内(おさつない)駅」。
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ここはなかなかの秘境感がある。
平野の真ん中にありながら存在を消している。
追尾が特異な刑事のようだ。

国道から細い舗装道路を入り、さらに未舗装の道へ。
駅があることの表示は全くない。
水田の中になぜだか駅がある。そんな風情だ。
たやすく見つけられないのは手間がかかるが、
それが無人駅イズムの醍醐味でもある。
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今回はここまでだ。
ここまでが浦臼町のエリアで、次の駅は新十津川町になる。

終点の新十津川駅まで行こうと思っていたが断念した。
その理由は、天気は良かったが風が強く、しかも向かい風で、
メンタルのダメージが結構あったこと。
また、昼食でのエネルギー補給が弱めだったせいで、
フィジカル面のモチベーションが上がらなかったためだ。

この訪問は6月中旬だった。
なので、水田はまだ水メインの状態だった。
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札沼線の石狩月形駅以北の駅は、
基本的に国道275号線に沿った位置にあるが妙に奥地感がある。
そのまんまな感じの駅が多いからだ。
作為的じゃないのがいい。

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私は無人駅フリークではあるが、
北海道の日本海側の方言で言えば、「なんたかんた駅を残せ」派ではない。
一日一便しかない鉄道の存在理由は説明できない。

不謹慎な理屈かもしれないが、
いつ無くなるかわからないのも魅力のひとつだったりする。
時間に余裕がなくなると必死になってしまうのと似ている。
実際、仕事でも、音楽活動でも、その他のことでも、
ちょっと時間が足りないときが、最も真剣になるし、
いいものができるような気がする。


2017年8月19日土曜日、札幌市「とまと畑」での
ライブに出演した。

初めての会場ということで、
サウンドチェックをやって、
ルールや雰囲気をなんとなく把握したいと思い、
早めに会場入りした。

ところが、サウンドチェックはやらないと告げられ、
その後は放置された。
開演時刻まで椅子に座り、静かに待った。
そうしているしかなかった。

出番は一番目だった。
開演時刻になり、少し間をおいて、
「じゃあ、そろそろ」的な一言があるかと思いきや
引き続き放置。

私の方から「始めていいですか」と聞きにいき、
ステージで準備を始めた。
ギターのシールドをダイレクトボックスにつなぎ、
「トゥ、トゥ、トゥ、トゥ」とマイクの具合を確かめたら、
すぐに照明がたかれ、客席から「イェイ」の声。

「そうか、こういうしきたりなのか。いきなり本番なのか」と
自分を納得させた。
とはいえ、「これ、リハじゃないですよね。本番なんですよね」と
思わず口に出た。
リアクションはなかったが、
なかったことがイエスという回答なのだと理解した。

セットリストは次のとおり。
1 トビラ
2 魔法のブーツ
3 すわりのいい夜
4 潮時
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ライブ開始までのぎくしゃく感は忘れ、ライブを楽しめた。
リハなしだったが、すぐにしっくりときた。
ライブの3日前にT字路sのライブを観て、
自分の核となることをしっかりと見せることの大切さを
感じたことが、意識的にすごくプラスになり、
気負いなくプレイできた。

私の場合、核になるのは、あくまで歌詞とメロディで、
ギターとハーモニカはそれを引き立てるツールだ。
なので、ボーカルとのバランス上、ごちゃつくギターフレーズは
カットし、歌ありきバージョンでプレイした。

終わってみれば、非常にやりやすい音響であり、雰囲気だった。
「とまと畑」。なかなか良いライブスペースです。
そして、Aさん、Nさん、Kさんが観に来てくれたことが
大きな支えになった。

共演者の方々を観ていて、
ほんとに色んな人が音楽を愛し、長く続けているのだと思った。
いい刺激になったし、自分のポジションというか、
自分がどういうタイプなのかということを再認識できた。
経験が一番の教材になる。



T字路s(ティージロス)のライブを観に行った。
T字路sの存在は昨年後半に知り、
今最も生で観てみたいミュージシャンだった。

私がセミアコを弾くようになったのは、
T字路sの伊藤さんがエピフォンのフルアコを弾いていることが
少なからず影響している。
漠然とセミアコが欲しいと思っていたときにT字路sを知り、
セミアコ願望に輪郭ができた。

今月、道内では初のT字路sのワンマンリサイタルツアーが組まれた。
当初は8月14日の長沼町でのライブに行く予定で、
チケット取り置き予約もしていたが、
19時に開演するも、オープニングアクトが5組で、
ライブ終了は24時、そしてオールスタンディングだと聞き、
迷いなく断念した。

5時間にわたる夜のスタンディングと24時終了は、
中年層には肉体的にも精神的にも非常に苦痛だ。
翌日の仕事はキャンセルするおそれさえ生じる。
翌々日にも影響しかねない。

ただ、長沼公演はチケット完売。
長沼以外から駆けつけた人の方が多かったと思われる。
しかし、タイムスケジュールは町民向け、かつ若者向けに思えた。
ノンアルコール状態で、ぐったりして帰った人が多くいたことだろう。

業界では23時台、あるいは日付をまたぐライブが少なくない。
近年はこうした深夜傾向が強まっているように思う。
ライブを観たり、ライブに出演するには、
夜型人間にならなければやっていけないし、

帰宅行為にかかる負担も乗り越えなければならない。
歌を作れて、演奏できるだけじゃだめなのだ。

椅子があれば肉体的なダメージは緩和されるが、
エモーショナルなレスキューはない。
ライブの深夜化を改善するには、
業界において発言力のある大物になるか、
草の根運動の先頭に立つしかないのだろうか。

長沼公演は断念したが、まだチャンスはあった。
というか他にチャンスがあったから、あっさり断念できたのだ。
というわけで、8月16日、札幌カウンターアクションでの
T字路sのリサイタルを観に行った。
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会場に到着したのは19時50分。
オープニングアクトの「BENBE(ベンベ)」がステージにいた。
2曲しか観られなかったが、
迫力がありつつ、温かさと穏やかな雰囲気を醸し出しており、
実に素敵なバンドだった。もっと観たいと思った。

そしてT字路s
素晴らしかった。
何がすごいのだろう。
ボーカルの迫力と安定した音程。
エビフォンのフル・アコによるクリーンなサウンドと
むき出しの演奏。
そう、このむき出しの演奏に結構やられる。

むき出しなのにトゲがなく、辟易することもない。
ナチュラル、そしてダイレクトであることの大切さを痛感し、
ナチュラル、そしてダイレクトにできる演奏力の高さに納得した。
要は、変な飾りやおかしな味付けをせず、
素材の一番いいところをきちんと伝える器量と技術があるのだ。

トークもふさわしいものだった。
シンプルでありつつリズム感があったので、
トークも含めてライブ全体のノリを作っていた。

オールスタンディングかつお客さんも多く、
また、いけ好かない風貌と態度の男達にいらつくストレスも相まって、
開始30分で要休憩度1の状態になり、
40分で要休憩度2になったので、

60分したら会場を出て、どこかに座ろうと思った。

しかし、ライブを全部観たくて離れられなかった。
こんなことは極めて珍しい。
それほどに価値のあるステージだった。

細かな部分やテクニカルなことにこだわるより、
核となるところをきちんと示すことの重要さを見せられた。
というか、テクニカルだからこそ核を表現できるともいえるが。

いずれにしても、自分のやっている音楽活動は
ゆるく甘いものだと思い知らされた。
と同時に、ゲット・ベターになるためのヒントも得た。
素晴らしいステージに感謝であります。


まずは、私のソロ活動「激しい雨」のライブのお知らせを。

■日時 2017年8月19日(土)
■場所 とまと畑(札幌市中央区南4条東3丁目ピープル1階)
■料金 1,500円ワンドリンク付き(ではないかと思われます)
■出演(出演順・敬称略)
     ・激しい雨(19:00~19:25)
     ・北都の平八(19:30~19:55)
     ・エロチカ(20:00~20:25)
     ・塚本茂晴(20:30~20:55)
     ・レンジオブモーション(21:00~21:25)
     ・雨(21:30~21:55)
     ・ヤマガタユウジ(22:00~22:25)

初めてのスペースで、ほとんど方が初共演。
新しい経験をすることができる。
よろしくお願いします。
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有名人が、どこかの市町村を訪れ、
いわゆるアポ無しでお店や家に入ってロケをするような番組がある。
ここ数年、増えたような気がする。
視聴率がとれるし、反響も多いということだろう。

私もこの手の番組は嫌いではなく、
以前から「北海道中ひざくりげ」やNHK北海道の吉幾三氏の旅番組や、
博多華丸・大吉氏が九州の街角をぶらつく番組などは好んで見ている。

この手の番組を見ていて、色々と思うことがある。
一発屋でもいい。代表曲や代表的なギャグなどがあり、
細くとも長く活動している人の知名度の高さだ。
一般住民がいきなり有名人に会ったとき、
すぐに名前が出てくるし、距離感がつまっていくのも早い。

その点、最近活躍し始めた俳優やアイドル、スポーツ選手だと、
認知できるのは一定の年齢層に限られてしまう。
また、状況をさばいたり、仕切ったりが上手ではないし、
一般人とのやりとりも表面的で、何か打ち解けない感じがする。
お互いに遠慮の空気が見えるのだ。

長い間テレビに出ている人だと親しみを感じるのか、
一般人の方から寄っていくし、
有名人側も、それなりに大御所であっても敷居を低くする。
の掛け合いもうまい。

長い間テレビに出続けるのは簡単なことではない。
実力があるから長くテレビに出続けられるのか、
テレビに出続けて実力がついたのか。
いずれにしても、たとえちっぽけな仕事であっても、
求められる役割や位置づけに、きちんと応えてきたのだと思う。
つまりは業界から愛されてきた人材なのだろう。

最近では出川哲朗氏の評価が上がっている。
かつては抱かれたくないタレントなど、
マイナスイメージ系のランキングにおいて上位の常連だったが、
今ならば好感度系で上位にランキングされるのではないか。

彼はそれなりに上のポジションにいるベテランでありながら、
いじられキャラとして、未だに若手が強いられるような役割を全うする。
バカになれて、誠実で、責任感が強い。
中年になって重宝されるには理由がある。

こうした一般人ふれ合い番組でイラっとするのが、
ノリに任せていい加減な言動をする一般人だ。
「いつもテレビで観てます」、「大ファンです」などの発言。
とりあえずサインや握手を求める行為。
有名人を前に呼び捨てにすること、などだ。
全てにげんなりする。

有名人のサインにも、握手及びボディタッチに対しても
何らの価値を感じない私は少数派なのかもしれないが、
そういうものを求めるなら求めるで、
最低限のマナーがあるだろうと。

「いつもテレビで観てます」と言っておいて名前が出てこない。
失礼すぎるだろう。
とりあえずサインをもらう、という行為も貧乏くさい。
「貧乏」は何かと事情があるだろうから言及するつもりはないが、
「貧乏くさい」のは、軽薄で、かっこ悪い。

握手を求めるのは圧倒的に女性が多い。
すべての女性がそうではないので一概に言えないが、
ミーハー行動へのハードルは
女性の方が低い傾向にあるのではないか。
というか、親しくない人の手を、
出会ったその日に握ることに抵抗はないのだろうか。
とにかく軽い。
有名人なら誰でもいいのか。
別の意味で「やり手」と言われても仕方ない。
そこにロマンを感じるのか。
だとしたら、おめでたい話だ。
ふられてバンザイをして、ほれたら乾杯をするよりもおめでたい。


まずは、私のソロ活動「激しい雨」のライブのお知らせを。

■日時 2017年8月19日(土)
■場所 とまと畑(札幌市中央区南4条東3丁目ピープルⅢ1階)
■料金 1,500円ワンドリンク付き(ではないかと思われます)
■出演(出演順・敬称略)
     ・激しい雨(19:00~19:25)
     ・北都の平八(19:30~19:55)
     ・エロチカ(20:00~20:25)
     ・塚本茂晴(20:30~20:55)
     ・レンジオブモーション(21:00~21:25)
     ・雨(21:30~21:55)
     ・ヤマガタユウジ(22:00~22:25)

「とまと畑」は初出演だ。
それもあってか出番は一番目。
今回はアコースティックギターを弾きます。
よろしくお願いします。
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さて今回は、久しぶりに無人駅を巡るブルーズだ。
訪問したのは「夕張支線」にある6つの駅。
うち無人駅は5つだ。

夕張支線は、括りとしては石勝線の一部であるが、
国道274号線沿いにある「新夕張駅」から
夕張の本町にある「夕張駅」までの16.1kmの区間は、
「夕張支線」として別枠設定がされている。
ここをクロスバイクで巡った。

今回の無人駅巡りのスタート地点である「新夕張駅」まで
車にクロスバイクを積んで移動したのではない。
岩見沢からクロスバイクにライドオンして移動した。
そのため、スタート地点に到着するまで4時間(約57km)かかった。

クロスバイクの一日旅の主要な楽しみのひとつが昼食。
しかし、新夕張駅に到着時点で既に12時45分であり
時間的余裕に乏しかったこと、
新夕張駅近くの食堂は満席だったこと、及び
訪問する無人駅の界隈に食事できる店などないと考えられたこと
などの理由により、
新夕張駅近くのスーパー内にあった夕張市の阿部菓子舗のパン
(あんばん、ツイストドーナツ)と魚肉ソーセージで済ました。
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いずれも普通に美味しかった。
しかしドラマがなかった。

そしていよいよ本格的にスタート。
「新夕張駅」
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無人駅ではないどころか、特急が停車する駅でもある。
夕張支線はここから夕張の山の中へ、
方向的には北へとレールが走っている。

ちなみに、新夕張駅から東方向は帯広、釧路方面へと
つながっているのだが、
新夕張駅から占冠、トマム、新得までの約90kmの区間は
普通電車が走っておらず、この区間のみを利用する場合は
普通料金で特急に乗れることを知った。

新夕張駅から北へ向かい、最初に表れる駅は「沼ノ沢駅」
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到着してまずショックだったのが、
駅舎に隣接して、情趣に富み、円熟味にあふれたレストランがあったこと。
ここで昼食をとれたんだ、と非常に残念な気持ちに。

周りには民家がそれなりにあり、
駅も国道452号線沿いにあるため、特に寂しい感じはなかった。
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ホームには原生花園っぽい花畑があり、実にフォーキーだった。

続いては「南清水沢駅」
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この駅も国道沿いにあるのに加え、
スーパー、ホームセンター、コンビニにビジネスホテルまである。
世間で言われる夕張の廃れ感は薄い。
他の無人駅では考えられないくらい人を見かけた。

駅裏からは眼下にたくさんの団地群が見えた。
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このうちどのくらいの住宅が使用されているのかはわからないが、
使用率が高ければ結構な集落である。
夕張は奥深い。
ちなみに南清水沢駅の近くにカレー店とパン屋があった。
ここでも食事をとることができたのだ。

南清水沢駅から1.5kmで「清水沢駅」に着く。
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駅舎は古いが、駅前ストリートは商店が建ち並ぶ。
岩内町のメインストリートよりシャッター率は低い。
新しめの住宅も比較的多い。
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そしてこここにも駅前に食堂がある。
無人駅の近くにこんなに食堂がある路線は珍しい。

多くの無人駅は、近辺に民家が少なく、
「この駅を使っているのは何人だろう」とか、
「かつては賑わったんだろうな」と考えるが、
夕張支線は駅があっても不思議じゃない雰囲気なのだ。

それでもかなり人口が減ったことは随所に感じる。
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ホームは長いし、駅舎も大きい。
そもそも夕張支線は、始点から終点ので夕張市のエリアで完結している。
一市町村でひとつの路線を有しているということあり、
相当利用されていたことが想像できる。

ここからは緩い上り坂が続き、夕張の本町エリアに入る。
「鹿の谷駅」
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無人駅らしい長閑さを感じられる佇まい。
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次の夕張駅とは1.3kmしか離れていないのにもかかわらず
駅があるということは、
このあたりに人が密集して住んでいたということだろう。

そして15時15分、終点「夕張駅」に到着。
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夕張駅のすぐ近くには屋台とホテルマウントレースイがあり、
ミニマムに観光風情がある。
実際、観光客もそこそこいた。

しかし、地元住民は、清水沢や南清水沢の方が多く見かけた。
開いている店もメロンを売る店とコンビニのみ、という感じで、
シナモンドーナツの「うさぎや」も閉まっていた。
というか、「うさぎや」が開店しているのはしばらく見たことがない。
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終着駅であるため、線路が寸断されている。
これだけ建造物に囲まれた中で線路が寸断している終着駅は
ここくらいだろう。
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夕張支線は早ければ2019年(平成31年)の春に廃線となる。
今回クロスバイクでまわって思ったのは、
実際に乗ってみたい、いや、乗る必要がある、ということ。
清水沢の駅前食堂か沼ノ沢のレストランで食事をしたいこと。
それから、清水沢や南清水沢を、もっとディープに探索したいことだ。
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無人駅グルメなる新展開があってもいい。

夕張にはこれまで何度も訪れているが、
点と線でしか体験していなかったことを痛感した。
夕張は特別な衰退地域だという位置づけではあるが、
右肩下がりの角度がきついだけで、現に8,500人が住んでいる。
8,500人ならば、北海道ではそこそこの人口だ。
この10年の人口減少率は歌志内市の方が大きいという事実もある。

そういうわけで、別の視線で夕張を見られ、
ちょっとした非日常感も味わえた。
ただ、岩見沢市を8時45分に出発し、17時30分に帰宅したことは、
通常の勤務時間と全く同じであり、無意識のうち日常だった。

空知は、石勝線のほか、函館本線、札沼線、室蘭本線、
留萌本線、根室本線などJRの路線が非常に多く走っている。
これまでにひととおり訪問しているが、
空知に住んだことだし、改めて巡ってみようと思っている。
繰り返さなければブルーズは深みを増さない。


2017年8月5日土曜日、
札幌市G-HIPで行われたライブに出演した。
セットリストは次のとおり。

1 ほどほどに
2 チャンス
3 不眠の歌
4 大豆を転がせ
5 準備はいいか
6 ゆとり
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短い曲を複数セレクトしたことで、
30分のステージながら6曲を演奏できた。

私はしょっちゅうライブをやっているが、 ほとんどはソロ活動であり、
バンドでのライブはまだ今年2回目だ。
7月にバンドとして7か月ぶりにライブをしたが、
準備不足というか、消化不良というか、 しっくりこないものがあった。

その失敗を振り返り、特にチームとしての一体性と
ライブ前後の環境に配慮して、この日のライブに臨んだ。
結果、リラックスして、気持ちものり、楽しむことができた。

音楽活動を続けていてよく思うのは、
自己満足の度合いが出来・不出来の物差しになっていること。
良かったと言ってもらえても、
自分としてはぱっとしなかったときはダメダメ感に苛まれ、
周りが評価してくれなくても、
自分として、「はまった感」や「つかんだ感」があれば、
それで結構満足するものだ。
私のキャリアは、まだその程度のレベルだ。
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ライブの後は、今年初めてメンバーと打ち上げをした。
ライブに力を注ぎ、
打ち上げではライブの話をしつつもうやむやになり、
打ち上げの後はライブに関するあれこれを洗い流したような 感じになる。
「今日ライブやったんだっけ?」くらいの気持ちで帰路につく。
このように一旦終わらせること、区切りをつけていくことが 結構重要だ。
良くも悪くも引きずらないように締めくくりたいものだ。

打ち上げ修了後、岩見沢行き最終便のバスで帰った。
日付が変わる時間帯に走る便ではあるが、 座席は7割程度埋まっていた。
十分に需要のある便だ。

新しいことも交えつつ、保ち、続けていくことは 気を使うし、お金も使う。
キープ・オン・ロックンロールは楽じゃない。
しかし、キープ・オン・ロックンロールが最高の薬でもある。

いずれにしても、自分を取り巻く人たちのおかげで成り立っている。
自分を取り巻く人たちが私を作っている。
自分で道を切り開いてとか、そもそもそういう考えがない。
持ちつ持たれつ、行きつ戻りつ、
誰かが作ってくれた道を、ラッキーと思いながら歩いてく夏だ。


まずはライブのお知らせを。

日 時 2017年8月5日(土)19時
場 所 G-HIP(札幌市豊平区平岸3条9丁目)
■料 金 2,500円飲み放題又は1,500円飲み物別
■出演者 THE HEART OF STONE ほか

ライブ2日前の今日、やっとライブの基本情報について連絡があった。
ザ・ハート・オブ・ストーンの出演は19時予定。
今日言われても、という感じだが、お知らせしておきます。
楽しんできます。
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さて今回はブックレヴュー。
読み応えのある本が揃いました。

■早見和真「イノセント・デイズ」(2014年)
   
イノセントデイズ
放火殺人犯として死刑囚となった女性。
幼少の頃に虐待を受け、中学生で窃盗をして、ストーカーになった等々、
テレビ、新聞、週刊誌は、彼女の人生を面白おかしく誇大に取り上げた。

しかし、事実は違った。
かばい、助け、身代わりになるなど、自ら不幸を請け負うような生き方。
そして、彼女見殺しにした親族や同級生。
苦しく辛い物語だ。
と同時に、何ら反論せず、悪い意味で状況を受け入れてしまう彼女が
歯がゆくなる。

登場人物それぞれのキャラクターが立っている。
特に彼女に罪をかぶせておきながら、
後悔や恐怖に苦しみ、彼女との関わりを消したがる面々の心理描写は
読み応えがある。
変に後腐れのない淡々としたエンディングも良い、ちょっと切ないが。

■青島武「追憶」(2017年)
   
追憶
小樽市銭函で偶然知り合った少年3人。
彼らは楽しく夏休みを過ごすが、とある事件が発生。
3人は秘密を共有する関係になりつつ、事件後に離ればなれになる。

それから30年。
3人は、刑事、被害者、容疑者という立場で再会する。
彼らは30年前の事件に縛られ、とらわれ、大人になっていた。

舞台が銭函のほか、札幌、江別、石狩なので親近感をもって読めた。
ただ、北海道弁がよろしくない。
頻繁にある話だが、「その言葉、そういう言い回ししないから」の連発。
特に、「~っしょ」と「ゆるくない」の使い方は完全にずれていた。

物語としてはおもしろい。入り込んで読めた。
心情の掘り下げや表現の妙味などには乏しい。
また、陰の部分が多く、背景の重さがついて回る内容である。
しかし、軸がぶれずシンプルにどんどん展開させていくので、
ほぼ一気読みだった。

■伊坂幸太郎「サブマリン」(2016年)
   サブマリン
家庭裁判所調査官と調査対象である少年達を取り巻く話。
家庭裁判所調査官は、離婚などの事案や少年犯罪事案などの原因や
背景を調査する国家公務員。

書きぶりは軽妙で洒脱でコミカル。
大っぴらにはできないが心の中に潜在的に存在している正義や悪意、
解決しようのない世の中の矛盾など、
そのあたりの際どいところを気高くクールに描いている。
まさに筆者の世界観を楽しめる作品だ。

主人公の調査官は、自分勝手で面倒な存在にもかかわらず、
協力者がたくさんいて、問題をスマートに収束させていく。
簡単に言えばかっこいい。
私としては出来過ぎというか、整い過ぎな印象ではあるが、
彼の言動を楽しめる人は多いだろう。

■わたなべぽん「やめてみた。」(2016年)
   
やめてみた
漫画の単行本である。
漫画家であり妻である筆者の実話。
炊飯器、テレビ、掃除機、ゴミ箱、メイク、コンビニ、夜更かしなど
日常生活を取り巻く様々なことをやめてみたら、
結構良かったという話だ。

最も共感したのは「夜更かし」の章。
何もなかった一日が物足りなくて、なんとなく夜遅くまで起きている。
起きていたら、何か楽しいことが起こったり、面白いものに出会ったり
するのではないかと漠然と思いながら、だらだらと過ごす。
それをやめてみた、ということが描かれている。

私もこうした経験がある。
根拠も準備もなく夜に期待してもだめだ。
あきらめて、というか割り切って寝ること。
体調が良くなるし、朝の時間が効果的に使えるようになる。
ところが問題なのは、
早く寝ようとするとなかなか眠れず、
別のストレスやリスクが発生することだ。

やめたことによる隙間をどう埋めるかだ。
埋めずに済めば、それも有りだが、うまくコントロールでききるのか。
そう考えると、やめられるかどうかは精神的な部分が
大きく影響するのかもしれない。

やめる、ということは、始めることでもある。
やめる、ということを始めることなのだ。
わからなくなってきた。
早く切り上げて寝よう。
と思うとなかなか眠れない。
眠るのをやめてみるか。


岩内町、2017年夏。
土曜日の夕方、岩内港に人の姿はほとんどない。
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バイク旅の男性が携帯電話をいじっていたくらいだ。
というか、夕方の港に人がたくさんいることの方がイレギュラーだ。
町フェスでもない限りそんなシーンはない。

私が小学校低学年だった1970年半ばの岩内町の人口は2万6千人。
それが今は1万3千人。
半分になった。
産業、風土、インフラ整備、住民ニーズの変化など様々な事情により、
なるべくしてなったと思う。
誰も責められないし、責めるべき事柄ではない。

それにしても、国道229号線沿いの岩内町商店街ストリートにおける
シャッター率の高さはすさまじい。
全道でもトップクラスの率ではないか。
元々商店が多く立ち並んでいただけに、カウンターパンチも強い。

そんな岩内町にかつて「福井庵」という店があった。
蕎麦メインでありつつも、ラーメンや丼ものも充実していた。
特にカツ丼とカツカレーは他に類を見ない逸品で、
小学生の頃から30代まで結構な回数食べた。

ところが平成19年(2007年)3月に閉店した。
あのカツ丼とカツカレーをもう食べられなくなったことが非常に残念で、
誰か復活させてくれないかと何度も思ったし、
自分で作れないかと自宅でトライしたことも何度かある。
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福井庵が閉店して10年経った。
店の入口は鉢植えでふさがれているが、
建物はしっかりと残っており、看板もそのままだ。
住居として使っているのだろう。

もう一度、あのカツ丼とカツカレーを食べたいという気持ちは、
未だに心の片隅にある。
もう無理なことに執着していると必ず墓穴を掘るので考えないように
しているが、岩内町市街地にくると、つい考えてしまう。

ところが奇跡が起こった。
砂川市の某レストランで食事待ちをしているとき、
「熱狂B級グルメ」なる雑誌を見ていたら、
岩内町に福井庵のカツ丼をカバーしている店があることを知った。
福井庵のカツ丼をリスペクトし、アレンジを加えつつ再現しているという。

胸が踊った。
僥倖だ。
信じていいのか、と疑問さえおぼえた。
喜びと不安、冷静と情熱、期待と失意、そんな様々な感情を抱えて、
7月某日、その店「たろ」を訪問した。
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店は旧福井庵から徒歩2、3分の距離にある。
国道229号線沿いあり、過疎地の食事処なのに駐車場なし。

メニュー表を開く。
あるじゃないか、「ふわとろロースかつ丼」(900円)。
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一般的なカツ丼派の方のために「普通ロースかつ丼」もある。
では、「ふわとろ」は、どこが普通ではないのか。
決定的な違いは、玉子が多めで、べちゃっとしていることだ。
「ふわっ」ではない。
水分多めの「べちゃ」だ。

玉子は、そばつゆのダシが効いた独特の味がする。
玉子以外の食材は盛り込まれていない。
玉子の白身が見えないように調理されている。
トンカツは肉も衣も薄め。
そうした福井庵メソッドをどう再現したのか。

いよいよカツ丼登場。
10数年ぶりの対面だ。
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いいじゃないか。
見た瞬間、福井庵をカバーしたことがダイレクトに伝わった。
そして食べる。

これだ、これなんだよ。
これを求めていたんだ。
これを探していたんだ。

玉子のべちゃっと感が見事に表現されている。
味も特徴をとらえ、きちんと再現されている。
福井庵よりダシが効いた大人の味のようではある。
福井庵の方がもう少し甘めだった。
しかし、それは誤差の範囲であり、個性でもあり、何ら問題がない。

トンカツは明確に違った。
福井庵のは肉が薄かった。
ここのは厚い。
一般のトンカツより厚いのではないか。
それが900円という価格設定につながっているのか。
しかし何ら問題はない。
原曲のソウルを守り、活かして、アレンジしたものだ。
素晴らしい出来だ。

「福井庵」と「たろ」のカツ丼はどの程度の違いなのか。
カレイとヒラメの違いか。いや、違う。
西城秀樹と東条英機の違いか。そういう違いではない。
五木ひろしとコロッケの違いか。根本的に違う。
強いて言えば、コカコーラとメッツのコーラの違い程度のものだ。
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これは使える。
再訪間違いなしだ。
福井庵リバイバルとして十分な作品だ。
よくぞカバーしてくれましたと感謝の気持ちの中、日本海に日が沈む。
ごちそうさまでした。



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