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今年の帯広の6月は天候がすぐれない。
雨、雨、曇りのローテーションが組まれ、しっかりと守られている。
なぜにそこまで勤勉なのか。
記録的な日照不足は確実だ。
心までじめじめとしてくる。

ザ・モッズの森山達也氏は、
ファーストアルバム「FIGHT OR FLIGHT」のレコーディングのため
ロンドンに行った際、空港を着いたとき「ダーク」とつぶやいた。
「LET IT ROCK」にそう書いてあったような記憶がある。
毎朝そんな気分になっている。
しかし、さすがに「ダーク」とはつぶやかない。
春の十勝、平日の早朝、民家のベランダで
欧米人を気取ってつぶやくような経過、必要性、圧力、人間性。
そのいずれもない。
つぶやかないまでも、心の中で思い浮かぶのは、
SIONのファーストアルバムに収録の「街は今日も雨さ」だ。

そんな毎日ながらも早起き生活を続けている。
雨であれ曇りであれ、早朝は神秘的だ。
見慣れた街が、知らない街に見えるほど、
朝でも昼でも夜でもない不思議な空間と化す。
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〈JR帯広駅南口のメインストリートも静寂に包まれている〉

早朝の街は止まっている。
動いているモノがない。
人を見かけないし、車も走っていない。
道路や建物や標識など、そこにある有体物は
全てドラマのセットのように感じる。
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〈早朝は裏通りも遠くまで道が続いていることを気づかせてくれる〉

音も聞こえない。
現実感がない。
時間の感覚も麻痺する。
朝、昼、夜、どれにも属さない、一日の中でほんの少しある
ミステリアス時間だ。

この街には私しかいない気分になる。
「僕しかいない街」だ。

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〈我が家の前の片側2車線道路も早朝は怖いくらいにひっそり。6月10日から青空を見ていない〉

こうした非日常感が早朝の醍醐味だ。
午前6時が近づいてくれば、
公園や遊歩道や河川敷にはウォーキングをするR-60世代や
幹線道路を走る車の数が増え始める。

日常の「朝の色」に塗り変えられ、一気に現実に引き戻される。
私は、動き出した様々なものに埋もれていき、

僕しかいない街が、僕だけがいない街へと変貌していく。

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〈何ら変哲のない住宅街の早朝は沈黙さが際立つ〉

リアルに「僕しかいない街」になってしまったら生きてはいけない。
私以外のものであふれている現実がすぐそばにあるから、
私しかいない時間帯が魅力的なのだ。
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〈帯広競馬場前の白樺通。雨の音しか聞こえない〉

夜明けの来ない朝はない、という励まし言葉がある。
ただ、今抱えている悩みや不安は、明日と明日以降があるから苦しむ。
明日又は明日以降に悩みや不安と向き合わなければならない。
今日で全てが終わるなら、悩みや不安はどうでもよくなる。
未来がなければ、全て投げ出していい。
しかしそれではあまりに悲しすぎる。

だから、日常の中にあるほんの少しの非日常が貴重なのだ。
朝、昼、夜、どれにも属さない、
一日の中でほんの少しあるミステリアス時間。
それはとても純粋なものだ。
しかし、純粋なものを求めれば求めるほど、不純なモノが見えてくる。
ストイックであろうとすればするほど、欲望がより鮮明になるように。

要は、ほどほどに、ということだ。
振り幅は小さくなるが、それが最も大過なく継続できる。
ところが、「ほどほどに」を継続するのが最も難しいかもしれない。
だから日常の中に、非日常というスパイスが必要なのだ。

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 2016年6月18日、帯広市のライブハウス「チャボ」にて
開催されたライブに、「激しい雨」の二人バージョンで出演した。
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セットリストは次のとおり。
1 大事な用事
2 古いロックに埋もれたい
3 いい知らせが聞きたい
4 トビラ
5 ゆとり

今回の「激しい雨」はソロ出演ではないので、
現場でのアドリブ的選曲ができないこともあり、
全編オリジナル・ソングとした。

また、いつものGibsonJ-45ではなく、
久しぶりにTakamine社のギターで臨んだ。
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そして「激しい雨」としては数年ぶりに
スタンディングでステージに立った。

その理由は、「チャボ」や「ホーリーズ」でのライブの場合、
スイッティングだとお客さんと目線の高さが同じになるため、
普通に前を向いて歌うと目が合うことがあり、
なんとなく気まずい思いをさせているのではないかと
以前から気になっていたことによる。
それと、歌にしても演奏にしても、
スタンディングの方が身体の中心部から力を伝えやすいからだ。

身体は私に対して、「いつもよりキモちEぜ」とメッセージを送ってきた。
実際、座ってやるよりイイ感じのノリを出せたように思うが、
果たしてどうだったのか。

ただ、演奏ミスは少なくないし、
ボーカルも理想的な瞬発力を出せなかったり、粘りきれない箇所が
いくつもあった。
残念な気持ちのリバウンドから早く練習したくなった。
有り難いことだ。
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このライブには大阪や札幌から来られた方がいたり、
お客さんもなかなかの熱気があり、
地方の中都市の地下にあるライブハウスのサタデーナイトとしては
非常に望ましい雰囲気だったと思う。

特に刺激を受けたのが「Rino with Friends」の皆さんだ。
帯広、音更、士幌と十勝管内の様々な市町村に在住の方々なのだが、
灰汁抜きをきちんとした、嫌みのない大人の演奏をされており、
聴き心地が非常に良かった。
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ボーカルのRinoさんのパフォーマンスは大変勉強になった。
なんというか正しいのだ。
私にとっての正解のような歌い方だった。
身体の使い方、特に顔の下半分から肩にかけての使い方は
何かヒントをもらったような気がした。

そんなことを思っていたら、ヴォイストレーナーであるとのこと。
納得だ。
無料で勝手にレッスンを受けられた。

「チャボ」でそれなりに飲み、途中で睡眠状態に陥るも、
その後、すっかり行きつけとなった「笑福」で打ち上げ。
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やはりライブをやることだ。
何度やっても必要な経験だったと思える。
準備して、うまくいったところ、いかなかったところがあり、
楽しかったり、残念だったり、刺激を受けたり、だるくなったり。
で、打ち上げをして、一旦全部グッバイする。
そしてまたリスタートする。
メリとハリ、そして「終わらせること」は次への重要な手続きだ。
恋愛もそうだぞ。


6月に入ってから帯広は寒い日が多い。
初旬に数日続けてストーブの力を借りた。
その後もすっきりとしない天候が続き、
中旬になってまたストーブ・アゲインとなった。

5月20日頃に真夏日が続いたのが、
今となっては去年のことのように思う。
ただ、その時期、クロスバイクで十勝北部をライドした。
ナイタイ高原牧場まで行ってきたのだ。

ナイタイ高原牧場は帯広から約55km。
牧場にある展望台の標高は約800m。
JR帯広駅あたりの標高は40mくらいなので、
横移動だけではなく、結構な縦移動もしたことになる。

5月22日日曜日7時25分、JR帯広駅を出発。
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この時点で直射日光を受ける駅前の温度計は24度に達していた。

帯広から音更、士幌、上士幌と北上する。
ここまで約40km。
まさに十勝平野な平坦ロードだ。

上士幌市街地から緩いながらも淀みのない坂道が始まる。
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民家はなくなり、自然豊かな景色に囲まれるが、
だらだらとした緩い上り坂は地味にきつい。

そしてナイタイ高原牧場の入口に到着。
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ここから約7kmの本格的な上り坂となる。

空は澄み渡り、道は曲がりくねり、進むほどに眼下の景色か広がり、
大自然のど真ん中感を味わえる。
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ところが、ひたすら上り坂。
ペダルを踏むエナジーと気力を奪われる。
なかなか前に進まない。
しかし私は耐える、なんてことはしない。
あっさりクロスバイクを降り、歩き始める。

無理はしない。
根性がないか?
それならそれでいい。
無理をしずぎた後のリバウンドが怖い。
リバウンドに苦しむほうがよっぽど根性が必要だ。

勝負をしているわけではないし、戦ってもいない。
急ぐ旅じゃないんだ。
坂道でクロスバイクを押して歩くことも楽しむ。

時間のロスはある。
でもその気があれば、ちゃんと到達できる。
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11時35分、ナイタイ高原牧場の展望台到着。

ナイタイ高原牧場に来たのは10年ぶりくらいだろうか。
帯広に住むまでは、十勝の観光地といえばナイタイを最初にイメージした。
いざ帯広に住んでみると、知らなかった十勝の発見が楽しく、
過去に何度か訪問したことがある場所には足が向かずにいた。
久しぶりに来てみると、やはり素晴らしい。
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「広大」という言葉の意味を教えてくれる景色だ。

帰りの坂下りは最高だった。
ほぼノーペダルで7kmをライディング。
この気持ち良さはなんなんだ。
何かのアトラクションのようだ。
ところによっては、時速50kmを超えた。

時間をかけてやっと登った坂を一気に駆け降りる。
他に似たものがない開放感。
それはまさに非日常。
日常生活にはこういうひとときが必要だ。

長い間少しずつ貯めたお金を一気に使うとこんな気持ちになるのか。
いや違うような気がする。
お金をぱあっと使っても、これで良かったのかな、
自分の欲しいものはこれだったのかな、とちょっとした疑問がちらつき、
100%の満足や納得は得られないのではないか。

この坂下りに、そういう邪念はなかった。
坂を登ったのは、この快感のためだったのだと純粋に思えた。
コカ・コーラよりもスカッと、かつ爽やかだし、
オロナミンⅭよりも元気でハツラツとする。
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また十勝ライフの楽しさを発見してしまった。

だらだらとマイペースで帯広に向かい、
15時25分、JR帯広駅到着。
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ちょうど8時間、往復116kmの小さな旅だった。
直射日光を受ける駅前の温度計は35度を超えていた。

やっと登った坂を一気に駆け降りる。
何も残さない。
使い切ったから気持ち良かったし、楽しめたのだと思う。
そして、使い切ったから、次にまた何か始めたくなる。
やり損じたことは仕方ない。
大切なのはやり残さないことなんだろうな。


 2016年5月29日日曜日、帯広市「ホーリーズ」で行われた
アコースティックライブに「激しい雨・ソロバージョン」で出演した。
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セットリストは次のとおり。
1 スローなブギにしてくれ
2 I LOVE YOU
3 六本木純情派
4 SOMEDAY

会場のつくり、出演者の雰囲気や演奏曲の傾向などからして、
ホーリーズではカバー曲をやった方が溶け込めることを、
出演するたびに感じてきた。
なので出演するたびにカバー曲の割合を増やしてきたのだが、
今回はついに全てカバー曲にした。

どれも80年代の曲。
SOMEDAY」以外の曲は、当時よく聴いていたわけではない。
なのに、2016年になった今、
歩いたり、車を運転しているとき、
ふと気づいたらメロディを口ずさんでいて、自分に驚いてしまう。
そんな曲の中から、意外に歌えるかも、と思ったものを
安易にチョイスした。
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フジテレビで日曜日の朝7時から放送している「ボクらの時代」を
結構観ているのだが、
ライブの日は荻野目洋子氏が出演した。
奇遇だ。
「今日ボクは君の曲を歌うんだぜ」と心でつぶやいた。

「六本木純情派」。
古めのメロディに、80年代らしいサウンド、
そして荻野目氏の歌唱力が素晴らしい。
この曲をカバーしている人を見たことはないが、
もっと歌われていい曲ではないかと常々思っていた。

ライブ音源を聴いたら、思ったよりも歌えていなかった。
声とギターの音色を立体的に表すならば、
底の部分が聴こえてくるような意識でプレイしたが、
表面部分の比重が高いパフォーマンスだった。
練習不足というよりは実力不足だ。
課題は尽きない。
しかし、手が届かなくて断念しようと思う課題ではなく、
克服したくなるようなものであることが有り難い。
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帯広でのアコースティックのライブは、ホーリーズに限らず、
発表会とか交流会のようなテイストがある。
しばらくその雰囲気にうまく溶け込めなかったが、
自然に楽しめるようになり、
私のパフォーマンスの異質感がだいぶ緩和されてきた気が。

ただ、それはいい方向へ向かっているのかどうかはわからない。
全てカバー曲というのは、私の中ではトライであり、
小さなレボリューションでもあった。
そんな私のレボリューションをわかり始めたような気もしたが、
やはりオリジナル曲を磨き、
オリジナル曲で納得してもらえるようにならなきゃ、
という気持ちにもなった。

なので次回は、さよならレボリューション的展開を試みたい。
見せかけのカバー曲などいらないのかもしれない。
でも、練習も本番も楽しめた。
いずれにしても、今夜ここでゲットハッピー、だったということだ。


十勝で最もフェイマス、かつシンボリックなパン屋が「ますや」だ。
ますやパンは十勝管内に6店舗ある。
帯広市内に4店舗、音更町と芽室町にそれぞれ1店舗だ。

既に全6店舗でパンを購入したことはあるが、
この6店舗を一日で訪問してみるのもいいんじゃないか。
手段は徒歩。
そう、大人の遠足だ。

この「ますやパン・ラリー」構想は昨年の夏に浮かんだ。
自転車で二回試走もした。
一回目と二回目とでルートを少し変えてみたところ、
いずれも距離は37km~38kmだった。
この距離なら8時間コースだ。

「ますやパン・ラリー」の基本ルールは、
①すべての店舗でパンを買う。
②遠足中に食べるものはますやパンのみ。水分に関してはフリー。
③信号は必ず守る。
この3つだ。

結構長い時間を歩くため完走できるのか不安はあったが、
疲れたり、痛くなったりで、不快になる我慢を強いられるレベルに達したら、
あっさりやめて戻ってこようと、極めて軽い気持ちで臨んだ。

また、ますや6店舗は、
JR帯広駅を基点に北・西・南に円を描くような配置であるため、
すごく遠くへ行くというよりは、
帯広界隈をぐるっとまわってくるようなコースだったため、
仮にリタイヤしてもフォローに手間がかからないので気が楽だった。

ちなみに、ラリーした順は、
本店(帯広市中心部の繁華街)
満寿屋オトフケ(音更町)
めむろ窯(めむろがま・芽室町)、
④ボヌール・マスヤ(帯広市柏林台)
麦音(むぎおと・帯広市稲田)
⑥トラントラン(JR帯広駅)

そういうわけで、10時14分、JR帯広駅
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「気楽にいこうぜ」的なゆるさ全開で温めの時間帯にスタート。

10時19分、1店舗目「ますや本店」
JR帯広駅から5分だ。
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とりあえず王道の「あんぱん」を買う。
ますやパンはこれまで30種類くらい食べたと思うが、
最も食べているのはあんぱんだ。
結局はベーシックなものをリピートしてしまうのだ。

実はあんぱんなるもの、「パン」という西洋フードに、
「あん」という和テイストがトゥゲザーした、
まさしく和洋折衷の代表的な食べ物だ。

序盤にとばすと中盤以降に一気にリバウンドがあるため、
ややスローペースで音更町へと歩みを進める。

11時30分、2店舗目「満寿屋オトフケ」到着。
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昼食パンであるため、
白あんぱん、ミルクフランス、くるみパンの3点を購入。
白あんぱんは十勝に住んで初めて知った。
柔らか、しっとりなパン生地と白あんが合う。
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ミルクフランスは、様々なパン屋で食べているが、
ますやのミルクフランスが一番美味しい。
気のせいかもしれないが、ミルクフランスは、
ますやの店舗によって価格は同じなのに長さが異なるような。
「満寿屋オトフケ」のが最も長いかも。

さて、次に向かうのは芽室町にある「めむろ窯」。
この区間が長い。「満寿屋オトフケ」から15kmくらいある。
ここをうまくのりきれば完走できるとふんでいた。

「満寿屋オトフケ」で買った3種類のパンを、
30分ごとにパンを1個ずつ食べ、短い休憩を繰り返し、
体力的なダメージをセーブしながら進む。

14時55分、3店舗目、芽室町「めむろ窯」到着。
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音更から3時間10分かかった。
「スイートポテト」と「めむろあんぱん」を買う。
午後のおやつだ。

ますやのあんぱんは、店舗によって味も形も価格も異なる。
めむろあんぱんは少し小さめで価格も安い。

この日は最初にあんパン、オトフケでも白あんパンを
食べているにもかかわらず、芽室でもあんぱんをチョイス。
どれだけ「あん」が好きなのか。

めむろ窯に到着する直前、ローリングストーンズをシャッフルで聴いていて、
アンジー」と「アンダー・マイ・サム」が連続してセレクトされたことも
多分に影響している。

しかし正直に言おう。
めむろあんぱんを食べている途中で、
あんはもう十分だ、もういっぱいいっぱいだと
身体がメッセージを発してきた。

「スイートポテト」を食べ終わる頃には、
私の一日あたりのパン・キャパシティの限界が近づいたことを痛感した。
ここまで20km以上歩いた。
時刻は15時過ぎ。
にもかかわらず、そこそこ満腹。
5時間で20km以上歩いても、
パン6個分のカロリーほどは消費していないということだ。

16時10分、4店舗目、柏林台にある「ボヌール・マスヤ」到着。
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6時間を経過したわりには意外に元気だ。
先ほどパン・キャパシティの限界がちらついたが、
きちんとエネルギーとして機能してくれた。
とはいえ、もうパンを食べる気はしなかった。
ピーナッツと野菜が食べたかった。

それでも自らに課したルールと、ますやパンへの感謝の気持ちから、
とりあえず目についたのでメロンパンを購入。
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残念ながら、胃の中へは向かわず、リュックの中へ。
持ち帰りとなった。

残りは、稲田地区の「麦音」と、JR帯広駅の「トラントラン」のみ。
この2店舗と「ボヌール・マスヤ」を結ぶトライアングルエリアは、
日頃、頻繁に自転車に乗ったり散歩をしているので
距離感も土地勘もある。
そのせいかすっかり安心してしまった。
その安心は油断でもあった。

ボヌール・マスヤを出発して5分ほど歩くと、
それまでの6時間に及ぶ徒歩ダメージが加速度的に増してきた。
脚を前に進めるのが重たい、足の裏が痛い、
ふくらはぎが軽くしびれる、しゃがめない。
おそらくまだ10kmくらい残っている。
不安感は危機感に変わりつつあった。

こんなときこそ楽しいイメージを描くことだ。
ゴールしたらビールだな。
セブンイレブンに売っている一番高い缶ビールを買おう。
それとピーナッツに野菜だ。
残りの2店舗でもパンは買う。
しかし今日はもうパンは食べる気がしない。
身体が内部からそう言っている。
それはそれでいい。
まずは訪問、そして購入。そこまででいい。
食べきるところまで固執するな。
誰に対しても責任は負っていない。
帰宅後のシャワーは格別だろう。
その後のビールもまた極上だろう。
そんなちっぽけで最高の帰宅後の場面を想像しながら帯広市を南へ。

17時15分、5店舗目、「麦音(むぎおと)」到着。
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夕方の時間帯になり、パンの種類は減り、お客さんも少なめ。
それでもお客さんは代わる代わるやって来る。
今食べたいパンはないが、どれかは買わねばならない。
というわけで、ベーシックにベビーパン2山を購入し持ち帰り。

ここからはJR帯広駅のESTA内にある「トラントラン」に向けて北上。
緑ヶ丘公園の中を歩き、駅へと続く一直線道路へ。
普段頻繁に使っている道が、今日は「ますやラリー完走」の
ビクトリーロードだ。

18時05分、6店舗目、「トラントラン」到着。
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あと1時間ほどで閉店する時刻だったのでパンの数は少なめ。
よほどサラダ的なものを欲していたのか、
迷わず「マヨタマサンド」をチョイス。

そしてスタート地点に戻る、そこがゴールだ。
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18時10分、ゴール
直ちに近くのベンチでサッポロ・クラシックを飲む。
つまみは、5分前に買った「マヨタマサンド」。
最高に美味しい。
一缶では足りず、駅構内のセブンイレブンへ。
サッポロ・クラシックをアゲインした。
二缶目で落ち着いた。
これがあるから、また遠足をしたくなってしまう。

1店舗目で、あんぱんを買ったときは、
1個だったし、すぐに食べようと思ったので、
茶色をした頑丈な素材の「ますや袋」はもらわなかった。
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2店舗目では3個購入したので、ますや袋に入れてもらった。
3店舗目以降もパンを買う。
しかしその都度、ますや袋をもらうのは何か違う気がした。

そこで、3店舗目以降は、
レジで「袋はいらない」ことを伝えた上で、
料金を支払い、商品を受け取ったら、店員さんの目の前で、
2店舗目でもらった「ますや袋」に商品を入れるという、
ファニーかつファンキーな行為をした。
「袋はいらない」と言っておいて、その場で「ますや袋」に入れる。
ワイルドだろ。
私は心の中でそうつぶやいていた。
ちなみに、どの店舗でも店員さんはノー・リアクション。

こうして「ますやパン・ラリー」は無事終了した。
よくやるよね、と多少あきれ気味に
ちょっと笑ってもらえたら嬉しいっす。


 2016年6月3日金曜日、帯広市「レスト」にて行われた
遠藤ミチロウ氏のライブを観に行ってきた。
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有り難いことに会場はオールスイッティング。
腰が痛い、脚が痛い、荷物が煩わしいなどの
オールスタンディング・ストレスに苛まれることなく、
テンダーな環境でライブ鑑賞ができた。
現在の私は、ライブ・ミー・テンダーでなければ1時間ももたない。

ミチロウ氏はアコースティックギターを弾きながらの単独での出演。
力強いギター・プレイと迫力のあるボーカル。
2年ほど前には2か月間入院。
リウマチも発症しギターも弾けなくなった。
そんな病を乗り越えた65歳、とは思えない
エナジーにあふれたパフォーマンスだった。

スローで優しげな曲調なのに、
奏でるアルペジオはどこか攻撃的だったり、
ハードな曲は重たいストレートを投げ込んでくるようなストローク。

そしてとにかく声が出る。
30年前より高音域が出ているのではないだろうか。
声の厚みが素晴らしかった。
65歳にしてここまでの声量を保てるとは。

おそらく相当な節制をしているのだと思う。
身体は若い頃同様にスリムに保たれ、
それでいて肩から腕はがっしりとしていた。
姿勢も良く、歩き方も老いを感じるものではなかった。
長く情熱的に音楽を続けている人が得られる姿だと思った。

そうしたボディ・コントロールのみならず、
ハートの面での音楽的欲求の強さも非常に伝わってきた。
スターリン時代の曲を変わらぬテンションでプレイしたかと思えば、
民謡バージョンにアレンジするなど大胆なアプローチもしている。
スターリンの代表曲「ロマンチスト」を盆踊りミュージック調にした
「ロマンチスト音頭」は微笑ましく鑑賞できた。
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思えばミチロウ氏の曲調やメロディへの歌詞の乗せ方は、
スターリン時代から和風であり(というか、欧米ロックのノリではない)、
それを発展的に分析していけば、
お経や民謡のテイストに近づく感はあった。
ミチロウ氏の幼少時代、近くにお経や民謡があり、
無意識のうちに深層心理に組み込まれたのではないか。
そうしたネイティヴ性が60歳を過ぎて顕在化したように思えた。

近年は、特に福島県の町村のお祭り的な小さなイベントにも出演するらしく、
民謡アレンジにしたハードな曲をやると、
若者たちだけではなくお年寄りも踊るという話を聴き、
音楽は感覚的なものなのだと改めて納得した。
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ソーラン節を歌詞もサウンドもミチロウ風にアレンジした「福島ソーラン節」。
出だしは「ヤーレン、ソーラン、ソーラン」というふうにオリジナルと同じ。
ここで気になったのが、「ヤーレン、ソーラン、ソーラン…」の後に続く
「ハイ、ハイ」という「合いの手」だ。
ノリ的には、オーディエンスがやるのかなと思いつつ、その瞬間を待った。
野外ライブでアルコールも入り、盛り上がっている状況ならば、
「ハイ、ハイ」のところで、
絶叫しながらコブシ振り上げるオーディエンスが多数いそうな状況だ。

しかし、帯広市スタジオレストで披露された「福島ソーラン節」は、
「ハイ、ハイ」と合いの手をミチロウ氏自身がやった。
しかもやや控えめな雰囲気で。
なんか素敵だなと思った。
激しいサウンドなのにどこかしょぼくて、
フレンドリーで、いい意味でチープで、
ミチロウさんの人柄の良さがにじみ出た瞬間だった。

それを観ていて自然と微笑ましくなり、
音楽って素晴らしいな、ミチロウ氏は大人だよなぁと
清々しい気持ちになった。
ミチロウさん、素晴らしいライブをありがとう。



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