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先日、今年に入って初の無人駅巡りをしてきた。
所用で士別まで行った帰り道、旭川まで南下しながら
いくつか訪問してきた。
このエリアは、山越えのない平坦な土地に水田と畑が続く。
そこにも味わい深い無人駅があった。

まずは、北剣淵駅。
国道40号線から1kmほど水田地帯を入っていくと忽然と現れた。
北剣淵1 

新緑に囲まれた長閑な佇まいだ。
しかし、夏は日差しをまともに浴び、冬は風雪がうちつけることだろう。
ホームに待合室はない。
と思いきや、ホームから50mほど離れたところに待合室がある。
待合室から見たホーム側は、こんな感じ。
北剣淵2

そして、待合室だ。
北剣淵3
昭和30年代の物置じゃないぜ。
建物の中には時刻表も掲示されていた。
しかし、天井の一部ははがれ落ち、板の床も抜け落ちそうなほど
痛みが激しかった。これじゃあ利用できないだろう。
寒暖の激しい上川の地で長年生き続けたことが窺える待合室だった。

東六線(ひがしろくせん)という駅も、草木に埋もれるようにぽつんとあり、
秘境っぽさを感じさせる無人駅だった。
東六線1 

ここの待合室は、古さの中にレトロ感があり、
地面は加工されず自然のままながら、利用されている雰囲気があった。
東六線2

続いては、北比布(きたぴっぷ)駅。
周辺は、360度水田。視界が広がり開放的でもある。
しかし、駅の場所は、国道から結構奥にあり、
さらに、町道から細い道に入っていかなければ現れない。
駅だけを目指しているのに、なかなか見つけられなかった。
開放的な場所ではあるが、意外に秘境的な駅ではないか。
北比布1 

写真に写っている建物が待合室。
これを見る限り、古そうだとしか思わない。
ところが、これを正面から見ると、いきなりの廃墟ぶりに圧倒される。
北比布2 

恐怖感さえおぼえる佇まい。
中に入ってみる。
北比布3

すごい。荒れている。すえた匂いがする。
入口は開いたままなのに、閉じ込められたような気がする。
写真ではわからないが、実際は薄暗い。
備え付けの木製の椅子は、座ると壊れてしまいそうだ。
この存在感はすごい。
何があったんだ。
何もないからこうなのか。

比布町を南下すると旭川市である。
次第に建物の数も増えてきた。
ここから先は都会的な無人駅しかないだろうと思いながら南比布駅へ。
南比布1

跨線橋のほぼ真下にある殺風景な駅だった。
この写真を見る限りは、取り立てて何だということはない。
しかし、取り立てずにはいられないものがそこにあった。
左側に映っている待合室だ。
これを正面から見たら、こうだった。
南比布2

ピサの斜塔かと思った。
一瞬ここはイタリアかと思い、パスタを食べている人を探した。
傾いている。ちょっと傾いているのではない。かなり傾いている。
ぐらっとしている。イタリア的に言えば、グラッツェだ。

入り口に張られた蜘蛛の巣にまみれないように気をつけて待合室の中へ。
南比布3
壁はほとんど剥がれ落ちているのに、
掲示物は普通に画鋲で留められていた。
きちんと待合室として認められているということだ。

線路は決してどこまでも続いてるわけではないが、
無人駅のブルーズはまだまだ続く。

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テーマ:鉄道 - ジャンル:趣味・実用


7月某日午後7時。札幌市東区環状通を夕日が照らす。
130707 
日が長い季節はいい。
何かもったいない気がして、日が沈むまで外にいたくなる。

今回はブックレヴュー。
よろしくどうぞ。

■奥田英朗「沈黙の町で」(2013年)
   奥田英朗/沈黙の町で
校舎内の敷地で、生徒の遺体が発見された。
高所から落下したと思われ、頭部が損傷した遺体だった。
自殺なのか、事故なのか、事件なのか。
亡くなった生徒の背中にある無数の傷や、携帯電話の履歴から、
同級生4人が転落死させた疑いが浮かび上がる。

生徒、教師、親、刑事、新聞記者など複数の視点から書き進められ、
映画のような場面展開で徐々に真実が解明されていく過程は、
スリリングなミステリー作品のようでもある。

共感できる登場人物は一人もいない。
しかし、気持ちはよくわかる。
それは、それぞれの立場に置かれた人々の心理状態が丁寧に、
それでいて、くどさがなく描かれているからだろう。

中学生が一番恐れることは孤立することで、
周りの空気を見て、みんなが行く方向へ考えもなくついていく。
正しいとか正しくないとかよりも、ノリと雰囲気に支配される。
こうした流されぶりが痛いほどに伝わってくる。
そこにイライラしつつ、釈然としないところがありつつも、
引き込んだら逃がさない筆者の巧みな筆運びを大いに楽しめる作品。

■宮下奈都「誰かが足りない」(2011年)
宮下奈都/誰かが足りない
6つの短編からなる作品。
どの作品も、引きこもり、認知症、先の見えない非正規雇用生活など
様々な悩みや苦しみを抱えた人達が、
「ハライ」というレストランに行くことで希望を見い出し、
新たな一歩を踏み出そうとする物語。

さらりとした文体で、ほんのりとした暖かさを残す内容ではある。
しかし、つかみどころがなく、かみ合わない感じがつきまとった。
場面設定も登場人物の心理状態も終始もやっとしている。

例えば、女性がいきなり見知らぬ男性に、「お茶でも飲みませんか」と
声をかけたり、従業員寮に行きたいと言い出すなどの非現実的な展開。
また、レストランへ行くことの必然性や伏線が弱いことなど、
全体的に唐突な印象を受け、違和を感じたのだと思う。

とはいえ、2012年の本屋大賞第7位にもなった作品。
つまり、この作品を推した店員の方がたくさんいるということ。
でも何かが足りない気がした。

■船戸与一「虹の谷の五月」(2000年)
船戸与一/虹の谷の5月
時は1990年代後半。
フィリピンの、電気も通っていない田舎の村に住む少年の物語。
彼は祖父と二人暮らしで、闘鶏で生計をたてている。生活は苦しい。
村の治安は悪く、村の首長も、警察も、軍も金と不正にまみれている。
住民は搾取され、差別的な扱いを受け、皆、困窮している。
そんな環境の中、少年は、村の山奥にある「虹の谷」と
呼ばれる場所に住む元兵士と親交を深めながら、たくましく成長していく。

数年ぶりに船戸さんの作品を読んだが、やはり面白かった。
この濃密さ、この緊迫感。
刻みは細かいのだが、息をつかせぬ展開。
長編ながら、だらだらしたところがなく、削り方が絶妙。
これぞプロの仕事だ。

フィリピンの田舎から日本へ嫁に行き金持ちになった女性、
弱者には無償で診療を行う日本人医師、酒におぼれる青年、
賄賂警察、不条理軍人、皆、すさまじくキャラクターが立っている。

行ったことがないフィリピンの田舎の情景が想像され、
匂いや湿気や音まで感じられるような筆さばきだ。
小さな村の小さな出来事なのにスケールが大きい。
小説のあるべき姿というか、小説の醍醐味を味わえる力作だ。

テーマ:読んだ本 - ジャンル:本・雑誌


10日ほど前の話になるのだが、仕事で東京へ行ってきた。
用務は月曜の朝から、ということで、日曜日に出発することになった。
日曜日に予定していたことがあったので、
それを済ませてから、夕方の便で東京に行こうと思ったが、
急に決まった出張だったことと、日曜日の千歳→羽田の便ということで、
席はかなり埋まっており、
夕方はおろか、午後の便の予約が全くとれない状態だった。

ならば逆に早い便で行き、首都圏でサンデーを過ごそうと考えた。
午前10時30分に羽田に到着する便に乗った。
使える時間は十分にある。
都内で、だらだら、ちまちま過ごすのはもったいない。
そこで、横浜に行くことにした。

これまで横浜には二度行ったことがある。
しかし、22年前と17年前であり、滞在時間も短かった。
そのため、あまり記憶にない。
ちょっと前なら覚えてはいるが、20年くらい前だとチトわからないのだ。
その時、用務の空き時間に訪れたのが、
山下公園だったか、港の見える丘公園だったのかも覚えていない。

いや、ちょっと待て。
横浜なら、今回じゃなくても、いずれ行けるのではないか。
ならば、この機会をもっと有効に活用し、
もう少しエリアを広げてもいいんじゃないか。
そう考えた私は、横須賀まで足を伸ばすことにした。
41万都市、横須賀は、横浜から電車で約30分だ。

横須賀にはいつか行ってみたいと心の隅で思っていた。
なぜなら、スカジャン、海軍、ハンバーガーという、
北海道ではあまり感じることができない文化に触れたかったからだ。
それと、阿木燿子氏や横山剣氏が歌詞にした地に興味があったからだ。

130630_1横須賀中央駅
そういうわけで、京浜急行にて横須賀中央駅に到着。
駅ビルには、無印良品、ユニクロにABCマート。
電車を間違えて、札幌ESTAに来てしまったかと思ったぜ。

130630_2どぶ板通り
横須賀のメインストリートを歩いて、どぶ板通りへと向かう。
途中、上の写真のような水兵さんルックの若者を随所で見かけた。
海軍の街なので、観光ガイドが水兵さんルックをしているのだと思い込み、
「どぶ板通りは、こっちの方向でいいんですかね」と聞くと、
親切に道順を教えてくれた。
その水兵さんルックの方々は、決して観光ガイドではなく、
海軍に勤務する方々だと気づいたのは、横須賀を離れる頃だった。

130630_3よこすか海軍カレー
昼食は、よこすか海軍カレー。
昼食はカレーにするか、ハンバーガーにするか迷ったが、
オレのソウルはライスを欲した。
ちなみに、横須賀のハンバーガーは、「ネイビーバーガー」と
銘打っており、てっきり青いハンバーガーだと思っていた。
真っ赤なリンゴをほおばるネイビーブルーのTシャツ的発想だった。
ちょっと考えれば、NAVYだと気づくのに、
私の脳は、英語に変換する前に、キャンディーズに支配された。
カレーは、小学校の給食のような懐かしい味がした。

130630_4猿島1
横須賀の観光パンフレットを見ていたら、
「猿島」(さるしま)という無人島があり、船で渡れることを知った。
航行時間10分ということで行ってみた。

130630_4猿島2
猿島は、元々旧陸・海軍の要塞として利用されたところで、
レンガ造りの重厚な弾薬庫があったり、

130630_4猿島3
歴史の迫力を感じさせるトンネルがあったり、

130630_4猿島4
それでいて、一部のスペースは海水浴場になっていたりと、
不思議な魅力にあふれた島だった。

130630_5横須賀市街
本土に戻り、公園でしばらくぼけっとして、街をだらだら歩いて、
横須賀中央駅へ。
もっとゆっくりと散策してみたい街だった。
「横須賀はもうこれっきりですか」と聞かれたら、
「これっきりじゃない」と即答するだろうと思いながら、
横浜行きの京浜急行に乗った。

電車での横須賀・横浜間。トンネルが多いのが意外だった。
見える景色は坂道が多いのも印象的だった。

横浜駅に到着し、まずはランドマークタワーのスカイガーデンへ。
40秒で69階までかけ上がる超高速エレベーターに驚く。

130630横浜1
そして、こんな景色を楽しんだ、ひとりで。

ランドマークタワーを出る頃、横浜はトワイライト・タイムに。
チャイナタウンへと向かう。
130630横浜2
もちろん頭の中のBGMは、矢沢永吉「チャイナタウン」。
というか、気づいたら鼻歌を歌いながら歩いていた。

130630横浜3
接筵(せつえん)という店でスープ・チャーハンを食べた、ひとりで。
チャーハン自体が美味しかった。
もう一人前食べられそうなほどクセになる味だった。
いいじゃないか。
オレのチョイス正解。

チャイナタウンを出る頃には、ブルーライトな時間になった。
そして、「大さん橋」なるスポットへ。

130630横浜4
素晴らしい夜景を堪能した、ひとりで。そう、ひとりぼっちで。
もちろん頭の中のBGMは、「ブルーライトヨコハマ」。
「歩いても歩いても小舟のように 私はゆれて」の後、
「ゆれてあなたの腕の中」のメロディが切なくて、
ロマンチックが止まらないこの夜景を誰とも共感できない無念さが増幅した。
それでもいいじゃないか。
感激したぜ。
そんな気持ちで品川行きの京浜急行に乗った、ひとりで。


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