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前回の記事からのつづきである。
赤のギブソン・レスポール・スペシャルを買うかどうかは、
稚内への旅によって迷いが消えた。

夢見る頃はとっくに過ぎたのに、
これほど希望を与えてくれるものはあるだろうか。
疲れや不安の中に埋没していきそうになる日々は、
新しいギターによって解決するわけではないが、
乗り越えていく力をくれることだろう。

今こそ新しいギターが必要なタイミングなのだ。
夜空に月があるように、
サンマに大根おろしがあるように、
私にはギターがあるべきなのだ。

買う決心はついた。
問題は買い方だった。
現物を見ずに、触れずに、
「買い物かごに入れる」をクリックしていいのかと悩んだ。

その思いを、職場で唯一、ロックな楽器の話ができる
KMT(ケーエムティー)氏に打ち明けた。
彼はギターを通販で買った経験が二度あり、
いずれも全く問題がなかったと言っていた。

なかなか踏ん切りがつかない私は、KMT氏に、
「オレの代わりにクリックしてくれないか」と、
頼んだりもした。
「クリックするだけならいいですけど」と、
いたってまともに言われ、
私は、「そうだよね」と、まるで普通に答え、お互い苦笑した。

しかし、小松氏のニクい一言で、クリックする決心がついた。
その一言は、これだ。
「キブソンは、ギターケースも使い込むとカッコいいんですよね」
ギターそのものではなく、ギターケースにまで言及したことで、
なぜか早く手にしたい気持ちが高まった。

トゥナイト今夜、オレはついに買い物かご入れてしまうのだ。
そんなことを考えた午後、突如、その時は来た。
いきなり三日後に東京へ行く用務ができたのだ。
日帰りであり、余裕のある日程ではないが、
無駄なく行動すれば、ギター店に30分程度は立ち寄れる見通しだった。

あまりのタイミングの良さに、なぜかドキドキし、
東京行きが決まった日の帰り道は、うまく歩けなかったほどだ。
思い続けたからこうなったのか、単なる偶然か、
いやいや、何か落とし穴があるのではなかいと悪い予感さえもした。
いざ弾いてみたら、しっくりこなかったり、
なんとなく似合わずに買わないこともあり得る。
しかし、いずれにしても、チャンスが訪れたのだ。

そして東京。
20年ぶりくらいに渋谷に行った。
ごちゃごちゃして、なんだかわからない街だが、
奇跡的に目当ての楽器店までストレートに行くことができた。

時間に余裕がないため、楽器店には試し弾きに伺うと、
事前に電話を入れていたこともあり、
到着してすぐに弾くことができた。
対応してくれた方も、実にかみ合う感じで実に助かった。

正直、音に関しては、特に凄さは感じなかった。
というか、比較ができなくて、いまひとつよくわからなかった。
しかし、弦を抑えた感触や、抱えた質感は、
「ああ、やっぱりいいな」と素直に思えた。
鏡も用意してくれて、自分に馴染むかどうかも確認した。
赤いギターも、なかなか似合うではないか。

もう買うことは決めた。
ただ、順調に楽器店にたどり着き、すぐに弾くことができたので、
若干、時間に余裕ができた。
そこで、せっかくギブソンだらけの空間にいることだし、
白のレスポール・ジュニアや、黒のSGも弾かせてもらった。

恥ずかしながら、やはり音の違いは、あまりわからなかった。
しかし、感触とそのギターを持った自分の姿は明らかに違い、
私が欲しているのは、赤のレスポール・スペシャルなのだと再認識した。

購入したギターは、宅急便で送ってもらうことにした。
自分で持ち帰り、自宅で早く弾きたかったが、
札幌に持ち帰るには、どうするのがいいのかと相談する前に、
店の方から、「飛行機の手荷物預かりだと扱いが荒く、
ネックがおかしくなることも珍しくないし、傷もつきやすいので、
絶対にやめた方がいい。
アメリカから空輸されてきた時と同じように梱包するので大丈夫」
と言われ、迷わず宅急便にしてもらった。

新しいギターを買った。
ギターだって生き物だ。
いい人生を送らせなければと思う。

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テーマ:音楽のある生活 - ジャンル:音楽



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