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時々会う方々から、「足は治りましたか」とか、
「しーあーは良くなったかい」など、
5月下旬に痛めた左足首のことを気にかけていただき、
非常にありがたく思っております。

いまだに小さな腫れが残り、
曲がり度合いはケガをする前の90%くらいだが、
アマチュアが身体を動かす分には、なんら支障のない状態になった。
先週末は札幌岳に登り、
その前の週末は由仁町までクロスバイクで走ったが、
イッツ・オーライだった。

足の心配は消えた。
こうなれば、7月16日のライブに向けて邁進するだけだ。
もちろん、日常なんらかんらとプロブレムはある。
ノー・プロブレムだぜ、と本気で言える状況にはない。
しかし、冗談で言える状況にはある。
ならば、まだましだろう。

色々思うところはある。
それでも、なんとか自分の中で折り合いをつけて過ごす。
君もそうだろ。
私だけじゃないし、君だけでもない。
そういうことだ。そういうわけだ。

音楽活動は楽しんでやっている。
今月のはじめ、ギターのTNKタナカ氏が、
浦河町から釧路市に転勤した。
札幌まで練習に通うには、状況がさらに厳しくなった。

しかし、彼の情熱は変わらない。
他のメンバーのモチベーションも変わらない。
無理をし過ぎれば続けられなくなるため、
フルメンバーでの練習が減るのもやむを得ないが、
そんなことは大して問題ではない。
大切なのは、与えられた環境で、楽しく熱く続けることだ。

新しい曲がある。
おそらく7月16日のライブで披露するだろう。

          ◆

熱いブギをくれ

なし崩しの展開 腰砕けのストーリー
うやむやの結末

議論することだけが目的の議論だな
付き合いきれないぜ

温度差があり過ぎて 風邪をひきそうだぜ
マスク買って 早く帰ろう
迷っている暇はないぜ

五臓六腑しみわたる 毛穴まで刺激する
熱いブギをくれよ

漠然とした不安 すり減ってゆく時間
壊れてゆく予感

青臭く泥臭い その思い捨てたら
あっという間 汚れた世界に飲み込まれちまうぜ
だからそこは譲るなよ

愛よりも夢よりも それよりも何よりも
熱いブギをくれよ

         

タイトルに「ブギ」とあるが、この曲はブギではない。
リズム的には、シャッフルだ。
熱いブギを欲していることを、
ブギのリズムでやらなければいけない決まりはないし、
そういうしきたりも、暗黙の了解とやらもない。

この曲をメンバーに示すとき、苦し紛れにこんなことを言った。
「この曲は、スローなブキにしてくれ、のアンサーソングだ。
 歌詞のどこにも、アンサーしてる部分はないけどね。
 スローなブキにしてくれも、全然ブギじゃない」

「熱いブギをくれよ」というフレーズが、
その部分のメロディにぴったり合ったから、このタイトルにした。
語呂だけならば「美味いフキをくれ」でも良かった。
子供の頃、フキは好んでは食べなかったが、
この歳になるとフキの煮しめが恋しいのさ。
ハムカツよりも、天ぷらより、美味いフキをくれ。
そういう内容になっていてもおかしくはなかった。
いや、おかしい。

それでも、「熱いブギをくれ」というタイトルの曲を、
何度も演奏していると、熱いブギを欲するサウンドになっていく。
この曲は、「熱いブギをくれ」というタイトル以外
あり得ないのではないか、という気持ちになる。

生活していく上で、なんとか折り合いをつけて、
飲み込むことは必要だ。
しかし、大切にしている思いまで捨てたら飲み込まれてしまう。
そうならないために、熱いブギと美味いフキは必要だ。

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テーマ:バンド活動♪ - ジャンル:音楽


週末が終わった。嗚呼。

今回はブック・レヴュー。
よろしくどうぞ。

■小杉健治「保身」(2011年)
小杉健治/保身
県警を退職する刑事の送別会が開かれた。
そこに出席したエリート管理官。
送別会が終わり、愛人の住むマンションに向かおうと外に出ると雨。
タクシー乗り場で待つも、長い行列。
業を煮やした彼は、居酒屋近くの警察署に止めておいた自家用車で、
愛人のもとへ向かう。その途中、人を轢いてしまう。
そして、そのまま逃げた。飲酒運転とひき逃げである。
県警幹部は、それを隠ぺいしようと策を講じる。

その飲酒運転とひき逃げの一部始終を目撃した男がいた。
その男は、殺人を犯し、逃げている途中だった。
男は、車種とナンバーを記憶し、誰なのかを調べる。
そして、犯人は県警のエリート管理官であることを知る。
やがて男は逮捕される。
ところが、轢き逃げの犯人を知っていると供述。
県警は男と取り引きをし、男は釈放される。

ぐいぐい引き込まれ、読み甲斐のある作品だった。
ひとつの悪を隠すために、別の悪を生んでいく過程が、
ちょうどいいスピードで描かれており、興味をそらさない。
内容はどろどろだが、文章は滑らかで、実に読みやすい。

残念だったのは、終盤、物語を終わらせるためなのか、
展開が一気に早くなり、やけにあっさりした感じがしたこと。
ひき逃げで亡くなった人の背景にあるもの、
退職した刑事の執念、県警の犯罪を追及する新聞記者など、
もっと掘り下げて、厚みのあるものにしていただきたかった。
やりきれなくなったり、泣けたり、熱くなったりする要素が多い
ストーリーだけに、なおさらそう思う。
ただ、それを含めても十分に面白い作品。


■木内一裕「キッド」(2010年)
木内一裕/キッド
木内一裕作品は、これまで三作読んだが、ハズレがなかった。
この作品もアタリだった。というか、一番面白かった。

主人公は20歳の男。
祖父から受け継いだビリヤード場を経営している。
ある日、近所のタバコ屋のお婆さんと孫の家で死体を発見する。
その死体は、お婆さんの息子で、
たまに帰って来ては暴れてお金を奪っていくひどい人間だった。

主人公は、お婆さんを救うため、死体遺棄を手助けしてしまう。
ところが、その死体を探している反社会的な組織が現れ、
男は追われる羽目になる。
組織との駆け引きの中で、事態は二転三転。
一度は山中に埋めた死体を掘り返したりするなど、
奇想天外な展開を見せる。
常にドキドキ感があり、中だるみをすることなく、
どんどん読めてしまう。

文学的な妙味には乏しいし、
20歳のぐーたら青年が、こんなに活躍できるのか?とか、
運の良さや、理由のない自信や、妙なポジティヴさなど、
リアリティにかける場面もあるが、
全編、映像が目に浮かぶ描写で、とにかく先が知りたくなる。

細かいことは色々あれど、ストーリーと展開の良さで楽しめる作品。
ただ、駆け抜けるような内容のせいか、あまり余韻が残らないというか。
それでも十分に楽しめた。だからそれでいい。
次作も大いに期待できる。

■津村記久子「ポトスライムの舟」(2009年)
津村記久子/ポトスライムの舟
主人公は、化粧品製造工場で働く20代後半の女性。
夜は友人のカフェでバイト、
工場が休みの日はパソコンのインストラクターをしている。
まさに働きづめなのだが、疲れや苦しみ、悲しみなど、
負の描写はあまり無く、妙に淡々としている。

そんな彼女だが、工場に貼ってあった世界一周のポスターを見て、
世界一周のために163万円を貯めようと心に決める。
しかし、大学時代の友人などとの付き合いで思わぬ出費がかさみ、
意に反してお金を使わざるを得ないシーンは、まあまあ面白いのだが、
それ以外は、お金を貯めることへの切実さや執念を感じない。

第140回芥川賞受賞作である。
文章にすらすら感があり、ひっかかりがなく読みやすいのだが、
淡々と日常が綴られている感じで、ドラマ性がなく、
読んでいてワクワクすることも、落ち着くこともない。
何も起こらないがために、逆に落ち着かなくなってくるのだ。

それが純文学であり、芥川賞受賞作の特徴なのかもしれないが、
機微のようなものも、言われているほど描かれているとも思わないし、
率直に言って、読み終ってから、何だったのだろう?と思った。
特に疑問だったのが、後半、主人公が体調を崩したことが、
何の伏線にもなっていないように思えたことと、
163万円に関して、うやむやになった感があること。

何を書きたかったのだろう。
心に響くものがなかった。
女性が読むと、また感じ方が違うとは思うが…。

■貴志祐介「青の炎」(1999年)
      貴志祐介/青の炎
主人公である男子高校生は、母と妹の三人家族。
それなりに幸せに暮らしている。
そこに突然やって来たのは、母が離婚した前夫。
この男がひどい。酒を飲み、暴力をふるい、金をせびる。
それは次第に激しさを増し、母と妹に身の危険が及ぶ。

ついに主人公の高校生は、男の殺害に踏み切る。
入念に計画し、計画どおりに実行し、すべては成功した、かに思えた。
ところが、アリバイづくりのための行動を目撃した同級生がいた。
そして、その同級生から金を強請られるはめに。
追い詰められた主人公は、次の犯罪を計画する。

テンポ良く場面が動いていき、少年の心理の変化も上手に描いており、
引き込まれて、どんどん読める作品である。
少年の置かれた環境に同情し、悲しくも崩れ落ちていく様に
切ない気持ちになる方も多いだろう。

ただ、私としては、読み進められるのだが、気持ちはのらなかった。
少年のキャラクターに親しみが持てなかった。
親しみが持てないキャラクターであっても、
面白い作品や、ぐいぐい引きつけられる作品は多々ある。
少年の辛さや苦しさは十分に理解できる。
ところが、少年のクールで論理的で、
カッコつけで、すかした雰囲気が馴染めなかった。
もしも同じクラスだったら、敬遠していただろう。
なお、頭がいいし、かっこいいと感じる読者も多いとは思う。

また、殺害に使ったのは電流なのだが、
理科一分野が苦手な私には、その説明が面倒で退屈で、
ほとんど理解できなかった。
中学の時、理科一分野については、
勉強すれば覚えられるというものではなく、
センスによるところが大きいと判断。
たとえ答えを示されても疑問は尽きなかった。
そのせいで、向き・不向きの要素が濃い教科だと思い込み、
不向きな私はほとんど勉強せず、完全に投げ出していた。
それは間違いだった、とは今も思っていない。
もう一度、中学生をやっても、同じように感じるような気がする。
中学生も大変だ。そして厄介だ。

               ◆

「イオンに行く」、「ジャスコに行く」のどちらがが正しいのか、
よくわからない。
ちなみに私は、イオンと呼ぶ派だ。

建物はイオンで、その中にあるスーパーがジャスコなのか?
ならば、アリオという建物にあるイトーヨーカドーと同じなのか。

スーパーの駐車場で、少しでも店内入口に近いところに
止めようとする人は多い。
周りは車だらけで、駐車しにくい場所なのに近くを選ぶ。
私は、多少離れていても、駐車しやすいところに止める。
たかが30m程度長く歩けばいいだけである。
その点は大きな気持ちでいられる。

ところが、並んだレジの前の方の人が、
細かい小銭を出すのにとんでもなく時間がかかったり、
たかが1,500円程度の買い物にクレジットカードを使ったりして、
レジの流れが悪くなると、すごく失敗したような気持ちになる。
さらに、私より後に、隣のレジに並んだ人が先に会計を済まして、
「こっちに並んで正解だったよね」的な雰囲気で、
マイバックに商品を入れている姿が追い打ちをかける。

店を出る頃には、そんな屈辱的な気持ちはなくなっており、
あの場面で大きな気持ちでいられなかったことを悔やむ。
気持ちのコントロールは常に必要だ。
しかし、コントロール疲れで、空しくなったり苦しくなったり。
穏やかに生きていくことは難しい。

テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌


JR札幌駅から新千歳空港行の電車に乗る。
出発してまもなく、停車する駅が車内アナウンスで流れる。
最初は日本語で、「新さっぽろ、北広島、恵庭…、新千歳空港」と。
次に英語でアナウンスされる。
その時、いつも気になることがある。
「新さっぽろ」は、「シンサッポロ」とアナウンスするのに、
「新千歳空港」は、「ニュー・チトセ・エアポート」なのだ。
ならば、「新さっぽろ」は「ニュー・サッポロ」すべきではないかと
悶々とする。

しかし、それを指摘したところで、
JR北海道さんには、それがどうかしましたか?的な
対応をされそうな気がするし、
そんなことのために問い合わせ先を探し、説明をするのは面倒である。
というか、誰にもメリットがない。

それはどうでもいい。
私が言いたいのはこのことではない。
取り上げたいのは「恵庭」だ。
恵庭を英語でアナウンスする際は、「Eniwa」と読んでいるはずだ。
ところが、ある時ふと、「Anyone」と発音しているように感じ、
それ以来、もうその意識から抜け出せなくなっている。

そう感じて以来、電車に乗るたび、恵庭の英語読みを聞くのが、
ちょっとした楽しみになっている。
「やっぱり、Anyone、って言ってるな」と、ひとり思う。
車内の見知らぬ誰かに、「Anyone、って聞こえませんか?」と尋ね、
共感してくれる人がいたら、世の中が少し楽しくなるかもしれないが、
場を収められずに微妙な空気になる可能性も高いものと推測されるので、
ひとりで思っているだけでいい。

地名の英語読みに関連して、10代の頃から感じていることがある。
ザ・ビートルズの「Baby’s In Black」という曲がある。
「フォー・セール」というアルバムに収録されている曲だ。
この曲の始まりの歌詞は「Oh Dear,What Can I Do?」
注目すべきは、「What Can I」の部分だ。
カタカナ英語ならば、「ホワッキャナイ」となる。
ところが、ポール・マッカートニーは、
明らかに「ワッカナイ」と言っている。「稚内」である。
ポールが、日本最北の都市、「稚内」と歌っているのだ。
特に、曲が始まって5秒のところでの「What Can I」は、
何度聴き直しても、「稚内」にしか聞こえない。

私は、「ポンたら」が大好きだ。
道内の日本海側のタウンの土産物屋に行くと、
無意識のうちに「ポンたら」を探している。
事実、これまで様々な「ポンたら」を食べてきたわけだが、
稚内の「ポンたら」が一番おいしい。
魚臭さがいい具合に抑えられ、見事に適度な甘みが施されている。
何水産の「ポンたら」だったか覚えてないが素晴らしい商品である。

英語が、全く意味の異なる日本語に聞こえる例は多くあるだろう。
その中で、私がいまだに馴染めない英語がある。
アメリカ映画には、「ネイサン」なのか「ネーサン」なのか、
そういう名前の男性が、しょっちゅう登場する。
日本語に吹き替えられた洋画の場合、
「ネーサン」と呼ぶと、男性が「なんだい?」と振り向く。
私の頭の中は、「ネーサン」ではなく「姉さん」になっているため、
「姉さん」と呼ばれて、男性が返事をする場面はいまだに馴染めない。
この男性はオカマ役なのか?と本気で思ったこともある。

カタカナ英語に混乱することは、
時に人生を豊かにするかもしれない。しないかもしれない。

テーマ:今日のつぶやき。 - ジャンル:日記


6月に予定していたライブが中止になったが、
運良く7月にライブをできることになった。

日時:2011年7月16日(土)18時30分スタート
場所:ホール・スピリチュアル・ラウンジ
    (札幌市中央区南2条西4丁目 ラージカントリービルB1F)
出演:JIMONO/1/2/BLACK HAIR/
       アイロニー主義/バトルエンジン/
       THE HEART OF STONE


5月下旬、左足首をくじき、靭帯がのびるケガをした。
医師からは、3週間程度は痛むだろうと診断を受けた。
ケガから12日が経過。
足首をひねってみるとまだ痛むし、腫れもなかなかひかない。
しかし、15分程度なら全く普通に歩けるようになった。
毎日少しずつながら回復しているのを実感している。

ただ、走ることはできない。
正座もできないし、胡坐もかけないので床に座れない。
長く立っていると、左足の様々なところが痛んでくる。
あと10日程度、肉体的にはおとなしく過ごさなければならない。

先週末、バンドの練習をした時は、ケガから5日しか経っておらず、
足首を曲げたり、踏み込んだりすると、激痛が走る状態だった。
しかし、ケガをしていても、音楽活動はハートを熱くする。
演奏をしているうち、ケガをしていることを忘れ、
ギター・ソロの後、いつもの感覚でエフェクターのスイッチを
踏んでしまい、激痛が走って、呼吸が乱れ、
その後まともに歌えない場面もあった。
にもかかわらず、ギターの演奏だけは無意識のうちに続けており、
身体を切断されても動き続けるヘビのようだと思った。

ケガによりアウトドアな行動が制限されている。
しかし、それによって、ギターを手にする時間が増えた。
特に目的はないが、なんとなく楽器店に行くことも増えた。
どんな音がするのだろう、自分に似合うだろうか。
そんなことを考えながら、ギターを見ていると実に癒される。
アンプやエフェクターを見ていても気持ちが落ち着く。

この程度のケガなど、大したことじゃない。
日常、もっと厄介なことがいくつもある。
しかし、音楽が助けてくれる。
音楽によって自分の周りを変えることはできないだろうが、
音楽によって自分は変わったし、変わらずにいられる。
音楽に対する気力が充実している。
いいライブになるはずだ。

テーマ:音楽のある生活 - ジャンル:音楽


かゆいところに手が届くのは、そりゃいいことかもしれないが、
かゆいところに手を伸ばしてこないことより、
かゆくないところに手を伸ばしてくる方が、私は苦手だ。

今回はブックレヴュー。

■畑野智美「国道沿いのファミレス」(2011年)
国道沿いのファミレス
主人公の男は25歳のファミレス社員。
東京の店に勤務していたが、わけあって、
高校まで過ごした東京近郊の小都市の店に異動となった。
そこで繰り広げられる彼の恋愛、彼の幼なじみの秘密、
ファミレスで働く人々のすったもんだなどを、飄々と綴っている。

なんというか、終始ダイレクトな表現で、さっぱりとしている。
良く言えば、力みがなく、気負いがなく、ストレートでわかりやすい。
その反面、迫りくる気配や、何かが起こる予感のようなものに乏しい。
前置きがなく、いきなり本題に入り、さっと場面が動いていく。
これは好みが分かれるところだろう。
そして、言葉の使い方にしても、展開にしても、とにかく「軽い」。
特に恋愛行為については軽すぎて不快な気分にも。

主人公のキャラクターが一貫していない。
ぱっとしない風貌で、特に目立つに雰囲気ではないのに、
中学から女性関係は派手で、
それでいて、「立派な社会人になるのを目標に、
人に自慢できる大学に入った」という記述があったり、
一方、現在は、店の裏でヤンキー座りをしてタバコを吸う場面があったりと、
人物像が描けず、違和感は最後まで拭えなかった。

ただ、ストーリーのネタ自体は悪くない。
素材は良いのに、味付けや皿への盛り方が好みじゃなかったような。
ちなみに、この作品を読んでみようと思った最大の理由は
タイトルが良かったことだ。

■沼田まほかる「九月が永遠に続けば」(2005年)
沼田まほかる/九月が永遠に続けば
主人公は41歳の女性。
彼女は離婚しており、家族は高校生の息子が一人。
ある夜、息子にゴミ出しを頼む。
息子は、ゴミを持って外へ。
そのまま息子は行方不明になる。

この女性には付き合っている男性がいた。
息子が行方不明になった翌日、その男性が電車にひかれて亡くなる。
女性は、息子の知り合いに、息子の交友関係を聞いてまわるうち、
付き合っていた男性の電車事故に
息子が関わっているのではないかとの疑念を持つ。

息子が行方不明になってからの女性の不安な気持ちや、
交際男性の不可解な事故が絡んでいるような恐怖感。
さらには次第に浮き上がってくる複雑な人間関係を
実に緻密に描いており、ぐいぐい引き込まれる。
中盤までは一気読みできる面白さがある。

中盤以降は真相が徐々に明らかになっていくのだが、
「だからって、そんなことになるかね」的な現実感の薄さや、
行動の飛躍ぶりのせいで気持ちがとぎれ、だらけ読みになっていった。

ただ、文章表現は地に足がついており、かろやかでありつつ、
しっかりと迫ってくるものがある。
桐野夏生作品にありそうな薄暗さもいい雰囲気を出している。
この作者の作品は初めて読んだが、ぜひ別の作品も読んでみたい。

■村上春樹「1Q84/BOOK2」(2009年)
村上春樹/1Q84-BOOK2
スポーツジム・インストラクターの女性、「青豆」(あおまめ)と、
小説家を目指しつつ、塾の講師をして生計を立てる「天吾」の物語。
二人は小学校の同級生だったが、
青豆は転校し、その後20年間会っていない。

青豆は、裏稼業として殺し屋をやっている。
天吾は、ゴーストライターを担当した本がバカ売れする。
二人はそうした人に言えない秘密を持っている。

BOOK2では、そんな二人がそれぞれに、
秘密を知っている見えない影に追い詰められていく様子とともに、
20年間会っていない二人が、次第にお互いを求めていく経過を
綴っている。

なんらかんら変な展開はあるものの、結局は面白い作品だと思う。
一つひとつの場面の動きの幅が小さく、
状況の変化を綿密に描いているため、興味がそれない。

青豆の友人や、懇意にしている家の番犬が殺害されたり、
天吾の不倫相手の夫から突然連絡が来たり、
天吾を支援していた出版社の男と音信不通になるなど、
徐々に周囲が断ち切れていく経過を綴った中盤までは実に面白い。

ただ、その後は変化に乏しく、
また、二人が求め合い、次第に近づいていく心理が、
理屈っぽくも大雑把で、なんだかよくわからないため、じりじりする。
そんな気持ちのまま、
BOOK2は終わる。
こんな気持ちでは終われない。
BOOK3も読まずにはいられない。

■奥田英朗「純平、考え直せ」(2011年)
      奥田英朗/純平、考え直せ
新宿の21歳のチンピラが、組の親分から別の組の幹部を
殺害するよう命じられる。
その見返りとして、多額の現金と三日間の自由を与えられる。

三日のうちに初日に、同年代のあると女と出会う。
チンピラは、その女に、三日後に殺人をすることを喋ってしまう。
女はそれをインターネットの掲示板に書き込む。
すると、驚くほどたくさんの反応が返ってくる。

「そんなことはするな」、「思いとどまれ」、という全うな意見が多いものの、
「やくざが一人でもこの世からいなくなるのは
普通の市民にとってはとてもいいこと。

鉄砲玉になるチンピラも刑務所行きなので一石二鳥です。」、
「若いやくざがヒロイックな気分に浸っているだけで、語る価値なし。
どの道、犯罪者 になるしかない連中。勝手にやらせておけばいい」など、
小馬鹿にした意見も多数あった。

その三日間に、チンピラはたくさんの人に出会う。
普段の生活への未練を感じてくる。
組の親分への信頼も微妙な気がしてくる。
しかし、ヤクザとして男になるという魅力もある。

果たして、結末は。

奥田氏の文章は、文章に過不足がなく、展開も上手なので、
引っ張られるようにどんどん読める。
ネットの反応が妙にリアリティがあって面白い。
これを随所に織り交ぜながら、展開させていくのも面白い。

ところが、なんだろう。
読んでいる時は先へ先へと気持ちがはやるのだが、
読み終わってからの余韻が薄い。
主人公にまるで共感できないし、魅力を感じないのも要因だろう。
ただ、そうであっても、良い作品は良い。

どうしてそういう結末に至ったか、主人公の心理が読めない。
彼は、実は結構楽しく日々を過ごしているように思え、
心の影の部分や孤独さみたいなものが見えてこない。

自由な三日間の中で知り合った元大学教授の言葉。
これが最も心に残った。
「若者が死を恐れないのは、人生を知らないからである。
 知らないのは、ないのと同じ だから、惜しいとも思わない。
 我が子を抱いた感動も、大業を成しえた喜びも、
 肉親を看取った悲しみも、旧友と語り明かした温かみも、
 ろくな経験がないから、今燃え尽きてもいいなどと平気で言う。
 まったく若者はおめでたい生き物だ」

          *

内閣不信任決議案提出の是非など、どうでもよくなって、
いつ身をひくのかが焦点に。
みんな、踊らされるなよ。

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