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6月18日にライブを予定していた。
しかし、中止になった。

ライブは近づくものの、なかなか詳細が示されないため、
主催者に確認を続けていたら、
出演バンドが集まらない状況にあることが判明。
この時期で、そんな状況なら、もうどうにもならないのでは、と、
結局はこちらから中止を提案し、中止が決まった。
いい状態に仕上がってきていただけに残念だ。

しかし、運良く、別のライブに出演できることになった。
7月16日土曜日、場所はスビリチュアル・ラウンジだ。
詳しくは近々お知らせします。
こちらは既に出演バンドが全て決まっているので中止はない。
よろしくお願いします。

     ◇     ◆      ◇

さて、今回は、私が選ぶ「2010・アルバム・オブ・ザ・イア」。
本来は1月から2月にかけての時期に記事にすべきものだが、
情熱と責任の欠如により、こんなタイミングになってしまった。
こんなタイミングになったが記事にはする。
「記録」として残しておかなくてはいけない。
誰から望まれたわけではないが、そこは守りたいのだ。
完全で純粋な自己満足だ。

ただ、2010年は、あまりアルバムを聴いていない。
枚数も回数もそれほど聴いていない。
特に新譜は、洋楽、邦楽合わせて10枚程度しか聴いていない。
そんなリスニング生活の中でチョイスしたのは、この9枚だ。

【洋楽新譜部門】
№1 キングス・オブ・レオン「COME AROUND SUNDOWN」
kings of leon/COME AROUND SUNDOWN 
圧勝でのナンバー1。
使用楽器は少なく、特にギターは繊細なフレーズが多いのに、
ドラム、ベースが作り出すリズムはタイトで、
それでいて、どういうわけか大きなグルーブがある。
メロディはルーズっぽくも哀愁があり、
サウンドは湿り気があるのに、ボーカルは乾いている。
これらが見事に絡み、これぞロックたる有無を言わせぬ圧倒力を
生み出している。
渋くてスモーキーでダイナミック。素晴らしいアルバムだ。
ちなみに、夜の始まり又は夜明けをイメージさせる曲ばかり。

№2 ゴリラズ「Plastic Beach」
ゴリラズ/Plastic Beach

ひたすらデジタル・コンピュータ・サウンド。
このジャンルの音楽は苦手な私だが、ゴリラズはなぜか受け入れられる。
ひっかかりなく聴き続けられるだけではなく、癒される感じさえする。
ほっとするような懐かしさがエレクトリックの中にある。
私にとってのヒーリング・ミュージックと言ってもいい。
また、リフがキャッチーである。それを巧くサウンドに織り交ぜている。
ボーカルの存在感も良い。
前に出ることなく、リフを側面から支えているようである。
特に、ルー・リードがボーカルで参加している
「サム・カインド・オブ・ネイチャー」は珠玉の出来。

№3 ジャック・ジョンソン「TO THE SEA」
ジャック・ジョンソン/To The Sea

これまでのジャック・ジョンソンの作品と大きく変わったところはない。
いつものジャック・ジョンソンである。
強いて違いを言えば、エレキギターとドラムが、
これまでより前に出ていて、ややポップになったか。
穏やか潮風のように、心地よい草木のざわめきのように、
夕方のジンジャーエールのように、風呂上がりの夜空のように、
すっと胸に入りこんでくる温かみのボーカルは、つくづく素晴らしい。
はっきりとわかるような新しい展開を、ちょっと見てみたい気もするが、
やはり良い意味での変わらないことが魅力であり、
安心して心地よく聴けるのだと思う。


【邦楽新譜部門】
2010年の邦楽新譜で聴いたのはこの3枚だけだ。
順位はつけないぜ。

■奥田民生「OTRL」
奥田民生/OTRL

全ての楽器を奥田民生氏本人がプレイ。
まろやかで、リラックスして聴ける、すごく良いアルバムだと思う。
ガツンとくる、というよりは、染み込んでくるサウンドで、
特にアコースティックギターの存在感が絶妙。
いい意味で商品っぽくないというか、
ラフであるがゆえ、原曲の良さがきちんと伝わってくる。
そう、このアルバムは、全体的にメロディが切なげで美しい。
また、肌触りは優しく、ハードめな曲も丸みのある雰囲気だが、
きっちりとパワーと思いが込められていることも実感する。
奥田民生はやっぱり凄いと再認識する傑作。

■斉藤和義「ARE YOU READY?」
斉藤和義/ARE YOU READY?

ロックのあらゆるエッセンスを散りばめたバラエティに富んだ作品。
迫力と余裕が増し、幹が太くなった感じがする。
脂がのっていること、いい活動ができていることが
アルバムから伝わってくる。
相変わらず歌詞に強さとストーリーがある。
きちんと詰められており、おざなり感がまるでない。
シングルになった「ずっと好きだった」だけが、
やけにポップで浮き上がっている感じがするものの、
気づいたらアルバムの最後まで聴いている。
それにしても、毎年のようにアルバムを出し過ぎではないかとも思う。

■安全地帯「★STARS★またね…。」
安全地帯/★STARS★またね…。

昨年は、「青田は青田、俺は安全地帯」をはじめ、
数々の苦笑コメントを繰り出した玉置氏だが、
安全地帯として何年振りかにアルバムをリリースした。
これが思いのほか良かった。
特に、「オレンジ」、「蒼いバラ」、「雨」のメロディはほんとに美しい。
歌詞はありがちで、さして魅力はないのだが、
メロディの良さだけで深みと広がりのある曲するボーカルも素晴らしい。
それにしても、アルバムタイトルは
もう少しなんとかしようと思わなかったのだろうか。

【旧作部門】
■ザ・ビートルズ「REVOLVER」
ザ・ビートルズ/REVOLVER

ふと気づくとビートルズの曲を聴き込んでいる時期がある。
2010年は、このアルバムを最も聴いた。
2曲目に収録されている「エリナー・リグビー」。
ドラムが入っておらず、バイオリンをメインにしたサウンドに親しめず、
ロックじゃないよと、いつもとばしていた曲である。
ついにこの曲の良さがわかった。
わかるだけのリスナー・キャリアに達した。
なんと哀愁に満ちた気高いメロディだろう。
この曲を早く聴きたくて、早く職場を去りたくさせる名曲だ。

このアルバムは、秋の午後にゆったりと聴くのが似合う曲が多い。
一般人に広く知られている曲は少ないアルバムだが、
「TAXMAN」、「FOR NO ONE」、「I'M ONLY SLEEPING」、
「TOMORROW NEVER KNOWS」など、ぶいしーな名曲揃い。

■ザ・キンクス「THE KINKS」
キンクス/キンクス

ザ・キンクスの1964年リリースのファースト・アルバム。
音楽活動ために通っている「スタジオ・ミルク」にて、
ある日、ルースターズのルーツ・ミュージックのような、
黒っぽく、せわしないジャガジャガした曲が流れていた。
スタジオ・ミルクのマスターに、今流れている曲は何かと聞くと、
「キンクスのファースト」と、素っ気なくもフレンドリーな口調で言われた。

初期のストーンズを、初期のビートルズ寄りにポップにコーディング
したようなサウンドが多く、
率直に言って、カブト虫や転がる石のような強烈な特徴はなく、
一般的に浸透しないサウンドであるのはよくわかる。
しかし、鼻にかかったたような甘めの声でありながら、
がさつで生々しいボーカル・スタイルは、現代のブリティッシュ・ロックに
しっかりと受け継がれている。
心に残るメロディーも、強烈なリフもないが、なんとなく聴けてしまう。
そのうち、「キンクスを聴いている」ということが、わけもなくカッコ良く思えてくる。
そんなおめでたい気持ちにさせるアルバムだ。

■ポール・バターフィールズ・ベターデイズ
 「バターフィールド・ブルースバンド」
ポールバターフィールド・ブルースバンド

一流ベーシスト、小原礼氏が、自身が司会をするテレビ番組で
絶賛していたアルバム。1965年リリースである。
王道のブルース・ロックであること以外、ポール・バターフィールズのことは
全くわからないまま、輸入盤が安価であったためゾンアマで購入。
とても良い。ハードではなく、どちらかと言えばクールなのだが、
非常に熱さが伝わる。
ブルース、というか音楽ってすごいなと圧倒され、とても敵わない気持ちになる。
夜に一人で車を運転しながら聴いていると心地良くなってきて、
どこまでも走っていけるような気になる。
しかし、そのうちヘルニアによって右腕や肩甲骨が痛くなってくる。
そして早くに家に着かないだろうかと思い始める。
そんな展開もまた俺のブルースなんだ。わかるかい?

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昨日の帰り道、普通に歩いていた。
途中ふと早く家に帰りたい気持ちになり、
無意識のうちに走り出した。
走り出そうと思って走ったのではない。
気づいたら走り出していた。

走り出して五歩目くらいで、左足をくじいた。
左足の外側、つまり、自分方向から左足を見た場合の左足の左側が、
ぐにゃっと内側にねじれた。
強烈な痛みだった。
あまりの痛さに呼吸が苦しくなり、ネクタイを緩めた。
それから1分くらいして、これはもう歩き続けられないと判断。
家まで歩いて残り15分くらいの距離をタクシーに乗った。

骨は折れていないだろうとは思ったが、
何かがどうにかなってしまったのは確実だった。
少なくとも2週間は走ることができないだろうと思った。
というか、2週間は通常どおり歩くことができないだろうと思った。
今週末の予定はパー。
来週末も自由に足を使えない生活になることが確定的だと想像し、
また、翌日は病院で診察を受けるため、
職場に、午前中の何時間かを休むと
電話しなければならないことなどを考え、一気に憂うつになった。

帰宅して、しばらくすると、左足のくるぶしの周辺が腫れてきた。
鋭く突起したようだったくるぶしが、

美瑛の丘のように、ゆるやかな曲線になってしまい、

見た目は、くるぶしが無くなってしまった。

とはいえ、過去に経験した二度の骨折の際は、
傷みで眠れなかったり、極度の寒気に苦しんだが、
今回はそこまでのものではなかったので、
骨折はしていないだろうと思った。
ただ、腫れた足首を包帯で固定されて靴を履けるのか、
靴を履けなかったら、どうやって通勤するのか。
スーツにサンダルという、最低最悪のファッションで
通勤しなければならないのか、など想像すると、うんざりした。

というか、私はサンダルを持っていない。
思いのすべてを歌にして、ピアノ演奏とともに聴かせたい、
そんなことを切に訴えた西田敏行氏が、
そもそもピアノを持っていなかったのと似ている。
いや、似ていない。
似ていないし、非なるものである。
言い得て妙でもない。

そんなことを考えているうちに朝が来て、
私は、ヘルニアのリハビリで通院している行きつけの病院へ行った。
診察を待っている間、恥ずかしながら、
スポーツ新聞に載っていた、AKB48の総選挙の中間発表みたいな記事を、
やけに熱心に読んでしまった。
単純な人気投票は、単純に興味をそそるものなのだとあらためて思う。
今はAKB48の時代なのだ。
そして少女時代だ。

診断は靭帯がのびているというものだった。
靭帯はレントゲンに映らないので、いまひとつピントとこなかった。
医師からは、3週間くらいは痛いでしょう、
しばらくは固定して、あまり動かさないようにしてください。
来週になっても症状が変わらないようなら、すぐ来てください、
と言われ、頑丈にテーピングされた。
腫れと包帯で足首が膨らみ、靴下が履けなくなったため、
左足はネイキッドな状態のまま、とりあえず家に戻った。

家に戻った私は、グレープフルーツ・ジュースを飲み、
今日一本目のタバコを吸い、
ゆるめの靴下をチョイスして履き、
ひもを緩めたスニーカーで通勤し、
ひもを緩めたスニーカーのまま職場で過ごし、
なんとか無事に仕事を終えた。

通常の歩き方ができないせいか、
おかしなところに力が入っているのだろう。
患部とは関係のない幾つかの部位に違和感がある。

3月頃から、ヘルニアをはじめ、なんとなく不調で、
あまり出かけることもなく、おとなしく過ごしてきた。
と同時に、一日一日、大切父に過ごそうという意識はあった。
ところが、この一週間ほど、なんとなく崩れていきそうな予感がしていた。
はっきりとした理由があるわけではない。
なんとなくだ。
上滑りしているような、かみ合っていないような、
漠然と嫌な感じが迫ってきていた。
そんな気配を感じていた。
それだけに、なお一層、狭い範囲で静かに日々を過ごし、
嫌な気配が去るのを待っていた。
そんなときに、このケガだ。

日々、慎重に、大切に過ごしてきたのは何なのかと思う。
だから今日の夜は、リンゴ酢を買ってきて、ピクルスを作ってみた。
食べられるのは三日後くらいだろう。
しかし、我慢できず、きっと明日つまみ食いをしてしまうはずだ。
それを責める人はいないだろう。
それを自由と呼ぶならば、やはり自由はいいものだと思う。

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震災後、ブログの更新頻度は激減するともに、
あらゆる活動が停滞気味だった。
しかし、表舞台に立つ機会はなかったものの、
音楽活動だけは淡々と続けていた。


そして、ライブがある。

6月18日(土)夜、ベッシーホールでのライブに出演する。
詳しいことは、まだ連絡がない。
何の音沙汰もない。
詳しいことが判明次第、お知らせします。

そのライブでは、新曲を2曲、披露するだろう。
そのうちの1曲がこれだ。

夜をどこまでも

読みかけの本を閉じて出かけよう
どっちつかずの関係 断ち切るんだ
待っていたって 引き返したって
この物語に未来はもうないぜ

駆け抜けてく 夜をどこまでも
はるか遠く この世の果てまで
ふりほどいて 手を伸ばして そのドアを開けるんだ

実は今だって あの悲しき日々
乗り越えられず 苦しむ夜がある
あんな思いは もう二度と嫌だ
だからもう一度 踏み出してくんだぜ

駆け抜けてく 夜をどこまでも
はるか遠く この世の果てまで
流れてゆく景色の中 涙は捨てていこう

ないもの数えるより あるものを知ることさ
そこからビートは刻まれる
夜が来て夜が明けて 最後には笑おうぜ
そんな日がきっと来るはずさ きっと

駆け抜けてく 夜をどこまでも
はるか遠く この世の果てまで
ふりほどいて 手を伸ばして そのドアを開けるんだ

今は何かが少しかみ合ってないだけさ
まだまだビートは続いてく
夜が来て夜が明けて 最後には笑おうぜ
そんな日がきっと来るはずさ きっと

   ◇     ◆     ◇

夜に、用事が終わって一人で車を運転していると、
例えば、バンドの練習が終わった後など、
そのまま帰宅するのではなく、
ふと、そのままあてもなくドライブしたくなる時がある。
今ある生活をひととき全部忘れて、
どこまでも走っていきたい気分になる時がある。

あの日の気持ちのまま、
全てのことから解き放たれて走っていきたくなる。
ほんとは、みんなそうなのだ。
だけどできない。
だから想像して想像して、心の扉を開いていく。
そんなことをイメージしながら書いた作品だ。

曲調はガレージ・ポップで、ところどころビートルズっぽさあり。
しかし、私が唄い、メンバー4人が演奏すると、
全くビートルズっぽくならない。
それが個性だから、それでいい。
ビートルズっぽいフレーズがあると思われないから
ラッキーともいえる。

このようなガレージ・ポップな曲を作ったのは、かなり久しぶりで、
21世紀に入ってから初ではないだろうか。

前奏は2小節、間奏は4小節で、それ以外はボーカルが入っている。
つまり、曲が始まってから終わるまで、
ほぼ全編にわたって唄っている。
そんなアレンジにした。
それが自然な流れだった。
コーラスも随所に入っており、
コーラスが入ったままエンディングを迎える。

ないもの数えるより あるものを知ることさ。
そう、誰しも、まだ気づいていない特性や、
実はまだ伸ばせる才能や、使える能力があるはずなのだ。
それを発見するのも、人生の大きなひとつの目的ではないか。

そう簡単に物事はうまくいくものではないだろう。
でも、夜が来て、夜が明けてを繰り返し、
最後には笑おう。必ず笑おう。
そういう思いでビートは続いていくのだ。
ビート・ゴーズ・オン。

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札幌はまだ寒い。
特にこの1か月は、雨模様の日や風の強い日が多い。
震災ショックやストレスに、ヘルニア痛も重なって、
外出意欲が湧かない日々が続いている。
青空が見たい。

平日に少し遠くの小さな町に行った際、
夕方に帰宅する中高生や、
夕暮れにトラクターに乗って土を掘り起こしている農業者を見ると、
なんともいえずほっとする。
そんな何気ない風景が、小さな旅を豊かなものにする。
ただ、そのような景色は、丘珠でも毎日見られる。
丘珠が恋しいぜ、こんなに近くにいるのに。

今回は、ブックレヴュー。
よろしくどうぞ。

■百田尚樹「錨をあげよ」(2010年)
百田尚樹/錨を上げよ・上 百田尚樹/錨を上げよ・下
昭和30年、大阪で生まれた男が主人公。
彼の少年時代から30歳くらいまでの破天荒な人生を、
日本の高度成長、学生運動、200カイリ問題など、
当時の時代背景とともに描かれている。
2010年作品を対象とした本屋大賞でも第4位にランクされている。

主人公は相当のワルで、小学生の頃から悪事をやりたい放題。
高校時代は数回の停学を受け、落第もするが、
一念発起し、浪人の末、同志社大学へ入学。
しかし退学して、その後は職を転々とし、ドタバタの20代を過ごす。
いわば主人公の長い長い日記のような作品である。

主人公の短気ぶりと軽率さは全く共感できるところがなく、
次から次にしでかす悪事や強引な恋愛は、不快感を持たずにはいられなかった。
肯定的に見れば、一直線でエネルギッシュということになるが、
好き勝手をやっていながら、結局救われ、なんとかなっており、
ある意味、小さな幸せのために我慢し、耐えているのが虚しくなってくる。

ストーリーも一直線で疾走感があり、どんどん話は進んでいく。
その反面、広がりや深みがない。
登場人物も出来事も多いが、動機や経緯に乏しく、伏線も少なく、
ただただあったことを羅列している感じがした。
それに加え、上下巻合わせて約1,200頁に及ぶ大長編で、
1頁あたりの字数も多く、読み進めるのがきつかった。

その中で引きつけられたのは、主人公が20代半ばに
根室でウニの密猟をして過ごした数年間である。
この根室生活は力感あふれる面白さがある。
1980年頃なのだろうか、領海を越えて密猟し大金を得る。
ヤクザとのいざこざ、女性とのいざこざなどと相まって、
非常にスリリングで、物語の中に入っていけた。
ただ、やはり主人公に魅力は感じなかった。

筆者は何を描きたかったのか。
私の能力と嗜好ではそれを感じ取れなかった。
絶賛する人や感動する人はいる作品だとは思うが。

■桜木紫乃「凍原」(2009年)
桜木柴乃/凍原
釧路の警察署に勤務する女性刑事の物語。
釧路湿原で起こった殺人事件を追っているうち、
17年前に釧路湿原で起こった小学位の行方不明事件と、
戦後に樺太から引き上げてきたある女性の秘密が交差し、
思いがけない真相が明らかになっていく。

興味深く読めた。
というのが、戦時中と敗戦後の樺太における日本人の有り様は壮絶で、
特に引き上げ船に乗るまでは迫力があった。
その後、留萌(おそらく沖美町)に数年住むのだが、
そこでの過酷な生活も、引きつけられるものがあった。

微妙に登場人物が多いが、名前やキャラクターに強い特徴がなく、
途中で久しぶりに登場すると、誰だったのかわからなくなる。
前半、脇役として登場した人物が、後半になって実は真相のカギを
握る人物であるという展開をするだけに、
人物の棲み分けをもっと明確にしていれば、
もっとストレートに衝撃を受けたかもしれない。

雰囲気としては、全体的に薄暗さがあり、
釧路の霧のごとく、もやっとした感じもあるが、それは決して悪くない。
ただ、展開に層が足りないというか、つなぎが弱い感じがするため、
衝撃性のある内容なのに、なんとなくあっさりしている。

私は筆者の今後に期待している。
今後、もっともっと面白い作品を書けるような気がする。
直木賞候補になってもおかしくない力量があると思う。
筆者は釧路市出身ということもあり、道東を舞台にした作品が多いが、
決して道東の良いところではなく、むしろ閉塞感や厳しさなどを
描いているのに、むしろそれに触れたくて、
道東に足を運ぼうかという気にさせる何かを持っている。

■桐野夏生「優しいおとな」(2010年)
桐野夏生/優しいおとな
桐野夏生作品は新作が発刊されれば必ず読むのだが、
2007年の「メタボラ」より後の作品は、
何かつかみどころのない感じがしている。
この作品も、今ひとつピンとこなかった。

舞台は100年後くらいの渋谷で、
スラム街と化している設定となっている。
主人公は15歳のホームレスの少年。
他のホームレスと折り合わず、孤立して生活している。

彼は親もなく、自分のルーツがわからない。
それを探して、やがて、東京の地下に複雑に広がる空間に足を運ぶ。
そこには多くの人が暮らし、独自のコミュニティを築いていた。
少年は地下世界のルールの中でもがきつつ、次第に成長していく。

そんな内容なのだが、筆者が作った近未来の世界に、
私の想像が追い付けず、ちんぷんかんぷんな箇所が複数あった。
また、強気で他人を寄せ付けない主人公の少年が、
地下世界へ向かう段階になると、唐突に気弱で、すがるような雰囲気となり、
その変化を埋めるような記述が足りないというか。
そのため迫ってくるものがなく、感情を共有できない。
私の想像力不足のせいかもしれないが。

捉えようによっては、アメリカの映画にありそうな世界観で、
映像にした方が、良さが出るような気がした。
なお、「大事な人がいると自分のことしか考えられなくなる。
愛情は深ければ深いほど、どうでもいい他人を傷つける力が強大になる」
との記述は、さすが桐野夏生だなと。

■有川浩「阪急電車」(2008年)
有川浩/阪急電車
関西圏を走る阪急電車の路線の中で、
兵庫県にある今津(いまづ)線を舞台とした連作短編集。
今津線は、西宮市と宝塚市を結ぶ8駅、片道15分の路線。

気になっていた異性との電車内での偶然の出会い、
ひどい振られ方をしたOL、小学生のイジメ、
周りの迷惑を顧みず好き勝手し放題のおばさん連中など、
作品ごとに様々な人が登場。
これらの人が、やがて何らかの形で交わっていくようになり、
作品全体として厚みのある内容になっていく。
寄せ集めた感じではなく、自然に流れていく感じがいい。

文章に派手さや大きな特徴はない。
それでいて必要なものは過不足なく描かれ、
かといって詰め込みすぎている感じはなく、
文章が上手な人の文章だなと思う。

この路線を知っている人にはたまらなく愛おしい作品ではないか。
西宮や宝塚などまるで知らない私にとっては、
人物や電車内の様子は目に浮かぶのだが、
電車の窓から見える風景や、駅前の様子がイメージできない。

結果的には前向きなストーリーである。
小さな勇気や、苦しい状況でも毅然とあることを、
さらりとしながらも、優しさと強さを持って表現している。
押し付けがましさがないのに意志が伝わる。
共感しやすい要素は多い。
特に、偏見かとは思うが、女性ウケしそう。

結果的にうまく行きすぎかなと思うところはあるし、
ほのぼのさや暖かさよりも、もう少し密度のある状況設定がほしいかなと思うが、
小学生の女の子の強さや、女子大学生のいじらしさに、
思わずほろっときてしまったのは事実。
人気作家の代表作というのも頷ける。

   ◇     ◆     ◇

できるだけのことをしたい、というのは、
自分が何かをしたり、与えたりすることだけではなく、
四の五の言わず受け入れることも、「できること」なのではないか。
理屈ばかりこねて、できることすらしない。
復興は遠のくばかりだ。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学


桜の季節である。
改めて観察してみると、
普段の風景の中に、桜のような色はほとんど存在していない。
しかも桜の木はそれなりに大きい。
となれば、当然に目立つ。
長い冬を越えて、春が到来したことを知らせるような
タイミングも相まって、一年で最も注目が集まる草木である。

さらに、控えめな色、適度に弱々しい花びら。
咲いている期間は短く、枯れるのではなく散るという結末。
そうした存在感が、気持ちを晴れやかにすると同時に、
儚さと美しさに、何がしかの気持ちを起こさせる。

ただ、寂しいというか、残念に思うのは、
桜の木は、花が咲いているときしか見てもらえないことだ。
花が咲いていない時、桜の木を気にする人など
ほとんどいないだろう。
他の木は、一年中その木だとわかる。
桜の木だけは、普段その存在すら忘れられている。
不思議だ。

ところで、桜餅は美味しい、中途半端な気持ちじゃなく。
もしかしたら私にとって最も好きな和菓子かもしれない。
あのピンクの部分が美味しい。
しかし、あまりにごはんの面影が残っているタイプは苦手だ。
そんな私なので、大の餡子好きながら、おはぎは結構アウトである。

桜餅についている葉は食べるべきものなのだろうか。
幼少の頃からずっと、あの葉は食べるべきものだと思って生きてきた。
桜餅と葉のしょっぱさとの組み合わせは
世界遺産にしてもいいのではないかというくらい奇跡のバランスである。
ただ、ここ数年、疑問を感じている。
葉に味つけをしているのは、葉そのものを食べるためなのか、
それとも桜餅にほんのり塩気を与えるためなのか。

なぜ疑問を抱いたかといえば、
葉の中心の茎みたいな部分が、美味しさをぶち壊すからだ。
ある時から、そこは食べるべき部分ではないと決め、

茎みたいなところが残る部分まで食用バサミでカットし、
純粋に葉の部分だけを食べている。
実に風情がない食べ方である。

そんなこんなで桜の季節の中にいる。
なんらかんら言いつつ、桜の存在は愛おしいものだ。
切ない刹那を楽しみたい。

テーマ:日記 - ジャンル:日記


1か月ぶりの記事である。
これだけ間があいた要因はふたつある。

ひとつは、地震災害に関して色々と思うところがあり、
しかし、それを書くには様々な問題があると考え、
かといって、思いをとどめているのは苦しく、
そのうち心が便秘のような状態になり、
記事を更新するエネルギーがわかなくなったためだ。

誰が誰に対して、ということは控えるが、
なんというか、なんでもかんでも文句を言い過ぎではないかと。
例えば、もっと早くしろと言われるから早くすれば、
唐突だとか、十分に検討したのかと言われたり。

報道がそういう部分ばかり見せたり書いたりしており、
実はほとんどの人は、今の状況を受け入れて、
その中で必死に耐えているのではないだろうか。

評論家にはならないようにしなければ。
テレビの中だけではなく、君の近くにも評論家はいるだろう。
無責任な井戸端会議を繰り返すような。
評論家は傷つかない。
なぜなら自分じゃ何もしないから。

自粛はやめようという報道も増えた。
その理屈はわかる。
わかるが、なかなか脱自粛な気分にならない。
それは自分自身が何も果たせていない気がしているからかもしれない。

更新が滞ったもうひとつの理由は、曲づくりに時間を費やしたためだ。
特に歌詞づくりに苦慮した。
自分に問いかけ、考えて、言葉を絞り出す。
ところが、以前にも同じような内容の歌詞があったり、
メロディにのらなかったり、
言葉のつながりがダイレクトすぎたり、あるいはぼんやりしてたり。
煮詰まり、気分転換になんとなくテレビをつけたら、
そのまま漫然と見続けたり。

それでも、曲の完成は近づいている。
次のライブでは、2曲程度、新しい曲を披露できると思う。
次のライブは、6月18日(土)、ベッシーホール。
近いうちに詳細を。

また、頸椎のヘルニアを良化させるため、
あまりパソコンに向かわないようにもしていた。
年明けから、頸椎のヘルニアが悪化。
右の肩甲骨の痛みと右腕のしびれがつきまとい、
日々ストレスになっていた。

特に、パソコンに向かっている時はしびれがきつかった。
そのため、マウスの操作は左手を使うようにした。
2週間ほどで、ほぼ支障なく操作できるようになった。
ゴールデンウイークで休日が多かったことも相まって、
ヘルニアは良い状態になってきた。
ゴールデンウイーク後にどうなるかはわからない。
共感してもらえないことはこの世の中に色々とあるが、
ヘルニアは間違いなくそのひとつだ。

前を向いて歩けと人々はすぐに口にする。
しかし、前を向くことは、ある意味とても辛く苦しいことだ。
前を向くには時間が必要だ。
やがて、このままじゃいられないと思ったら、その時がタイミングだ。
そんな感じでいいのではないか。
簡単なことじゃないが、とても簡単なことだ。
胸を張ろう。

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