ADMIN TITLE LIST

2008年が終わる。
今年は良い年だった。

なりたいようになれなかった。
やりたいようにはできなかった。
しかし、やるべきことをやった。
何度も迷いつつも、一番大切な思いにしたがって過ごせた。
だから、悔いがなく、すっきりとした気持ちである。
望んだ結果はでなかったが、やり遂げたと感じている。

大きなものを失い、ずっと追いかけてきたことをあきらめた。
無情の風にうたれ、屈辱の地下鉄に揺られ、
絶望の環状通を歩いた。
一番欲しかったものは、この手からすり抜けた。
ただ同時に、重い荷物を降ろしたとも言える。

その荷物は、株で言えば「含み益」だと思っていた。
今はまだ、はっきりとはしていないけれど、
はっきりとしたときは、大きな利益がもたらされると思っていた。
ところが実は「含み損」だった。
どうにもならないことを、ずっと大事に抱えていただけだった。
それがわかった。
だから、それを整理した。
それを乗り越えられただけで、今年は良い年だったのかなと思える。
私は身軽になった。
来年は、どこへだって行ける気がする。

音楽活動においては、大きな前進ができた。
とにかく楽しかった。
8年ぶりに新曲を披露できたことも非常に嬉しかった。
歌いたことがある自分に気づき、
そして歌える場があることを、とても有り難く思った。
また、バンドのメンバーの「ALL YOU NEED IS MUSIC」な
強い気持ちに触れ、
会場に足を運んでくれる方々の暖かい気持ちに触れ、
それだけでラッキーかつハッピーじゃん、と心の底から思えた。
昨年9月、7年ぶりにステージに立った際、
「クグエさんは音楽やってなきゃダメですよ」と、
ロック知人、yama-ken(ヤマケン)から言われた一言が、
身に染みて感じた年だった。

そして、このブログを読んでくださる皆様である。
ブログが続いているのは、そうした皆様のおかげにほかならない。
ブログがかけ橋になった出会いがあったり、
離れていてしばらく会ってないのにつながっていたりと、
コミュニケーション手段のひとつとしても大きな役割を果たした。
たかがクグエ@スカイウォーカー、されどROCK ME BABYである。

人とのつながりなしには生きてはいけない。
その意味においても、
読んでくださる方々がいる幸せを改めて感じている。
この一年、ほんとうにありがとうございました。
来年もROCK ME BABAYします。


スポンサーサイト

テーマ:日記 - ジャンル:日記


本日は、私、クグエ@スカイウォーカーが選ぶ
「2008・アルバム・オブ・ザ・イア」である。

ノミネートの要件は次のとおり。
①概ね2007年11月1日から2008年11月30日までに
   リリースされた洋楽アルバム
②ベスト盤やコンビネーション・アルバムなどの企画モノは除く。

今年の洋楽アルバムは好作品が目白押しだった。
近年まれに見る不作だった昨年の反動もあるだろう。
つまり昨年リリース予定だったのが、今年にずれ込んだ結果、
今年が激戦になったともいえる。
特に、30代から40代にかけての世代が、
骨格のしっかりとした密度の濃い作品を
リリースした印象がある。

さて、順位であるが、審査は非常に難航した。
基本は私の好みでの評価となるのだが、
その作品のクオリティ、今年どれだけ聴いたか、
3年後に聴いてると思うかどうか、過去の作品との比較など、
現在・過去・未来を総合して検討し、
最後はやはり、自分にどれだけ染みこんだかによって決めた。

それでは発表させていいだきます。

№1 オアシス/DIG OUT YOUR SOUL
1_oasis/dig out your soul 

細かいことより、とにかくイギリスのロックのトップに君臨する
格の違いを見せつけた素晴らしい作品だった。
2000年以降の彼らのアルバム中ではダントツで良い。
キラーチューンのような曲はないが、
深みを増し、厚みを増し、アタック力が強く、
それでいて押しつけがましさがなく、何度聴いても飽きない、
アルバムとしての完成度が非常に高い傑作だった。

№2 ベック/MODERN GUILT
2_beck/modern guilt 
これまでのベックの作品の中で最も良い、というか好きである。
クールで洗練されたサウンドに渋みが増し、
なんといっても歌メロがしっかりしているのが良かった。
曲調も音もフレーズも、どこか懐かしい(古臭い)感じが漂うが、
料理の仕方は現代的であり、
様々な楽器やコンピュータを駆使しているが、
いい意味であっさりと聴かせる、これまた傑作である。

№3 コールドプレイ/VIVA LA VIDA
3_coldplay/viva la vida 
2008年7月16日の記事で、このアルバムを、
「輪郭がつかめない」、「何をしたいのかわからない」と
厳しい評価をした。
しかし、聴き込んでいくと、琴線に触れてくるような肌触りを
感じてきて、そこからはコールドプレイという海に浸ってしまった。
やはりメロディが秀逸である。また、夜明けの寒さと光を奏でて
いるような「生命」を感じる作品である。

№4 プライマル・スクリーム/BEAUTIFUL FUTURE
4_プライマルスクリーム/beautiful future 
「ロックンロール万歳!」な気分にさせるアルバムだった。
特に、2曲目に収録の「CAN'T GO BACK」は、
今年で一番の大盛り上がりソングである。
ライブで大合唱する観客の姿が想像できる。
決して新しいことをやってるわけではないが、
しっかりと刺激を与えられてしまう。
3曲目に収録の「UP TOWN」を聴くと、夜、出かけたくなります。

№5 ザ・クークス/KONK
5_ザ・クークス/konk 
イギリスの若手バンド「ザ・クークス」のセカンド・アルバム。
ファーストから飛躍的に成長して驚いた。
イギリスのガレージ・ロックの王道のようなサウンドなのだが、
ポップの普遍性や、街角の哀愁を感じさせるような
メロディセンスの良さが光り、自然に耳に溶け込んでくる。
コーラスも非常に上手で、曲の質を上げている。
未だに3位でも良かったかなと迷わせるほどである。

№6 ジャック・ジョンソン/SLEEP THROEGH THE STATIC
6_ジャック・ジョンソン/4th 
心の中の荒波を、夕凪に変えてくれるような、
ほっとするアコースティック・サウンド。
温かみがあり、自然に吸い込まれていくようである。
車があり、太陽があり、海があり、
そこにジャック・ジョンソンの音楽があれば、
他に何が必要だろうと感じられるほどである。
音楽に二日酔いしている時でも聴ける常備薬ともいえる。

№7 レディオヘッド/IN RAINBOWS
7_レディオヘッド/in rainbows 
これまでレディオヘッドの音楽は、
神経を逆撫でするようなメロディ展開のせいで、
聴いているうちに憂鬱になったり、気持ち悪くなることがあった。
しかし本作は、これまでにない馴染み方をした。
BGMとして、ちょっと心地よい感覚もあった。
とはいえ、「生」よりは「死」をイメージさせるようなサウンドには
変わりなく、朝に聴くことは困難だし、非常に危険である。

№8 ザ・ミュージック/STRENGTH IN NUMBERS
8_the music/3rd 
ザ・ミュージックのサード・アルバム。
「ヘビーなタテノリ・ダンスロック」として凄まじくパワーアップした。
また、アルバム全体としてまとまりが出て、クオリティも上がった。
特にベースとドラムの押し寄せ感に圧倒され、ハートビートが上昇する。
ただ、即効性はあるものの、リズムが似ている曲が多く、
続けて聴くと飽きやすいのが難か。
なお、今回紹介する中で、最も都会の夜が似合う作品である。

№9 ザ・ヴァーヴ/FORTH
9_the verve/forth 
大人のロックである。
キャッチーなメロディはまるでなく、ガツンとくるフレーズもない。
悪く言えば、だらだらしたダークなサウンドである。
ところが、サイケデリックなうねりの中に
知らず知らずに引き込まれていく。
繊細でありながら力強く、ぶいしー(渋い)で、クール。
密閉度の高い家に住んでいるような安心感もおぼえる作品である。

№10 キャット・パワー/JUKE BOX
10_cat power/juke box
偶然に耳にしたラジオから流れた彼女の歌に心をうたれ、
とりあえず試しに買ってみたアルバム。
全曲がカバー・ソングなのだが、自分の曲のようにナチュラルに、
それでいて気怠く、心地よいジャジーな雰囲気を醸し出している。
一旦はまると、ずっと聴いていたくなる中毒性も強い。
なお、キャット・パワーは、
第2位のベックのアルバムに2曲、コーラスとして参加している。

№11 AC/DC/BLACK ICE
11_AC/DC/BLACK ICE 
AC/DCの9年ぶりとなる新作。
メンバーが60歳前後になった今も、これでもかと、
ハイテンションR&Rをぶっ放してきた。
どこから切り取っても、AC/DCらしさにあふれ、
不変の強さを見せつけたノン・ストップ・ハードロックである。

№12 mutlu/LIVIN'IT
14_mutlu/livin'it 
2008年最大の掘り出しモノだった。
カントリー・ロック+AOR的なアコースティック・サウンドで、
郷愁を感じさせるカム・バック・ホームなテイストがある。
休日の午後に、田舎の景色を見ながらドライヴする時に
聴きたい部門では、第6位のジャック・ジョンソンをも凌ぐだろう。

№13 R.E.M/アクセラレイト
13_R.E.M/アクセラレイト 
20年以上の彼らのキャリアの中で、
最もラウドなロック・アルバムだろう。
音がカッコ良く、エナジーも伝わってくる、ロックらしいロックである。
ただ、ホッケの開きを食べたい時に、焼肉を食べさせられたような
巡り合わせの妙が、この順位にとどまった最大の要因。

№14 ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ/激情ギターラ
17_ロドリーゴ 
メキシコ出身の、アコースティック・ギターによるインスト・ユニット。
情熱的でありながら、どこか儚げなラテン・ロックといったところか。
ギターが歌っているというか、血が流れている生き物のように
思えてくるほど躍動しており、それでいて美しさもある。
また、パーカッションの使い方が巧みで、いいクルーヴを生んでいる。

№15 ザ・ヴァインズ/メロディア
15_THE VINES/メロディア 
オーストラリアのロックバンド、ザ・ヴァインズの4作目。
「ビートルズ・ミーツ・ニルヴァーナ」ぶりは本作も健在。
相変わらずコンパクトにわかりやすくポイントを表現している。
ただ、私の評価が高かった前作からの進化が見えにくかった。
悪い出来ではないのだが、もう少し変化球を見てみたい気がした。

№16 ザ・キラーズ/DAY&AGE
19_ザ・キラーズ/day&age 
ザ・キラーズの3作目。
グラマラスなフランツ・フェルディナンド的でもあり、
ゴージャスなザ・ストロークス的でもあるが、
いい意味で丸みが出て、アルパムを通して聴きやすい仕上がりと
なっている。4曲目収録の「JOY RIDE」はヘビ・ロテ確実。

№17 ニック・ケイヴ/DIG,LAZARUS,DIG
12_ニック・ケイヴ/dig 
映画音楽のようである。
誰かを追いつめる、あるいは追っ手を払う映画に似合いそうだ。
エッジのかかったボーカルは、皮肉っぽくも、どこか哀愁があり、
ボブ・ディランやニール・ヤング的な佇まいも感じた。
片隅の小さな飲み屋で流れていたら最高だと思う。

№18 ウィーザー/THE RED ALBUM
20_ウィーザー/the red album 
前作が良かったので、期待していたウィーザーの6作目。
残念ながら、18位にランクされるのがやっとだった。
クオリティは低くはないし、新しいことに取り組もうとしているが、
必殺メロがなく、サウンド志向に走りすぎたかなと。
そこがなんとも退屈に感じ、何度も聴く気になれなかった。

№19 ポール・ウェラー/22DREAMS
16_ポール・ウェラー/22dreams 
バラエティに富んでおり、やってみたいことを全部やったような、
ポール・ウェラーの集大成とも感じられる21曲入りアルバム。
しかし、「この曲は必要だったのか?」と思わされた曲も多く、
アルバムとしては間延びしてしまったというのが率直な感想。
ぶいしーな白人ブルージー・ロックを、もっと聴きたかったなと。

№20 SCOUTING FOR GIRLS/SCOUTING FOR GIRLS
18_スカウティング・フォー・ガールズ 
ピアノが前面に出たポップ・サウンド。
ベン・フォールズ・ファイヴを彷彿とさせ、
受け入れやすいサウンドであるが、
インパクトと深みに欠けるかなと。
ただ、メロディがきれいなので、嫌味なく聴けてしまう良さはある。

以上が、クグエ@スカイウォーカーが選ぶ
「2008・アルバム・オブ・ザ・イア」トップ20である。
1位、2位はあっさり決定してが、3位から5位と、
13位から18位の順位づけが難航した。

何度も聞いては順位を動かすなどし、
これまでの記事の中で、最も手間と時間を要した。
しかし、忘年会より、大掃除より、年賀状より、
この企画をやり遂げなければ年を越せる気がしていなかったため、
非常にほっとしている。

また、私一人で、これほどの音源を入手できるわけではない。
ロックの情報交換に、特に協力をいただいたスミス西野氏と
ダーオ小田氏には、改めて感謝を申し上げたい。


テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽


クリスマスは終わった。
クリスマスは、日本最大の右習え志向が強いイベント
ではないかと思う。

正月に餅を食べる人より、盆に墓参りをする人より、
クリスマスにケーキを食べる人の方が圧倒的に多いだろう。
年末年始や盆を歌った曲はそれほどないが、
クリスマス・ソングはうんざりするほどある。

また、ゴールデンウイークや盆時期に残業するより、
クリスマス・イブに残業する方が同情されたり、
あるいは疑問を抱かれるような気がする。

こうしたことは、ある種のマインド・コントロールではないか。
それとも、群集心理と言うべきだろうか。
クリスマスはケーキを食べなければいけない、
クリスマスは誰かと過ごさなければ寂しい、
そんな強迫観念があるようにさえ思う。

そして、12月26日ともなれば、
恐ろしいほどにクリスマスな景色も、クリスマスな気分も消える。
「正月気分が抜けないねえ」、
「夏休み気分が抜けないねえ」というのはあっても、
「クリスマス気分が抜けないねえ」など聞いたことがない。
みんなクリスマスに右向け右していたのに、一気に潮が引く。
この切り替えの早さは何なのだろう。
正直、ぞっとする。

このことを、なぜクリスマス前に書かなかったのか。
その理由は、この記事を書いたがために、24日又は25日に、
誰からもメリークリスマス・メールが来ないことを恐れたためだ。
どうだい?弱い人間だろう。
クリスマスに踊らされてるのは、紛れもなくこのオレさ。

ケーキ食べたかったぜ。


テーマ:思ったこと・感じたこと - ジャンル:日記


今回は、今年最後のラーメン記事である。
1月上旬には、クグエ@スカイウォーカーの選ぶ
「2008 ラーメン・オブ・ザ・イア」を実施する。
今回紹介の店の中には、
トップ5入りが確実な店も含まれている。

今年も残り5日だ。
時間はないぜ。
早速いってみよう。どうぞ。

■ひなた(札幌市南区澄川5条4丁目)

ひなた/鶏しお 
この店が、地下鉄澄川駅近くでありながら、
人通りの少ないストリートにオープンしたのは10年近く前だろうか。
当時、澄川に住んでいた私は、2度訪問したことがある。
きちんとダシの旨みが出た美味しいラーメンだったが、
2度とも客はまばらで、もっと人気があってもいい味だけどな、
と思った記憶がある。

昨年、札幌大学方面から地下鉄澄川駅方面へと
車を走らせていた秋の午後、
外まで行列ができている店を不意に目にした。
向かい側にコープさっぽろがある急な坂道の途中である。
そこは、入居するテナントが、ことごとく長続きしなかった場所だった。
そこに行列があった。
そんなことってあるのかい?
気になった私は、その店を確認すべく引き返した。
そして目にした店が、「ラーメンひなた」だった。

いつのまにか移転し、しかもとんでもなく人気店になっていた。
私はいつか行かねばと心に誓った。
そして行ったのが、今年の7月。
誓ってから行動に移すまでに時間がかかるのが、オイラの悪いクセ。
でも、必ず行くのがオイラのいいところ。
自分で自分を褒めて忍びないぜソーリー。

看板メニューである「鶏しお」を食した。
しっかりと鶏ダシをとった雰囲気がある上品な味。
レベルは間違いなく高いと思う。
しかし、「しっかりと鶏ダシをとった雰囲気」と書いたとおり、
「雰囲気」にとどまるのだ。
鶏ダシ全開ではないのだ。
そこは好みの問題になるが、
私はもっとダイレクトに前に出してもいいのでは、と思えた。

まとまりのある味で、美味しいことは美味しい。
大絶賛する方が多く存在するのはうなずける。
ただもう少し、なんらかの強さがほしいかなと。
なんというか、東区元町から、これを食べるためだけに
南区澄川まで行きたくさせるアタックが弱いかなと。
近所にあったら、間違いなく再訪している店ではあるが…。

麺は細めで白っぽく、やわらか系。
スープに合っているとは思う。
ただ、私には優しすぎる。
優しさの範囲内で叱ってくれる誰かが必要だ。

■素(札幌市北区新琴似4条8丁目)
素/塩ラーメン 
店名の「素」は、「もと」と読む。

以前、このブログのコメントにおいて、
タピオカ鈴木氏がオススメした店である。
実は今年の5月に行ってきた。

しかし、なぜここまで記事にしなかったのか?

私が食べたのは、塩ラーメンだった。
この店の一番のウリは塩ラーメンだからだ。
すっきりとした鶏ダシの自然な旨みが表現され、
大変美味しくいただいていた。
ところが、周りの客のオーダーを聞いてると、
多くの人が「特製塩」をオーダーしている。

私は、塩味で「特製」なんて、どうせ具の違いだろ、
と眼中になかった。
ところが、家に帰って調べてみると、
この特製塩は、具の違いではなく、スープの違いであることを知った。
特製塩は鶏油を使っているのだった。
こうなると特製塩を食べるまでは、記事にできない。
その思いを一昨日までひきずっていた。
そして昨日ひきずるのをやめた。


塩ラーメンは丁寧さが伝わる美味しい味だった。
化学調味料を使っていない感じも出まくっていた。
失敗しない店であるのは間違いない。
希望を言わせていただければ、
塩味をやや抑え、ダシの味がもう少し強くなると、
この店への「引き」の力が増すように思う。

■吉山商店(札幌市東区東苗穂3条2丁目)
吉山商店/味噌ラーメン 
看板メニューである味噌ラーメンを食した。

あっさり純連系の味。
普通に食べる分には、特に問題はない。
というか、「普通に美味しい」ことが魅力だろう。
適度に濃く、それでいて適度にあっさりしており、
万人ウケする味だと思う。

ただ、何かが平凡で、どこかパンチがない。
ニンニクも、香ばしさも、キレもコクも、
全て控えめな感じがするのだ。
控えめというか、おとなしい感じがする。
それが食べやすくさせているのかもしれないが、
私の中にリピート欲求が生まれにくいのも事実。

野球のピッチングに例えると、
投げた瞬間の初速はそこそこ速いが、
ホームベースにボールが届く頃には、
勢いを失っているような感じがする。

あるいは、シーソーの中間辺りで、バランスを保っているものの、
せわしなく体を動かして保っているような味である。
このシーソーを中間でぴたっと止めて、安定的な強さを追求するか、
思い切って右か左に傾かせ、青空にジャンプさせるか。
いずれしても、味を追求されることを望む。

こんなことを望むのは、伸びしろを感じさせるラーメンだからである。
肉系ダシはしっかりしていながら、意外にすっきりまろやかである。
それが、良くも悪くも平凡かつパンチの無さにつながっている。
「食べやすい味」=「当たり障りのない味」で
終わらせることのないよう、追求を重ねていただきたいと思う。
東区民の立場からも応援したい。

なお、店はいつもそれなりに混んでいる。

あっさり純連系のファンは多いんだな。

■佳(札幌市豊平区月寒東1条7丁目)
佳/らーめん 
文句なしに美味い。

メニューは「らーめん」と「味玉」のみ。
いずれも正油味で、
味付け玉子が入っているか否かの違いである。


ただの正油味のらーめんではない。
極上の濃厚和風正油味らーめんである。
ジャンル的には、eijiのラーメンに近いが、
それよりもまろやかな旨みを感じる。
真(shin)のスープにも近いが、
それよりも洗練され大人の味わいとなっている。

麺はやや細めのストレートで、いわゆる低加水系というタイプ。
少し柔らかめだが、噛み応えがあり、スープとの相性は良い。
具のチャーシューは厚さが1cm近くあり、炙ってある。
これも美味だった。

店内はカウンターのみ7席。
開店15分後には行列が発生した。
嬉しいのは、お客用のモノ入れカゴがあること。
最近、こうした店に時々出会うが、
モノ入れカゴ設置店は基本的に対応がよろしい。
この店も、はきはきとしつつ謙虚さがにじみ出た対応により、
客のマナーや態度も良くしているように感じた。
これに気づいた私は、自宅に来客用のカゴを購入したほどだ。
ところが最近は、読み終わった新聞入れと化しており、いと物悲し。

札幌ではここ2、3年の間に、濃厚和風正油味が増えてきたが、
魚味の臭みが強かったり、肉味がくどかったりで
飽きることがよくある。

「佳」のらーめんは、そのどちらも完璧にクリアし、
バランスのいい、まろやか上品味を作り出している。
私が一切否定コメントを書かずに終わるラーメンは稀である。
これはこれで、面白みがなく恐縮です。

■赤坂四川飯店
  (札幌市中央区北2条西6丁目 札幌ガーデンパレス内)

赤坂四川飯店/担々麺 
担々麺が美味しい。

未だにこれを超える担々麺には出会っていないし、
これに近づけた担々麺にも出会っていない。

この担々麺との出会いは、7、8年前。
イマ参事(いま・さんじ)が、イチオシしていたことによる。
「クグエちゃん、四川飯店の担々麺は、ものが違うから」と絶賛され、
昼休みに連れて行かれたのが始まりだった。

担々麺が目の前に出された時、まず視覚でやられた。
ギミックなしの本格的中華料理たる存在感があった。

プースーをすする。
甘い。そして香ばしい。
さらに、白ごまをすりつぶしたようなコクが、波のように押し寄せる。
おかげで、どんどんとスープを飲まされ、
気づいてみると、どんぶりの底が現れていた。
感服だった。
こんなに美味しい料理に出会ったという「事件」でもあった。

現在も、それに近い気持ちのままである。
あのまろやかなパンチと香ばしさは、
「スイート・バイオレンス」であり、
あの身近でありながらの高級感は、
「ナチュラル・エクセレント」である。

麺はやや細めのストレートで柔らかめ。
一般的なラーメンでは見かけない風合いの独特な麺である。
やや太、やや縮れがタイプである私の嗜好とも異なる。
しかし、「このプースーには、この麺しかないんだろうね」と、
知らず知らずに納得してしまうパワーがある。

店内はテーブル席のみ。
そのテーブルには白布がかかっている。
水とおしぼりとともに、ナプキンも出される。
行儀良くしていなければならない変なプレッシャーがかかる。
気楽で大衆的な中華とは言い難いものがある。

そうした堅苦しさはあれど、
毎年2、3回は強烈に食べたくなる。

そして、毎年2、3回は確実に食べている。
ちなみに、希望すればサービスで小ライスがついてくるが、

これもさりげなく美味しい。
ライスをレンゲにのせ、プースーに浸して食べても美味しい。
つまり、スープカレー食いをしてもいけるのだ。

なお、店の有り様は、行儀良くだが、
店員の女性達は、
近所の素朴なおねえちゃん然とした人ばかりである。

「お姉さん」ではなく、「おねえちゃん」的である。
7、8年の間、ずっとそうである。
この要素は、人選において間違いなく考慮されているだろう。
私はそれを気に入っている。
そして私は気に入られたい。
だから、彼女たちの目を気にしている。
いい客であるべく、謙虚で誠実に見えるよう、
彼女たちの目を気にしている。
これがほんとの「しせん料理」なのかもしれない。
クグ丸です。


テーマ:北海道のグルメ - ジャンル:グルメ


先日、酒の席のこと。
ロック知人、Y子(ワイコ)と話した。
それまで彼女とは、少しだけしか話したことがなく、
しかも、暗い場所でしか見たことがなかったため、
顔さえはっきり覚えていなかった。
当然、素性もほとんど知らなかった。

「Y子さんは、どの辺りに住んでるの?」
「八軒です。琴似駅の結構近くです」
「あ、そう。結構にぎやかなとこだよね」
「あ、そうだ! 言おうと思ってたことが」
「え、何?言っちゃってくれよベイベー」
「蘭句のラーメン食べに行って下さい」

「蘭句」は「らんく」と読む。
札幌市西区八軒4条3丁目の
目立たない場所にある小さなラーメン店である。
ほとんど知らない間柄でありながら、
彼女は、なにより最初に蘭句のラーメンを薦めてきた。
これは、相当に美味しいということだろう。

蘭句/店 
「蘭句」は、かねて気になっていた。
これまでSK新開(エスケイ・シンカイ)氏をはじめ、
何人かの人から、美味しいという話を聞いていた。
Y子は、その誰とも知り合いではない。
全く関係のない人2人以上の人から薦められたら、
その店に行く確率90%超を誇る私は、
確実に気持ちが高ぶってきた。

味のこと、店の雰囲気、場所などの基本情報を把握するべく、
私はY子に色々と聞いた。
しかし、Y子が私に伝えたかったのは、
そうした基本情報ではなかった。
彼女は言った。
「味より何より、店の男の人が松尾スズキにそっくりなんですよ!」

松尾スズキは、阿部サダヲや宮藤官九郎などが
所属する劇団「大人計画」の主宰者であり、
自らも俳優もこなし、本も結構出版している。
エキセントリックで、シュールでコミカル、
それでいてロックンロールであり、
ほのぼの、時々胸キュンな、
そんなカルチャー・シップにあふれた方である。

Y子は、蘭句の店主がいかに松尾スズキに似ているかを
一生懸命話してくれた。
私は嬉しかった。
私が松尾スズキという、一般的な知名度が決して高くはない人を
知っていると思っていたことが嬉しかった。
ただ、その時は松尾スズキの顔が、いまいち浮かばなかった。

その代わり思い出したのが、
松尾スズキが監督をした映画「クワイエットルームにようこそ」だった。
薬を過剰摂取し意識を失った女性が、
精神病院の閉鎖病棟に強制入院させられた14日間を描いた作品で、
面白くも切ない、非常にいい映画だった。
この5年間で見た映画の中では、一番好きかもしれない。
蒼井優と大竹しのぶの女優としての才能にも圧倒される。
特に蒼井優は、この年代の女優の中では、ちょっと格が違うと
思って見ているが、この作品でもいい味を出している。

松尾スズキ ←松尾スズキ氏(本物)

ところでY子は、気づくと別の話を始めていた。
JR琴似駅近くの「てら」というラーメン屋の前で
河口恭吾(何年か前に「桜」がヒット)に似た男が自転車を駐めていた。
彼は、開店前なのに店に入っていった。
だから、「てら」の店主は、河口恭吾似だという話を始めた。
「ほんと、河口に似てたんですよ!」と、
名字のみ呼び捨て状態でエキサイティングに説明してくれた。

しかし私の頭の中は、松尾スズキでいっぱいだった。
必ず近いうちに「蘭句」へ行こうと決めた。
Y子の影響を受け、正直、ラーメンを食べることより、
松尾スズキ似の店主を見たい気持ちが上回っていた。
そして、この飲み会から約1週間後、「蘭句イン」した。

店主の方は、確かに松尾スズキに似ていた。
笑えた。
松尾スズキに似ているから笑えたのではない。
Y子が、松尾スズキに似ていると気づいたことに笑えた。
しかも、そのことを私に熱く語ってくれたことに笑えた。

一番人気の塩ラーメンを食べた。
非常に美味しかった。
鯛ダシを使っているせいか、若干なべっぽい味のするスープだが、
魚系和風味と肉系ダシが融合し、
品のある香りが出迎え、後からほのかな甘みが追ってくるようで、
食べ出したら、箸が止まらなくなった。

蘭句/塩ラーメン 
麺はやや太めの白っぽい縮れ麺。
私は、細めストレート麺より、こういうタイプの麺が好みである。
チャーシューも美味しかった。
ガスバーナーで炙ったような焼き色がついた大きなチャーシューで、
くどすぎず、旨みが程よかった。
ダシの出方が丁寧で本格的であると同時に、
どこか大衆的風情のある味にはまり、
珍しくスープまで完食した。

難点を言わせていただくと、
店はカウンターのみ8席だが、席と壁との間隔が狭い。
また、松尾スズキが一人で店を切り盛りしていることもあり、
立ち待ち客のさばきがスムージーではない。
建物が古いこともあり、常にすきま風を感じることも注意である。

しかし、もう一度食べたくなる味だった。
店主松尾スズキの雰囲気もなかなか良かった。
店内は決して、クワイエットルームではなかった。
松尾スズキを知っている方には、たまらない店である。
今度は、河口恭吾を確認に行かなければならない。


テーマ:ラーメン - ジャンル:グルメ


長靴を買った。
エーグル(AIGLE)というフランスのアウトドアメーカーの
長靴である。
色は、一番の売れ線であるカーキ色。
これを買うかどうか、半年も迷った。
たかが長靴で?と思われるだろう。
なぜ半年も迷ったのか。
迷うに値するプライス(15,540円)だったからである。

私は、水が大好きである。
無意識のうちに、1日に2リットルは飲んでいるだろう。
しかも飲む水を選ぶ。
定期的に羊蹄山のふもとの真狩村まで水を汲みに行ってる。
水を汲む時は長靴に履きかえる。

7月のある日、水を汲むために長靴に履きかえている時、
「いつまでこんなダサい長靴を履いてるんだろう」と、
妙に恥ずかしく、同時に情けない気持ちになった。
いつ買ったのか思い出せないほど古い長靴である。
「DUNLOP」と必要以上に大きなロゴが入り、
黄色を基調としたポップな色づかいをしている。
おそらく10年くらいは経っているだろう。

この長靴のままでは、自分までダサくなる。
自分が変われないのは長靴のせいではないか。
エーグルの長靴なら、私を変えられるのではないか。
エーグルの長靴を履いている自分に会いたい。
私の思いは膨らんだ。

しかし、長靴を履く機会が1年にどれだけあるだろう?
長靴に15,000円オーバーのマネーを使っていいものか?
身の丈以上の買い物をしようとしているのではないか?
私の価値観がおかしいのか?
私は葛藤した。

いつのまにかアウトドア人間になり、かつ、
いつのまにか結婚していた山田コージ氏と、
9月に話をする機会があった。
私は、長靴を買うかどうか迷っていると話した。
「エーグルの長靴が欲しいんだよね」
「エーグルの長靴なら持ってますよ 」
「えっ!まじ?さすがだね、違うよね」
「アウトレットのを安く買ったんですよ」
「長靴にもアウトレットなんてあるの?」
「大丸のエーグルに知り合いがいて」
「やっぱり履き心地とか、いい感じ?」
「まあ、そうですね。まあ いい感じで」
この日から、エーグルの長靴へのカウントダウンが
始まったのかもしれない。

11月には、さすらいのアウトドア野郎でありながら、
ネオ・アコ・バンドのベーシストのような佇まいを
しているFノリ氏(エフノリ・30代半ば)に聞いた。
「エーグルの長靴、買おうかどうか迷っててね」
「千歳のレラに、エーグルのアウトレットあるよ」
「いきなりタメ口か!いったいどういうことなの」
「ああ、文字数を合わせようかと思いましてね」
「お!山田コージとの会話がそうだったから?」
「そうですね。あの長靴は気になりますよねえ」

フミノリ氏、いや、間違えた、Fノリ氏とは、
11月下旬に、仕事で千歳のレラに行った。
30分ほどフリータイムがあったので、
私は、エーグルのアウトレット・ショップへ行った。
早速、長靴を物色する。
エーグルでは、長靴ではなく「ブーツ」と呼ばれていた。
値札を見ると、定価だった。
そう、ブーツはアウトレットを扱っていなかったのだ。

こうなると、定価で買うしかない。
もう、あの黄色い長靴を履いていても、ノーフューチャーだろう。
もっと安くて、冬に強い長靴は売っている(エーグルのブーツは
冬仕様ではない)。
しかし、エーグル・ブーツをバイする気持ちが固まった。
すっきりとして洗練された形が気に入った。
そして正直、「エーグル」というブランドに恥ずかしながら屈した。

12月半ば、大丸のエーグルへ行った。
大丸のボインアップ2倍デーまで待つという、
ちっちゃい男ぶりを、またも露見させた。
しかし、サイズが在庫切れだった。
それどころか、フランスで手作業で作ってるから、
入荷まで1か月近くかかると言われた。
この1、2週間、オーダーが激増しているとのことだった。

それでも私はオーダーした。
2009年の私を支えるもの、それはエーグルの
ブーツおいてほかにないと確信したからだ。
弱音を吐くより、ブーツを履こうと思ったからだ。

AIGLE/長靴 

そのブーツが21日に手に入った。
なんだかよくわからないが、どこかに在庫があったらしい。
運が良かった。
また、この日も大丸のボインアップ2倍デーだったことも
重ねて運が良かった。

ただ、変なタイミングでの入手になったとも思った。
なんだか、セルフ・クリスマスプレゼントのようだ。
誰かに「自分へのご褒美ですか?」なんて言われたら
どうしよう。
「自分へのご褒美」とか言って、
自分のために何かを買う人の多くは、
普段から自分に褒美をあげ過ぎなんじゃないか?と
偏見を持っている私にとっては、屈辱的ワードである。

とはいえ、ブーツを手にして嬉しかったのは事実で、
家に持ち帰り、とりあえず室内で履いた。
「やっぱり違うねえ」と悦に入った。
ただ、足の入口が思ったより狭かった。
ふくらはぎの周辺に余裕がほとんどなく、
ジーンズだと、隙間はできない状態である。

思えば、街ゆく女性を見ていると、
ブーツの足の入口で、ジーンズが入りきらず、
くちゃくちゃになっている人もいる。
私もそんな人達の仲間入りだ。

私は、この冬をエーグルのブーツとともに過ごす。
水汲みや雪かきの際に使うのは当然だが、
何かをするために、このブーツを買ったのではない。
新しいブーツを手に入れ、どう使うのかが楽しみなのだ。
スーパーやコンビニにも、あえて履いていく日があるだろう。
これを履いて職場に行こうかとも思うし、
これを履いて飲みに行こうとさえ思う。
これを機に、新篠津村にワカサギ釣りにいくかもしれない。

私はいったいどこへ向かおうとしているのだろう。
そんなのわかりゃしない。
ただ、足跡だけは残していきたいと思う所存です。



今日は迷いの中で一日過ごした。
メールを途中までうちながら、やっぱり考え直して、
送るのをやめる繰り返し。
何かが先を見えなくしている?
いや、自分がどうしたいのかわからないだけだ。
自ら一歩を踏み込めず、
背中をそっと押してくれる何かを、
わけもなく待っているかのようである。

自分には何かが足りない。
その足りないものを満たしたい。
その一方、足りているものが、手からあふれている。
足りないものを追い求めればいいのに、
手からあふれているものを、
こぼさないように必死になっている。
このバランスがとれないから迷うのだろう。

私はゼロにはなれないだろう。
というか、ならないだろう。
きっと「どん底」というものを味わうことはないだろう。
なぜなら、周りには支えてくれる人がいる。
ストレスを紛らす娯楽もある。
それだけで十分だろう。
生きていることを有り難く思っている。

だから、思いのままに行動しよう。
きっと、なんとかなるから。
いや、なんともならないな。
そんなに世の中、ロールケーキのようには甘くはない。

こんなことを考えているうちに日が暮れた。
暗くなると、もう出かけたくない。
こうやって日曜日は終わっていく。
そしてまだ迷っている。
迷ってるうちに、ないものねだりの子守唄が
頭の中に流れて眠ってしまうだろう。

只今、トンネル内を走行中。
長い夜だ。
今日は冬至だった。


テーマ:日記 - ジャンル:日記


バイオリズム低調期にある私は、
最近、読書をする時間が多い。
気持ちを落ち着かせるためか、
単に時間があるからか、
心の隙間を文字で埋めるしかないのか、
その真意は自分でもわからないが、
この1か月くらいは、どこへ出かける時も、
本を持参している。

1月中旬を目途に、クグエ@スカイウォーカーの選ぶ
「2008・プック・オブ・ザ・イア」の発表を控えていることも、
この時期の読書ラッシュの要因のひとつだろう。

今回紹介する作品は、どれも入っていきやすく読みやすい。
なお、紹介の仕方が、ひたすら本の内容と感想のみに
終始していることをご容赦ください。
では、どうぞ。

■有栖川有栖「妃は船を沈める」

妃は船を沈める 
人気作家 有栖川有栖(ありすがわ・ありす)の2008年の代表作。
有栖川有栖ファンにはお馴染みの犯罪心理学者 火村シリーズである。
主人公は、「妃(きさき)」と称される41歳の女性。
彼女を取り巻く20代の男性達との不思議な関係と、
そこに起こる殺人事件を、
奥深くもライトタッチに描いた謎解きミステリーである。

登場人物それぞれのキャラがたっており、
また、状況がわかりやすく、
すうっーと自然と物語に引き込まれる。
そして、飽きることなく、さあっと読ませる力はさすが。

ただ、本筋とはかけ離れてはいないのだが、微妙な寄り道が多く、
音楽でいえば、Aメロ→A’メロ→Bメロ→サビというように、
すとんと落ちる感じがしない。
A’メロの辺りでサビがみえてしまうような、
Bメロで、またAメロのフレーズを出すような、
微妙に同じ繰り返しをしているような雰囲気があった。

そのため、すうっーと物語に入っていける反面、
最後は、すうっーと物語から離れてしまい、読後の余韻に乏しい。
派手さはなく、劇的でも、驚きも薄い。
とはいえ、起承転結がよく整理されており、
やっぱりそれなりに面白いため、
最後まで読まされ、腑に落ちさせてくれる。

また、本筋ではないところに引き込まれたりもした。
特に、「猿の手」の解釈で議論を戦わせる場面は面白かった。
「猿の手」は、ウィリアム・ジェイコブス作の怪奇小説の名作。
願い事を3つ叶えてくれるが、その見返りに良くないことが起こる、
いいのか悪いのかわからない魔法の手の話である。

1つめの願いとして、家を買うために200ポンドを欲しいと願う。
すると翌日、その家の息子が事故で亡くなり、
その補償金として、200ポンドが支給される。
2つめの願いとして、その息子を生き返らせてくれと願う。
すると、玄関のドアが壊れそうほどに、凄まじく連打される。
墓地に埋葬された息子が戻ってきたのか。
しかし、事故による遺体の損傷がひどく、
本人確認をさせてもらえなかった、その姿で戻ってきてるでは。
そこで、3つめの願いを唱える。

この3つめの願いに至る解釈に関する議論は、非常に面白い。
そして、それがこの物語の真実に迫るカギになっている。
純粋にミステリを読みたい方にはオススメです。

■東川篤哉「もう誘拐なんてしない」
もう誘拐なんてしない 
大学生(男)が、ひょんなことから女子高校生と知り合いになる。
二人は手を組んで狂言誘拐をやり、
女子高校生の親から身代金をゲットしようとする。
しかし、彼女の親は暴力団の組長だった。
果たして、結末はいかに
という話である。

とにかくコミカルな書きぶりになっており、
シリアス場面で脱力的になるような突っ込みがあったり、
トリックを謎といている場面で、強引にボケを入れたりと、
肌触りはギャグ・マンガのようである。
展開も早く、状況も見えやすいので、
「文字の多い本はちょっと」という方にとっては
非常に読みやすいと思う。

しかし、これほどコミカルにする必要があったのかな?
というのが、私の率直な感想である。
ミステリ部分だけに着目すると、結構しっかりとしているため、
もう少し人間模様や心理描写を丁寧に拾って書いた方が、
もっと印象づけられたと思う。

また、何かの伏線だと考えていたことや、
その後の行方が気になると思っていたことが、
最後まで触れられずに終わった箇所が多い。
印刷工場の死体、敵対する安川組との関わり、
妹の手術、偽札のあり方、通報された警察の対応など、
中途半端に終わった箇所が多すぎる。

ただ、評価したいのは、
舞台となった下関市と北九州市という関門海峡シティを、
非常に魅力的に描いていること。
関門海峡をはさんだ本州と九州の雰囲気の違いや街の情景など、
地域愛を感じる書きぶりとなっている。
この辺りを旅してみたいと思った。

私にとっては、必要以上のコミカルさがミステリ部分を上回り、
なんとも軽い作品に感じてしまったが、
一般的には、とっつきやすく、読み始めてすぐに話に入っていけるし、
飽きずに最後まで到達できるポップ・ミステリであることを
申し添えたい。


■道尾秀介「ラットマン」
ラットマン 

高校時代にバンドを結成。
それから14年、エアロスミスのコピー・バンドとして、
細々と活動を続ける30歳の男3人と20代の女性ドラマー。

この女性ドラマーの死体が、スタジオの倉庫から発見される。
事故か、事件か?
深まる謎と、メンバー同士への疑い。
この真相が、主人公である姫川の過去とともに明かされていく。

文句なしに面白かった。
最初から最後まで、淀みなく一気に読まされた。
まず感心したのが、決して構成はストレートではないのに、
文章が読みやすく、ストーリーの進め方が上手なこと。
そのため、物語にとけ込み、主人公と同じ呼吸で進んでいけた。

また、ポイントとなる箇所を作り、「ドキッ!」とさせたり、
いい意味で「あれ?」とさせたりと、
読み手の集中を途切れさせないような抑揚を施している。
そして、後半は一気に読み手を引きずり込む。

序盤から張り巡らせた伏線が絡み合い、
最後には思いがけない真実が明らかになる。
心地よい圧倒気分を味わっていると、
最後の最後に、さらにどんでん返しがある。
ほんとにラストまで気が抜けないストーリーだった。

二重、三重の仕掛けの絡め方には感服である。

シンプルながら奥深く、複雑だけどわかりやすく、
その完成度の高さに唸ってしまった。

作者である道尾秀介は、
それほど遠くない将来、メジャーな賞を手にするように思う。

地に足のついたストーリー展開と意外性の見事さは、
派手さはないが、ぶれずに独特の薄暗い世界に引きずり込む。
その筆力、実力は相当に高いと見る。


「ラットマン」というタイトルも絶妙。
「ラットマン」とは何か、
なぜ「ラットマン」というタイトルなのか。
読むと納得できます。


テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌


生物にはバイオリズムというものがある。
生物のひとつである私にもバイオリズムがある。
ボディ&ソウルに周期的な変動がある。
現在は低調期にあるようである。
何をやっても、何を考えていても、
これでいいのだろうか?という思いに帰結してしまうのだ。

さりとて、体調を崩しているわけではなく、
外出欲も食欲も購買欲もある。
ちょっとしたことで落ち込むわけでもない。
ただ単に、一歩踏み出せないでいるような状態だ。

何かが僕のドアを叩いてるが、
何かが僕のドアを閉ざしている。
きっと自分を信じていないんだな。
信じられる覚悟と自信がないんだな。

今の私なら、
日本の経済は、資本主義か社会主義かと聞かれたら、
「どちらでもない。ご都合主義だ」と答え、
政治を一言で言えば、どんな世界かと聞かれたら、
「言った言わないの世界だな」と答えるだろう。
全くさえない男だぜ、このオレは。
肉屋にはなれず、皮肉屋になるのがオチだ。

でも、今はこれでいいさ。
ニュートラル状態で、じっとしているのがいいのだろう。
このどこにも向かえないでいるハートにやがて火がついて、
抑えられないパッションが、
終わらないサンセットがやって来るだろう。
そうなればいいけど。


テーマ:日記 - ジャンル:日記


概ねこの1年の間にリリースされた洋楽アルバムを、
私の身勝手なセンスによりランキング付けする最重要企画、
クグエ・スカイウォーカーが選ぶ
「2008・アルバム・オブ・ザ・イア」を、
12月28日前後に発表する予定である。

それに向けて、今回が今年最後のCDレヴューである。
今年は素晴らしい作品が目白押しのため、
マイ審査が難航しているが、

今回紹介する作品も、
トップ10入りの可能性が高い作品が含まれており、

ますますランキングは混沌としそうである。
なお、今回は新譜のほか、最近聴きまくっている古い作品も紹介する。
それでは新旧、和洋織り交ぜて、カモナ・マイ・ハウス!

■ザ・ヴァーヴ「FORTH」
THE VERVE/FORTH 
イギリスの重要バンド「THE VERVE」の11年ぶりの新作。
非常に良質の作品である。
決してメロディアスではない。
キャッチーでも、印象に残るフレーズがあるわけでもない。
サイケデリック色を滲ませたイギリス的ロックであり、
全体を包むのは気怠いグルーヴ感である。

なのに、とても受け入れやすく、聴きやすい。
彼らは年齢を重ね、サウンドがとんでもなく力強くなった。
アルバムの1曲目の最初の音を聴いた時点で、
これまでとの違いを感じた。
安易なノスタルジアから11年ぶりに新作を発表したわけではなく、
ずっと音楽を追究し続けてきたその情熱とパワーが、ここに凝縮され、
骨組みがしっかりした強力安定サウンドに進化したといえる。

ただ、「ヴァーヴ、聴きてぇー!」という「ご指名パワー」は
高くない。
どちらかといえば、ふと流れてきた時の「すんなり受入度」や
「あれ?結構いいよね」という「思いがけず好評度」が高い作品である。
ヴァーヴを聴くために、ここに来たわけじゃないけど、
ヴァーヴが流れたら、ずっと聴いていたくて
その場から離れられなくなった。

そんな気持ちにさせる、じんわりとした癒しさえ内包させた、
非常に奥深い作品である。


■THE TING TINGS「WE STARTED NOTHING」
THE TING TINGS 
今年デビューしたイギリスの男女2人組の

エリクトリック・ポップロック・ユニット。
表面的には80年代的な電子音とカラフルさが目立つが、
サウンドはタイトで、ボーカルがしっかりとした、
正真正銘のロックといってもいいのではないか。
タイトさは、ザ・ポリスに通ずるものがあるし、
エレ・ポップぶりは、ブロンディに通ずるものがある。
「ラジオスターの悲劇」を彷彿させるところもある。


惜しいのは、インスタントで一過性なものに感じさせるような、
何がしかの安っぽい雰囲気があること。
ロックにおいて、安っぽさが魅力になっているアーチストは多い。
ただし、それは危うく、刺激的である必要がある。
この2人組の安っぽさは、
再生紙を用いたコピー用紙程度の薄さに思えてしまう
佇まいがあるのだ。

特に、ジャケット からもわかるように、男がどうにも胡散臭いのだ。

とはいえ、親しみやすさを兼ね備えたロックだといえるし、
聴き心地はいい。
日本人アーチストに例えれば、
木村カエラから感情をマイナスし、荒削りにしたら、
こういう感じになるかも。
なお、木村カエラより、ずっと聴きやすく、ずっとロックである。

■AC/DC「BACK IN BLACK
BACK IN BLACK 

オーストラリアのハードロック・バンド、AC/DCの
1980年リリースの傑作アルバムだ。
オイラは、オイラの世代には珍しく、
いわゆるハードロックやヘビーメタルというものを
10代の頃にほとんど聴かなかったんだ。
そして聴かないまま青年になり、中年になっちまった。
今もほとんど興味がないことには変わりない。
ただ、AC/DCは、常に心のどこかで気になっていたんだ。

このアルバムは3年前に入手していた。
当時、留萌で担当していたレディオ番組で流そうと思ったからさ。
けれど、聴かずにいたオイラ。


じゃあ、どうして今さら聴く気になったのかって?
10月のある夜のことさ。
リリースされたばかりのAC/DCの新譜が

たまたまラジオで流れてきたのさ。
「もろロックンロールじゃねえか!」ってエキサイトしたね。
衝動バイ気分が高まったね。
けれど、その時、
ちょい待ち横丁の街灯に明かりが灯ったんだ。
新譜に手を出す前に、まずは、彼らの最高傑作、
いや、20世紀を代表するロック・アルバムだといってもいい
「BACK IN BLACK」を聴かずして、
前には進めないぜと、ちょい待ち横丁の街灯が教えてくれたんだ。

はまったね。
はまっちゃったね。
この1か月の間で、最も聴いたのはこのアルバムだな。
金切り声のようなハイトーン・ヴォイスにはなかなか慣れなかったよ。
でも、ひたすら骨太ロックンロールの連発で、そりゃもうゴキゲンさ。
しかも、展開、構成、圧倒力、ノリ、そうしたバランスが完璧で、
何度聴いても飽きないし、聴く度に新たな発見があるような気に
させてくれたね。
もっとこだわって言えば、この作品は「ロックンロール」っていうより、
「R&R」って表記したいノリだね。


若い頃に聴いておけば良かったなんて思っちゃいないぜ。
今だから、このアルバムの良さがわかるような気がするからね。
経験と知識が積み重なって、さらに、好奇心と偶然が重なって、
このアルバムに出会えて、そして感動した気がするんだ。
そういうもんだろ、人生って。

■中島みゆき「大吟醸」
中島みゆき/大吟醸 

中島みゆきに関しては、70~80年代前半にヒットした曲と、
90年代以降に、知らず知らずに耳に入ってきた曲のサビ程度しか
知らなかった。

そんな私であるにもかかわらず、この2、3年、
通勤の帰り道など、ふと気づくと、
中島みゆきの曲を頭の中で歌っていることがある。
「なんで中島みゆきなんだ?」と自分でも驚くほどである。
驚くだけではない。
非常に心にしみるのだ。

ちなみに、圧倒的に多いのは「わかれうた」(1977年)と
「ひとり上手」(1980年)である。

なぜ今になって、それほど聴いていたわけでもない彼女の曲が
自然に頭の中に流れるのか。
ひとり口ずさみながら、それを考えてみると、
やっぱり曲がいいのだ。
特に、メロディへの歌詞の乗せ方がすごくいい。
それと、言い回しが好きなのだ。

例えば、「ひとり上手」の一節、「心が街角で泣いている」や
「ひとり上手と呼ばないで 心だけ連れていかないで」。
「わかれうた」の一節、
「私は別れを忘れたくて あなたの目を見ずに戸を開けた」や
「好きでわかれ歌うはずもない ほかに知らないから口ずさむ」など、
ため息が出るような素晴らしい言い回しである。

私は、「中島みゆき」という音楽をもっと知りたくなった。
そこでまず入門編として、
このアルバム「大吟醸」を聴くことにしたのだ。
「大吟醸」は、彼女がデビューした1975年から1995年までの
シングル曲を中心にチョイスされた14曲入りベスト・アルバム。

感動した。
文字のとおりである。感情を動かされた。
それほど力のある音楽だった。

90年代に入ってからは、元気や勇気を与えるように、力を込めて、
やや踏ん張って歌う中島みゆきが定着した感があるが、

私はやはり、どうにもならない恋を淡々と、あるいは朗々と唄うのが
彼女の真骨頂ではないかと思っている。
時に、そっと背中を押し、
時に、そっと受け入れてくれる、
そうした、押し寄せ、引き寄せする力のある曲であり、
ぐっとしみ込ませる歌唱力が備わっているのだ。
特に声は、年齢を重ねて、つやと強さが深まっており、
これが長きにわたって、あるいは世代を超えて支持を得ている
要因のひとつなのだろうと思う。

「あした」、「狼になりたい」、「誕生」なんて染みる曲だなあ。
「空と君とのあいだに」って、こんなにいい曲だったんだ。
「ファイト」って曲も泣けるな。
とにかく名曲揃い。
「慟哭(どうこく)」という曲以外は全て良い。

彼女のコンサートに行ってみたくなったな。
生で聴いたら、泣いちゃうかもしれんな。
そう、彼女の唄は「共感力」がすごく高いんだな。

そんな感じで、彼女の凄さの理由を考えていくと、
行く着くところは、「中島みゆき」というパーソナリティと
オリジナリティである。
何かに似ているとか、誰に影響を受けたという次元を超えた、
「中島みゆき」というひとつの音楽的ジャンルが確立されている。
だから、純度が高く、しかも濃い。

「中島みゆき」という唯一無二かつ不世出の才能を思い知らされた
素晴らしいアルバムだった。
「大吟醸」というタイトルどおり、この作品に酔いました。
そして泣けました、なんてね。


テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽



| HOME | Next

Design by mi104c.
Copyright © 2008 トゥナイト今夜もRock Me Baby, All rights reserved.