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先日、職場の21歳の女性と二人で出張へ。
私が運転し、彼女は後部座席に乗ってもらった。
往復4時間のロング・ドライブだったため様々な話をした。

音楽の話にもなった。
彼女はi-podで音楽を聴きながらバス通勤をしている。
現代のJロック・男性バンドを中心に聴いているようだ。

彼女は昨年の春に短大を卒業し就職した。
昨年12月に初めてそこそこの額のボーナスが支給された。
「ちょっと大きな買い物でもしたのかい?
 あるいは、するつもりなのかい?」とコールしてみると、
「するつもりですね」とのレスポンス。

「何を買おうと思っているんだい?」とコールしようと思ったら、
「新しいi-phoneを買うか、
 パソコンを買うか迷ってるんですよ」と連続レスポンスをされた。

彼女はパソコンを持っていない。
21歳のきちんとした社会人としては、今なら珍しいかもしれない。
就職してから色々と調べることが増えた。
インターネットはi-phoneにより対応しているが、
見ずらいし、保存にも困るという。
写真が増えて容量を使っていることもネックらしい。

しかし、話を続けていると、
調べものと写真保存がパソコン購入を検討している
最大の動機ではなかった。
i-podへの音楽取り込みの手段がないことだった。
i-podへの音楽の入れ替えは、
実家のパソコンを使うしかない状況らしい。
確かにそれは不便だ。
いちいち60kmほど離れた実家に行かなければ
i-podミュージックを更新できないとは。
それにしてもかわいらしい理由じゃないか。
音楽と写真をそれなりに保存できる容量と
インターネットがストレスなく使えるパソコンならそれでいいという。

そんな彼女だが、i-phone更新の気持ちの方が強そうだった。
よくわからないぜ。
でも、「それでいいんじゃないか」と言ってしまうのが私だ。

しばし音楽の話をしている中で、どんな音楽を聴くのかと聞かれた。
頭の中で即座に浮かんだのは「ザ・フー」だったが、
その回答は私にとっては正解だが、彼女にとっては不正解だ。
「フレディ・キングとキャロル・キングとキング・クリムゾン」
というキング攻めの回答も頭をよぎったが、
彼女にとってはやはり不正解だ。
そこで、「結局、ザ・ビートルズとザ・ローリング・ストーンズを
よく聴くんだよなあ」と答えた。
お互いにとって、とりあえず正解だろう。

そんな私の「2016・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を お送りします。

■スティーヴィー・ワンダー「バラード・コレクション」
   
2016_スティーヴィーワンダー
7月に帯広のライブハウス「チャボ」に出演した際、
共演したMichiさんという札幌の女性アーチストが、
アンコールでチャボ・バンドをバックに、
スティーヴィー・ワンダーの「リボン・イン・ザ・スカイ」を演奏。

プレイにも楽曲の素晴しさにもいたく感動し、
これを契機に、スティーヴィー・ワンダーをへヴィに聴いた。
特に、きちんと聴いたことがなかった70年代の作品を中心に聴いた。
などと言いながら、ここでセレクトしたのは「バラード・セレクション」。
オリジナルアルバムではなく、まとめモノだ。
恐縮です。

「リボン・イン・ザ・スカイ」が収録されているのが
このアルバムだけだったことが、本作をセレクトした要因だが、
癒し、和み、切なさ、すっきり感など、
あらゆる穏やかな感情を招く珠玉の曲が収録されている。

ストーリー性や方向性を感じない単なる寄せ集めのアルバムには
閉口するが、
スティーヴィー・ワンダーのパフォーマンスと楽曲のクオリティは、
まとめ系アルバムという小賢しさを完全に凌駕する。

スティーヴィー・レイ・ヴォーン「IN STEP」
   
2016_スティーヴィーレイボーン
次もスティーヴィーだ。
しかし、今度はレイ・ヴォーン。ブルース・マンだ。

これまでレイ・ヴォーンに交わることなく生きてきた。
聴くきっかけになったのは、東山彰良氏の小説
「イッツ・オンリー・ロックンロール」に出会ったことだ。
主人公がレイ・ヴォーンの影響を色濃く受けたという設定だったのだ。

ベスト盤から入門したが、すぐにもっともっと知りたくなり、
最終的にはオリジナルアルバム4枚+ライブ盤1枚の
BOXセットを購入。
ストラト・ギターならではのキレと艶。
それでいて図太く、腰のあるモダンな音を出す。

このプレイに夢中になるブルースマンの気持ちがよくわかる。
その反面、レベルが高すぎて、どんなに努力をしても、
レイ・ヴォーンの部屋には入れないどころか、
同じ町内会にも入れないような気がして落ち込みもする。

セレクトしたアルバムは、生前に残した最後のスタジオ・アルバム。
初期作品のような勢いや圧倒感は控えられている感はあるが、
熟練ぶりと安定感が伝わり、私にとっては最も受け入れやすい作品。

■ねぎっこ「ティー・フォー・スリー」
   
2016_ねぎっこ
2016年最大の音楽的発見は「ねぎっこ」だった。
新潟県のご当地アイドル。
既に結成15年。
全国的な知名度は低い。
私が「ねぎっこ」を知ったのはラジオ放送だった。

シングル曲「矛盾、はじめました。」を激しく気に入ってしまい、
2016年4月にはブログでも語った
そして、5月にリリースされた本作も実に魅力的な作品だった。

70年代的ディスコミュージックや80年代的AOR、
あるいは90年代的ジャパニーズ・カフェミュージックを
現代的に味付けしたようなサウンド。
ボーカルの本格さ不足の加減がちょうど良く、
薄っぺらなテクニックに走っていないところもいい。

アイドルらしからぬ大人ポップだが、
変に頑張ってサウンドと喧嘩してしまうようなことはなく、
ねぎっこの個性とうまく馴染み、
気楽にずっと聴いていられる良質ポップに仕上がっている。
この方向性を見い出したことがすごい。
失礼かつ勝手な希望だが、今ぐらいのマイナー感を保ってほしい。

■エルヴィス・コステロ「ベスト・オブ・エルヴィス・コステロ」
   
2016_コステロ
このアルバムを購入したのは10年以上前だ。
にもかかわらず、最も聴いたのは2016年だった。
心がガヤガヤして落ち着かない夜、
CDライブラリーでたまたま目に入ったのがこのアルバムだった。

ひっかかりなく、すっとしみ込んでくる声とメロディ。
荒んだ心を何度となく和らげてくれた。
コステロってそういうアーチストだったか?
いや、年齢を重ね、私自身のコステロ・ミュージックへの
向き合い方が変わったのだ。

JポップやJロックをメインに聴く人には伝わりにくいサウンドだし、
事実キャッチ―なメロディラインは少ない。
しかし、ロックだよなぁとニヤリとしてしまうような
エッセンスと空気感にあふれた独自の世界を築いている。

2010年代も後半に突入してきた今、
「エルヴィス」と聞いて「プレスリー」を連想する人は減り、
何も連想できない若い世代が増えてきた。
「エルヴィス」と聞いて「コステロ」と反応するのは、
主に1960年代に生まれたロック好きだけだろう。
私はそんなマイノリティを守っていかなければならない。
それは責任でも、ましてや誇りでもない。
偶然の役割かなあ、と思っている。

                    ◆

出張に同行した21歳の女性とはテレビドラマの話にもなった。
彼女は、小栗旬、生地斗真、東出昌大が出演するテレビドラマは、
とりあえず第1回の放送を見てみるらしい。
私の日常において耳にしないし、口にも出さない俳優陣の氏名に
カルチャー的刺激を受けた。

「そういう俳優はいますか」と聞かれたので、
「オダギリジョーと大森南朋が出演するのは気になるね」と答えた。
「ああ」というレスポンスだった。
不正解だったようだ。

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まずは、私のアコースティック活動、「激しい雨」のライブのお知らせを。

日時 2015年2月1日(日)17時スタート
場所 スタジオレスト(帯広市西1南8)
料金 前1,000円、当1,500円
出演(敬称略)
        ソーメンズ/びんた/SantamoniC’a/吉原利之/
        land scape/池田正樹/オオムラタカユキ/地獄坂電柱/
        ながいみゆる/紺野バラード/
激しい雨

20150201ライブチラシ
今回は5曲を演奏予定。
そのうち、「激しい雨」では初披露となるのが4曲。
ライブのたびにメニューを大幅に変えるのが常になっており、
それはそれで大変なのだが、でなければ練習を怠けそうでもあり、
ある意味、モチベーションをキープするのに役立っている。

来られそうな方は是非ご連絡を。
入場について優遇いたします。
よろしくお願いいたします。

それにしても出演者が11組。
終了時刻は日付をまたいでいることだろう。
色々と話を聞くと、帯広ではライブの後に打ち上げはほとんどしないとか。
かつ、曜日に縛られない。
ならばこのスケジュールもありなのだろう。
「激しい雨」は、日付をまたいでから、
たとえ1時間以下であっても打ち上げをするだろう。

                      ◆

さて、今回は私が選ぶ「2014アルバム・オブ・ザ・イヤー」。
毎年1月の恒例記事である。

「2014アルバム・オブ・ザ・イヤー」などと言いながら、
年々新譜を聴かなくなっている。
2014年にリリースされたアルバムで購入したのは、
コールドプレイとU2の新譜2枚だけだ。

私のリスナー活動は、基本的にバック・トゥ・ザ・ルーツの方向にある。
しかしそれが、私にとってのゴーイング・トゥ・ザ・フューチャーである。
温故知新とも違う。
故きを温ねて未来を探っているのだ。

2014年4月に帯広に転勤し、音楽を聴く時間が増えた。
私は運転中、基本的にはラジオを聴く。
ラジオの受信状態が悪い箇所や、
魅力的なラジオ番組がない時に音楽を聴く。

バンドの練習などで札幌に行く機会が月に1、2回ある。
道中は長い。ラジオ派の私でも必然的に音楽を聴く時間が増えた。
それと自宅にて夜11時台以降は音楽を流すのがスタンダードになった。
こうしてリスン・トゥ・ザ・ミュージックの時間が増えたのだ。

アーチスト別で最も聴いたのは、ザ・ローリング・ストーンズだろう。
とりわけヘビーに聴いたアルバムはないのだが、
SOME GIRLS」(1978年)はいいアルバムだなぁと改めて思った。
The Rolling Stones/some girls 
1曲目「ミス・ユー」から最後の「シャッタード」まで、
途中でだれることなく、心地よいまま一気に聴かせる。
ふと気づいたら、「シャッタード」が流れていて、
「もう最後の曲なのか」と感じるのだ。

胸躍るエキサイティングなアルバムというよりは、
長湯したくなるような、いい温度感のロックンロールアルバムである。
また、数あるストーンズのアルバムの中で、
最も飲食の際のBGMに適しているかもしれない。

                      ◆

札幌へ行く際は、金銭的な事情から、
高速道路は清水IC-夕張IC間しか利用しないのだが、
高速道路を走行中に聴くと特にフィットする音楽がある。
ダフトパンクの「Random Access Memories」(2013年)
まさにそれだ。
ダフトパンク/ランダム 
このアルバムは2014年に入ってすぐに購入し、
1月から2月にかけてヘビーに聴いたのだが、
帯広に住んで高速道路を利用するようになって、また聴く回数が増えた。
アルバム単位で2014年に最も聴いたのはこれだろう。
今聴いても、全く飽きがない。

馴染みやすい古さのあるソウルミュージックやデッスコミュージックを
エレクトリックに料理し、見事な味を出している。
エレクトリックでありながら、ギターとベースの使い方が素晴らしい。
料理で言えば、「みりん」だとか「しょうが」が効いている感じだ。

                      ◆

なんとなくジャズを聴くことも年々増えている。
ジャズを流しながら、酒とタバコとともに過ぎゆく静かな夜更けは、
なかなかの至福のひとときである。
それを想像し、それをモチベーションにして仕事をする日もある。
ソニークラーク 
ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」(1958年)。超名作だ。
4曲しか収録されていない38分のアルバム。
様々な要素が盛り込まれているのに雑味がない。
ほぐれるというか、和らぐというか、
心地よくさせる計算されたバランスと展開力。

と同時に、サウンドが空気に馴染み、
曲を流していることを忘れてしまう感覚になる。
雑念が取り除かれていく。
まさにストレス解消ミュージックだ。

                      ◆

邦楽で最も聴いたのは、2013年に引き続きFISHMANSだろう。
ただ、2013年は、「空中」というタイトルのベスト盤だったが、
2014年は「宇宙」(2005年)というタイトルのベスト盤の方を
よく聴いた。
フィッシュマンズ/宇宙
20代の頃に感じた「ほろ苦いふわふわ感」や「夜の魔法」や
「晩秋の青空の切なさ」みたいなものを思い出せる、
何とも不思議な魅力がある。

ポップ・ファンクでありながら、手作り感がたまらない。
程よくくたびれた綿のシャツのような肌触りである。
特に「あの娘が眠ってる」は素晴らしい。
こんなに凄いバンドが日本にあったのだ。
そのことが僅かなロック・リスナーにしか知られていないことが
嬉しいような残念なような。

                      ◆

最後にもう一枚。
私にとっての瞑想ミュージックとでも言おうか、無になれるサウンド。
シガーロスの「Takk…」(2005年)である。
シガーロス/Takk
何年も前にこのアルバムを入手したが、
いまひとつピンとこなくて、ほとんど聴かずにいた。
それが2014年になって聴き始めたのは、
コールドプレイの新譜の影響である。

コールドプレイの新譜を聴いていて、そのスピリチュアルな部分が
シガーロスの「Takk…」に近いような気がして、改めて聴いてみたら、
ついついはまってしまったのだ。
この透明感と壮大さは、高速道路を走行中に聴いてもフィットするし、
この内省感と深層感は、夜更けの部屋で密やかに流れているのもいい。

                      ◆

こうして並べてみると、
安らぎや平穏を求めて音楽を聴いているのかと思う。
もちろん刺激や興奮を求めることはあるのだが、
何度も聞くのは前者の方である。

今回5枚選ばせていただいが、自分の音楽活動に反映されているのは、
ザ・ローリング・ストーンズのみだ。
音楽への接し方、音楽への触れ方は様々だ。
それは尽きることがないような気がする。
ということは音楽の旅はまだまだ続くということであり、
音楽への希望があるということだ。
悪くない人生だ。



今回は、毎年恒例のアルバム・オブ・ザ・イヤー。
2012年によく聴いた、あるいは特に心に残ったアルバムを、
私個人の狭い視点で選出するものである。

ただ、困ったことがある。
2012年にリリースされた、いわば「新譜」というものを
ほとんど聴いていないし、
過去の作品にしてもヘビーなローテーションで聴いたアルバムは
ごく僅かである。
したがって、例年にも増して偏った内容になることを
ご容赦いただきたい。
それではどうぞ。

【新作部門】
新作部門は、2011年半ば以降にリリースされた洋楽アルバムを
対象とする。
昨年までは、「ベスト盤やライブ盤は除く」というルールを設けていた。
しかし今回はそんなことを言っていられない。
それほどに新譜を聴かなかったということだ。

そんな状況を踏まえつつ、筆頭にあげられるのが、
ジミ・ヘンドリックス「Live at Berkeley」である。

ジミ・ヘンドリックス「Live at Berkeley
  ジミ・ヘンドリックス「Live at Berkeley」

このアルバムは、元々1970年にリリースされたものだが、
ジミヘンの生誕70周年を記念し、2012年に再発された。
ちなみに、ジミヘンと私の誕生日は1日違いである。

実はこれまでジミヘンを熱心に聴いたことはなかった。
もちろん有名な曲はそれなりに知っていたが、
あまりの創造性と混在性、複雑さのせいで、
手が届かないというか、受け入れるだけ素養が私になかった。

ところが不思議なもので、昨年の春、バンドの練習中、
新しい曲をいくつかメンバーに聴かせた際、
そのうちの一曲について、ドラムのダーオ氏から、
「ジミ・ヘンみたいなリフだ」との言葉を頂戴した。
私自身は全くジミヘンを意識していなかったリフだけに、
いつ、どこで、頭の中のタンスにジミ・ヘンを収納し、
なぜ突然、引き出しから出てきたのかと不思議な気持ちになった。

それから3か月ほど経った夏の土曜日。
たまたま聴いていたHBCラジオで、このライブアルバムが紹介された。
「とにかくすごい。ジミヘンの感情がほとばしるプレイだ」みたいな
ことを言っていて、ほんとにそうか?と思いながら聴いてみると、
ほんとにそうだった。

その時流れたのは、「パープルヘイズ」だったのだが、
6弦の6フレットと4弦の8フレットで始まる冒頭のリフの後の
ドラムだけで
一気に引き込まれた。
ギタープレイのテンションがすごかった。
これ以上やりすぎるとメチャクチャな演奏になる、
その一歩手前の
壮絶なプレイだった。

ラジオからもう一曲流れたのは、「HEY JOE」だった。
ほんとに歌いながら弾いているのかという信じられないプレイ。
心を持っていかれる凄まじい演奏に圧倒された。
やっと自分もジミヘンを感じることができるところまで
リスナーとしてのキャリアが積み重なったのだと思えた。

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
 
Noel Gallagher’s High Frying Birds

  Noel Gallagher’s High Frying Birds
2011年10月にリリースされた作品。
一聴したところ、特に目新しさはなく、刺激もなく、
オアシス時代のノエル・ギャラガーの延長線上にある作品で、
別に悪くはないのだが、繰り返して聴く気になれず、
昨年のアルバム・オブ・ザ・イアにおいて選考から漏れた。

ところが評価が一変したのが昨年のゴールデンウイーク。
連休を利用して日高方面へ無人駅巡りに行った時だ。
シャッフルで音楽を流していたら、ふと妙に馴染む曲が現れた。
それがこのアルバムの曲で、それ以降は、
このアルバムを繰り返し聴きながら日高路を走った。

ノエル・ギャラガーが元来の持つ叙情的なメロディと、
キャリアを積んだ大人の余裕が感じられる安定感が心地よく、
派手さはないが、きちんと作り込まれたアルバムである。
新たなサウンドへのトライも見受けられる。
なのにそれが野暮ったい、というか、
ノエル・ギャラガーの濃いキャラクターによって打ち消されている
加減が丁度いい。
その結果、当初は、オアシス時代の延長線上にあることがプラス要素に
思えなかったのだが、逆に良かった。

【旧作部門】
ジミ・ヘンドリックス「The Best Of Jimi Hendrix

  ジミ・ヘンドリックス「The Best Of Jimi Hendrix」
2012年に最も聴いたアルバムはこれだろう。
この不健康さ、怪しさ、色気。
ほんとに唯一無二の存在だと改めて思う。

どうしてこういうギターフレーズが浮かんだのか。
どうしてこういうクリーンな歪みを出せるのか。
どうして逆さまのギターで弾けてしまうのか。
紐解いてみたいことが多すぎて、どうにもならないくらい凄い。
ジミヘンのボーカリストとしての素晴らしさにも感嘆する。

朝の時間帯に聴くにはフィットしないサウンドである。
朝、職場のビルに足を踏み入れた時、「FOXY LADY」が流れ始め、
イヤホーンから、「フォクシー」と囁かれたときは、
このまま家に帰ろうかなとの考えが頭をよぎるほど、
仕事をする気をなくさせるので注意だ。


■クリーム「The Very Best Of Cream
  クリーム「The Very Best Of Cream」
クリームは以前から聴いてはいたが、
熱中するというところまではいかなかった。
しかし、2011年からフィットし始め、
2012年には、ぐっと私の中に入り込んだ。
おそらく、この2、3年の自分の作る音楽の断片が、
クリームのサウンド感にリンクするようになったからだろう。

このアルバムの選曲は素晴らしい。
きちんとクリームの代表曲を収録している。
「ベスト・オブ」の前に「ベリー」とつくのも納得だ。

クリーム時代のエリック・クラプトンの年齢は20代前半だった
というのが信じられない熟練チックなプレイの連続。
フレーズも大人で貫禄すらある。
驚くべき才能と、そもそものブルース偏差値の高さを感じる。
つかむどころか、触れるのがやっとだ。

■アデル「21」
  アデル「21」

2011年にリリース。セールスは全世界で2,500万枚。
グラミー賞を何部門も受賞したアルバムである。

極めて平凡な表現になるが歌がうまい。
ひっかかりのない伸びやかな声は、
白いソウルというか、適度なスモーキーさがあるというか、
こなれ加減がちょうど良く、聴いていて実に落ち着く。
全くストレスを感じない。

曲にどことなく懐かしさがあるのもいい。
逆に言えば新鮮味はなく、こういう曲ってあるよね、
という感じではあるが、それで何の問題があるのかと思わせる。

ただし、朝のミュージックではない。
特に通勤時に聴くにはなじまない。
自分自身が身体的に動いていない状態で聴くのがいい。
少し遠出した夜の帰り道の車中で聴くのがベスト。
いつまでも聴いていられるような安らぎがある。
できれば一人で聴いた方が感じ入ることができるだろう。

              ◆

以上が、2012年のアルバム・オブ・ザ・イヤーである。
簡単に言えば、遅れてきたジミヘン・イヤーだった。
ロック・ミュージックを中心に様々な音楽を聴いてきたが、
この年になってようやくジミヘンの凄さに驚いている。
音楽を聴くのもキャリアが必要だとつくづく思う。

繰り返しになるが、ジミヘンの「
FOXY LADY」を
イヤホーンで聴く時は注意すべきだ。
思いがけないところで、「フォクシー」と囁かれる。
ほんとに耳のすぐ近くで囁かれているような感じだ。
これほどスーツ仕事に合わないロックはない。
ついでに言えば、これほど海が似合わないロックはない。

テーマ:洋楽ロック - ジャンル:音楽


ライブがあります。よろしくお願いします。
■日時 201254日(金)1830スタート
■場所 スピリチュアル・ラウンジ(札幌市中央区南2西4)
■料金 前売1,500円 当日2,000円/ドリンク代別途500
■出演 快楽亭ブラック/3MOON/鹿野ケンジ/またたび/
      THE HEART OF STONE

            ◆

先週、ラジオを聴きながら夕食を食べていたら、
突然、かぶせていた奥歯が抜けた。
10日ほど前から、ほんの少しだけ、ぐらつきを感じていた歯ではあったが、
気持ちがぐらついていたわけではなく、痛みもなかった。
なので、ぐらつきが大きくなったら歯医者に行こうと思っていたのだが、
その日は予定よりだいぶ早くやって来た。

抜けた歯をくっつけて、すぐに終わるのだろうと思っていた。
ところが、抜けたところを見て、歯科医師が渋い感じになった。
渋い男を演じて、次の舞台に備えているのかと思ったが、
その歯科医師は劇団員ではないので、そんなことはないなと
己の浅はかな予想を打ち消していたら、
かなり深い虫歯になっていると告知された。


即座に撮影されたレントゲン写真を見ながら、
その歯の半分は抜歯して、隣りの歯と一緒にかぶせなければならないと
説明された。
その日から、微妙にゆううつだった。
抜歯するということは、麻酔の注射をされるわけで、
抜くにしても、工事をするかのごとくハードな作業が
狭い口内で繰り広げられるのだ。
そうした痛みや我慢を想像すると、ちょっとハッピーなひとときがあっても、
「あと3日後には抜歯するんだ…」と、アンハッピーになったりした。
痛くないのに抜歯されることが、消極的な気持ちにさせていた。

そして今日夜7時に抜歯した。
真夜中の今も、抜歯した箇所から血がにじんでくる。
しかし、抜歯するしかしょうがなかったのだ。
抜歯を拒んで、バッシングを受けるよりいいだろう。

            ◆

さて、今回は、私が選ぶ「2011・アルバム・オブ・ザ・イア」。
洋楽部門は、概ね2010年秋から2011年にリリースされた作品から、
邦楽部門は、2010年と2011年にリリースされた作品から、
それぞれ3枚を選ばせていただいた。
それではどうぞ。

【洋楽部門】
RED HOT CHILI PEPPERSI’m With You(2011)
  レッドホットチリペッパーズ「i'm with you」

私はこれまで、レッドホットをほとんど聴かずに生きてきた。
それは見た目のせいであり、また、アメリカ性が強すぎるような
先入観があったからだ。
ただ、2006年リリースの前作を聴いてからは、
もしかしたら結構好きかも、という気持ちは生まれていた。

そして2011年リリースの本作で完全にはまった。
紛れもなく、2011・アルバム・オブ・ザ・イアの№1アルバムだ。
いつ聴いても、どこから聴いても、しばらく聴いていたい気分になる。
タイトなサウンドと、抑えの利いた渋みのあるメロディは、
何度聴いても飽きが来ない。
むしろ聴くほどに、サウンドの奥深さが見えてくる。

なんというか感触が実にいい。
自然に音楽神経の中に染み込んでくるような感じで、
気持ち良くなるというか、リラックスできるような。
まさかレッドホットを聴いて、こんな感覚になるとは、
2010年までの私は思いもしなかった。

R.E.MCollapse Into Now(2011)
  r.e.m「collapse into now」

R.E.M
の曲は、夜明けや深夜に、
走行している車が少ない地方の国道を走っている時に聴くと良い。
国道275号線の当別・北竜間、国道231号線の石狩・浜益間などは、
特に世界に浸れるスポットであり、R.E.Mのサウンドに酔いしれる。
音楽酔い運転が禁止されていなくて良かったと思う。
ちなみに、国道5号線と国道230号線は、なんとなくフィットしない。
それが私なりのR.E.Mの解釈だ。

昨年の夏、夜明け前に札幌を出発し、トマムに向かった車中。
由仁町から日高町にかけての道で聴いた時も最高だった。
今このアルバムを聴くと、あの日の朝霧や夏の朝の冷え込んだ空気を
思い出す。

決して大衆性のあるサウンドではない。
インパクトがあるわけでも斬新なわけでもない。
ロックをあまり聴かない人からすれば、
あまりロックを感じない退屈なアルバムかもしれない。

しかし、とにかく味わい深い。
クールでエッジが効いているのにメロウで、
自然に寄り添えるような柔らかさがある。
ロック・ミュージックのない生活は考えられない私からすれば、
ロックの良心が凝縮された素晴らしいアルバムだ。

COLDPLAY「マイロ・ザイロト」(2011)
  コールドプレイ「mylo xyloto」

「静」の部分が多いアレンジのせいなのか、
シンセサイザーが前に出すぎてるせいなのか、迫ってくるものがない。
詰め込みすぎたがゆえに焦点がぼけてしまったような。

憂いのある魅力的なメロディに癒される曲もあるし、
コールドプレイらしい清々しい温もりがある曲もある。
しかし、全体の流れからすると、地味というか、物足りないというか。
ロック・テイストからさらに遠ざかったのも個人的には残念。

ただ、コールドプレイの曲は、何回も聴くことによって
良さが増すような不思議な力がある。
また、「コールドプレイを聴くぞ」と思って聴くと持て余すのに、
テレビやラジオから思いがけず流れてくると、
すごくいい曲に感じる凄さがある。

先週NHKで、水泳のロンドン五輪代表選考レースをやっていたが、
その番組テーマ曲はコールドプレイの作品だった。
これがすごくフィットしていた。
まさに水と親しむには最適なサウンドである。
と言いつつも、海や川とはマッチしない。
プールやモエレ沼公園の噴水ショーが最高に似合う気がする。

【邦楽部門】
■斉藤和義「45STONES(2011)
  斉藤和義「45stones」

斉藤和義氏のナチュラルな充実ぶりが伝わる作品。
いつものアルバムのように、ロックの教科書のような曲が並ぶ。
全体的な曲の構成は、近年リリースのアルバムと似ているが、
決してマンネリな感じはなく、安定感の中にきちんとした刺激がある。

アコースティックギターとオーガニックな感じのドラムとの絡み方が
すごい良い。特に一曲目の「ウサギとカメ」の感触は最高だ。
前奏のギターの音とフレーズだけで、これはいい曲だと思えた。
ふらっとドライブに出かけたくなる開放感がある。

最後に収録されている「ギター」という曲もいい。
「寂しい時にはギターを弾こう、下手でもいいから」と、
素朴な日常に寄り添いつつも、ギターが持っている希望を、
さり気なく歌っている。
そして、メロディが素晴らしい。
サビの「イェーイ、イェーイ、イェーイ」など、
優しさと懐かしさと温かさで、ちょっと泣けてきそうになるほど
素敵なメロディである。

■ロックンロール・ジプシーズ「Rock’n Roll Gypsies Ⅲ」(2010)
  rock'nroll gypsies「Ⅲ」
現在の日本の音楽シーンにおいて、
これほど真っ当なロックンロール・アルバムがあるだろうか。
一曲目の最初のギターの音とリフだけで、
ロックンロールへの矜持を見せつけられる気がする。
そのリフの後に重なってくるギターの歪み具合もちょうどいい。

実に黒っぽい曲が並ぶ。
それが花田氏のライトにねばつくボーカル、
そして下山淳氏の白っぽいブルース感といい感じで融合している。
「穏やかな時」と「そんなとこ」という曲のギターのリフなど、
40代半ばにしてストレートにしびれてしまう。

この手の音楽はセールス的には厳しいものがあるだろう。
なにせ大衆音楽とは完全に一線を画している。
何にも迎合していない。
だから私は、そして、ザ・ハート・オブ・ストーンは
ロックンロール・ジプシーズをリスペクトせずにはいられない。
ライブを観たい。

OKAMOTOS「オカモトズに夢中」(2010)
  okamoto's「オカモトズに夢中」

昨年、オカモトズの音楽に出会った。
20歳かそのぐらいで、この古く、黒く、激しいサウンドはすごい、
というのが、ロックリスナーの一般的な感想であり、
私もそういう部分はあるが、若さに関係なくすごいと思う。

単に古く、黒いのではなく、切り口は結構現代的である。
言葉の詰め込み方にヒップホップっぽいところがあったり、
ベースラインは、シンプルな古いロックとは全く異なり、
実に動きのあるテクニカルなフレーズの連続である。

彼らは、アルバムにカバー曲を入れてくる。
このアルバムには、RUN D.M.Cバージョンの「walk this way」と
ジョー・ジャクソンの「one more time」が収録されているが、
これが実に良い。素直にかっこいいと思える。
ライブを観たい

テーマ:おすすめ音楽♪ - ジャンル:音楽


6月18日にライブを予定していた。
しかし、中止になった。

ライブは近づくものの、なかなか詳細が示されないため、
主催者に確認を続けていたら、
出演バンドが集まらない状況にあることが判明。
この時期で、そんな状況なら、もうどうにもならないのでは、と、
結局はこちらから中止を提案し、中止が決まった。
いい状態に仕上がってきていただけに残念だ。

しかし、運良く、別のライブに出演できることになった。
7月16日土曜日、場所はスビリチュアル・ラウンジだ。
詳しくは近々お知らせします。
こちらは既に出演バンドが全て決まっているので中止はない。
よろしくお願いします。

     ◇     ◆      ◇

さて、今回は、私が選ぶ「2010・アルバム・オブ・ザ・イア」。
本来は1月から2月にかけての時期に記事にすべきものだが、
情熱と責任の欠如により、こんなタイミングになってしまった。
こんなタイミングになったが記事にはする。
「記録」として残しておかなくてはいけない。
誰から望まれたわけではないが、そこは守りたいのだ。
完全で純粋な自己満足だ。

ただ、2010年は、あまりアルバムを聴いていない。
枚数も回数もそれほど聴いていない。
特に新譜は、洋楽、邦楽合わせて10枚程度しか聴いていない。
そんなリスニング生活の中でチョイスしたのは、この9枚だ。

【洋楽新譜部門】
№1 キングス・オブ・レオン「COME AROUND SUNDOWN」
kings of leon/COME AROUND SUNDOWN 
圧勝でのナンバー1。
使用楽器は少なく、特にギターは繊細なフレーズが多いのに、
ドラム、ベースが作り出すリズムはタイトで、
それでいて、どういうわけか大きなグルーブがある。
メロディはルーズっぽくも哀愁があり、
サウンドは湿り気があるのに、ボーカルは乾いている。
これらが見事に絡み、これぞロックたる有無を言わせぬ圧倒力を
生み出している。
渋くてスモーキーでダイナミック。素晴らしいアルバムだ。
ちなみに、夜の始まり又は夜明けをイメージさせる曲ばかり。

№2 ゴリラズ「Plastic Beach」
ゴリラズ/Plastic Beach

ひたすらデジタル・コンピュータ・サウンド。
このジャンルの音楽は苦手な私だが、ゴリラズはなぜか受け入れられる。
ひっかかりなく聴き続けられるだけではなく、癒される感じさえする。
ほっとするような懐かしさがエレクトリックの中にある。
私にとってのヒーリング・ミュージックと言ってもいい。
また、リフがキャッチーである。それを巧くサウンドに織り交ぜている。
ボーカルの存在感も良い。
前に出ることなく、リフを側面から支えているようである。
特に、ルー・リードがボーカルで参加している
「サム・カインド・オブ・ネイチャー」は珠玉の出来。

№3 ジャック・ジョンソン「TO THE SEA」
ジャック・ジョンソン/To The Sea

これまでのジャック・ジョンソンの作品と大きく変わったところはない。
いつものジャック・ジョンソンである。
強いて違いを言えば、エレキギターとドラムが、
これまでより前に出ていて、ややポップになったか。
穏やか潮風のように、心地よい草木のざわめきのように、
夕方のジンジャーエールのように、風呂上がりの夜空のように、
すっと胸に入りこんでくる温かみのボーカルは、つくづく素晴らしい。
はっきりとわかるような新しい展開を、ちょっと見てみたい気もするが、
やはり良い意味での変わらないことが魅力であり、
安心して心地よく聴けるのだと思う。


【邦楽新譜部門】
2010年の邦楽新譜で聴いたのはこの3枚だけだ。
順位はつけないぜ。

■奥田民生「OTRL」
奥田民生/OTRL

全ての楽器を奥田民生氏本人がプレイ。
まろやかで、リラックスして聴ける、すごく良いアルバムだと思う。
ガツンとくる、というよりは、染み込んでくるサウンドで、
特にアコースティックギターの存在感が絶妙。
いい意味で商品っぽくないというか、
ラフであるがゆえ、原曲の良さがきちんと伝わってくる。
そう、このアルバムは、全体的にメロディが切なげで美しい。
また、肌触りは優しく、ハードめな曲も丸みのある雰囲気だが、
きっちりとパワーと思いが込められていることも実感する。
奥田民生はやっぱり凄いと再認識する傑作。

■斉藤和義「ARE YOU READY?」
斉藤和義/ARE YOU READY?

ロックのあらゆるエッセンスを散りばめたバラエティに富んだ作品。
迫力と余裕が増し、幹が太くなった感じがする。
脂がのっていること、いい活動ができていることが
アルバムから伝わってくる。
相変わらず歌詞に強さとストーリーがある。
きちんと詰められており、おざなり感がまるでない。
シングルになった「ずっと好きだった」だけが、
やけにポップで浮き上がっている感じがするものの、
気づいたらアルバムの最後まで聴いている。
それにしても、毎年のようにアルバムを出し過ぎではないかとも思う。

■安全地帯「★STARS★またね…。」
安全地帯/★STARS★またね…。

昨年は、「青田は青田、俺は安全地帯」をはじめ、
数々の苦笑コメントを繰り出した玉置氏だが、
安全地帯として何年振りかにアルバムをリリースした。
これが思いのほか良かった。
特に、「オレンジ」、「蒼いバラ」、「雨」のメロディはほんとに美しい。
歌詞はありがちで、さして魅力はないのだが、
メロディの良さだけで深みと広がりのある曲するボーカルも素晴らしい。
それにしても、アルバムタイトルは
もう少しなんとかしようと思わなかったのだろうか。

【旧作部門】
■ザ・ビートルズ「REVOLVER」
ザ・ビートルズ/REVOLVER

ふと気づくとビートルズの曲を聴き込んでいる時期がある。
2010年は、このアルバムを最も聴いた。
2曲目に収録されている「エリナー・リグビー」。
ドラムが入っておらず、バイオリンをメインにしたサウンドに親しめず、
ロックじゃないよと、いつもとばしていた曲である。
ついにこの曲の良さがわかった。
わかるだけのリスナー・キャリアに達した。
なんと哀愁に満ちた気高いメロディだろう。
この曲を早く聴きたくて、早く職場を去りたくさせる名曲だ。

このアルバムは、秋の午後にゆったりと聴くのが似合う曲が多い。
一般人に広く知られている曲は少ないアルバムだが、
「TAXMAN」、「FOR NO ONE」、「I'M ONLY SLEEPING」、
「TOMORROW NEVER KNOWS」など、ぶいしーな名曲揃い。

■ザ・キンクス「THE KINKS」
キンクス/キンクス

ザ・キンクスの1964年リリースのファースト・アルバム。
音楽活動ために通っている「スタジオ・ミルク」にて、
ある日、ルースターズのルーツ・ミュージックのような、
黒っぽく、せわしないジャガジャガした曲が流れていた。
スタジオ・ミルクのマスターに、今流れている曲は何かと聞くと、
「キンクスのファースト」と、素っ気なくもフレンドリーな口調で言われた。

初期のストーンズを、初期のビートルズ寄りにポップにコーディング
したようなサウンドが多く、
率直に言って、カブト虫や転がる石のような強烈な特徴はなく、
一般的に浸透しないサウンドであるのはよくわかる。
しかし、鼻にかかったたような甘めの声でありながら、
がさつで生々しいボーカル・スタイルは、現代のブリティッシュ・ロックに
しっかりと受け継がれている。
心に残るメロディーも、強烈なリフもないが、なんとなく聴けてしまう。
そのうち、「キンクスを聴いている」ということが、わけもなくカッコ良く思えてくる。
そんなおめでたい気持ちにさせるアルバムだ。

■ポール・バターフィールズ・ベターデイズ
 「バターフィールド・ブルースバンド」
ポールバターフィールド・ブルースバンド

一流ベーシスト、小原礼氏が、自身が司会をするテレビ番組で
絶賛していたアルバム。1965年リリースである。
王道のブルース・ロックであること以外、ポール・バターフィールズのことは
全くわからないまま、輸入盤が安価であったためゾンアマで購入。
とても良い。ハードではなく、どちらかと言えばクールなのだが、
非常に熱さが伝わる。
ブルース、というか音楽ってすごいなと圧倒され、とても敵わない気持ちになる。
夜に一人で車を運転しながら聴いていると心地良くなってきて、
どこまでも走っていけるような気になる。
しかし、そのうちヘルニアによって右腕や肩甲骨が痛くなってくる。
そして早くに家に着かないだろうかと思い始める。
そんな展開もまた俺のブルースなんだ。わかるかい?

テーマ:お気に入り&好きな音楽 - ジャンル:音楽


私の聴く音楽は偏っていると思う。
「どんな音楽を聴くんですか?」と問われたら、
少なくとも、「色んなジャンルの音楽を聴きますよ」と
答えることはないだろう。

逆に、どんな音楽を聴かないかと問われた方が、
具体的に答えられるかもしれない。
ジャパニーズ・レゲエと、ジャパニーズ・ヒップホップに
カテゴライズされるような音楽は、どうも苦手である。
愛や友人や家族への感謝みたいなのことを歌っている
ような曲も多いやに聞くが、

威圧的な歌い方や、すごみを利かせた、
あるいは、チャラチャラして雰囲気の前に、
伝わるものも伝わってこない。
というか私が、伝わってくることを拒否しているといってもいい。

要は、音楽以前に壁があるのだ。
相当な先入観を持っているのは自分でもわかっている。
しかし、人は見かけで判断すべきではないという、
非現実的な眠たい理屈はうんざりだ。

とはいえ、ジャパニーズ・レゲエやジャパニーズ・ヒップホップ
というジャンルは、多数のファンがいるのも事実。
ファンも、ミュージシャン側と雰囲気が似ている。
間違った固定観念かもしれないが、
男女とも、ちんぴらチックな人の割合が高いように思うし、
ファッションの最高峰はヴィトンのバッグで、
雨の日でも、それを自転車のカゴに入れて、
透明傘を差しながら漕いでいるようなタイプを想像してしまう。

私はそれを憂いていた。
うざったいとも思っていた。
しかし、だ。
そういう人達が、ロック業界に参入されても困る。
そう考えると、そういう人達の受け皿として、
ジャパニーズ・レゲエやジャパニーズ・ヒップホップは
存在していてくれた方がいい。
むしろ、なくなったり、衰退されては困るともいえる。

そんな勝手で狭量な私が、最近聴いているアルバムを4枚、
紹介させていただこう。
よろしく、どうぞ。

■ポール・ウェラー「Wake Up The Nation」
    ポール・ウェラー/WAKE UP THE NATION
2010年4月リリースのポール・ウェラーの最新作。
思いの外、ハードでエネルギッシュな曲が並び、
50歳を超えた今も、そういうモードにあることが伝わる意欲作。
特に、2曲目収録の表題曲は、タイトルどおり、
「目覚めよ!立ち上がれ!」
というソウルが全面に出たキラー・チューン。


全体を通して、決してメロディアスではなく、
キャッチーなフレーズにも乏しい。
音を歪ませすぎかと思う曲もある。
しかし、自分の中から自然に生じたメロディやサウンドを、
無理なく大人の味つけをした感じで、
良い意味での落ち着きが見られる。

ほとんどの曲が3分以内。
その曲に馴染み、「これから」という時にフェイドアウトしていくようで、
もう少し引っ張り込んでほしいのに、という物足りなさはある。
そう感じつつも、なんとなく聴き通してしまう。
こうした、つかみどころの無さはあるものの、
やりたいことを、良いコンディションで作り上げた雰囲気があり、
ポール・ウェラーらしさにあふれた作品といえる。

■ミューズ「Black Holes and Revelations」
    ミューズ/Black Halls And Revelations
イギリスのロック・バンド、ミューズの2006年作品。
壮大でメタリックなシンセ・ポップをやっているようなイメージがあり、
これまで聴かずにいたバンドである。

聴いてみると、壮大な曲あり、メタリックな曲あり、
シンセ・ポップな曲ありで、先入観のままなのだが、
ひとつ違ったことがあった。
それは、予想に反して、気に入ってしまったことだ。

実にバラエティに富んだロックの要素を盛り込んでいるが、
基本的にはポップでメロディアスだと思う。
アタック感の強いサウンドだが、妙に癒されるような浸れる感がある。
レディオヘッドをキレ味の鋭くしたようであり、
コールドプレイをハードでドラマチックにしたようであり、
プロディジーをメロウにしたようでもある。

特に、2曲目から4曲目、7曲目から9曲目は圧巻。
しっかりと、ミューズという音楽ワールドへ引き込み、
気づくと聴き入っているような状態を作り出す。

斬新さや、意外性はない。
しかし、様々なロックの素材を持ち合わせており、
素材の使い方がクールで、調味料の使い方も過度ではないため、
非常にバランスがとれたものに仕上がっている。
そのため、幅広いジャンルのエッセンスーを盛り込んでいるものの、
雑多にならず、散漫にもならず、一貫性と一体性を生んでいる。


■ロバート・ランドルフ「UNCLASSIFIED」
    ロバート・ランドルフ/アンクラシファイド
黒人のソウル・マン、ロバート・ランドルフの2003年作品。
ほんの1か月前まで、彼の存在さえ知らなかった。
ある人から、結構気に入ると思いますよとイチ押しされ、
YOU TUBEにて、彼の「I NEED MORE LOVE」を聴いた。
1コーラスを聴いただけで気に入った。

ベースとなっているのはソウルとファンクか。
そこに、ブルースやサザン・ロックの要素を絡め、
エネルギッシュでグルーヴ感のあるサウンドを作り上げている。

最大の特徴は、ロバート・ランドルフが弾く
ペダル・スティール・ギターだろう。
詳しい構造はわからないが、ギターが琴のような形をしており、
キーボード・スタイルで演奏している。
どうやって弾いているものか、とにかくすごい。
クラプトンがファンクをやったらこんな感じか。
スティービー・ワンダーがロックギターを弾いたとしたらこんな感じか。
というような、躍動感と渋さが融合したようなノリである。

インストロメンタルの曲がいくつかあるし、
南国チックなメロウな曲もあるが、どれもこれも演奏が凄まじい。
頭ではなく、身体で感じるような、
生命力にあふれた、
実にゴキゲンなアルバムである。

■ザ・ゴリラズ「Plastic Beach」
    ゴリラズ/プラスチック・ビーチ
2010年3月にリリースされたゴリラズのサードアルバム。
人工的で無機質なエレクトリック・ミュージック。
普段の私であれば、そういう音楽は退屈で聴いていられないのだが、
この作品は、吸い込まれるように何度も何度も聴いている。

ベースにあるのは硬質なピコピコ・サウンドなのだが、
牧歌的というか、叙情的というか、
すんなりと受け入れられる、ある種の暖かみがある。

部屋に閉じこもって、ヘッドフォンで聴くのがベストだろう。
部屋を薄暗くすると、なおいいだろう。
BGMで流すべき音楽ではない。
みんなで聴く音楽ではない。

全てを遮断し、何にも邪魔されずに聴くべき。
都会の夜を泳ぐ魚のような至福感を味わえるはずだ。

アルバムでは、様々なアーチストとコラボレイトしているが、
寄せ集め的なところはなく、しっかりと統一感がある。
コラボレイトの中で特に素晴らしいのは、
ルー・リードをボーカルに起用した曲。
彼の乾いた低い声と、つぶやくようなボーカル・スタイルは、
無機質サウンドを有機的なものに感じさせる不思議なパワーがある。
実に完成度の高いポップ・アルバムだと思う。

テーマ:CDレビュー - ジャンル:音楽


今回は、2000年から2009年までの10年間における、
ベスト・アルバム10枚をお送りしたい。

私は、90年代に、あまり新しい洋楽ロックを聴いていなかった。
ロックがヘヴィ化、あるいは、コンピュータ化し、
魅力を感じていなかったからである。

2000年代に突入すると、ロックらしいロックが復活した。
それに加え、自らは音楽活動をしていなかったため、
他のアーチストの曲を聴く余裕ができたことや、
留萌市にて2年半ほどラジオ番組を担当させていただいたことで、
オンエアする曲をチョイスするために、
音楽を聴く機会が増えたことなどにより、
リスナーとして、充実したミュージック・ライフを送ることができた。

そこで企画したのが、「2000-2009・この10枚」。
今回は、私のミュージック・ライフに多大な貢献をしてくれている
ロック知人、スミス西野氏とダーオ小田氏による10枚も紹介したい。

10枚をチョイスするにも、各アルバムのコメントを
9行にまとめるにも結構なエネルギーを要した。

エネルギーの使い途に疑問も感じているが、
真剣にアイ・ライク・ロックミュージックなので、どうもできない。
それでは、どうぞ。

■ザ・ストロークス「IS THIS IT」(2001)
  ザ・ストロークス/IS THIS IT 
ザ・ストロークスのファースト・アルバム。
CD店でたまたま流れていた曲に衝撃を受け、
店員に、今流れているアルバムは何かと尋ね、
ストロークスとは何たるかも知らずにその場で購入したアルバム。
チープでラフでルーズで、でもちょっとナイーヴ、それでいてクール。
ロックってこういうものだよなと、ダイレクトに感じさせた傑作。
2nd、3rdアルバムと、ダイナミックで力強いサウンドに
進化したのに比べ、このアルバムにある原石のような輝きは魅力的。
荒削りながら、実に計算されたバンド・アンサンブルも素晴らしい。

■コールド・プレイ/X&Y(2005)
  COLDPLAY/X&Y 
コールド・プレイのサード・アルバム。
2000年代の10年間で1枚だけ選ぶとすれば、
前出のストロークスのアルバムか、これのどちらかである。
とにかくメロディ・ラインが素晴らしい。
閉じこめられた心の窓から見えた結晶のような美しいメロディ。
楽器の構成、展開、そして曲順もベストである。
何の気なしに聴いていたのに、気づいてみると、
完全にコールドプレイの世界に浸っている。その吸引力は圧倒的。
今聴いても、新たな感動がある。全曲が素晴らしい。

■ジャック・ジョンソン「IN BETWEEN DREAMS」(2005)
  ジャック・ジョンソン/IN BETWEEN DREAMS 
2000年代半ばの3年間は留萌市に住んでいた。
その当時、最も聴いたアーチストは、ジャック・ジョンソンである。
とりわけ、このアルバムは何度も聴いた。常に車の中にあった。
彼の癒しのアコースティック・サウンドは、
サーフ・ミュージックというものの形を変えたといってもいい。
語りかけるような温かみのあるボーカル。
意外にブルージーなフレーズも見え隠れするところもぶいしーだなと。
そして実は、極めて良質なポップ・ミュージックでもある。
今でも、海のある景色に出会える日は、このアルバムを連れて行く。

■ジェット「GET BORN」(2003)
  JET/GET BORN 
2006年リリースのセカンドアルバムと、どちらをチョイスするか
迷ったが、瞬発力と直接性で、ファーストを選んだ。
ロックには様々なジャンルがある。
しかし、このアルバムは、どんな人に聴かせても、
「これはロックだ」としか言いようがない、ど真ん中ぶりが良い。
クラシカルなロック・フレーズの安心感。
自然に身体が動き出すようなノリを作れる演奏力の高さ。
そして、まさにロックの王道たるボーカルの声質と歌い方。
時代が変わっても、きちんと聴ける新しいのに古典的なアルバム。

■アーケイド・ファイア「フューネラル」(2005)
  アーケイド・ファイア/フューネラル 
カナダのバンド、アーケイド・ファイアのファーストアルバム。
このサウンドは説明が難しい。
壮大で華やかなサイケというか、雑多な楽団ロックというか。
質は異なるが、感触はU2に近い何かを感じる。
夜明けとともに新しい景色に出会えるような誕生感。
日暮れとともに何かが動き始めるような高揚感。
エレクトリックな楽器を使った21世紀のバンドというより、
長くそこに住んでいる民族の原始的な音楽ともいうべき土着感。
全く近づけないと感じさせる孤高ぶりも、作品のクオリティを上げている。

■アークティック・モンキーズ
「WHATEVER PEOPLE SAY I AM,THAT'S WHAT I'M NOT」(2006)
  アークティック・モンキーズ/1st 
まず、どうでもいいが、タイトルが長すぎる。
世界的に客観的に見ても、2000年代を代表するアルバムとして、
本作をチョイスする人は多いだろう。
スピード感のある激しいサウンドなのだがクール。
UKロックらしいメランコリックなメロディ。
ビート系ロックが持つスリル感。
フレーズはスタンダードなものが多いが、切り口が斬新で、
詰め込み過ぎがちな歌詞なども含め、独特の世界観を作り上げている。
ファーストアルバムらしい爆発感は、今聴いても鮮やか。

■オアシス「DIG OUT YOUR SOUL」(2008)
  oasis/dig out 
2005年には「ライラ」という珠玉のナンバーはあったものの、
2000年以降の3枚のアルバムは、噛み応えがなく物足りなかった。
オアシスもこれまでかと思い、ラストチャンスのつもりで聴いたこの作品。
驚いた。やればできるじゃないかと思わせてくれた。
パワーが外側に向き、輪郭がヴィヴィットになり、質感が増した。
昨年3月には初の札幌公演、そして年末近くにはノエル・ギャラガーの
脱退報道など、今後の彼らの動向が気になるところだが、
いずれにしても、2000年代にも、
ハートを揺さぶる良質の作品を残したオアシスはやはり凄い。

■プライマル・スクリーム「RIOT CITY BLUES(2006)
  プライマル・スクリーム/RIOT CITY BLUES 
90年代は全く聴く気がしなかったが、00年代に入ってから
突如フェイバリットしたアーチストの筆頭がプライマル・スクリーム。
この真正面からの明快なロックンロールには驚いた。
特に1曲目収録の「カントリー・ガール」は、鳥肌が立つほど無垢。
2000年代屈指のハッピー気分にさせるナンバーだろう。
アルバム全体としての楽曲のまとまりとしては、
2008年リリースの「ビューティフル・フューチャー」の方が上だが、
このアルバムはエナジーを感じる。勢いとノリのレベルが違う。
まさに、ロックンロール万歳!な名作。

■AC/DC「BLACK ICE
」(2008)
  AC/DC/BLACK ICE 
40歳を過ぎてから、AC/DCの凄さがわかった。裏を返せば、
やっとAC/DCを理解できる音楽力がついてきたということだ。
10代の頃から、高音ヴォイスのハード・ロックは苦手だった。
ところが今聴いてみると、なんとストレートなロックンロール。
金太郎飴のように、どこから聴いても同じサウンドだと揶揄され、
確かに、一貫して四角いリズムの曲の連続ではあるが。
捨て曲なしの、バランスの取れた完成度の高いアルバムである。
小手先の技術や、コンピュータによる加工や調整に頼らず、
そのままの音で勝負する50代後半の彼らに敬意と称賛。

■マルーン5「SONGS ABOUT JANE」(2002)
  マルーン5/SONGS ABOUT JANE 
世界的にビッグ・セールスを得た作品。
ブラック、ポップ、ファンクが融合したようなサウンドで、
どれもマニアックになりすぎず、それぞれの加減が絶妙。
ロック化したスティービー・ワンダーのようにも感じる。
かつてどこかで聴いたことがあるようなレトロなフレバーなのだが、
現代な味付けにより劇的に美味しくなったようなサウンド。
感触がマイルドで、何度も聴けてしまう普遍性がある。
このアルバムが、とんでもなくヒットしたことによって影に隠れているが、
2007年リリースのセカンドアルバムも卓越した作品。

   ◇     ◆     ◇

10枚を選ぶにあたり、最後まで含めるかどうか迷ったのが、
フランツ・フェルディナンド「フランツ・フェルディナンド」(2004)、
ブルース・スプリングスティーン「MAGIC」(2007)、
ベック「MODERN GUILT」(2008)の3枚。

特にフランツ・フェルディナンドの、
ギターのビートによるダンサブル・ロックは刺激的だった。
間違いなく2000年代を象徴するアルバムである。
ベックは、プライマル・スクリームと同様、
90年代は、あまりの抽象さに、ほとんど聴く気がしなかったが、
00年代は、大人の渋いポップともいうべき良い作品を連発。
特に「MODERN GUILT」は、これまでの彼のアルバムの中では、
迷うことなくナンバー1である。

さて、続いては、ロック知人達がチョイスした10枚。

【ダーオ小田氏の2000-2009・この10枚】
リンキンパーク  レッチリ/BY THE WAY

 ・ オアシス「DIG OUT YOUR SOUL」(2008)
 ・ ザ・ヴァーヴ「Forth
」(2008)
 ・ レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
  「LIVE AT GRAND OLYMPIC AUDITORUIM」(2003)
 ・ レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「BY THE WAY」(2002)
 ・ リンキンパーク「HYBRID THEORY」(2001)
 ・ ザ・ヴァインズ「VISION VALLEY」(2006)
 ・ AC/DC「BLACK ICE」(2008)
 ・ コールド・プレイ「X&Y」(2005)
 ・ U2「HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB」(2004)
 ・ ブルース・スプリングスティーン「MAGIC」(2007)

彼に、この企画について話したところ、即座に、
「レッチリは入るな。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンも入るね。
 AC/DCもあるし、ヴァーヴも入るだろうし」と、
次から次にアーチスト名が出てきた。
それほどに熱い情熱を持って、この企画に参加してくれた。


客観的に見ても、そうそうたる10枚である。
ただ、レイジもレッチリも、一般的にはこの後のアルバムの方が
話題になった、というか、セールス的に上だったと思われるが、
大衆の支持に惑わされることなく評価したダーオ氏のセンスは
信頼に値する。



【スミス西野氏の2000-2009・この10枚】
beck/modern guilt  リバティーンズ

 ・ アークティック・モンキーズ
    「WHATEVER PEOPLE SAY I AM, THAT'S WHAT I'M NOT」(2006)
 ・ カサビアン「KASABIAN」(2004)
 ・ ザ・クークス「KONK」(2008)
 ・ フランツ・フェルディナンド「フランツ・フェルディナンド」(2004)
 ・ ベック「MODERN GUILT」(2008)
 ・ レディオヘッド「IN RAINBOWS」(2007)
 ・ ザ・ミュージック「STRANGS IN NUMBERS」(2008)
 ・ ニュー・オーダー「WAITING FOR THE SILENCE CALL」(2005)
 ・ ザ・リバティーンズ「THE LIBERTINES」(2004)
 ・ モリッシー「ユー・アー・ザ・クワーリー」(2004)

こちらも異論をはさみようがない、なるほど納得の10枚である。
なかでも、カサビアンとリバティーンズは、
ひとつのムーブメントを作った、2000年代を代表するバンドである。

ニュー・オーダーとモリッシーを、そつなくチョイスしているところも、
彼の揺らぐことのないUKロックへの敬愛を感じさせる。

そんな彼からのコメントは次のとおり。
「ここに挙げたアルバムは、そのバンドにとっての
 ファースト・アルバムが多いです。
 初めて聴いた衝撃が凄まじかったぜ、度肝を抜かれちゃったぜ、
 ということで選びました。
 ベックのアルバムは、これまでの彼のワークスの中で最高傑作です。
 レディオ頭は、「OKコンピュータ」以来の良いアルバムです。
 ザ・音楽の「グルーヴ感」、ザ・放蕩者の「安っぽさ」も最高でした。
 それと、やはりニュー・オーダーは欠かせません。
 私にとってのニュー・オーダーは、
 ザ・ジャム、ザ・スミスと並ぶ最も重要なバンドです」

   ◇     ◆     ◇

ダーオ小田氏、スミス西野氏と私。
三人の音楽嗜好の相違はあれど、
アークティック・モンキーズの1stと、
コールド・プレイ「X&Y」は、全員が挙げると思っていた。
ところが、三人全員に共通したアルバムはひとつもなかった。
それどころか、ダーオ小田氏とスミス西野氏は、
一作品もかぶっていないから驚いた。

この企画を「この20枚」にしたならば、
三者で重複する作品も多かったかと思うが、
10年で10枚にすると、票は分かれるものだと実感。
裏を返せば、00年代は、
90年代のオアシスの1stや、ニルヴァーナの「NEVER MIND」
のような、誰しもが認める決定的な作品がなかったのかもしれない。

それにしても、遠い国の他人がリリースしたアルバムに関して、
これほど熱く語る私のエネルギーの使い方は
やはり間違っているのではないか。
自己満足にもほどがあるだろうと。
そして、どれほどの意味があるのかと。

しかし、その意味を考えることこそ意味がないことにする。
ロック・ミュージックが、
さえない日々と折れそうな心を支えているのは事実。
ロック・ミュージックを自由に聴くことができる環境にあること。
それだけで十分に幸せなことだし、ピースフルなことだろう。
アイ・ライク・ロックミュージック。


テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽


今回は、「2009・アルバム・オブ・ザ・イア」。
私のわがままなセンスと勝手な事情に基づいて、
2009年に聴いた音楽作品を、
一方的に順位をつけて評価させていいだく企画である。

2009年は、自らのバンドのCD製作に、
音楽エナジーを注ぎ込んだ時間が多かったため、
例年に比べて、一般の音楽を聴く時間は少なかった。

また、2009年の傾向として、
過去の作品への回帰や、2008年作品を引き続き聴くという現象が目立った。
そこで、2009年のアルバム・オブ・ザ・イアは、
「新作部門」と「過去作品部門」に区分した。

新作部門の対象は次のとおり。
①2008年10月から2009年12月31日までにリリースされた洋楽作品。
②ベスト盤やリマスター盤などの企画モノは除く。

過去作品部門の対象は、新作部門の対象以外の全てとする。

2009年の新作は、私のリスン時間が少なめだったことも影響しているが、
飛び抜けて印象のある作品や、何度も何度も聴いたような作品がない。
つまり、決定的な作品がなかった。
特に1位になる作品は、言わずもがな聴いた回数が大きなポイントになるが、
その年の代表的な出来事に付随しているような曲、
つまり、その曲を聴けば、2009年を思い出すような
象徴的な要素が重要である。
ところが、2009年の新作部門は、その要素が薄い。

ただ、作品としては良いものが多く、粒ぞろいだった。
不作だった2007年に比べれば数段良い。
そしてなにより、記録として、今ここに記しておくことが大切なのだ。
このタイミングで整理し、足跡を残すことが次につながるのだ。
そういうわけで、まずは新作部門の発表です。

【新作部門】

№1 ボブ・ディラン「TOGETHER THROUGH LIFE」
  2009-1 ボブ・ディラン

 ボブ・ディランといえば、往年の有名曲のイメージが強い方が
 多いだろうが、2000年代も非常に良質な作品を送り出している。
 ブルースやネイティヴなフォークっぽい曲が中心。
 メロディは至ってベーシックで、正直、大きな特徴はない。
 ところが、ディランが歌うと、実に味わい深いメロディになる。
 音の感触はラフでフリーなのだが、
 それが逆にディランの渋さやハートフルなところを
 浮かび上がらせている。
 一人でも、誰かとでも、いい夜を過ごしたい時には
 
最高のBGMになるだろう。

№2 ジェット「SHAKA ROCK」
  2009-2 ジェット

 オーストラリアのロック・バンド「ジェット」のサードアルバム。
 70年代的なオールド・ロックンロール・サウンドをベースとしながら、
 現代的なアタックの強いサウンド。
 ひとつ突き抜けた感じで、自由かつパワフルな印象を受ける。
 どこかで聴いたことがある、これぞロックたるフレーズが随所にある。
 これを心地よく感じるか、新鮮味がないと感じるかで評価は分かれるところ。
 私は、相性が合うのだろう。スタンダード感、ベーシック感が、実に馴染む。
 ボーカルは文句なしに上手い。決定的にロック偏差値の高いボーカルである。
 きちんとロック的なキャッチーさがある歌メロも、やはり素晴らしい。

№3 ソニック・ユース「THE ETERNAL」
  2009-3 ソニックユース

 アメリカのベテラン・バンドの15作目。
 ノイジー系やオルタナティヴ系のロックがちょっと苦手な私は、
 これまでソニック・ユースを、きちんと聴いてこなかった。
 このアルバムも、ロック知人「TNKタナカ」氏から
 聴かせてもらわなければ、聴くことはなかっただろう。
 パンク・ロック的な興奮を感じさせるエネルギッシュな作品。
 音がクリアではなく、こもり気味なところが逆に、
 爆発感をちらつかせるとともに、まとまりを見せている。
 良いテンション、良い雰囲気でレコーディングしたのが伝わる佳作。

№4 ペットショップ・ボーイズ「YES」
  2009-4 ペットショップ・ボーイズ

 まさに80年代後半の王道エレクトリック・ポップ。
 ソフトで、浮遊感があり、ロマンティック。
 とにかく都会の夜な作品である。
 ビルとネオンと人混みとシータク。
 そんなハードな環境で、涼しい顔をして泳いでいるかのようなサウンド。
 聴きやすく、身を委ねたくなるような癒し要素もある。
 パフュームは、次はこの路線をいくべきだ。
 パフュームにカバーしてほしいと本気で思う。

№5 ブルース・スプリングスティーン「WORKING ON A DREAM
  2009-5 ブルース・スプリングスティーン

 前作からの、あまりに短いインターバルでのリリースに、
 こちら側の欲求が低く、聴くテンションが上がらず、
 また、前作と、曲調、サウンドとも同じ路線で、盛り上がりに欠けた。
 ところが、聴き込むと、やはり曲が安定しており、
 彼の温かく力強いボーカルが、芯のある作品に押し上げている。
 また、カントリー的なサウンドの曲や、
 ルーツ・ロック的な古くさいフレーズが随所にあり、
 実はバラエティに富んだ作品にも思えてくる。

№6 U2「NO LINE ON THE HORIZON」
  2009-6 U2

 やはりU2のスケールは凄いなと感じた。
 リズムはシンプルだし、使用楽器の数も多くはないのに、
 大きな広がりを作り、聴き手をグイグイ引き込むパワーがある。
 ロックのプリミィティヴな部分を追求したような
 前半から中盤までの楽曲は圧巻。
 特に2曲目の「MAGNIFICENT」は、
 2009年の全ての新作の中でナンバー1にしたいほどの傑作。
 ところが、後半の数曲は、メロディに色や香りがない。
 それが6位どまりだった最大の要因。

№7 アークティック・モンキーズ「HUMHUG」
  2009-7 アークティック・モンキーズ

 イギリスの代表的若手バンドのサードアルバム。
 ダークで、ワイルドで、スマートで、メランコリックで、
 気怠くもスリル感のある、まさにカッコいい作品。
 スケール感が増し、才能の豊かさも感じさせる。
 ただ、メロディやフレーズが印象に残りにくい。
 ポップさを排除したのが、距離を作ってしまったように思える。
 とはいえ、クオリティは高く、紛れもなく優れた作品。

№8 カサビアン「ルナティック・アサイラム」
  2009-8 カサビアン

 イギリスのロック・バンド「カサビアン」のサードアルバム。
 決定力のあるキャッチーな曲はないが、
 アルバム全体としてのまとまりという面では、1st、2ndより上。
 アンダーグラウンド的異様ムードが満載だが、
 これぞブリティッシュたるメロディはキャッチーで、
 覚えやすく、口ずさみやすく、どこか懐かしく、大衆性が高い。
 ただ、後半の数曲は、マニアック度が高く、この順位まで。

№9 ウィーザー「RATITUDE」
  2009-9 ウィーザー

 2009年の「レッド・アルバム」に続く2年連続のリリース。
 「レッド・アルバム」に対する私の評価は低かった。
 それに比べて今作は、突き抜けるポップさが全面に出ていて良い。
 軸がしっかりしており、解き放たれたような勢いがある。
 聴いていて引っかかりがなく、1曲目から通しで聴ける。
 ウィーザー・ファンが求めているウィーザーというか、
 ウィーザー・スタンダードを良い形で表現している。
   
№10 フランツ・フェルディナンド「TONIGHT」
  2009-10 フランツ・フェルディナンド

 ギターのビートでダンス・ロックを表現する稀有なバンド。
 音楽的な幅を広げ、サウンドづくりのクオリティも向上している。
 ただ、彼らは、グイグイと押してくる開放的なビートや、
 ちょっとB級ポップっぽいノリがセールス・ポイントだった。
 今作は、ゴージャスかつクールになり、いい意味でのB級さが薄れた。
 良い曲もあるが、アルバムという単位で見ると、
 いささかリピート力が弱いか。

    ◇     ◆     ◇

続いて、過去作品部門。
2009年は、新作よりも過去作品を多く聴いた。
後から振り返って、2009年を象徴するアルバムは?となったら、
新作ではなく、以下のアルバムからチョイスされるだろう。

それでは過去作品部門の発表です。
過去作品部門は順位をつけませんので、ご了承願います。

【過去作品部門】
■AC/DC「BLACK ICE」
 2009-AC/DC
 2009年前半で最も聴いたアルバム。
 四角いリズムの一本調子の曲が多く、展開もストレートだが、
 ギターのフレーズが、いちいちカッコいいため、何度も聴けた。
 慣れないリスナーならばワンパターンに感じるだろうが、
 シンプルなアレンジの中の奥深さとエナジーに感服する。
 2008年10月リリースで、音源を入手したのが
 同年12月下旬だったことから、あまり聴きこめず、
 2008年の順位は11位だったが、
 2009年の対象になっていれば、間違いなく1位の作品だった。

■キングス・オブ・レオン「ONLY BY THE NIGHT」
 2009-KINGS OF LEON

 上記のAC/DC作品と同様に、リリースが2008年9月で、
 バイしたのが2009年の初めだったため、
 新作部門にはエントリーできず。
 エントリーできていたら、AC/DCに次ぐ2位だっただろう。
 曲のど真ん中を突く太いリズム隊に、ジャンキーかつ繊細なギター。
 ベテラン然とした深みのある乾いたスモーキーなボーカル。
 圧倒的なロック偏差値の高さを感じさせる上質ロックンロール。
 シングル・カットされた「ユーズ・サムバディ」は、
 現在もアメリカでヒット中。

■エリック・クラプトン「FROM THE CRADLE」
 2009-ERIC CLARTON

 1994年にリリースされたブルースのスタンダード・ナンバー集。
 この5、6年、頻繁に聴いている。
 とにかくギター・プレイが圧巻。

 コピーしても全く雰囲気が出せない独特の間や、
 出す音と出さない音のバランスのマジックは、
 聴くほどにわからなくなっていくような天才的な奥深さがある。
 私にとっての音楽の教材としての位置づけも強いアルバムである。
 クラプトン名義の作品の中では、あまりメジャーなアルバムではないが、
 何度聴いても飽きないし、気づいたら心地よくなっている。
 さらっとしていながら緻密なドラムやベースのまろやかなうねりなども、
 ほんとに素晴らしい。
  
バディ・ガイ「I WAS WALKING THROUGH THE WOODS」
 2009-Buddy Guy

 クラプトンが、柔らかい指づかいで渋いギターを弾くとすれば、
 バディ・ガイは剛であり熱い。
 緊張感とテンションの高さが伝わり、聴いている側が昂ぶってくる。
 例えば、同じギター・フレーズを4回繰り返すにしても、
 4回とも間が微妙に違うところなど、カッコいいなと。
 というか、そういうラフさが似合うミュージシャンなのだ。
 歌メロも親しみやすく、ボーカルの感情爆発ぶりも素晴らしい。
 このアルバムもまた、私の音楽教材として重要な役割を果たした。

■レッド・ツェッペリン「REMASTERS」
 2009-LED ZEPPELIN

 2009年後半で最も聴いたアルバム。
 若い頃は受け付けなかったツェッペリンだが、
 43歳にして、ついに開眼した。
 ドラマチックでハードな印象があるバンドだが、
 実はシンプルでキャッチーで、見事なまとまりがある。
 ボーカルのメロディとギター・フレーズとの一体感や、
 ドラムのリズム感など、聴くほどに凄さを発見していく。
 当初は、初期の作品に傾倒していたが、後期作品も心に染みついてきた。
 2009年でベスト盤は卒業し、
 2010年は、オリジナルアルバムを聴きたい。

    ◇     ◆     ◇

以上である。
私のアルバム・オブ・ザ・イアは、基本的に洋楽対象であるため、
日本人アーチストの作品はエントリーしなかったのだが、
忌野清志郎氏に触れずにはいられない。

私のミュージック・ライフだけではなく、
人生に多大なる影響を与え、励ましと力をいただいた。
他界先でも、曲作りをして、ブルースを、ロックンロールを
奏でているのだろう。
ジミ・ヘンやオーティス・レディングともセッションしたかもしれない。
清志郎氏に教えてもらったことを無駄にせず、生かすためにも、
2010年もたくさんの音楽と触れあいたい。
もっといい言葉を、もっといいメロディを作りたいし、
もっともっといいプレイができるようになりたい。
そうやって、清志郎氏がくれたものに応えていきたい。
そして忘れてはならない。
音楽とも、人とも、愛し合います。


テーマ:CDレビュー - ジャンル:音楽


今回は久しぶりのCDレヴュー。
紹介する作品はいずれも、8月から9月にかけて音源を入手。
時々聴いてはいたのだが、
自分のバンドのレコーディングに向けた作業が本格化したことから、
そちらに集中するため、あまり一般の音楽を聴かないようにしていた。
というか、あまり聴く気になれなかった。

それでなくても、私は、車の中では、それほど音楽を聴かない。
なぜなら、ラジオが好きだからだ。
しかもAMラジオが好きなのだ。
同乗者がいれば、ほぼ100%、音楽を流すが、
ひとり乗車の時は、音楽:ラジオの割合は同じくらいである。

そういうわけで、CDレヴューはすっかりご無沙汰になっていた。
ネタはあるのに整理ができず、
CDレヴューの便秘状態にあったと言ってもいい。
今日でやっとすっきりできる。
それではどうそ。

■アークティック・モンキーズ「ハムバグ」
アークティック・モンキーズ/ハムハグ 
現在のイギリスのロック界の若手バンドの代表格、
アークティック・モンキーズのサードアルバム。
ファースト・アルバムにあった性急さやポップさは影を潜めたが、
荒廃感のある渋い映画音楽を彷彿させるような、
勇ましさと気怠さの中の哀愁みたいなものを感じさせる作品。

決してキャッチーなメロディではなく、決定打となるような曲もなく、
雰囲気も全体としてダーク化したため、即効力は決して高くはない。
しかし、確実に深みは増しており、
聴く回数を重ねるごとに、良さが伝わってくるアルバムである。

ボーカルにしても、サウンドにしても、
アークティック・モンキーズというパーソナリティを明確にし、
アークティック・モンキーズというアイデンティティを構築した
大きな意義のある好作品といえる。

■ジェット「シャカロック」
JET/シャカロック 
オーストラリアの若手バンド、ジェットのサードアルバム。
前作「SHINE ON」は、
私の選ぶ「2006・アルバム・オブ・ザ・イア」において第1位を獲得。
大きな期待を持って、サードアルバムを聴いた。

最初の何曲かは、曲調にしても、サウンドにしても、
これぞロックたる王道路線のゴキゲンなラインナップ。
特に2曲目に収録の「BEAT ON REPEAT」は、
今年リリースされた洋楽の中でも屈指のナンバーである。

気になったのは、サウンドが全体として、
ビリビリとしたアタックの強い作りになっていること。
そのため丸みがなく、横ノリサウンドなのに鋭角的に感じる。
もともとアタック力重視のサウンドであったが、
今作は聴き続けていると、中盤以降、ちょっと疲れてくる感じがある。
そのことは、安心感のあるロックである反面、
ちょっと新鮮味が乏しいことも影響している。

とはいえ、そもそも私は根本的に、
ジェットのようなクラシカルなロックが好きなのだ。
それに加え、ビートルズやオアシスのようなブリティッシュ風味が
漂うメロディも、私の感覚には馴染みやすい。
一定のクオリティは確保している良いアルバムではある。

■スーパーフライ「BOX EMOTIONS」
SUPERFLY/BOX EMOTION 
スーパーフライのセカンドアルバム。
ボーカルが、ほんとに素晴らしい。
声の瞬発力の高さと容量の大きさは、
現在の日本のロック&ポップスの若手女性ボーカリストの中では
飛び抜けており、
70年代・ちあきなおみ、80年代・岩崎宏美、90年代・吉田美和に
対抗し得る、00年代を代表するボーカリストではないだろうか。

アルバムの前半の曲は、ロック度が高く、
メロディ、サウンドとも申し分ない。
特に1、2、5曲目は圧巻である。
中盤以降は、ロック度を下げて、ポップ度を上げた印象。
ロックという枠を広げ、ミュージックという枠で大きく歌い上げている。
それはそれでいいのだが、
中途半端にキャッチーな曲を寄せ集めたような構成になっており、
それが焦点をぼやけさせ、アルバムとしての一体感を損なわせている。
個々の曲は悪くないのだが、連続して聴くと、どこか味気ない気がする。

相変わらず歌詞は良くない。
メロディに言葉をのせるリズム感を重視するため、
響きのいい言葉を選んでいるが、馴染みにくい言葉を使うせいか、
口ずさみにくく、共感しずらい。
その結果、伝わってこないし、歌詞が残らないのだ。

ただ、英語の発音は、正しいのかどうかはわからないが、
非常にそれっぽく聞こえる。
面倒くさい日本語を英語っぽいノリで歌うよりも、この人の場合は、
「逃げ出せパーティ・トゥナイト ロックンロール・オールナイト
 誰かにヘルプミー・トゥナイト」などのように、
わかりやすい英語に、雰囲気のいい簡単な日本語を
絡ませる歌詞にした方が良さが出る。

苦言を呈したが、何度も聴ける佳作ではある。
天才的な歌唱力をどう生かしていくか、今後の活動も楽しみである。
スーパーフライの場合、大ヒット曲を生み出すカギは、
とにかく歌詞だと思う。

■リック・デリンジャー「ザ・ベスト・オブ・リック・デリンジャー」
リック・デリンジャー/ベスト 
リック・デリンジャーは、70年代前半にブレイクしたギタリスト。
昨年まで存在すら知らなかった。
存在を知ったのは、前出のスーパーフライが、とあるテレビ番組で、
リック・デリンジャーのカバーだと言って歌っていたことである。

その曲は、カッコ良すぎるロックだった。
タイトルは「ロックンロール・フーチー・クー」。
原曲を聴いてみたくて、インターネットで何度も試聴。
ギターのリフとリズムが圧倒的にイカしている。
しかし、あくまで試聴であり、フルには聴けない。
フルに聴いてみたい。
その思いが高まって、ベスト盤を購入。

1曲目に収録された「ロックンロール・フーチー・クー」は、
間違いなく不朽の名作であることを実感した。
まさに70年代のアメリカン・ロックたるグルーヴにしびれる。
ワイルドかつ、ちょいファンキーなギターがたまらない。
その次に収録されている曲も良かった。
これは、とんでもなく凄いアルバムかもしれないと思った。

ところが、それ以降の曲が厳しかった。
「なんなの、これ?」というような、ぱっとしないメロディや、
つまらないポップ・ソングの連発。
「ロックンロール・フーチークー」は何だったの?と疑問を
抱かずにはいられない落差に愕然とした。
何度か聴いてみたが同じだった。
これがベスト盤なら、ベスト盤に収録されていない曲は、
どんなレベルなのかと要らない疑問まで湧いてしまった。

それでも、「ロックンロール・フーチー・クー」が
あまりに素晴らしいため、「まあいいか」で済ませた。
そうやって、自分を納得させて生きている。


      ◇       ◆       ◇

さて、12月である。
忘年会などで、他の月よりも飲み行為の回数が増える方もいるだろう。
そんな皆さんに一言どうぞ、と問われたら、こう言うだろう。
「気乗りしないときは、絶対に2次会に行ってはならない」
ジョークなんかじゃないぜ。
本気でそう思うぞ。

テーマ:本日のCD・レコード - ジャンル:音楽


私は自分自身、何かの場で100%の力を出すのは不可能だと思っている。
うまくいって90%。80%を発揮できれば御の字だろうと思っている。
このことは、性格や個性や生きてきた経過や環境によって、
人それぞれ考え方が異なるだろう。
私が申し上げたいのはそういうことではない。

例えば、「70」のことをやるときに、
持っている実力が「60」の人がやる「70」のことと、
持っている実力が「90」の人がやる「70」のことでは
味わいに差がある。
私は後者になりたいと思う。
要は、余裕を持って、力を抜いて、70のことを楽しんでやれればと。
むきになって、全部出し切らなきゃ気が済まないという気持ちで
70を表現しても、自分ではがんばったという達成感はあるかもしれないが、
周りの受け止め方は違うだろう。

だから、使える引き出しを増やし、使える力を蓄え、
状況に応じて、相応しいものをチョイスできればと。
しかし、それは難しいことだ。
結局、私は弱いのだ。
限界を見せるのが怖いのだ。
身の丈以上のことをやっていると思われるのが痛いのだ。
そのためには、まず絶対量を増やすことである。
なんらかんら言っても、絶対量
の多さは大きなアドバンテージである。

さて今回はCDレヴュー。
まず最初は、100の力がありながら、
50くらいしか見せていないような作品。
力を抜いて、気の向くままに演奏している雰囲気なのに、
おそらく先天的な資質やセンスによって、
背景にある音楽的容量の大きさとロック偏差値の高さを感じさせる作品から。

■レーナード・スキナード「レーナード・スキナード」
レーナード・スキナード/レーナード・スキナード 
レーナード・スキナードというバンドの存在を私は知らなかった。
知ったのは、豊平のスープカレー店で流れていた「オールマン・ブラザーズ」に
いたく感動し、CDをバイしたことをブログで書いた際に、
bullさんから「レーナード・スキナードもいい」と
コメントをいただいたことによる。

この作品は、1973年にリリースされた彼らのファースト・アルバム。
彼らは、オールマン・ブラザーズとともに、
「サザンロック」の代表バンドと言われている。
「サザンロック」とは、
アメリカ南部の土着性を前面に出したロックを総称して言うのだが、
私の解釈としては、ブルースとカントリーが融合したような
ヨコノリ・ロックである。

これがロックなんだなあ、としみじみ感じさせるアルバム。
リズムに丸みがあり、心地よく転がる。
ギターのリフは、これぞロックのスタンダードたる安定感があるとともに、
3本のギターの絡みバランスが素晴らしい。
そこにスモーキーなボーカルがのっかって、
乾いた荒野に吹きすさぶ風のような雄大なサウンドになっている。

ファーストアルバムにして、そして20代にして、
この渋さ、この円熟ぶり、この泥臭さ、この放浪感はすごい。
そこに感心させられ、圧倒されているうちに、
アルバムを最後まで聴き終えている。
ロックとは何か?のひとつの答えが、このアルバムだと思うし、
自分はまだまだロックをあまり知っちゃいないのだと気づかされる。

収録されている彼らの最大の代表曲「フリーバード」は、
聴けば聴くほど感動的。
荒野を突っ走るオンボロ車のようであり、
砂漠から青い空に飛び立つ鳥のようであり、
全てをひっくるめると「アメリカだぁ!」という一言に行き着く。
日本のアーチストなら、奥田民生氏や斉藤和義氏あたりは、
レーナード・スキナードの大ファンだろうと想像できる。

■ソニック・ユース「THE ETERNAL」
SONIC YOUTH/THE ETERNAL 
私はこれまで、ソニック・ユースをきちんと聴いたことがなかった。
少し耳にしてみたことはある。
しかし、ノイジーなサウンドや、オルタナティヴ系の大きなつくりが
いまひとつ肌に合わず、リピート意欲がわかなかった。

今年6月にアルバムがリリースされたものの、素通りする予定だった。
ところが、ロック知人・スミス西野氏が
「今回のソニックユースはぜひ聴いてみたい」と期待を寄せていたり、
バンドのメンバーであるTNKタナカは、バイ&リスンして絶賛。
そこで私も、とりあえずi-tunesにインしておいた。

先入観を除き、ニュートラルな気持ちで、なにげに何度か聴いてみた。
これが結構良い。
最初はハートと擦れるところはあるが、
次第に折り合い、最終的には気持ちがハイになっていく。

すごくロック。洋楽らしいロックである。
タテノリのタイトなサウンドながら奥行きがあるため、
聴く度に、コクのようなものを感じ、美味しくなっていく。
意外にメロディが親しみやすく、メロウだと感じた。
そしてサウンドがフレッシュである。
ただ単に若々しいのではない。
25年以上のキャリアにより熟練されたフレッシュさである。
年齢により枯れた部分が、洗練された渋さとなっている。

肌触りはオルタナティックではあるが、
90年代、00年代の洋楽ロックを総括したような幅があり、
それでいて寄せ集めではなく、軸がしっかりとしている。
ロック容量の大きさがあってこそ為せる技だろう。

タイプは違うが、ブランキー・ジェット・シティや
プライマル・スクリーム、レディオヘッドなどが好きな人も
十分にいけるのではないだろうか。
長年のソニック・ユース・リスナーには大変失礼な言い方だが、
掘り出し物の1枚だった。

■ジ・エネミー「MUSIC FOR THE PEOPLE」
THE ENEMY/music for the people 
イギリスの若手バンド、ジ・エネミーの2年ぶり2作目。
ザ・ジャム直系といえる歯切れのいいギター・ロック・バンドとして、
ファースト・アルバムは高い評価を得た。
で、期待されたセカンド・アルバムであるが、「う~ん…」という感じ。

アルバム前半の、重厚で広がりのある大きなサウンドが
しっくりこなかった。
サウンドのつくりや構成力がアップしたのは十分に伝わるが、
器以上のことをやり、自分のものになっていない気がした。
そのため、聴き手のハートに入っていけないのかと。
音楽知識は得たものの、それを昇華しきれなかったというか、
血や肉になるところまでは達しなかったという印象。

アルバム後半は、ザ・ジャムやザ・クラッシュを彷彿とさせる曲が並び、
知っている者は、思わずにやりとしてしまうだろう。
事実、器用なバンドだと思う。
ザ・ジャムのような曲は、ギターも歌い回しもポール・ウェラーのようだし、
ザ・クラッシュのような曲は、メロディへの言葉の乗せ方など、
ジョー・ストラマーの特徴をよくつかみ、しかも自分のものにしている。
2000年代のオアシスのバラードのような曲もあり、
それもよくまとまっている。

それだけに、アルバム前半の冒険的楽曲とのバランスが残念。
2枚のアルバムを1枚に収めたようでもあり、
そうした混在ぶりが、「バラエティに富んでいる」のではなく、
「一体感がなく、ぼやけている」と感じてしまったのが残念。
一つひとつの楽曲は決して悪くはない。
しかし、アルバムという固まりとしての勢いや強さが足りなかったかなと。

今は、新しい試みをし、幅を広げていくステップの時期かもしれない。
次に期待したいところ。
なお、アルバム・タイトルは、ちょっと大きく出過ぎちゃったかなと。
そもそもバンド名が無粋なので仕方ないかもしれないが。

■ロバート・ジョンソン「ザ・コンプリート・レコーディングス」
ロバート・ジョンソン/ザ・コンプリート・レコーディングス 
ロバート・ジョンソンは、1938年に27歳で亡くなったブルースマン。
彼が生涯に残した作品は、1936年と1937年にレコーディングした
29曲(41テイク)のみである。
「ザ・コンプリート・レコーディングス」というアルバム・タイトルどおり、
このアルバムには、その全曲が収録されている。

29曲で41テイクである。
したがって、同じ曲の別テイクも複数盛り込まれている。
レコーディングされた1936年は昭和11年である。
つまりとんでもなく古い。
そして、使われている楽器はギターのみ。

「バディ・ガイを聴いたら、次はこれですね」と、
このアルバムを推奨したのが、
時々ブログにコメントを寄せてくれるフルチューン氏。
ただし、彼はこうもつけ加えた。
「ロバート・ジョンソンに、はまったら危険ですよ。
 抜け出せなくなってやばいですから、気をつけてください」
確かにそれも理解できるほどの泥臭さと黒っぽさに溢れている。

アコースティック・ギターで、基本3コードの似たような曲が延々と続く。
一聴して受けつけられない方は多いだろうし、
聴いたとしても飽きてしまう方が多いだろう。
大雑把に言えば、ブルース好きの人のための作品と言ってもいいくらい。

私も10年前なら、無理だったと思う。
前記のレーナード・スキナードにしても、
10年前なら絶賛できなかったと思う。
しかし、年齢を重ねて嗜好が徐々に変化するとともに、
しばらくバンド活動をやらない期間があり、
その間に、それまで聴いてこなかったアーチストの曲を聴いたり、
ラジオやブログを通して、様々な方に情報をいただいたり影響を受けたり。
そうした経過があったからこそ、今こうしたルーツ・ミュージックを
すうっと受け入れられるのだと思う。

フルチューン氏のコメントのとおり、危険なアルバムである。
泥臭いサウンドもそうなのだか、
歌詞にしても希望や未来を全く感じさせない。
ひたすら、狂おしい情念や、荒んだ日常を歌っている。
古い音と鬱々とした雰囲気に、1曲目の途中で退場する方も多いはずだ。
とにかく、どうしようもない人生を、声とギターで延々と奏でているのだ。
しかし、それがブルーズなのかもしれない。

ほんとにギター1本なのか?と驚く。
何かがのり移っていたと思わせるような天才的なプレーである。
彼なら、三味線一本で歌わせても素晴らしいものになっただろう。

泥臭く、暗いサウンドではあるが、
このアルバムがBGMで流れている店は、
意外と居心地がいいような気もする。
何気に車内で流れていたら、どこまでもドライブできそうな気になるだろう。
しかし、何気に社内で流れていたら、全く仕事をする気がしなくなるだろう。
しゃーないわ。


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