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インターネットのニュース記事は即時性がある。
あれはどうなったのか、と確認するため
アクセスすることも少なくない。
そんな時に、「タレントの誰々が第一子妊娠」という見出しを
目にすると、これ必要か?と思う。
妊娠、出産の情報は、そんなに需要があるのだろうか。
新聞でも、訃報欄は1面まるごとあるのに出産欄はない。
妊娠欄もない。
ネットニュースと新聞記事が似通る必要は全くなく、
むしろ独自性を出すべきだとは思うが、なにか釈然としない。
「イクメン」という言葉もなんとかならないものか。

今回はブックレヴュー。

■森見登美彦「夜行」(2017年)
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大学生時代の仲間5人が10年ぶりに再会し鍋を囲んだ。
10年前は6人だった。
不在の1名は女性で、10年前6人でお祭りに出かけた際に失踪。
そのまま音信不通となり、現在は生きているのかどうかも不明。

集まった5人のうち1人が、
「岸田道生」という画家の「夜行」という作品の話をした。
すると他の4人も、この10年間に「岸田道生」の「夜行」に
まつわる奇妙なエピソードがあった。
それは10年前に失踪した女性が見え隠れするような
出来事だった。

妻が何も告げずに旅に出た。
いつまでも帰ってこないので、思い当たる場所へ行き、
やっと見つけたと思ったら、
外見は妻なのに、内面は別人になっていたとか、

小学生の時に全焼した家が、
焼けていない状態で津軽にあったとか、
もやっとした謎がいくつも散りばめられて物語は進む。

すっきりとした展開はない。
謎は何ひとつ解明されない。
想像の限界を感じ、わけがわからない場面も少なくない。
しかし、不気味な薄暗い世界に
心地良く引き寄せられる感覚はあった。
ただ、読みか終えたときの率直な感想は、
「なんだったんだろうね」だ。

■本谷有希子「静かに、ねえ、静かに」(2018年)
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3作の短編が収められている。
1作目の「本当の旅」が特に面白い。
クアラルンプールへ向かう飛行場で男2人、女1人の
3人組が待ち合わせ。
すぐ近くに3人はいるのにSNSで会話。
頻繁に写真を撮っては、すぐにアップして、
「最高」、「感動」、「やばい」など、お互いを誉め合う。
そうした自己肯定ぶりがひどい。

情報を小出しにして、
3人の現状や関係を明らかにしていく展開が良い。
物語が進むにつれ、
彼らはフリーターのような生活をしていることや、
40歳くらいであることがわかってくる。
現実逃避をしている痛さが文面から伝わってくる。

後半は恐怖の場面になるが、
それでも無理して楽観ぶりを装う3人。
そうしたキャラクターに最後まで徹した筆致がすごい。

2作目も痛快だった。
SNSで知り合った2組の夫婦が
キャンピングカーで出かけて道の駅に宿泊する話なのだが、
キャンピングカーを嫌がる妻の心境や、
片方の夫婦の生活上のおかしなクセなどを上手に拾っていて、
イライラするのに読まされてしまう。

どの作品も経緯や背景がわからなかったり、
その先を知りたい、というところで終わった感はあるが、
読者の想像力を活動させてくれるような
小説ならでは面白さが満載の作品だ。

■小野寺史宜「ひと」(2018年)
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高校生の時に父を交通事故で亡くし、
大学2年生になって母を病気で亡くした。
両親が残した財産はわずかで、やむなく大学を中退。
しかし、地元である鳥取には戻らず、
大学のある東京に住み続ける。

大学はやめたものの職には就かず悶々としていたが、
当然のことながらお金がなくなっていく。
そんな中、偶然の出会いから
コロッケ店でアルバイトを始めることに。
そこで出会った人達とのあれこれを描いた
青春グラフティ的な作品だ。

主人公は、謙虚で優しくお人好し。
バイト仲間からもお客さんからも好感をもたれる。
ただ、見方を変えれば、危機管理意識が低く、流されがちで、
そんな性格を利用する知り合いもいる。

それでも彼は少しずつ成長していく。
会話場面がちょっと多いかなとは思うが、
若者風情が漂いつつも嫌みのない文体で、
清々しく応援する気持ちで読める方は多いだろう。
彼のその後を知りたくなる内容でもあった。
タイトルの「ひと」はいまひとつピンとこなかったが。

                       ◆

本谷さんの作品でも、小野寺さんの作品でも、
変にお気楽で、気取って、
図に乗った感じのキャラクターが登場し、
ちょっとしたことで「尊敬する」を多用する。

「尊敬する」が軽薄感を伴って悪用されている実態や、
「尊敬する」のハードルが下がっている現状を、
相応しいキャラクターを使って表現したことが印象的だった。

私も、それほど親しくない若者から、
「まじ尊敬します」などと言われたら、
安く見られたものだと思ってしまうだろう。
それとも真に受けて機嫌が良くなってしまうのだろうか。

「こういう大人になりたい」、「こんな年のとり方をしたい」の
ハードルは下がり続けているし、
「イケメン」のハードルは、下がったというより、
単に「若い男性」を示す言葉に変節したのではないかと。
つまり「イケメン」の定義が変わったのではないかと。

しかし、「イケメン」と聞くと、
それだけでワクワクするというか、
アゲアゲ(死語)になる中年女性が少なくないのも事実。
いいんじゃないすか。
いつまでも若々しくて、まじ尊敬っす。
 

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