今年の札幌は、たい焼き屋がずいぶんと増えた気がする。
「薄皮たい焼きだとか、白いたい焼きだとか、
なんだか色々とありますな」
先日、仕事で向かう江別市に向かう車中、
同僚のM美(エムミ・20代)に、そう話しかけた。
すると彼女は、「ちょっと前に、白いたい焼き食べましたよ」とのこと。
「たい焼きは、やっぱり買ってすぐに食べるのがいいですよね。
あの、カリッとした感じが」
そんな、たい焼きへのこだわりも語ってくれた。
彼女は、今年の3月まで東区に住んでいたが、
結婚して西区に移り住んだ。
10月のある日、自転車で約1時間をかけて、
西区から東区へ来たという。
「なにゆえ自転車で東区まで来たのかね」と問うと、
髪を切りに行ったとのこと。
東区に住んでいた頃に通っていた美容院のポイントがいっぱいになり、
それを使うために、わざわざ足を伸ばしたらしい。
その帰り道、白いたい焼き屋が目に入り、衝動的に入店。
あんとクリームの2種類を購入したという。
「じゃあ、家に帰ってから、ご主人と食べたわけですな」
私がそう言うと、彼女は中途半端に肯定した。
「まあ、そうなんですけど、
実は、買って、店を出てすぐに、2種類とも、ひとくち食べたんですよ。
カリッとした状態で食べたくて」
つまり彼女は、食べかけのたい焼きを家に持って帰ったのだ。
なんて素敵な行動だろう。
この日は、江別市内の仕事先に向かう途中、
江別市内の「シナモン・ベーカリー」というパン屋に寄る予定だった。
札幌以外でパン屋に行く機会はあまりない。
パン・ガールでもあるM美は、このチャンスを逃すべからずと、
入念に店選び&下調べをし、楽しみにしていた。
シナモン・ベーカリーの営業時間は9時から17時。
こちらの仕事の都合上、立ち寄るなら、仕事先へ行く途中しかなかった。
9時30分頃、店を訪問。
M美は、夕食か翌日の朝食にすると言って、何種類か買った。
せっかくの機会なので、私も、そして同乗していた中村NBRも
一番人気だという「シナモンロール」を買った。
店を出て、車に乗るまでの間に、M美は、
「パンも、できたてが美味しいですからね」と言って、
何の迷いもなく、買ったパンを、ひとくち食べた。
それにつられるように、私も中村NBRもパンを取り出した。
そして私も、ひとくちだけ食べた。
甘みとシナモンの香りがしっかりとあり、
香ばしくもモチモチした、すごく美味しいパンだった。
もうひとくち食べたい欲求にかられたが、
9時30分という中途半端な時間に胃袋を満たすのはどうかと思い、
M美ルールにしたがって、ひとくちで終了させた。
車に乗り、仕事場へ向かう。
運転する中村NBRに、「パン、美味しかった?」と聞くと、
彼の返事はこうだった。
「美味しかったですね。全部食べちゃいましたよ」
仕事先に着くまでに、パンをひとくち食べたり、全部食べたり、
私たちは、いったい何をしているのだろう。
でも、ちょっと素敵なことかもしれない。